〈日本劇作家協会東海支部〉の恒例イベント『劇王2022』が、愛知の「長久手市文化の家」で2年ぶりに開催~観客と審査員による投票で勝者を選出
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〈日本劇作家協会東海支部〉(以下、東海支部)がプロデュースする短編演劇のコンペティション『劇王』が、来る2022年2月5日(土)~6日(日)の2日間に渡り、愛知の「長久手市文化の家」に於いて2年ぶりに開催される。
〈東海支部〉と会場の「長久手市文化の家」が協力して立ち上げた【劇王】が始まったのは、2003年のこと。「上演時間20分以内、役者3人以内、数分で舞台転換可能」という制約のもと、東海支部員や招聘作家が書き下ろした戯曲をブロックごとに数本ずつ連続上演し、観客とゲスト審査員の投票によって優勝者【劇王】を決定するもので、発案者の佃典彦(二代目東海支部長)によるお手製のチャンピオンベルトと劇作家の名誉のみをかけ、これまで数多の演劇人たちが熱い闘いを繰り広げてきた。
この【劇王】を軸とした〈東海支部〉イベントは、初回以来ほぼ毎年開催されてきたが、10回目を迎えた2013年の『劇王Ⅹ~天下統一大会~』をもって一旦終了している。その間、2005年には長久手が「日本劇作家大会」(1994年から全国各地で開催されている市民参加型の舞台芸術文化の祭典)の開催地となり、そのメインイベントとして実施した『劇王Ⅲ~全国制覇への道』では、北九州・大阪・三重・静岡・東京・盛岡・韓国からも挑戦者を得て開催。さらに2007年の第4回以降は、全国各地の戯曲賞受賞者も招聘して開催してきたことなどから【劇王】の存在は東海エリア外の演劇人にも広く知れ渡って評判を呼び、全国各地に【劇王】スタイルのイベントが派生。今も継続して独自に開催されている。
前回『『劇王2020〜人生を変える20分〜』が開催された際の、「長久手市文化の家」ホワイエの様子
方や、本家【劇王】は2017年に『劇王Ⅺ~アジア大会~』として復活。全国各地の予選を通過した9チームと、韓国・シンガポール・香港の海外3チームも加わった精鋭に、【第9代劇王】の平塚直隆が〈東海支部〉の威信をかけて対抗(第10代劇王の柴幸男は、『劇王Ⅹ~天下統一大会~』の覇者として【劇天】の称号を獲得、いわば殿堂入りに)。その結果、当時三代目東海支部長でもあった平塚が見事メンツを守り抜き、【第11代劇王】及び【劇王アジアチャンピオン】に輝いた。
それから2年半後の2020年2月には、“世代交流は演劇で”をキャッチフレーズに、原点回帰して新たな試みも取り入れた『劇王2020~人生を変える20分~』を開催。「東海地区の劇作家を紹介する場や、その作品を観られる機会を設けたい」という当初の目的に立ち返り、これまで【劇王】では作品未発表だった若手東海支部員が多く参戦。見応えのある力作揃いで健闘したが、【第12代劇王】の座は招聘枠で参戦した関戸哲也の手に。関戸は、出演者のおぐりまさこと組む演劇ユニット〈空宙空地〉で名古屋を拠点に活動する劇作家・演出家だが、北海道・札幌の《教文短編演劇祭2019》チャンピオンとして招かれ参加していた。こうして【劇王】の座とチャピオンベルトは、奇しくも東海地区の劇作家に引き継がれることとなった。
さらにこの大会では新たな試みとして、より幅広い年代の観客に足を運んでもらうため若い世代に向けた企画も登場。【劇王】の芝居づくりを体験してもらうべく、四代目東海支部長の鹿目由紀が講師を務め、公募で集まった中学生~大学生8名が参加した新企画「げきたまご」が始動した。また、この『劇王2020』閉幕時に、今後の【劇王】イベントは隔年で開催されることが発表された。
【「劇王」の歴史】
『劇王』 2003年1月31日(金)~2月2日(日)初代劇王:杉本明朗『仇討ち』『劇王Ⅱ』 2004年1月31日(土)~2月1日(日)
第2代劇王:品川浩幸『元パパ』『劇王Ⅲ』日本劇作家大会 in 長久手 2005年9月1日(木)~4日(日)
第3代劇王:品川浩幸『三日月ビュー』『劇王Ⅳ』 2007年1月27日(土)~28日(日)
第4代劇王:柴幸男『反復かつ連続』『劇王Ⅴ』 2008年2月2日(土)~3日(日)
