イル・ディーヴォ、4年ぶりの来日公演スタート 故カルロス・マリンを追悼 海外アーティストによるコロナ禍後初の日本縦断ツアー
『イル・ディーヴォ』ジャパン・ツアー2022より
イル・ディーヴォの4年ぶり7回目の来日公演が、2022年3月22日(火)札幌・札幌文化芸術劇場hitaruを皮切りにスタートした。まん延防止等重点措置が全面解除されたこの日、海外アーティストによるコロナ禍後初の日本縦断ツアーがついに解禁された。
今回のツアーは、当初最新アルバム『フォー・ワンス・イン・マイ・ライフ』を携え、全国7カ所12公演を予定されていたが、昨年12月19日、UKツアー中に体調を崩したグループのリーダー、カルロス・マリンが急逝するという悲劇が彼らを襲った。デビュー以来17年にわたり、一緒に活動してきた大切なメンバーを失ったデイヴィッド・ミラー、セバスチャン・イザンバール、ウルス・ブーラーの3人は、悲しみに暮れながらも、一時はツアーのキャンセルも考えたが、カルロスもきっとグループの存続を願うことを信じ、ワールド・ツアーの続行を決意。そしてついに3月22日から札幌公演を皮切りに待望の来日ツアーをスタートさせた。
当初3月24日(木)に仙台でもコンサートを予定していたが、3月16日に発生した福島県沖を震源とする地震の影響で公演中止、結果として6都市11公演・約3万6千人動員予定のツアーとなった。また、ステージの内容も新譜中心ではなく、カルロスの業績を讃えるトリビュート・コンサートにしてグレイテスト・ヒッツ的な内容となった。
『イル・ディーヴォ』ジャパン・ツアー2022より
華やかでスタイリッシュな黒のスーツで登場した3人のメンバーは、オーケストラをバックにドラマティックでゴージャスな歌声と絶妙のハーモニーを披露、その後ゲスト・シンガーのスティーヴン・ラブリエが参加、新しいハーモニーを生み出した。
中盤では、3年ぶり待望の最新アルバムからのダンサブルなモータウン・ナンバーも演奏、観客もスタンディングで演奏を楽しんだ。そして、「(カルロスが)いなくなった悲しみはもちろんありますが、それ以上に彼が生きた人生を歌を通して表現していきたい」と語ったデイヴィッド。それ以外にも初めて明かされるカルロスのエピソードなども織り交ぜ、過去の名曲の数々も含む全20曲をたっぷりと歌い上げ、会場に詰めかけた1,800名のファンを虜にした。
コンサートのアンコールでは、日本の名曲「故郷(ふるさと)」を日本語で歌唱、東日本大震災から11年を迎えてなお復興途上である被災地の方々に思いを馳せた。デイヴィッドが、全編にわたり流暢な日本語のMCで語ると、セバスチャンも日本語を織り交ぜながら楽曲を紹介、カルロスの思い出と共にあっという間の時間が過ぎた。
そして、最後を締めくくったのは大ヒット曲「タイム・トゥ・セイ・グッバイ」。このイントロをメンバーが歌い始めると会場のボルテージも最高潮に達し、初日の幕を大成功のうちに閉じた。東京公演は、3月26日(土)・27日(日)と4月8日(金)・9日(土)東京国際フォーラムホールAで開催される。