SPICE注目のOSKスター4名、最終回目前の連載企画に登場ーー『OSK Star Keisho』【特別編】でトップ楊琳と質問バトンも繋ぐ

インタビュー
舞台
2022.6.9

最後を締めくくるのは、娘役スターの唯城ありす。『OSK日本歌劇団創立100周年記念公演「レビュー春のおどり」』の第一部「光」で、翼和希演じる写楽の相手役として、白夜太夫を演じた唯城。その堂々たる佇まいも観客を魅了した。7月から始まる『レビュー in Kyoto』では、実花ももとダブルキャストで蜜虫役を勤めることでも話題を呼んでいる。

実花もも→こちら
壱弥ゆう→こちら
朔矢しゅう→こちら

唯城ありす「会話を意識した公演になった」

唯城ありす

唯城ありす

――まず、OSKの100年の歴史をどのように感じていらっしゃいますか?

上級生の方が1年1年、OSKを愛して、OSKの舞台を愛して紡いでくださったからこそある、今この瞬間だと思います。その記念すべき年に在籍できることに、責任感や重み、喜び、感謝の気持ちなどあふれているのですが、一番には今、在籍しているメンバーで、お客様、お世話になった皆様方に、感謝の気持ちをお伝えできたらいいなと思うこの1年です。

――『レビュー 春のおどり』の第一部「光」の「夢の巻」の場面では、白夜太夫を演じられましたね。大きな役を担う責任感など、心境はいかがでしたか?

初めに伺ったときには、不安と驚きが大きすぎて、自分にできるのだろうかという思いが頭を駆け巡りました。でも100周年の『春のおどり』でこのようなお役をさせていただけることに「やるしかない」という気持ちが沸々と湧いてきて、責任感半分、「やるしかない」という気持ち半分、あとは楽しみたいと思いながら、全力で勤めさせていただきました。

白夜太夫を演じる唯城ありす (c)松竹

白夜太夫を演じる唯城ありす (c)松竹

――唯城さんが壁にぶち当たったときや迷われたときに、上級生の方からいただいた言葉で印象に残っていることはありますか?

百夜太夫を演じる際、城月(きづき)れいさんに「お稽古中から本番まで見てください」とお願いしました。私は結構ひとりで悩むタイプなのですが、城月さんはいつも「会話をしなさい」とおっしゃっていました。なので、100周年の『春のおどり』は意識していろんな方と会話をしてみようと思った公演でした。実は「会話をする」という意味が最初はわかりませんでした。でも、近くにいらっしゃる方に「昨日どういうふうに過ごしたんですか?」とか、「今日はお天気いいですね」とか、ちょっと話しかけてみるだけでお話が広がって、少しずつ絆が深まっていくように思えて、普段の会話がこんなに大事なんだと気づかせていただきました。城月さんの「会話をしなさい」は、私の中でグサッと刺さった一言で、大事な言葉となっています。城月さんにも、たくさんたくさんお話をさせていただきました。

――唯城さんにもご自身のターニングポイントをお伺いしようと思っていたのですが、同じ時期になりますか。

そうですね、私は入団7年目なのですが、今年、白夜太夫を演じたことが大きなターニングポイントになったと思います。悩みながら、葛藤して、自分のコンプレックスや良くない部分にも対峙して、上級生の方や同期にもたくさん助けていただくという経験をさせていただいたのが白夜太夫という役です。自分ひとりでは作り上げられなかったと思います。

――「INFINITY」は、7月の京都の南座でも上演されます。大阪松竹座、新橋演舞場を経て、どのように見せていきたいと思いますか?

100周年ということで、ラテンや「虹色の彼方へ」、「ビバ!OSK」、「ジャストダンス」などOSKの代表的な場面を荻田先生が詰め込んでくださっていて、それだけでとても胸が熱くなります。ただお客様に熱い気持ちを伝えるのが一番だと思いますので、南座では新たに参加する下級生も一緒に引っ張っていけるような存在になっていきたいです。これからの100年も続いていけるように、また初めてご覧になるお客様にも「OSKとは」というものを伝えていきたいです。もちろん、今までOSKを見てくださった方にも「やっぱりOSKはいいね、「ジャストダンス」はいいね」と言っていただけるように、伝統を大切に、ブラッシュアップしたものをお届けしたいなと思っております。

――では、唯城さんにとって楊さんはどんな存在ですか?