第5代劇王:鹿目由紀『不惑と窓枠の行方』『劇王Ⅵ』 2009年2月7日(土)~8日(日)
第6代劇王:鹿目由紀『信号の虫』『劇王Ⅶ』 2010年2月6日(土)~7日(日)
第7代劇王:鹿目由紀『借り物と協奏』『劇王Ⅷ』 2011年2月5日(土)~6日(日)
第8代劇王(劇帝):鹿目由紀『溝』『劇王Ⅸ』 2012年2月11日(土)~12日(日)
第9代劇王:平塚直隆『鹿』『劇王Ⅹ~天下統一大会~』 2013年2月9日(土)~11日(月・祝)
劇天:柴幸男『つくりばなし』『劇王~アジア大会~』 2017年9月15日(金)~17日(日)
劇王アジアチャンピオン:平塚直隆『救急車を呼びました』『劇王2020』 2020年2月8日(土)~9日(日)
第12代劇王:関戸哲也『死ぬ時に思い出さない今日という1日』
【第12代劇王】に輝いた『死ぬ時に思い出さない今日という1日』(作:関戸哲也、出演:おぐりまさこ、関戸哲也)の上演風景
そして今回の『劇王2022~人生を変える20分~』でも、当地で活動するフレッシュな顔ぶれが参戦。〈東海支部〉から選出された、天野順一朗、石丸承暖、カズ祥、長谷川彩と、斜田章大(注1)の5名に、「げきたまご枠」の屑屋あず(げきたまご受講生)、「ナビイチ枠」(注2)の小粥幸弘、「戯曲セミナー枠」(注3)の市瀬佳子を加えた計8名が、現【劇王】の関戸哲也に挑む。
※注1斜田は、昨年2021年2月に開催された『リーディング劇王~劇王関戸が今呼びかける、俺より強い奴はいないのかヤァヤァヤァ!つまり新春関戸杯』で勝者となり、【劇哲王】の称号と『劇王2022』出場権を獲得。当初『リーディング劇王』は有観客公演の予定だったが、愛知県に緊急事態宣言が発令されたためオンライン無料配信に変更。それに伴い観客投票ではなく、五代目東海支部長・渡山博崇ら4名の審査員により勝者が決められた。※注2
「ナビイチ」とは、戯曲を「読んで、聴いて、語り合う」イベント《ナビイチリーディング》の略。〈東海支部〉が主催し、2016年から現在まで19回に渡って開催されてきた。毎回、選出された劇作家の戯曲を俳優がドラマリーディングし、作者・俳優・〈東海支部〉から選出されたファシリテーター・ゲスト演劇人・観客らがディスカッションし、交流することで、戯曲のブラッシュアップ及び劇作家のスキルアップを目指している。※注3
《戯曲セミナー》は「長久手市文化の家」が開講しているアートスクールのひとつで、初代東海支部長・はせひろいちが平成11年度から20年以上に渡り講師を務めている。
『劇王2022〜人生を変える20分〜』チラシ中面
【劇王】決定の手順は、従来どおりに進められる。まず、2月5日(土)の14:00~16:00に《Aプログラム》4チームの上演と観客・審査員投票を行って勝者を決定し、同日18:30~20:30の《Bプログラム》4チームも同様に実施。そして、ABそれぞれの勝者と【第12代劇王】関戸哲也による三作が、翌6日(日)15:00~17:30の《決勝巴戦》で上演される。ここでも観客・審査員投票及び結果発表と審査員による講評が行われ、【第13代劇王】が誕生する、という流れだ。
審査にあたる今回のゲスト審査員は、鴻上尚史(作家・演出家)、天野天街(劇作家・演出家)、赤澤ムック(脚本家・演出家・俳優)の3名が務める。まだ公に発表される機会の少ない新進作家も多く参加する今回。この三者の票が誰に投じられるのか、また各作品に対してどのような講評が述べられるのかも楽しみなところだ。
鴻上尚史 撮影:©︎TOWA
作家・演出家。1981年に劇団「第三舞台」を結成し、以降、作・演出を多数手がける。これまで紀伊國屋演劇賞、岸田國士戯曲賞、読売文学賞など受賞。舞台公演の他には、エッセイスト、小説家、テレビ番組司会、ラジオ・パーソナリティ、映画監督など幅広く活動。また、俳優育成のためのワークショップや講義も精力的に行うほか、表現、演技、演出などに関する書籍を多数発表している。桐朋学園芸術短期大学特別招聘教授。昭和音楽大学客員教授。 近著に「演劇入門 生きることは演じること」(集英社新書)」、「同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか」(講談社現代新書)など多数。
