インパクトある変人役に挑む片岡愛之助が舞台『奇人たちの晩餐会』の魅力を語る
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片岡愛之助
ドラマや映画などでも活躍している歌舞伎俳優・片岡愛之助が、舞台『奇人たちの晩餐会』に出演する。フランス喜劇を代表する脚本家フランシス・ヴェベールが1998年に発表し、ヴェベール自ら監督・脚本を手掛けた映画も大ヒットした傑作シチュエーションコメディだ。物語の舞台は、パリの高級マンションの一室。部屋主のピエールは、一風変わったゲストをディナーに同伴し、誰が連れてきたゲストが最も変人かを競う「奇人たちの晩餐会」を仲間と毎週開いている編集者だ。その日もピエールは、友人に紹介された変人フランソワと自宅で待ち合わせて会に向かう予定だったが、ギックリ腰になって出席を諦めることに。そこへ何も知らないフランソワが現れ、ピエールの力になろうとするのだが……。フランソワを演じる愛之助に、意気込みなどを聞いた。
ーー日本でも20年ほど前に『おばかさんの夕食会』というタイトルで上演されたことがある本作品。出演オファーを聞いた時、どう思われましたか?
嬉しかったです。正川プロデューサーとは前々から「何か面白いものをやろう」と話していたので、それがやっと形になる喜びもありましたし、なにせ戯曲が面白いんです。役者が演じることで、台本を読んだだけではわからなかった面白さが伝わるコメディも多い中、この『奇人たちの晩餐会』は読んでいる時から面白くて、これをやらせていただけるのかと、ゾクゾクしました。舞台『五瓣の椿』以来17年ぶりにご一緒する演出家の山田和也さんや、共演の皆さんとも早くお会いしたいです。坂田(聡)さんとは共演経験がありますが、戸次(重幸)さんはドラマ『半沢直樹』でワンシーンご一緒したのみでしたし、ほとんどの方が“はじめまして”なんです。そういえば、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』でご一緒した大泉洋さんが「戸次がお世話になります」という連絡を下さったんです(笑)。TEAM NACSさんの絆の強さを感じました。
ーー愛之助さんが演じるフランソワは、税務署に勤める男。膨大な数のマッチ棒で建造物の模型を作るのが趣味で、趣味の話になると止まらない変人という設定です。現時点で、どんな印象をお持ちですか?
気を遣えない人ですね。ピエールにしてみれば、大きなお節介だから早く帰って欲しいのに、腰を治してあげようと必死になったり、自分の体験談をしゃべり続けたりして。そうやって、よかれと思ってしたことが、全部裏目に出るんだけれども、本人にはまったく悪気がないんです(笑)。私は不器用ですし、何かを集めたり、作ったりする根気もないので、実は戸次さんのほうがフランソワっぽいのかなとも感じましたね。戸次さんはDIYをなさるし、モデルガンを集めたり、多趣味でいらっしゃるから。でも、自分に無いものを持った役柄を演じるのって、楽しいんですよ。自分の中にはない扉を開けて、非現実的な世界を生きられるというか。そういう意味でも、フランソワを演じることが楽しみです。
ーー対するピエールは、毎週水曜日の「奇人たちの晩餐会」に、趣旨を知らないゲストを連れて行っては楽しんでいる人物です。悪趣味だなと感じますし、そもそも、そんなに毎週、新たな奇人変人が見つかるのかな? と思います。
ピエールは悪趣味だし、失礼な人ですよね。だから恋人も出て行ってしまうし、笑いのセンスもちょっと独特なものになっていると思います。変わった人というのは、結構いるんじゃないですかね。いろいろな番組なんかを見ていても、毎回、壮絶な過去を持った人やユニークな生き方をしている方がいらっしゃって、心を動かされたりしますよね。世の中には色々な方がいて、それぞれの人生を送っているんだなと思うと、ちょっと変わった趣味があって、それについて聞かれたら熱く語り出すフランソワのような人も、意外と多い気がするんです。
ーーなるほど。「なくて七癖」と言いますしね。愛之助さんご自身は、熱く語ってしまうほど好きなものをお持ちですか?