100周年の『レビュー 春のおどり』の大阪松竹座での公演は、新型コロナウイルスの影響で3日間しか公演できませんでした。その千穐楽の日に、舞台の緞帳が降りた後、楊さんが天井を見上げて、おひとりで「よしっ」とガッツポーズをしていらっしゃいました。その姿を見たとき、計り知れない不安や葛藤、トップスターさんだからこその思いがあったんだろうなと感じました。普段、お稽古場や本番ではそんな姿をお見せになることはないので、OSKの一員として、少しでも楊さんを支えていけたらと思います。

楊琳(右)と唯城ありす (c)松竹

楊琳(右)と唯城ありす (c)松竹

●楊と唯城の質問バトン●

――そんな楊さんからご質問です。「自分にとって娘役とは何でしょうか」。

娘役とは……。娘役には限らないかもしれませんが、相手の方を思いやる心をすごく大切にしています。男役さんに限らず、今回でしたら実花ももさんと一緒に歌わせていただく場面があったのですが、実花さんはもちろん、一緒にお芝居をされる方、一緒に踊る、歌う方に少しでも「一緒にやってよかった」と思っていただける娘役になりたいと思っています。下級生にも「一緒の公演に出られて良かったです」と言ってもらえるようになりたいです。それが一番の目標で、そのためには城月さんが言ってくださった「会話をしなさい」につながってくると思います。

――最後に、楊さんにお聞きしたいことは何でしょうか。

今年1月、楊さんがお稽古場で窓を開けてお外を眺めていらっしゃったときがあったんですね。その時、とても綺麗な横顔で……(笑)。あの時、どういう思いでお外を眺めてたのかなとすごく気になったのと、先ほどの大阪松竹座の千穐楽でガッツポーズされたときも。楊さんがどんなお気持ちだったのかなと伺いたいです。

楊琳より

なんか凄い角度で質問が来たな(笑)。気持ちかぁ……まずお外を見ている時は、色んな時があるけどもだいたい「気持ちいい、良い天気だなぁー」と思ってます(笑)。ガッツポーズはね、「おわったー!!!」と思ってた(笑)。やはり松竹座公演は創立100周年記念公演の幕開けでしたし、コロナで日数が減ってしまったのもあり、いつにもまして千穐楽を迎えたことが素直に嬉しかったんです!

楊琳(中央)、実花もも(中央右)、壱弥ゆう(中央左)、朔矢しゅう(右)、唯城ありす (c)松竹

楊琳(中央)、実花もも(中央右)、壱弥ゆう(中央左)、朔矢しゅう(右)、唯城ありす (c)松竹

取材・文=Iwamoto.K 撮影=高村直希

『OSK Star Keisho』

『OSK Star Keisho』
2022年に創立100周年を迎えるOSK日本歌劇団(以下、OSK)。大きな節目を記念した、スター達に質問の「バトン」を用意してもらい、次のスターへと繋ぐリレー形式のインタビュー連載企画。
 
第1回:第1回は「唯一無二の男役」元トップスターの桐生麻耶が登場
第2回:楊琳、先輩の大貴誠や桐生麻耶からもらったお守りのような言葉とは
第3回:翼和希、「芸事は正解がないからこそ、誰かに認めてもらうと自信に繋がる」
第4回:舞美りらと千咲えみが見せた、互いへの尊敬「OSKは継ぎ足されてきた「秘伝のソース」みたいな劇団」
第5回:椿りょう、頼もしい団員達に囲まれ初の役柄獲得へ、OSKの強みは「何事にも屈しないこと」

公演情報

『OSK日本歌劇団創立100周年記念公演「レビュー in Kyoto」』
第一部「陰陽師 闇の貴公子☆安倍晴明」:原作 夢枕獏『陰陽師』シリーズ(文藝春秋刊)より
作・演出 北林佐和子
第二部「INFINITY」:作・演出 荻田浩一
【会場】
京都四條 南座
【日時】
7月9日(土)11:00/15:00
7月10日(日)11:00/15:00
7月11日(月)休演
7月12日(火)11:00
7月13日(水)11:00
7月14日(木)休演
7月15日(金)11:00
7月16日(土)11:00/貸切
7月17日(日)11:00/15:00
7月18日(月・祝)11:00/15:00
【出演者】
楊琳、舞美りら、千咲えみ、白藤麗華☆、虹架路万、愛瀬光、城月れい、華月奏☆、遥花ここ、実花もも、翼和希、穂香めぐみ、天輝レオ、登堂結斗、りつき杏都、壱弥ゆう、椿りょう、唯城ありす、京我りく、琴海沙羅、蘭ちさと、涼乃あゆ、せいら純翔、知颯かなで、水葉紗衣、翔馬かいと、舞音ことは、碧輝来、華蓮いろは、美丘さくら、南星杜有
(特別専科)桐生麻耶☆、朝香櫻子 
※初舞台生も出演いたします ☆は二部のみ
 
【観劇料(税込)】
一等席:8,500円/二等席:4,500円
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