創立50周年を迎えた山形交響楽団 “Soloistic”を掲げ、常任指揮者・阪哲朗と大阪公演に臨む
山形交響楽団(C)Kazuhiko Suzuki
2022年6月23日(木)ザ・シンフォニーホール(大阪)にて山形交響楽団が特別演奏会『さくらんぼコンサート2022』を開催する。
1972年、指揮者 村川千秋によって設立された山響。人口104万人の山形県(本拠地山形市は25万人)に育まれた山響は、設立以来延べ300万人の子供たちに音楽を届けてきた。50周年を迎えた今年2022-2023シーズンは、50周年記念定期シリーズとして、常任指揮者就任4年目を迎える阪哲朗が、“Soloistic”をテーマに編成している。阪はその編成意図について、「全ての演奏会に協奏曲的作品を組み込み、管弦楽曲でもハーモニーはもちろん、メンバーの磨かれたSoloisticな一面を高めていく演目を選びました。オペラもそうですね」と語っている。
阪哲朗(C)Kazuhiko Suzuki
今回の大阪公演は、正に“Soloistic”と題した第301回定期演奏会(6月18日(土)・19日(日)山形テルサホールにて開催)の演目を再演する。まずは、1943年、第2次大戦の最中に作曲されたバルトーク作曲「管弦楽のための協奏曲」。“現代のオーケストラスタンダード作品”と称される20世紀管弦楽曲最高傑作の一つだ。さらに、独特の美しいメロディーを描く山形在住の作曲家 木島由美子の委嘱作。第301回定期にて世界初演される作品だ。そして、ヴァイオリニスト神尾真由子を迎えた「スペイン交響曲」(全5楽章)。大阪から世界へと羽ばたいた神尾が、当時12歳だった1998年11月に関西フィル定期で演奏したのがこの「スペイン交響曲」だった。
Mayuko Kamio (c)Makoto Kamiya
2019年に山響常任指揮者に就任以来、毎年ザ・シンフォニーホールで公演を行っている阪(2020年はコロナ禍で中止)。ザ・シンフォニーホールについて、「ほんとに大好きなホール」と、想いを語る。「楽譜の縦の線を合わせるだけが正解じゃない。歌うこと、横に流すことで生まれる面白さや遊び心を大切にしたい」(阪)。
就任から3年、2021年11月定期演奏会のブラームスでは、“枠を意識しない音楽が流れだした!”と、確かな手応えを語っていた。
創立50周年と同時に大阪公演第10回の記念ともなる本公演(2020年が中止だったため)。毎回恒例、来場者全員に山形県東根産の“さくらんぼ”がプレゼントされるほか、山響公演の風物詩「山形物産展」もコロナの影響を考慮しながら、開催が予定されている。