PRODUCE 101 JAPAN元練習生9名による「円神-エンジン-」、初となる全国ツアーを完遂

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2022.4.2
  写真:渡邊玲奈(田中聖太郎写真事務所)

 写真:渡邊玲奈(田中聖太郎写真事務所)

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オーディション番組『PRODUCE 101 JAPAN』から選抜されたメンバーで構成される、9人組パフォーマンスユニット「円神」の、初となる全国ツアー『円神 FIRST LIVE TOUR ~nonaport~』のファイナル公演が、3月31日(木)、神奈川・横浜ランドマークホールにて開催された。

3月4日の愛知・ElectricLadyLandを皮切りに、今日まで全国5カ所(仙台公演は見合わせ)で実施されたツアー『円神 FIRST LIVE TOUR ~nonaport~』。タイトルは“円神の9人(=nona)が向かう港(=port)”という意味合いから「nonaport」と銘打たれ、港に集合したMU3E(ファンの呼称)と最高の一夜を分かち合った。

円神は、2020年6月に結成、その年末にファースト舞台『nonagon(ノナゴン)~始まりの音~』を開催。翌年2月にシングル「Say Your Name / ENJIN」でメジャーデビューを果たし、5月には新たな舞台『幕末バトルサークル』を実施。歌・ダンス・芝居とあらゆる方面からMU3Eを魅了してきた。今回はそのツアー最終公演のオフィシャルレポートをお届けする。

開演前に熊澤歩哉は、「ご乗船いただき、ありがとうございます。ご乗船のみなさまにお願いがあります」とコロナ禍の中でライブを楽しむための影ナレを担当。さらに、この日の開場中のBGMが、中本大賀のセレクトであることを明かした。「本番前に行うルーティーンのプレイリストって言ってたよ!」と、プレイリストの紹介を挟み、「もうすぐ着くよ!」と呼びかけると、港に到着したかのように海の映像がスクリーン一面に映り、緊張感漂うライブが、スタートする。波、そして船の汽笛の音が場内に鳴り響き、大きく伝播していくハンドクラップがSEのビートと重なる。そこへ、“Have a Nice Day!”という声を合図に、スクリーンは各地を廻ったツアーのイラスト映像とA.rik、草地稜之、熊澤歩哉、瀧澤翼、中谷日向、中林登生、中本大賀、宮里ソル、山田恭の9名ひとり一人の姿を映し出した。

いよいよ出港したステージ冒頭は、さわやかなアッパーチューンを全開に、初舞台『nonagon ~始まりの音~』のテーマ曲でありメジャーデビュー曲の「ENJIN」からはじまる。初心に返るような気持ちにさせてくれる躍動感あるこの曲に、まだ見ぬ未来を照らしながら<円神と君とどこまでも>というフレーズで場内を彩る。エッヂの効いたイントロに海が赤く染まっていくようなライトが場内を照らした「Perfect Step」。「その調子で最後まで行きましょう!」と中谷日向が声を上げ、オーディエンスを煽った和テイストなイントロからスリリングな重低音のビートが鳴り響く中、「KOTONOHA」で攻めのステージ、息のあったダンスパフォーマンスを魅せた。続いて、ポップでキュートな「Dressing is a way of life」では、円神らしくメンバーの個性を活かしたロマンチックな音楽で夜空を描くように景色を広げると、<夢叶えよう>とA.rikがラストまで同曲の余韻を響かせた。

ファッションがテーマとなっている同曲は、ブランドのディレクターを務めファッションにも才能を発揮するA.rikならではの魅力が垣間見れるナンバー。さらに、メンバーのコーラスも美しく重なる。続いて、熊澤歩哉と草地稜之が背中合わせでステージに登場し、披露されたのは日替わり曲「OBENTO~お弁当の歌~」。ピースサインをしたり、腕を組んだり、終始笑顔で会場の一体感を一気に高めると、はにかみながらご馳走様のポーズをとって締めくくった。個々のキャラが立ち、一丸となってさらにグレードアップしたステージは、ハートの振りつけが愛らしい「スマイル」でテンションのギアをあげていく。

中盤に差し掛かると、3rdシングル「Far away」の衣装にチェンジして登場した中林登生が、「今回はじめてライブに来た人!」と客席に呼びかけた。さらに「円神、1stツアー in YOKOHAMA!」と声をあげると、9人揃って「円神です」と自己紹介パートに移る。ステージ左から「(メンバーカラー)ピンク担当、プリンスこと、草地稜之です」と盛り上げると、流れるように赤担当、宮里ソルがラップから美声を響かせ挨拶。最年少リーダーの水色担当瀧澤翼は、見事なボイスパーカッションを披露し、圧倒した。青担当の山田恭は、オーディエンスとツアーで培った息がぴったりの演出を披露、オレンジ担当の熊澤歩哉はさすがの声優経験者、「横浜、盛り上がって行クマー!」と元気よく呼びかけた後、声色を低く変え「よろしくお願いします」と驚かせた。

黄緑担当A.rikは「パン! パン! パン!お絵描きピーターパン!」と勢い良く挨拶するも自ら名前を紹介しそびれるお決まりのパターンで笑顔を溢す。「日本一のオールラウンダーを目指す」と意気込んだ黄色担当の中本大賀、さらに紫担当の美容オタク中谷日向、「名前はとうい、けどあなたとの距離は近い」と緑担当の中林登生が挨拶を終えると、草地は「ステージでオープニング映像を見てみんなで全国を廻ったことが感慨深い。はじめてプリンセスに会えてうれしかった」とライブへ足を運んだMU3Eたちに笑顔で手を振り、横浜グルメの肉まんを堪能したことも明かした。中本が「『Far away』のMVもチェックしてね」と曲紹介し、3rdシングル「Far away」のフォーメーション位置へスタンバイすると、ステージ後方からのスポットライトにメンバーが照らされ、雰囲気が音を立て変わるようだった。

