片岡愛之助・中村壱太郎が第一部『神の鳥』への想いを語る 11月歌舞伎座『吉例顔見世大歌舞伎』

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2021.11.1
(左から)中村壱太郎、片岡愛之助

(左から)中村壱太郎、片岡愛之助

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2021年11月1日(月)~26日(金)歌舞伎座にて、『吉例顔見世大歌舞伎』が上演される。この度、第一部『神の鳥(こうのとり)』に出演する片岡愛之助中村壱太郎が今回の公演に合わせて木挽町広場に設営された『神の鳥』上演記念特設コーナーを訪れ、作品への想いを語った。

『神の鳥』は、兵庫県豊岡市にある近畿地方最古の芝居小屋・出石永楽館で平成26年に初演された。国の天然記念物、そして兵庫県の県鳥でもあり、古来より幸せを運ぶとされる“こうのとり”の親子を主人公にしている。「永楽館歌舞伎」での2度の上演を経て、今回はさらに内容を充実させた歌舞伎座版として上演する。

平成30年10月永楽館『神の鳥』  撮影:井川由香

平成30年10月永楽館『神の鳥』  撮影:井川由香

平成30年10月永楽館『神の鳥』山中鹿之介幸盛=片岡愛之助  撮影:井川由香

平成30年10月永楽館『神の鳥』山中鹿之介幸盛=片岡愛之助  撮影:井川由香

出演するのは永楽館での公演に引き続き、片岡愛之助と中村壱太郎。平成20年に初めて開催されて以来毎年「永楽館歌舞伎」に出演(令和2年、3年は中止)してきた二人が、今回の歌舞伎座での公演に合わせて歌舞伎座地下2階木挽町広場に設営された『神の鳥』上演記念特設コーナーを訪れた。

『神の鳥』上演記念特設コーナー

『神の鳥』上演記念特設コーナー

『神の鳥』上演記念特設コーナー

『神の鳥』上演記念特設コーナー

コーナー内には、ご当地ゆかりの作品として誕生した『神の鳥』にちなみ、地元豊岡市で販売されている“こうのとり”にまつわるグッズも。二人は、かわいらしいこうのとりのぬいぐるみを手に取り、永楽館での思い出や進化を遂げた歌舞伎座版のみどころまで余すところなく語ってくれた。

『神の鳥』上演記念特設コーナー

『神の鳥』上演記念特設コーナー

片岡愛之助・中村壱太郎 コメント

ーー『神の鳥』という作品について

愛之助:(平成20年に始まった)「永楽館歌舞伎」はライフワークのように続けさせていただいています。そんななか、永楽館のある豊岡市にちなんだ題材で歌舞伎を作ってほしいという地元の皆様のお声があり、いろいろと調べさせていただいて“こうのとり”を題材にした『神の鳥』という作品ができました。とっておきの時にやろうと思っていた作品です。

平成30年10月永楽館『神の鳥』こうのとり=片岡愛之助  撮影:井川由香

平成30年10月永楽館『神の鳥』こうのとり=片岡愛之助  撮影:井川由香

壱太郎:「永楽館歌舞伎」は10代のころから毎年欠かさず出演し、いろんな経験をさせていただいたのですが、特にこの『神の鳥』は思い出深い作品です。豊岡市で復活した“こうのとり”を題材にしたスペクタクルな物語で私も大好きな作品です。永楽館で2回上演しましたが、3回目の今回は歌舞伎座で上演ということでわくわくしています。

ーー作品の注目ポイント

愛之助:こうのとりを題材にということでとても難しかったのですが、ただの舞踊ではなく、舞踊劇、お芝居にしようと作りました。新作の歌舞伎は再演されることがなかなか少ないのですが、二度三度と再演できる作品を作りたかった。実は大劇場でかけたらどうなるかということも考えながら作った作品です。でも、まさかキャパ300人ほどの永楽館で生まれて、一番大きいところ(歌舞伎座)で上演できるとは……嬉しさはもちろん、驚いています。これも皆様のおかげです。わずかでも「永楽館歌舞伎」に恩返しもできたかなと思います。

壱太郎:歌舞伎座でできること、とても嬉しく思います。永楽館で毎年行っていた公演がここ2年実施できませんでしたが、今回の公演が毎年「永楽館歌舞伎」を上演していた 11 月にできることにもご縁を感じます。古典の要素を入れつつ出来上がっているので、歌舞伎座の舞台でも大きく羽ばたいてアピールできればと思います。

