にしな『RUSH BALL 2021』ライブレポート ーーエモーショナルな歌声に心が震える、初の野外ライブで示した存在感
にしな 撮影=瀧本JON…行秀
『RUSH BALL 2021』にしな
風が心地よい夕刻のATMCに登場したのは、シンガーソングライターのにしな。切なげな声で問いかけるようにして歌う「ダーリン」でライブをスタートさせると、瞬く間に観客の心を鷲掴みに。打って変わって今度は、同じく1stアルバム「odds and ends」に収録されているロックナンバー「真白」へ。バンドサウンドが楽曲のスケールを増大させ、にしなの歌声がより伸びやかに突き抜けていく。
にしな
「初めての野外フェス、とっても嬉しいです」と端的に思いの丈を語り、「せっかくなので、はじめての曲をやってみようかと思います」と、今月11日にリリースされたばかりの新曲「東京マーブル」を披露。まだ明るい時間だけれども、一気に会場をムーディーに包み込み、観客たちも心地良さそうに身を委ねて踊る。
にしな
そのまま今度は、彼女の代名詞ともいえる「ヘビースモーク」へ。3年前にYouTubeに投稿された弾き語りの動画は再生回数が160万回を超える人気曲とあって、体を揺らしながらもステージに釘付けになって聴き耽る観客たち。エレキギターを弾きながらエモーショナルに歌い上げると、時が過ぎるごとに一体を魅了していくステージングは圧巻だった。
にしな
「あっという間ですね。緊張したんですけど楽しかったです。ありがとうございました」と伝え、ラストはアコギを携えての「ワンルーム」へ。思わずドキッとする台詞の投げかけやギターの温かみあるサウンドが、より日常の風景が浮かぶ彼女の楽曲世界へと誘っていった。
にしな
等身大の歌詞と、切なくも優しく、どこか儚げな歌声には共感せずにはいられない。気づけばひとりひとりが主人公となって楽曲の中へと入り込み、彼女と共に心を震わせながら歌いたくなる。そして、ライブ後には余韻でふといろんなことを考えたくなるような、そんなセンセーショナルなステージだった。
取材・文=大西健斗 撮影=瀧本JON…行秀
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