楽曲にあわせた切なさを、滑らかなダンスと歌声で表現。この「Far away」は何度も経験する出会いと別れに折り合いをつけながらも次へと進むために“記憶”を本に閉まって一歩踏み出すストーリーに仕上がっているが、その世界が開けていくような見事な気持ちのグラデーションまでも、繊細に表現されていた。そしてステージ上のスポットライトに照らされたソルのラップパートからはじまる「Say Your Name」。感情を奮い立たせるかのようにエモーショナルに歌い上げると、時計の秒針が刻まれるような振り付けや低音まで意識された洗礼されたバックコーラスまで、繊細な楽曲のカラーがしっかりと伝わった。等身大の円神らしさが反映され、さらに楽曲が胸に刻まれる。次に、今まで好きになったことのないタイプの女性を好きになってしまい、自分の気持ちに戸惑いながらも、気付いたら逆バレンタインしてしまっていたという若い男性目線の歌詞が印象的な「Addicted」では、これまで見せてこなかった円神を、スリリングな音楽にあわせて披露。

甘いムードを漂わせMU3Eの心を掴んだ。波のうねりを感じさせるダンスが印象的な「Peace Summer」では、明るい夏をエネルギッシュに表現。ギアをさらに引き上げるべく、草地はMU3Eを煽るような目線で挑発し、最後は全員ピースサインで締めくくった。中林が「もっと大きなステージへ連れて行く。みんな着いて来る準備は良いかー?」と一体感を増しながら「TREASURE」へ突入すると、メンバーはタオルを持ち、大きくぐるんぐるんと振り回す。ツアー最大規模の会場となる横浜の地で、宝物になると確信得るステージを見せた円神の勢いは止まらず、熱量を上げて限界のリミットを振り切っていく様は爽快であった。

トークパートでは、A.rikと中谷が作詞に初挑戦した「Shining Your Life」の歌詞について思いを打ち明けた。A.rikは、「<悲しみ隠すYour eyes>ってあるんですけど、辛い時があるじゃないですか」と話しはじめ、過去の悲しい経験を涙ぐみながら振り返る。さらに、「気持ちを誤魔化して、無理して明るく振る舞うことある? そういう時に『Shining Your Life』に当時の僕が出会えてたらって思った。僕自身が元気付けられる曲」と紹介。「明るく振る舞って、悲しい時も僕らはみんなの側についてるよ。みんなで思いを寄せて心が通うじあえる曲にできたら」とこれからもメンバーとファン、スタッフの3つ円によって成長していくであろう「Shining Your Life」について真剣に語った。A.rikの一直線なMCの後、中谷も同曲について「無理に頑張らなくて良くて、ひとり一人違う良さがあって自分なりの精一杯をやってけたら」と話し、マイペースに、焦りすぎないで、みんなの周りには円神とMU3Eがいる、助け合いながらいけたら」と、9人が気持ちをひとつにし寄り添った。「Shining Your Life」は最強の応援ソング。A.rikがラップパートで大きくジャンプを魅せたりと、それぞれが高めあうステージが円神の求心力を増大させているが、「We Go」では、大きく逞しくツアーファイナルという終着地に舵を切り、輝やかしい景色で観る者を励ますようなステージを展開した。

アンコールでは、ラフな白いTシャツ姿で再登場したメンバーがGReeeeNの「扉」をカバー。熊澤がTシャツにつけた缶バッチや首に巻いたタオル、スマホリングなどのグッズを一通り紹介。また、YouTubeで楽曲「Shining Your Life」のダンスパフォーマンス動画を公開すること、さらにアニバーサリー・ワンマンライブ『円神 Anniversary LIVE ~Second CIRCLE~』を結成2周年記念日である6月15日に東京・Spotify O-EASTで開催することを発表。また、募集していた円神スタッフの呼称が、nonagonとstaffを掛け合わせた造語“nonaff”に決定したことも伝えた。

瀧澤から「もっと大きな会場に行けるように切磋琢磨していきましょう。誰も欠けることなく走り続けられたことを嬉しく思います。仙台は見合わせになったけど、みんなが万全の状態でできる時までよろしくお願いします」と最後に挨拶、「他のグループを超えたいって気持ちが僕たちの奥底に芽生えて、どれだけ辛い状況でも戦うことを諦めたくない」と涙ながらに意気込みを語った。最後は「ワンタイムショータイムパーティー☆」で全員が笑顔でジャンプし、約1時間半のステージに幕を閉じた。たくさんの円が重なりあって、より強い円に成長する円神のステージは、ツアーファイナルを迎えてもなお、内に秘めたエネルギーを感じさせた。まもなく2周年を迎える円神が見せる奇跡を、その目に焼き付けてほしい。


取材・文:後藤千尋

ライブ情報

「円神 Anniversary LIVE ~Second CIRCLE~」
公演日 : 2022年6月15日(水)
会場 : 東京 Spotify O –EAST
開場/開演 : 18:00/19:00
: 全席自由 (整理No.付) \4,500(税込)
FC先行受付 : https://enjin-official.jp/news/227
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