曲目も公演数もパワーアップ! 二度目の『ピアノの森』ピアノコンサートに向け髙木竜馬にインタビュー「文字通り"熱い夏” を皆さんと」
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――昨年はショパン・コンクールでリアル『ピアノの森』が繰り広げられたわけですが、髙木さんはそれをどのようにご覧になり、どのように感じ取っていましたか。
一つには友人がたくさん出ていたということがあり、今までのコンクールとは少し違う目線で見て応援していました。昨年のショパン・コンクールを語る上では反田恭平さんの活躍には触れずにはいられないと思います。彼自身も戦略的にかなり考え抜いた結果だと思うのですが、何が素晴らしいかというと、彼自身、演奏家として普段コンサートで弾くようにコンクールのステージを楽しんで演奏し、それが評価された稀有なケースなんじゃないかなと感じています。
それは日本人にとって大きな一歩だと思います。コンクールに向けてスタイルを固めていくというものではなく、それまで演奏会で培ってきた一つの自分のスタイルをコンクールのステージで提示するという新たな次元に踏み込むことができたんじゃないかなと感じました。
――共感が持てましたか。
共感なんておこがましくて……。あの場で自分自身を余すところなく提示して、世界中の観客を熱狂させたという反田さんの偉業には尊敬の念しかないですね。自分ももっと誠実にピアノに向かって、頑張らなきゃと思うような、そういう仲間たちが近くにいてくれるということは本当にモチベーションになり、本当に幸せなことだと思っています。
――昨年のツアー以来、世界的な情勢も大きく変化しました。コロナは今なおですが、局地的な戦争が起き、混沌とした世界情勢の中で演奏家としてはどのような思いを抱いていますか。
私個人としては、演奏家という存在自体、決して作曲家の上に来るべきではなく、やはり作曲家という存在がいて、その作品があるからこそ演奏ができるのだと感じています。演奏を通してその作品が伝えるべきメッセージを伝えることが演奏家の大きな使命なのだと常に考えています。
ただ、そのようなことを考えた時、特にショパンの作品を取り上げてみると、ショパンが生きた時代は、彼の祖国であるポーランドがロシアによって侵略をされ、ショパンもポーランドの人々も戦禍にまみれた人生を送ったわけですし、実際にショパン自身が精神的に追い込まれた中で書かれたものも多数あります。
そういうものを演奏するときは、僕自身の解釈においては、戦争という実像を避けて考えることはできないですし、もし、ショパン自身のイメージの中にその生々しさや残酷さが投影されているのであれば、そのリアルさにフォーカスを充てて演奏することも時には重要だと思っています。それが、たとえ汚い音であったり、プロコフィエフ作品のように不協和のようなかたちになったとしてもそうあるべきだと考えています。
今回のプログラムには、そのような作品は特にありませんが、しいて言うならば「英雄ポロネーズ」はポーランドという国を導いた英雄の物語が投影されたものという解釈もありますので、この作品のイメージにある洗練や高貴さだけではなく、土臭い生々しさも表現してだしていいのかな……と思ったりもしています。そのようなことを考えつつ、平和を願い、少しでも情勢が良い方向に向かっていけるようメッセージを伝えていけたらいいなと思っています。
――初日の浜離宮朝日ホールでの公演、高崎公演はすでに完売のようですよ。
それは嬉しいですね。確かに僕自身、同級生にはもうお子さんがいるので、普段のコンサートだとなかなか声をかけにくいのですが、このコンサートのプログラムですと、家族皆さんでお越し頂けるので、それは本当に嬉しく思っています。価格もお求めやすいものになっていますので、気軽にお越し頂けたらと思っています。
――最後に髙木さん自身のファン、そして『ピアノの森』ファンの皆さんと両方いらっしゃると思いますが、メッセージをお願いします。
昨年のツアーも自分の演奏家人生の中で最も充実した楽しい期間で、本当に素晴らしいツアーとなりました。その際「私たちの地元にも来て頂けたら」というお声も多数頂きましたので、今回は曲目も公演会場も公演数もさらにパワーアップしています。激熱なプログラムが並んでいますので、文字通りの "熱い夏” を皆さまと楽しく過ごせるように努めて参ります。皆様を会場でお待ちしております。
取材・文=朝岡久美子 撮影=鈴木久美子
公演情報
8月7日(日) 大和高田市文化会館 さざんかホール(奈良)
8月11日(木・祝) 行徳文化ホールI&I(千葉)
8月13日(土) 四日市市文化会館 第2ホール(三重)
8月14日(日) RaiBoC Hall さいたま市民会館おおみや(埼玉)
8月20日(土) 北國新聞赤羽ホール(石川)
8月21日(日) 志木市民会館パルシティ(埼玉)
8月25日(木) 鎌倉芸術館小ホール(神奈川)
8月27日(土) 住友生命いずみホール(大阪)
8月28日(日) たましんRISURUホール(立川市市民会館)大ホール(東京)
9月4日(日) 長泉町文化センター ベルフォーレ ホール(静岡)
9月10日(土) 所沢市民文化センター ミューズ アークホール(埼玉)
9月11日(日) サンパール荒川(東京)
9月18日(日) 浜離宮朝日ホール(東京)
9月23日(金・祝) YCC県民文化ホール(山梨県立県民文化ホール)小ホール(山梨)
9月24日(土) 杜のホールはしもと(神奈川)
9月25日(日) 栃木県総合文化センター サブホール
【上演時間】約90分(休憩20分)
【出演者】髙木竜馬(ピアノ)
【料金】一般:3,800円 こども(小学生):2,500円
【2022年度演奏曲】
ベートーヴェン/エリーゼのために イ短調 WoO59
ショパン/ワルツ 第9番 変イ長調 作品69-1「別れのワルツ」
ショパン/ワルツ 第6番 変ニ長調 作品64-1「小犬のワルツ」
ショパン/ワルツ 第1番 変ホ長調 作品18「華麗なる大円舞曲」
ショパン/アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 作品22
ショパン/24のプレリュード 第13番 嬰へ長調 作品28-13
ショパン/24のプレリュード 第24番 ニ短調 作品28-24
リスト/パガニーニによる大練習曲 第3番 嬰ト短調 「ラ・カンパネラ」S.141
ショパン/スケルツォ 第2番 変ロ短調 作品31
ショパン/ポロネーズ 第6番 変イ長調 作品53「英雄ポロネーズ」
※本公演は映像等の演出はございません。
◆公演サイト:https://eplus.jp/pianonomori/