曲目も公演数もパワーアップ! 二度目の『ピアノの森』ピアノコンサートに向け髙木竜馬にインタビュー「文字通り"熱い夏” を皆さんと」
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――ショパンの「プレリュード第24番」もですが、「プレリュード第13番」の選曲はさらに渋いですね。
「第13番」を選んだのは完全に個人的な好みです。24曲の中で一番好きなんですが、知名度は前奏曲の中では最も低い曲かもしれません。しかしこのプログラムの流れを考えた時に、入れてよかったなと感じています。
――と言うのは?
今回は「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」の後に休憩があるので、後半のプログラムは「プレリュード第13番」から始まります。やはり後半であっても、一曲目はお客様に心を鎮めて頂けるよう一呼吸おける曲をと考えました。その後に続く ”盛り上がる作品ラッシュ” に備えても、この「第13番」は意外と核になるのかなと自分自身でも感じています。
――ショパンの18番的な作品と渋めの作品とのバランスも絶妙ですね。
今回どの曲をやるかというのを(主催の)イープラスの皆様と会議をした際、昨年の内容に引き続いて、どの曲を残し、どのように新しい曲を加えてゆくかということでまず話し合いました。ラインナップのバランスを考えた時、全て新しい曲目とすることでいいプログラムが組めるか、というと「そういうことではないよね……」という意見でまとまり、まずは「英雄ポロネーズ」や「スケルツォ第2番」など、お客様が絶対に心待ちにして下さっているお馴染みの作品を軸に据えることで他の曲目を組み立てていきました。その上で「どこに頂点を持っていき、どこで一回クールダウンして、再び山を築いていくのか」ということを反映し、考え出したのがこのラインナップです。
――エキサイティングという意味では「髙木さんのリストをもう少し聴いてみたい」というのファンの思いはあるかもしれませんね。
今回は『ピアノの森』というコンセプトがありますので、どうしてもショパン作品がメインになってきますが、ショパンという作曲家は、いつどこで聴いても、誰もが素晴らしいと思う曲を数多く残していてくれているので、それらの作品をメインにプログラムを組めるのは、演奏家としてはとても意義深いものがあります。
――髙木さんご自身にとっても、ショパン作品を毎年ある一つの枠組みの中で弾き上げ、それを積み重ねていくということは、ライフワーク的な意味でも、あるいは勉強という意味でもプラスになるわけですよね。
はい、そう感じています。僕自身は一人の作曲家だけを演奏していきたいという思いや、「あのピアニストはこのジャンルが得意だよね」という印象は持たれたくないですし、今後もドイツ音楽やロシア音楽、またフランス音楽もバランスよく弾いていきたいと考えていますが、ショパンを続けて弾いていくということには大きな意義を見出しています。
そういう意味では、今回のツアーにおいて自分の中の課題として克服すべき点と感じていることが一つあります。先ほども申し上げたように、特に後半で盛り上がる作品が続くので「それらの作品たちをどのようなニュアンスで盛り上げていくのか」ということです。プロコフィエフやラフマニノフを演奏する際のようにパワーを駆使して盛り上げてゆくだけではなく、音色、響き、表情などを多彩に変化させていくことで一つの山を築いていけたらと思っています。
――モチベーションはつねにより高く設定してということですね。
それをある一定の期間で集中して19回続けていけるというのは、僕自身、すごく勉強になりますし、単に「19回演奏会があるツアーを完走した!」という達成感だけではなく、19回を通して何を学べるのかということをしっかりと考えていきたいと思っています。演奏家としてはまだまだ若輩者ですから、つねに学び成長していく必要があると深く感じています。
>(NEXT)友人たちの活躍に「久々にメラメラしている(笑)」