天野天街
1960年愛知県一宮市生まれ。1982年「少年王者舘」旗揚げ、演劇、ダンス、人形劇、コンサート、ファッションショー等の舞台演出を多数手掛ける。1994年映画初監督作品「トワイライツ」でオー バーハウゼン国際短編映画際グランプリ、メルボルン国際映画祭グランプリ受賞。1998年より演劇ユニット《KUDAN Project》で、海外公演を開始。 著書に「星ノ天狗・御姉妹」「くだんの 件」「それいゆ」「夢+夜/累/パウダア」「平太郎化物日記」「絵コンテ/必殺するめ固め」「画集/天野天街万華鏡」等。名古屋市文化奨励賞、愛知県文化奨励賞等受賞。
赤澤ムック
脚本家・演出家・俳優。北海道出身。桐朋短期大学演劇専攻科を経て、劇団黒色綺譚カナリア派を旗揚げ(2011年より活動休止)。現在は都心部の商業演劇や2.5次元演劇に限らず、地方での小さな芝居作りや高校演劇審査員など、観劇人口増加への取り組みに精力的。近年の代表作は『あんさんぶるスターズon STAGE』シリーズ(脚本)、けやき坂46『あゆみ』(演出)、舞台版『刀使ノ巫女』(脚本・演出)、『明治座の変 麒麟にの・る』(脚本)、映画『彼女がその名を知らない鳥たち』、『前科者』(出演)
そして《Aプログラム》と《Bプログラム》の合間の16:30~17:30には、同じく〈東海支部〉が主催する【第6回俳優A賞 授賞式】が行われる。【俳優A賞】は、“舞台俳優を応援する賞”として2015年に創設。経歴や役の大小を問わず、毎年9月~12月に東海エリアで上演される公演(劇団・ユニット単位でのエントリー形式)を対象として、東海支部員をはじめとする演劇関係者7名の審査員がエントリー作品を観劇して審査にあたるものだ。その年の全エントリー作品公演終了後に審査会を行い、第一次審査及び第二次審査を実施。そこで決まった第二次審査通過者を授賞式に招き、最優秀者の発表と講評が行われる。今年のノミネート俳優及び第二次審査通過者は、以下の通り。
【第6回 俳優A賞】ノミネート俳優(五十音順敬称略/出演団体と公演タイトル)
☆印は第二次審査通過者
☆赤井千晴/perky pat presents『夢十夜 「神代jindaiの巻」第四夜』
☆あさぎりまとい/妄烈キネマレコード『少年カセットコミック POCKET「待てど暮らせど 恋せよ乙女」』、perky pat presents『夢十夜 「神代jindaiの巻」第四夜』
・稲葉収治/とよた演劇祭『ものす舞台』
☆犬養憲子/空宙空地『トシノセィ「くいくがりのなみだ」』
・おぐりまさこ/空宙空地『トシノセィ「死ぬ時に思い出さない今日という一日」』
・七星束子/空宙空地『トシノセィ「ホタルノヒカリ」』
・すぎうらまこ/星の女子さん『富山家の人々とその他の独白』
・関戸哲也/空宙空地『トシノセィ「死ぬ時に思い出さない今日という一日」』『トシノセィ「ホタルノヒカリ」』
☆登龍亭獅鉄/登龍亭獅鉄 らくご芝居『新・中村仲蔵』
☆二宮信也/星の女子さん『富山家の人々とその他の独白』
・にへいたかひろ/perky pat presents『夢十夜 「三匂Miwaの巻」第八夜』
☆藤本伸江/劇団うりんこ『わたしとわたし、ぼくとぼく』
・堀伸夫/perky pat presents『夢十夜 「修羅shuraの巻」「神代jindaiの巻」「三匂Miwaの巻」』
・元山未奈美/空宙空地『トシノセィ「たりない二人☆」』
また、前回スタートした若手育成企画「げきたまご」は、今回も公募により集まった中学生~大学生が参加。刈馬カオスによる戯曲指導、渡山博崇による演出指導のもと、今年は戯曲も自分たちで執筆している。その一作が「げきたまご枠」の屑屋あず作『決めつけられる男』で、2月6日(日)13:00~14:00には、惜しくも本選出場を逃した一作『おままごと』もサブ会場にてエキシビション上演されるので、こちらもご注目を。
