『ポンペイ展』京都市京セラ美術館でも今春開催、火山灰で消えた古代都市「ポンペイ」がよみがえる大規模展覧会

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2022.2.21
「バックス(ディオニュソス)とヴェスヴィオ山」フレスコ ナポリ国立考古学博物館蔵  Photo(c)Luciano and Marco Pedicini

「バックス(ディオニュソス)とヴェスヴィオ山」フレスコ ナポリ国立考古学博物館蔵  Photo(c)Luciano and Marco Pedicini

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4月21日(木)から7月3日(日)まで、京都市京セラ美術館にて、大規模な『ポンペイ展』が開催される。

紀元後79年、イタリア南部ナポリ近郊のヴェスヴィオ火山の噴火により、大量の火山灰と火山れきが逃げ遅れた市民や奴隷、建物といった暮らしを丸ごと飲み込み、一瞬で全てが死に絶えた古代ローマ帝国の都市「ポンペイ」。一時は忘れ去られてしまうが、18世紀より発掘が開始されると、まるでタイムカプセルのように人々や生活の瞬間を切り取った保存状態に、注目を浴びることとなる。

「エメラルドと真珠母貝のネックレス」金(鋳造、圧延、フィリグリー)、真珠母貝、エメラルド ナポリ国立考古学博物館蔵  Photo(c)Luciano and Marco Pedicini

「エメラルドと真珠母貝のネックレス」金(鋳造、圧延、フィリグリー)、真珠母貝、エメラルド ナポリ国立考古学博物館蔵  Photo(c)Luciano and Marco Pedicini

同展では、ポンペイ周辺から出土した遺物コレクションを所蔵する、世界屈指のナポリ国立考古学博物館の協力で、本邦初公開の名品を含めた至宝、約120点を公開。同館が誇る第一級のモザイクや壁画、フレスコ画、彫像、貴金属といった美術品、裕福な家庭の豪華な食器や道具などの日用品を通じ、2000年前の古代都市の繁栄と豊かな生活を謳歌した市民の暮らしを紹介する。当時の古代ローマ時代の人々の生活空間や姿を現代に蘇らせる。

第1章「ポンペイの街 ― 公共建築と宗教」

「青い水差し」ガラス ナポリ国立考古学博物館蔵  Photo(c)Luciano and Marco Pedicini

「青い水差し」ガラス ナポリ国立考古学博物館蔵  Photo(c)Luciano and Marco Pedicini

同展は全5章で構成されている。第1章「ポンペイの街 ― 公共建築と宗教」では、街の基盤となった公共施設やインフラにフォーカス。中央広場や円形闘技場、浴場、運動場といった公共施設にまつわる作品をはじめ、アポロやウェヌス、イシスといった古代ローマの神々も取り上げ、人々の精神的支柱となった宗教と信仰についても紹介する。

第2章「ポンペイの社会と人々の活躍」

「黒曜石の杯」黒曜石、サンゴ、ラピスラズリ、孔雀石、金(象嵌) ナポリ国立考古学博物館蔵  Photo(c)Luciano and Marco Pedicini

「黒曜石の杯」黒曜石、サンゴ、ラピスラズリ、孔雀石、金(象嵌) ナポリ国立考古学博物館蔵  Photo(c)Luciano and Marco Pedicini

同章では、裕福な市民たちの暮らしぶりを紹介。家財や装飾品など、豪華な出土品の品々から、財力や教養を誇示しようとした上流階級民の嗜好が想像できる。

「テーブル天板(通称「メメント・モリ」)」モザイク ナポリ国立考古学博物館蔵  Photo(c)Luciano and Marco Pedicini

「テーブル天板(通称「メメント・モリ」)」モザイク ナポリ国立考古学博物館蔵 Photo(c)Luciano and Marco Pedicini

また、奴隷から解放されて「自由人」になった人の中には、銀行業で成功した資産家もいた。女性の活躍など、出自に関係なくチャンスを与えた古代ローマ社会の寛容な一面も知れる展示となっている。

第3章「人々の暮らし ― 食と仕事」

「炭化したパン」ナポリ国立考古学博物館  Photo(c)Luciano and Marco Pedicini

「炭化したパン」ナポリ国立考古学博物館  Photo(c)Luciano and Marco Pedicini

第3章では、人々の食生活や日常生活を紹介。ポンペイの街にはパン屋やテイクアウト可能な料理屋が軒を連ねていた。また、裕福な家庭では、使用人たちが台所で調理し主人に食事を提供していた。

