SPICE注目のOSKスター4名、最終回目前の連載企画に登場ーー『OSK Star Keisho』【特別編】でトップ楊琳と質問バトンも繋ぐ
次に登場するのは男役スターの朔矢しゅう。大阪松竹座、新橋演舞場で開催された『OSK日本歌劇団創立100周年記念公演「レビュー春のおどり」』の第一部「光」では、歌舞伎に出てくる宙返り「とんぼ」を見せるなど、身体能力の高さでも会場を沸かせ、惹きつけた。
朔矢しゅう、常に意識している「やるしかない」
朔矢しゅう
――まず、OSK100周年の歴史をどのように受け止めていらっしゃいますか?
まさか自分がOSK100周年の舞台に立てると思っていませんでした。今回の『春のおどり』でも、毎回、新しいことに挑戦させてもらい、日舞では歌舞伎舞踊の所作や、洋舞でも荻田浩一先生の新しい作品にたくさん出させてもらい、毎回、新鮮な気持ちにさせてもらいました。毎年、受け継がれている「ジャストダンス」はまだ2回目ですが、伝統といいますか、形や雰囲気など受け継がれているものを教えていただくことがありました。上級生に教えていただいたことを下級生に教えていかなければいけないと思い、OSKの歴史の深さを場面で感じました。
――では、男役トップスターの楊さんの印象を教えてください。
オン、オフのない方だなと思います。お稽古場でも、舞台上でも楊さんは常に明るくて、陽の雰囲気が漂っていて。人間なので落ち込んだり、感情の起伏が出ることもあると思うのですが、そんな楊さんの姿を私は見たことがありません。お稽古ときも、みんなの気持ちがどうやったら上がるかということを大切にしてくださっています。「上級生の方の波に乗って」とよくアドバイスをくださるのですが、「春のおどり」では乗ろうとせずともみんなが楊さんのオーラに包まれている感じがします。舞台でも出そうとしなくても普段から陽の雰囲気が出ているように思います。
「光」
――100周年の『レビュー 春のおどり』の第一部「光」では、歌舞伎の動作であるとんぼを披露されましたが、YouTubeで研究されたそうですね。
お稽古が始まる前にとんぼをきる(前宙返りをする)場面があると伺い、できたらかっこいいんだろうなと思いました。技を先生に見ていただく時間もあると聞いたので、きっとみんなも練習してくると思い、また、できた方が場面も盛り上がるかなと思って挑戦してみたのですが、難しかったですね。
――マットを敷いて練習して?
お稽古場ではマットを用意してくださって、そこで練習させていただきました。家ではお布団を何枚も敷いて。ドンドンと音がするので母にも「何してるの」と言われました(笑)。
――では、上級生の方からいただいた印象的なお言葉はありますか?
「やるしかないね」と愛瀬光(まなせひかる)さんから言っていただき、そのお言葉を常に、どの公演でも自分の中で持っています。詰まってしまうことや、考えてしまうことなどいろいろありますが、本番はいつか来てしまうものなので、「やるしかない」を常に持って挑んでいます。
――愛瀬さんからはいつごろ、いただいたのでしょうか?
2年目のとき、愛瀬さん主演の「レビューカフェ」に出させていただいたときに、「本番はいつか来てしまうから、今がどうであれ、やるしかない」と。「今できなくても、いつかできるから大丈夫」と言ってくださいました。
――この8年、ご自身が成長できたなと思えたような、印象的な出来事はありますか?
常に、どの公演でも自分の中に壁はできるのですが、3年目にまた愛瀬さんの「レビューカフェ」に出させていただいたとき、思うようにできなくて、すごく苦しくて、私の中で一番大変な思いをしました。でも、そのときに愛瀬さんがたくさんご指導してくださって、当時は理解できないこともありましたが、「こういうことを言いたくて、愛瀬さんは言ってくださったんだ」と、今になって気づくことが多くありました。年数を経て、わかってきたといいますか。ただ、そのときはそのときで、訳もわからず頑張っていたので、「今、自分がいるのは、その公演があったからかな」と思います。
楊琳(右)と朔矢しゅう (c)松竹
●楊と朔矢の質問バトン●
――楊さんからご質問いただいております。「今後、どういう男役を目指したいですか」とのことです。
そうですね、OSKは、自分の中の男役は「漢」という漢字のイメージです。上級生の皆さんがそういう感じなので、自分もそうでありたいと思います。OSKらしい、土臭い感じの男役になれたらなと。また、踊りや歌など時代の流れを追いつつも、OSKがもともと持っているものをしっかりと身に着けて、頑張っていけたらなと思っております。
――最後に、楊さんにお聞きしたいことはありますか?
なぜそんなに、常に明るくできるのでしょうか? 普段も舞台に立っている姿そのままなのです。ただ、私が好きなアニメを楊さんも好きだったりして、そういうところを知ると楊さんも人間なんだなと思います(笑)。どこに行っても楊さんのワールドを持っていらっしゃるので、どうしたらそんなオーラを解き放てるんだろうかとお伺いしてみたいです。
楊琳より
そのまんまかなぁ(笑)。起伏は確かにないかもしれないですね、お稽古場……と言いますか「お仕事」しに来ている時、自分の機嫌は皆さんに関係無いので常に一定で在ろうと思っています。好きなアニメはね! 一緒なんだよね(笑)。発見した時とっても嬉しかった(笑)。好きなキャラクターは違うけどね(笑)。私も皆んなと同じ人間です!!(笑) オーラは……出てると良いな(笑)。
4ページ目には堂々たる佇まいで魅了する娘役スター、唯城ありすが登場。
唯城ありす
●『OSK Star Keisho』
2022年に創立100周年を迎えるOSK日本歌劇団(以下、OSK)。大きな節目を記念した、スター達に質問の「バトン」を用意してもらい、次のスターへと繋ぐリレー形式のインタビュー連載企画。