戸塚祥太(A.B.C-Z)主演舞台『フォーティンブラス』再演が決定 内 博貴&演出・中屋敷法仁も続投
2022年6月、中屋敷法仁演出、戸塚祥太(A.B.C-Z)主演舞台『フォーティンブラス』が自由劇場にて上演されることが決定した。昨夏、Bunkamura シアターコクーンにて上演され好評を博した本作。1年ぶりに会場を移して再演となる。今回は東京に加えて、大阪(梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ)、愛知(穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール)での公演も決定している。
“フォーティンブラス”とは、長い『ハムレット』の物語の中で2回だけ登場する“脇役”。この『フォーティンブラス』は、それを演じる脇役俳優にスポットライトを当て、演じる俳優視点で横内謙介が1990年に書き下ろした作品だ。劇団善人会議(現、扉座)で初演された後、多くの俳優たちによって幾度となく演じ継がれ、世界中に数あるシェイクスピア書き換え戯曲の中でも、群を抜いて注目を集めてきた日本の名作と言われている。どんな人間でも、人は生きていく上で、時には主役になることはあっても、ほとんどの場面は脇役を演じ続けざるを得ない。ましてや俳優は、ほとんど主役になれることなどは無く、ただ主役を夢見ながら生き続けているしかない。その悲哀を、フォーティンブラスを演じる脇役俳優の楽屋や劇場で生き生きと生活する人々の感情を通して描いた傑作戯曲だ。
今回の再演では、戸塚祥太が脇役中の脇役、フォーティンブラスを演じる若手俳優役に、内博貴がハムレット演じる傍若無人な憎らしいスター俳優役に再び扮する。演出も中屋敷法仁が続投、ほか能條愛未、矢島舞美をはじめとするメインキャストも再結集した。ほかメインキャストも前回を踏襲して再結集した。上演決定にあたり、演出の中屋敷法仁、戸塚祥太、内 博貴よりコメントが届いたので紹介する。
演出:中屋敷法仁
興奮しています。戸塚祥太さん、内博貴さんのスリリングな競演が、再び劇場で見られるだなんて。
「フォーティンブラス」という作品は、俳優という存在の本性が暴かれていく、ある種のミステリーです。それでいて、演劇への純粋な愛がぎっしりと詰まったファンタジーでもあります。夢と現実、希望と絶望の狭間で揺れ動く俳優たちの生々しい姿は、衝撃的な観劇体験となることでしょう。単なる再上演に止まらない新たなカラクリをご用意し、皆様のご来場をお待ちしております。どうぞお楽しみに!
戸塚祥太
『フォーティンブラス』に再び熱狂します!
舞台の上で売れない役者を演じるという不思議な体験をした2021年の夏。
念願だった内博貴との共演、中屋敷さんの演出のもとで素敵な役者さん達と作り上げたお芝居は間違いなく人生のベストメモリーです。その最高の瞬間を上書きするお芝居をみんなで作りあげて、劇場でしか味わえない体験をお届けします!楽しみにしていてください。
内 博貴
早くも『フォーティンブラス』の再演が決まりました。有難いことです。またしっかりと嫌われ者を演じたいと思います。笑。
皆さん劇場でお待ちしております。
ストーリー
お馴染みの名作『ハムレット』が華やかに上演されている、とある古ぼけた劇場。その楽屋で、売れない役者・羽沢武年が、上演中だというのにヒマしている。彼の役は、ノルウェーの若き王子、フォーティンブラス。
役名は勇ましいが、最初の出番は、芝居が始まって約2時間15分後。それもただ舞台を通り過ぎるだけ。二番目の出番は全ての物語が決着を見た後。のこのこ登場し、最後のまとめをするだけの、いわば「刺身のツマ」。
その上ハムレット役の大スターは、横暴で、陰険で、勝手に芝居を変えるわ、若い女優に手を出そうとするわとタチの悪いことこの上ない。武年ばかりでなく、オズリック役で恵子の恋人である岸川和馬やオフィーリアに抜擢されたバラエティタレント刈谷ひろみさえも、そんな大スターに嫌気が差し、楽屋には一触即発の不穏な 空気が流れている。
そんなある夜、芝居のはねた劇場に、突然不気味な亡霊が姿を現す。亡霊は、自らを「フォーティンブラスの父」だと名乗り、そして武年に向かって言った。
“我が息子フォーティンブラスよ。さあ、今こそその汚れ亡き高潔な血を熱くたぎらせ剣を抜け。
そしてその剣に、ハムレットへの復讐を誓うのだ!!”
その言葉にとまどいながらも武年は、亡霊にハムレットへの、そして大スターへの復讐を誓うのだった。
しかし劇場付きの老女優、松村玉代は、亡霊の姿を見て驚いた。この男は、「フォーティンブラスの父」なんかじゃない。昔、玉代が一緒に芝居をしていた俳優の岸川和春……すなわち、オズリック役の岸川和馬の死んだ父親の亡霊だ……しかし何故今頃、和馬の父が亡霊となって、思い出の詰まったこの劇場に……??
果たして武年の復讐の行方は?
そして亡霊が寄せる、この舞台に対する想いとは