尚、先日『決めつけられる男』の出演者2名が新型コロナウイルス陽性者となり、1名は復帰出演、1名は降板となったため、代役として、当初劇作と共に演出も担当する予定だった屑屋あずが出演。それに伴い演出は、戯曲指導を行った刈馬カオスが務める。また、『おままごと』出演者の家族が新型コロナウイルス陽性者となり、出演者当人も濃厚接触者と認定されたため降板。代役として、当初劇作と共に演出も担当する予定だったすずねが出演。それに伴い演出を、演出指導を行った渡山博崇が務める(この件の詳細及び開催についての注意事項等は、「長久手市文化の家」公式サイト及び〈東海支部〉ツィッターを参照)。
今回の『劇王2022~人生を変える20分~』は、新型コロナウイルス感染拡大第6波、オミクロン株が猛威を振るう最中での開催となるが、会場の座席を定員の半分以下に制限するなど、万全の感染症対策を講じて実施される。以下は、現東海支部長・渡山博崇による、開催に向けてのコメントだ。
「このようなご時世ではありますが、このような状況であるからこそ、東海地区の上演機会と観劇機会を、東海支部が担うことには意義があると思っております。いろんなお芝居がある。それを肌で感じていただけたら有難いです」
短編演劇の鑑賞を通して、演劇人たちが切磋琢磨して作品を創り上げる様子を肌で感じ、自身の票が勝敗を左右する面白さを味わい、次代を担う劇作家たちを勇気づけ、彼らの今後の創作の活力となり得るプロの創り手たちによる批評を目撃し、優れた演技を披露した俳優たちに賞賛を贈るべく、多くの観客にできれば現場で直に楽しんでもらいたいところだが、今大会では劇場まで足を運べない方のために、オンライン配信も行われる。
こちらは残念ながら投票には参加できず、《げきたまご エキシビション》と《俳優A賞 授賞式》の観覧は出来ないが、本選《Aプログラム》《Bプログラム》《決勝巴戦》は全て観覧可能なため、遠方の方や、劇場を訪れるのは不安な方、【劇王】イベントを初めて知り様子をちょっと覗いてみたい方なども、ぜひご観覧を。
尚、毎回好評を博し、今回も開催予定だった「戯曲見本市」(劇作家の戯曲を販売)は感染リスク回避のため、中止が決定した。この他、開催に関する最新情報、出場者の創作状況や意気込みなどは、〈日本劇作家協会東海支部〉公式ツィッターhttps://twitter.com/jpa_tokaiでご確認を。
『劇王2022〜人生を変える20分〜』チラシ外面
公演情報
長久手演劇王国 Vol.20 日本劇作家協会東海支部プロデュース
Jr.ライト級チャンピオンタイトルマッチ『劇王2022~人生を変える20分~』
公演関係者に新型コロナウイルス感染症の陽性者が出たため、この度開催を中止させていただきます。オンライン配信もございません。
の返金については、長久手市文化の家より中止のお電話をさせていただきます。
前売り券をご購入されたお客様は、返金手続きに関するお電話をさせていただきますので、お手元のを保管しておいてください。
■日時:2022年2月5日(土)14:00 予選Aプログラム・18:30 予選Bプログラム、6日(日)15:00 決勝巴戦 ※イベント詳細は別記【開催スケジュール】を参照
■会場:長久手市文化の家 風のホール(愛知県長久手市野田農201)
■料金:1公演券(前売・当日)一般2,000円 学生1,000円/2公演セレクト券(前売のみ)一般3,000円 学生1,500円/全公演通し券(前売のみ)一般4,000円 学生2,000円/オンライン配信3,000円(別途システム手数料が必要) ※劇場での《げきたまご エキシビション》《俳優A賞 授賞式》、全体講評観覧は、いずれかのの半券で入場可。オンライン配信は、《げきたまご エキシビション》と《俳優A賞 授賞式》を除く全ステージ観覧可。ただし、投票は参加不可。2月19日(土)までアーカイブ視聴可
■アクセス:名古屋駅から地下鉄東山線で「藤が丘」駅下車、リニモに乗り換え「はなみずき通」駅下車、北へ徒歩7分
■問い合わせ:長久手市文化の家 0561-61-3411
■公式サイト:日本劇作家協会東海支部 http://jpatokai.php.xdomain.jp/gekioh/
長久手市文化の家 http://www.city.nagakute.lg.jp/bunka/ct_bunka_ie.html