平成30年10月永楽館『神の鳥』こうのとり=中村壱太郎  撮影:井川由香

平成30年10月永楽館『神の鳥』こうのとり=中村壱太郎  撮影:井川由香

愛之助:いろんな歌舞伎のパロディも入っていますので、初めてご覧になる方はもちろん、日ごろから歌舞伎をご覧になっている方にも楽しんでいただける作品です。
歌舞伎座バージョンというのを精一杯勤めますのでぜひお楽しみください。

『神の鳥』あらすじ・みどころ
時は室町時代。但馬の国、出石神社の社頭では、足利将軍をもしのぐ権勢を誇る守護大名・赤松満祐の天下掌握を祈願する宴が開かれ、神の使いとされる霊鳥“こうのとり”が生贄として献上されています。その肉を食べると長寿を得るという伝説にならい、家臣たちが、まだ子どものこうのとりを満祐に差し出そうとすると、突如として二人の狂言師が現れます。舞い踊る二人はやがて…。
古来より幸せを運ぶとされる“こうのとり” は国の特別天然記念物であり、兵庫県の県鳥にも指定されています。 “こうのとり”の親子を主人公に、舞踊劇仕立てに構成した本作は、現存する近畿地方最古の芝居小屋・出石永楽館(兵庫県豊岡市)で、外題に『神の鳥』の当て字をつけ、平成26(2014)年に初演されました。
明快な筋立てと、錦絵のように華やかな舞台面、また、ぶっ返りや早替りなど、歌舞伎の醍醐味をふんだんに取り入れた演出がみどころで、このたびは、さらに内容を充実させ、歌舞伎座版としてお楽しみいただきます。

 

公演情報

『吉例顔見世大歌舞伎』
■日程:2021年11月1日(月)~26日(金)
■会場:歌舞伎座
 
【休演】8日(月)、18日(木)
【貸切】第一部、第二部:12日(金)
 
第一部 午前11時~
 
水口一夫 作・演出
一、神の鳥(こうのとり)
 
狂言師右近実はこうのとり(雄鳥)/山中鹿之介幸盛:片岡愛之助
狂言師左近実はこうのとり(雌鳥):中村壱太郎
仁木入道:中村種之助
傾城柏木:上村吉弥
赤松満祐:中村東蔵
 
北條秀司 作・演出
二、井伊大老(いいたいろう)
千駄ヶ谷井伊家下屋敷
 
井伊直弼:松本白鸚
仙英禅師:中村歌六
老女雲の井:市川高麗蔵
お静の方:中村魁春
 
第二部 午後2時30分~
十世 坂東三津五郎七回忌追善狂言
一、寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)
 
工藤左衛門祐経:尾上菊五郎
曽我五郎時致:坂東巳之助
曽我十郎祐成:中村時蔵
小林朝比奈:尾上松緑
八幡三郎:坂東彦三郎
梶原平次景高:坂東亀蔵
化粧坂少将:中村梅枝
秦野四郎:中村萬太郎
近江小藤太:河原崎権十郎
梶原平三景時:市川團蔵
大磯の虎:中村雀右衛門
鬼王新左衛門:市川左團次
後見:坂東秀調
 
河竹黙阿弥 作
二、連獅子(れんじし)
 
狂言師右近後に親獅子の精:片岡仁左衛門
狂言師左近後に仔獅子の精:片岡千之助
浄土僧専念:市川門之助
法華僧日門:中村又五郎
 
第三部 午後6時~
 
河竹黙阿弥 作
渡辺霞亭 作
戸部和久 補綴
石川耕士 構成・演出
市川猿之助 演出
  花競忠臣顔見勢(はなくらべぎしのかおみせ)
序幕 第一場 鶴ヶ岡八幡社頭の場
   第二場 桃井館奥書院の場
   第三場 稲瀬川々端の場
   第四場 芸州侯下屋敷の場
   第五場 同    門外の場
大詰   第一場 槌谷邸奥座敷の場
         第二場 高家奥庭泉水の場
         第三場 元の槌谷邸の場
         第四場 花水橋引揚げの場

顔世御前後に葉泉院/大鷲文吾:尾上右近
河瀬六弥:中村歌之助
源蔵姉おさみ:市川笑也
高師直/戸田の局/河雲松柳亭:市川猿之助
晋其角:市川猿弥
大星由良之助:中村歌昇
井浪伴左衛門:松本錦吾
桃井若狭之助/清水大学:松本幸四郎
足利直義/お園:坂東新悟
寺岡平右衛門:澤村宗之助
大星力弥:中村鷹之資
塩冶判官/槌谷主税:中村隼人
龍田新左衛門:大谷廣太郎
赤垣源蔵:中村福之助
小浪:中村米吉
 
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