「野村義男のおなか(ま)いっぱい おかわりコラム」おかわり29杯目は、世界で活躍する和楽器バンドの核を担うギタリスト・町屋が登場
町屋 / 野村義男
町屋:和楽器バンドが今年8周年目に入ったところなんですけど、ギタリストとしてっていうよりは、アレンジャーとかディレクションとして色々やってきた部分が大きいですね。
野村:僕と一緒にいた頃も結局そういう感じだったから、そういうのあってるんだろうね。アレンジャーとかさ、ディレクター的なさ。
町屋:このバンドに声をかけられたの僕が1番最後だったし、元々はそんな気なかったんですけど、いつの間にか音をまとめる役割になっちゃってましたね。なるべく整理した状態で音を作ってリスナーに届けたいっていうのはあったので、バンド組んで最初津軽三味線・琴・尺八を買って、全部基礎の技法を覚えて。
野村:え!?
町屋:理解してからこれは演奏可能だけど、これは演奏不可能だろうみたいなところを念頭に置いて曲作りもアレンジも全部するようになりましたね。
野村:じゃあ、ほとんどの楽器を弾けちゃうんだ?
町屋:そうですね。
野村:ていうことは、家とかでアレンジとかする時に尺八吹いたり三味線弾いてるわけ?
町屋:最近はないですけど、昔はやってましたね。可能な音域と指の運びと技法を学んだ上で打ち込みをしてるんですよね。そうすると、決め打ちのフレーズがちゃんと演奏可能なものになるんで。
野村:それ、ちょっと考えられないね。素晴らしい。
町屋:音域は知ることができても、技法に関しては和楽器って特にニュアンスの部分がすごく大きいと思うんですよ。お琴の指の運びとかだと親指、人差し指、中指の3本が基本なんですけど、これをどう動かすとどういうフレーズが弾きやすいかとかっていうのが必然的に出てくるので。
野村:琴って親指がベースみたいな感じになるのかな? ハープ的な。
町屋:ハープには近いかもしれないですね。ただ琴の場合は高音弦手前なので、親指から奥にタラララララってやると、高いところから下がっていくんですよ。
野村:えー、そうなんだ。左利ききのギター弾いてるみたいな感じだ!
町屋:だから親指がベースになりえないんですよね。だから、逆に高い音をペダルトーンにして、タ↑タ↓タ↑タ↓タ↑タ↓タみたいな。バッハみたいなフレーズとかには向いてます。
野村:でもさ、ギターを基本と考えたら親指が高い音って気持ち悪くない? 何があっても、ギターの場合は親指が弾くものは低音弦じゃん。
町屋:気持ち悪いです。 でも、あまりに楽器が違いすぎて、お琴については別物として受け入れられるんですよ。逆に中途半端にわかりづらいのが三味線で。
野村:え、なんで? あれはコードチューニングかなんかでしょ?
町屋:コードチューニングです。ドロップDの状態とほとんど一緒なんですけど。弦3本じゃないですか? それで低音弦が手前なんでギターと一緒なんですけど、ギターの感覚で言うとそれは3弦じゃないですか?
野村:はいはい。
町屋:でも三味線で言うとそれは1弦なんですよ。手前から1の糸、2の糸、1番細い糸が3の糸になるんです。
野村:あ、数え方が逆なんだ?
町屋:はい(笑)。だからそっちの方が混乱します。ディレクションで会話をしてて噛み合わなかったりして。
野村:よく考えたら逆さまだったみたいなね。
町屋:はい。あとはバンドの性質上どうしてもコードを支えるっていう部分に関して、すごく脆弱なので、途中からオーケストラとかを結構入れるようになってきてて。そうなると今度はそのアレンジを考えるようになって、ストリングスをつけたりブラスつけたり。
野村:うんうん。
町屋:ブラス5管に、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、そこに和楽器にギター、ベース、ドラムって縦に長い譜面が出来上がって(笑)。
野村:ホントのクラシックの譜面みたいな。想像するだけでも良いですね(笑)。
町屋:結局バンドなので、オーケストラの譜面以外はレコーディングしながら変わったりするじゃないですか。あとはそこに合わせて、最終的に入れるギターとオーケストラを変えていくんですよね。
野村:なるほどね。
町屋:だから、ああ今琴がこのフレーズいったんだったら、これオーケストラ録る時はこっちの旋律録らなきゃいけないなとか、全部メモして譜面に起こすみたいな作業ですね。
野村:それは真似できないわ。
町屋:(笑)。
町屋
野村:そんな和楽器バンドですが、今後はどうなっていくんですか?