私はUFOですかね。昔から大好きで、テレビでそういう特番がある時は必ず見ますし、この間、長年愛読している雑誌「ムー」の三上(丈晴)編集長に取材でお会いする機会があって、感激しました(笑)。そういう意味では、フランソワにシンパシーを感じるところはありますね。ただ私の場合は、相手がよほど興味を示さない限り、熱く語ることはないです。だいたいみんな「ふーん」とか「えっ、UFO!?」という反応で、肩透かしを食らうことが多いですから(笑)。
ーーそうでしたか。最近何か気に入っていることがあったら、教えてください。
ツーリングかな。コロナ禍の間に大型バイクの免許を取って、バイクを買ったんです。大きくて車の脇をすり抜けたりできないので、夏場に渋滞にハマったら大変な思いをするんですが(笑)、楽しいですよ。安全運転で、時間に余裕を持ってゆっくり走るのが、事故をしない秘訣です。北海道とか行ってみたいですね。
ーー素敵ですね。愛之助さんが、歌舞伎以外のお芝居をなさる時に心がけていることは何でしょう?
これといったことは特にないです。昔は歌舞伎とそれ以外の舞台や映像作品の演技は、全然違うものだと思っていたんですが、やればやるほど、役を構築していく上では同じなのかなと感じるようになりました。今は、表現としての出し方がちょっと違うだけで、歌舞伎の人物を作りあげていく時も、今回のフランソワのような役を作る時も、同じような感覚で臨んでいます。
ーーでは、ご自身にとってのコメディの魅力は?
コメディは、観るのも演じるのも好きです。笑ったり、笑わせたりすると幸せな気持ちになりますからね。コロナ禍になって、こういうエンタメ業界は「不要不急」だと真っ先に言われましたけど、「病は気から」と言うじゃないですか。世界情勢や命の尊さを考えると、どうしても眉間にシワが寄ってしまいがちな今だからこそ、エンタメや笑いは大事だと思っています。大いに笑って元気を取り戻して、「よし。また明日から頑張ろう」と思っていただけたら幸いです。
ーー最後に、改めて『奇人たちの晩餐会』への意気込みをお願いします。
百戦錬磨の方ばかりという安心感がありながら、戸次さんがいらしたり、宝塚出身の水夏希さんがいらしたりと、色々なジャンルの俳優さんがいらっしゃって、どんな化学反応が起きるか想像がつきません。フランソワという単色の人物が、ほかの登場人物と混じり合った時にどんな色になるのか、楽しみでワクワクしています。シチュエーションコメディなので、お客様に「わかる、わかる」「そういうこと、あるよね」と感じていただけるところがたくさんあると思います。コロナ禍で先が見えにくい世の中だからこそ、お客様との「一期一会」のありがたさをより感じながら、楽しい舞台をお届けしたいと思います!
取材・構成・文=岡崎 香
公演情報
【作】フランシス・ヴェベール
【翻訳】岩切正一郎
【演出】山田和也
【出演】片岡愛之助 戸次重幸 水夏希 原田優一 野口かおる 坂田聡 大森博史
<東京公演>
日程:2022年6月7日(火)~19日(日)
会場:世田谷パブリックシアター
一般発売:4月23日(土)10:00
公演主催:インプレッション、ぴあ
お問い合わせ:ぴあ/TEL:0570-02-9111(オペレータ:10:00~18:00)
<大阪公演>
日程:2022年6月25日(土)~27日(月)
会場:森ノ宮ピロティホール
一般発売:5月22日(日)10:00
公演主催:サンライズプロモーション大阪
お問い合わせ:キョードーインフォメーション/TEL:0570-200-888(11:00~16:00*日祝休業)
<長野公演>
日程:2022年6月29日(水)
会場:まつもと市民芸術館主ホール
一般発売:5月8日(日)10:00
公演主催:サンライズプロモーション北陸
お問い合わせ:サンライズプロモーション北陸/TEL:025-246-3439
<愛知公演>
日程:2022年7月2日(土)~3日(日)
会場:東海市芸術劇場大ホール
一般発売:5月7日(土)10:00
公演主催:メ~テレ、メ~テレ事業
お問い合わせ:メ~テレ事業/052-331-9966(祝日を除く月-金10:00~18:00)
<福岡公演>
日程:2022年7月9日(土)-10日(日)
会場:博多座
一般発売:5月14日(土)10:00
公演主催:博多座
お問い合わせ:博多座電話予約センター/TEL:092-263-5555
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