味方良介、石田明、北野日奈子らがつかこうへいの傑作を全身全霊で演じる 『蒲田行進曲完結編 銀ちゃんが逝く』会見&ゲネプロレポート
(左から)高橋龍輝、北野日奈子、味方良介、石田明、佐々木ありさ
2022年7月10日は演劇界の巨匠・つかこうへいの十三回忌。最後の追悼公演を「つかこうへいLonely 13 Blues」と銘打ち、7月8日(金)から25日(月)にかけて、ホームグラウンドである紀伊国屋ホールで『蒲田行進曲完結編 銀ちゃんが逝く』と『初級革命講座 飛龍伝』の2作品が連続で上演される。7月8日からスタートする『蒲田行進曲完結編 銀ちゃんが逝く』で主演の銀ちゃんを務めるのは、数々のつか作品に出演してその存在感と演技力を見せつけてきた味方良介。銀ちゃんのために命をかけるヤスは、同じく多くのつか作品に出演しており、味方との親交も深い石田明(NON STYLE)。ヒロインの小夏は、本作が女優として初の作品となる北野日奈子。さらに、細貝圭、『PRODUCE 101 JAPAN』出身の練習生9名により発足したパフォーマンスユニット『円神』の中心メンバー・中本大賀、久保田創、高橋龍輝、佐久本宝、河本祐貴、大石敦士といったキャストが顔を揃えた。
初日前にゲネプロと会見が行われ、司会を務めたのはつかこうへい劇団12期生の久保田創。会見は演出・岡村俊一の挨拶でスタートした。
岡村:つかさんが亡くなられて、12年が経ってしまいました。追悼公演を任せていただき、12年も続くとは思っていませんでしたが、いまだにここでつかさんの作品を上演しているという事実を残せたことを嬉しく、誇りに思います。作品について簡単に説明すると、『蒲田行進曲完結編 銀ちゃんが逝く』はつかさんが『蒲田行進曲』で直木賞を受賞した後、完結編として発表された小説が元。僕個人はこの作品をつかさんの遺書のように読んでいます。銀ちゃんを「香典泥棒として育った」と表現されているんですが、なぜ香典泥棒なのかと考えたときに、人の痛みや悲しみを金に変えていることについて思いがあったんじゃないかと。銀ちゃんにつかさん自身の人生を重ねるイメージで構成・演出を行いました。『初級革命講座 飛龍伝』は、読売文学賞を受賞した傑作『飛龍伝’90』の元となったもの。皆さんが知る神林美智子の生涯も、この作品があって生まれました。原作を十三回忌にちゃんと元通りの形で上演したいと考えました。俳優たちが汗を流し、血を流して作っていますので、ぜひよろしくお願いします。
ーーキャストの皆さんから、意気込みをお願いします。
味方良介:僕が演じる倉岡銀四郎には、僕はお会いすることができなかったつかさん自身が投影されていると思っています。今まで多くのつかさん作品に携わらせていただきましたが、演じる責任や覚悟が最も大きくて重いです。全てをかけてこの作品を成功させ、皆さんにお届けしたいと思っています。
北野日奈子:私がつかこうへいさんの作品に出演するのは今回が初めて。先輩たちから色々と教えてもらいました。今日から始まる公演を一生懸命駆け抜けたいと思いますし、小夏としての人生を全力で頑張りたいと思います。
石田明:今日が初日ということで、舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』と一緒です(笑)。同じ事務所のエハラマサヒロが(ハリー・ポッターに)出ていまして、向こうはセットもすごいし期間も長い。こちらはセットほぼなし、期間も短いです。その分ぎゅっと濃縮して、濃い時間をお届けできたらと思っています。
ーーそれぞれ、ご自身が演じるキャラクターについての思いを教えてください。
味方:先ほども言った通り、倉岡銀四郎という人物は、僕が思い描くつかこうへいさん自身です。僕は今まで多くのつかさん作品で様々な役を演じてきましたが、中でもつかさんの一番の理想像であり、みんなが目撃してきたつかさん自身じゃないかと思っています。だからこそ、今まで向き合ってきた作品たちとのコミュニケーションを詰め込んでこの役を作ってきました。
石田:かねてから、味方くんと「蒲田行進曲をやりたいね」と話していました。彼とはもう長い付き合いで、この10年くらい一番一緒にお酒を飲んでいるのもあってすごく仲がいい。銀ちゃんとヤスの関係に近いと思います。たくさんの素敵な俳優さんが演じてきたヤスという役を汚さず、且つより攻めて、誰も演じたことのないヤスに辿り着けたらと思います。
北野:小夏さんは私と全く違う人生を歩んでいます。北野日奈子としては分からないことだらけでしたが、稽古をする中で皆さんからたくさんの感情をもらい、理解できるようになってきました。あたたかくてみんなから愛される小夏さんなので、舞台に立っている間は皆さんから愛されていると思い込んで頑張りたいと思います(笑)。これが乃木坂46を卒業して初めての大きなお仕事。素晴らしい皆さんとともに仕事できることを幸せに思いますし、このタイミングでこの作品に出会えたことに感謝しています。
ここで『初級革命講座 飛龍伝』のキャストも会見に参加。それぞれが作品への意気込みを語った。
高橋龍輝:僕が初めてこの作品を観たのは約7年前。この紀伊國屋ホールで人間の強さをすごく感じ、衝撃を受けたことを今でも覚えています。みなさんにも同じ衝撃を与えられるよう、全力で楽しんでいきたいです。
佐々木ありさ:私にとっては憧れの紀伊國屋ホールで、念願のつかこうへいさんの作品に参加できるのがとても幸せです。やるからには全力で、死ぬ気で取り組みたいと思います!
久保田:『初級革命講座 飛龍伝』は、もう40年前の作品。熊田という男が帰ってくるのをみんなで待っている物語です。この紀伊國屋で十三回忌に公演を行うことで、皆さんの心につかさんが戻ってきてくれるよう、一生懸命努めたいと思います。
(左から)北野日奈子、味方良介、石田明
※この先、ネタバレあり