町屋:正直やり尽くした感はあるんですけど。音楽の流行って、どんどん変わるじゃないですか?
野村:ですね。
町屋:僕はその新しい音楽を結構否定してないので、その新しい音楽も取り込みつつ、それをアウトプットできる形にして、自分達も変化していけたら良いと思ってます。最近で言うと、リズムトラックがダンスミュージックとかが主流だったりするので、編成はバンドだからエレクトリックっぽく集音するにはどうしようかなとか考えてますね。
野村:なるほどね。そんな和楽器バンドですがライブのBlu-rayが発売されているということで。
町屋:年一回で大体お正月前後の時期に和楽器バンドがやっている『大新年会』っていう
その年の集大成みたいなワンマンライブがありまして。今年は日本武道館で『八奏見聞録』っていうサブタイトルでやったんですけど、それをデビュー8周年記念日の4月23日にリリースさせてもらいました。
野村:もう見応えたっぷりってことですか?
町屋:この『大新年会』って毎回映像化してるので、今回8周年で8本目になると思うんですが、今回のはかなり良いですね。今までボリュームもトーンもフルフルでやってたのが、しっかりトーンを絞ってやりましたし(笑)。
野村:ギター好きな人にはその違いも逆に楽しんでもらえたら良いですよね!
町屋:あとは初回限定盤のフォトブックが60ページと結構な量があるんですが、このライブスチールの写りが良いんですよ。
野村:え、そこ? まぁ大事なんだけど(笑)。
町屋:ははは(笑)。
野村:それも楽しんでいただきつつ、ファンクラブイベントもあるんですよね?
町屋: 6月9日の東京Zepp DiverCityと、翌週6月16日がZepp OSAKA Baysideでそれぞれ2公演ですね。
野村:どんな内容になる予定ですか?
町屋:今回はライブ中心にしようと思っていて、しかもツアーとかワンマンで定番化していない曲を多く演奏したいなって考えてます。
野村:それファンの人たちにとってはすごいレアで嬉しいね。あ、でも普段やらないから思い出すの大変なやつだ!(笑)
町屋:そうなんですよ(笑)。
野村:そんな貴重なライブもありますので、まだファンクラブに入ってない人は是非入って申し込んでもらえたらと思います。本日は和楽器バンドから、ギター・ボーカルの町屋さんに来ていただきました。ありがとうございました!
町屋:ありがとうございました!
撮影=大橋祐希
野村義男 / 町屋
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プレゼント情報
・SPICE[音楽情報メディア]
https://twitter.com/spice_mu
リリース情報
2022年4月23日(土)発売
[UMXK-9031] 初回限定盤 (Blu-ray+DVD+CD 2枚+ライブフォトブック60P) / ¥11,880円(税込)
[UMXK-1090] 通常盤 (Blu-ray+DVD) / ¥8,250円(税込)
ライブフォトカード全10種類 ランダム封入
Overture~八奏見聞録~
戦-ikusa-
白斑
情景エフェクター
起死回生
オキノタユウ
シンクロニシティ
Starlight
細雪
Eclipse
Nine Gates
嶺上開花
河底撈魚
吉原ラメント
ドラム和太鼓バトル 月打~GACHIUCHI~
名作ジャーニー
セツナトリップ
千本桜
EN1 六兆年と一夜物語
EN2 暁ノ糸
Documentary of 2022.01.09 ~八奏見聞録~ (※初回限定盤のみ収録)
DISC1
01.Overture~八奏見聞録~
02.戦-ikusa-
03.白斑
04.情景エフェクター
05.起死回生
06.オキノタユウ
07.シンクロニシティ
08.Starlight
09.細雪
10.Eclipse
01.Nine Gates
02.嶺上開花
03.河底撈魚
04.吉原ラメント
05.ドラム和太鼓バトル 月打~GACHIUCHI~
06.名作ジャーニー
07.セツナトリップ
08.千本桜
09.六兆年と一夜物語
10.暁ノ糸
8月17日(水)発売