「仔ブタ形の錘」ブロンズと鉛 ナポリ国立考古学博物館蔵 Photo(c)Luciano and Marco Pedicini

「仔ブタ形の錘」ブロンズと鉛 ナポリ国立考古学博物館蔵 Photo(c)Luciano and Marco Pedicini

そんな当時の人々の暮らしに、台所用品や食材、医療用具や農具、工具など、日常生活に身近な道具を通じて迫る章となっている。

第4章「ポンペイ繁栄の歴史」

「猛犬注意」モザイク ナポリ国立考古学博物館蔵  Photo(c)Luciano and Marco Pedicini

「猛犬注意」モザイク ナポリ国立考古学博物館蔵  Photo(c)Luciano and Marco Pedicini

同章では、ポンペイ遺跡でも著名な邸宅の一部を、会場内に再現展示しており見どころの一つとなっている。ポンペイを探索している気分が味わえるとともに、出土品の持ち主の人となりに思いを馳せることができる。

「踊るファウヌス」ブロンズ ナポリ国立考古学博物館蔵  Photo(c)Luciano and Marco Pedicini

「踊るファウヌス」ブロンズ ナポリ国立考古学博物館蔵  Photo(c)Luciano and Marco Pedicini

ヘレニズム美術屈指のモザイク装飾に目を奪われる「ファウヌスの家」、ローマのもとで繁栄を象徴する「竪琴奏者の家」、噴火直前に描かれたフレスコ画で知られる「悲劇詩人の家」。時代の異なる複数の名家から出土した作品群をハイライト展示。「葉綱と悲劇の仮面」などのモザイク画の傑作や「踊るファウヌス」「竪琴を弾くアポロ」などのブロンズ像に注目だ。それぞれが栄えた時代を映し出す作品を通じ、ポンペイの繁栄の歴史をより深く知ることができる。

「葉網と悲劇の仮面」モザイク ナポリ国立考古学博物館蔵  Photo(c)Luciano and Marco Pedicini

「葉網と悲劇の仮面」モザイク ナポリ国立考古学博物館蔵  Photo(c)Luciano and Marco Pedicini

第5章「発掘のいま、むかし」

本展のラストを飾る第5章ではポンペイ同様に噴火で埋没した、ポンペイ周辺の遺跡も含め、噴火から1700年を経た18世紀からの発掘の歴史を振り返る。エルコラーノ、ソンマ・ヴェスヴィアーナから出土した美しい彫像や、ポンペイにある「キケロ荘」の壁画を再現。現在も行われている発掘作業や、作品修復の様子を映像で観ることもできる。

展覧会情報

『ポンペイ展』
会期:2022年4月21日(木)~7月3日(日)
休館日:月曜日(5月2日は開館)
開館時間:10:00〜18:00(入場は17:30まで)
会場:京都市京セラ美術館 〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町124
観覧料(税込):一般 2,000(1,800)円/大・高校生 1,200(1,000)円/小・中学生 800(600)円
※()内は前売
※事前予約制(日時指定券推奨)
※障害者手帳等を提示で本人及び介護者1名無料
問い合わせ:京都市京セラ美術館 TEL:075-771-4334
主催:ナポリ国立考古学博物館、朝日新聞社、NHK京都放送局、NHKエンタープライズ近畿、京都市
特別協賛:住友金属鉱山
協賛:凸版印刷、竹中工務店
後援:イタリア大使館
公式サイト:https://pompeii2022.jp/

イベント情報

特別展『ポンペイ』
会 場:東京国立博物館(東京・上野公園)
会 期:2022年1月14日(金)~4月3日(日)※会期等は変更になる場合があります。
開館時間:9時30分~17時
休 館 日:月曜日、 3月22日(火)※ただし3月21日(月・祝)、 3月28日(月)は開館
入 場 料:一般2,100円 大学生1,300円 高校生900円(いずれも税込)
※中学生以下、 障がい者とその介護者一名は無料
※事前予約(日時指定)を推奨
主 催:東京国立博物館、 ナポリ国立考古学博物館、 朝日新聞社、 NHK、 NHKプロモーション
特別協賛:住友金属鉱山
協 賛:大和ハウス工業、 凸版印刷、 竹中工務店
後 援:イタリア大使館
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
公式サイト: https://pompeii2022.jp/
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