ハンブレッダーズ『RUSH BALL 2022』ライブレポートーー「ロックバンドは逆境こそ真価を見せるとき」との言葉を体現した誰一人置いていかないステージ
ハンブレッダーズ 撮影=瀧本JON…行秀
『RUSH BALL 2022』ハンブレッダーズ
「まずライブを始める前に2つ言いたいことがあって」と、ムツムロアキラ(Vo.Gt)が神妙な面持ちでマイクを手にしたところから始まったハンブレッダーズのステージ。数日前にはメンバーのでらし(Ba.Cho)が新型コロナウイルスに感染したニュースもあり、この日は木島(Dr)とサポートメンバーのうき(Gt)による3人体制で臨むことに。
ハンブレッダーズ
「1つ目は、俺はもともとギターボーカルなんですが、2日前にベースを猛練習して3人でやることになりました。2つ目は『RUSH BALL』のこと。『RUSH BALL』は2020年に国内で唯一開催した夏フェスで、今回からはコール&レスポンスもOKだとアナウンスされています。そうやって挑戦を続けるイベントだという中、俺たちもやっぱりライブは声を出せることが当然だとは思っていて。でもまだちょっと声を出すことは怖いなと思う人も少なからずいる気がする。そこで、昨日夜中まで考えたんですけど、今日やる5曲のうち、4曲目までは声を出すのは止めてもらい、最後の曲の3サビ目から思いっ切り声を出してもらえればいいなと、そんなふうに思っています」(ムツムロ、以下同)
この場に集う全員へ寄り添うバンドの姿勢を示し、オーディエンスもめいっぱいの拍手で応えていく。
「どんな状況でも楽しい方法を模索していくのがロックバンドやフェス、ライブハウスの在り方だと思うので、よろしくお願いします!」と、各々の楽器をかき鳴らしたのを合図に、「BGMになるなよ」で改めて幕開けに。「突貫工事」なんて表現していたムツムロのベースはこの上なく躍動し、誰もがその手を天高く突き上げずにはいられない。
ハンブレッダーズ
「今日出るバンドで、多分俺たちが一番ヘタくそだけど、一番デカい音を鳴らします!」と導いた「ギター」では、みずみずしいアンサンブルを創出。「難しい楽器なんですよ、ベースは。アイツすごいことやってたんだなぁ(笑)」とメンバーへのリスペクトをのぞかせつつ、続いては「ロックバンドというのは逆境に立たせられたときが最も真価を見せるときだと思うので。一番難しい曲をやります」と「ワールドイズマイン」へ! シンガロングしたくなる「再生」でも、バンドの思いをくみ取りジャンプやクラップなどでレスポンスする客席の姿に、何ともグッとくる。
「知ってる人がどれだけいるか分からないけど、合図したら一緒に歌って。一番大事な曲をやります」と、ラストを飾るのは「DAY DREAM BEAT」だ。絶唱するムツムロに合わせ、声を合わせる泉大津フェニックス。ライブというかけがえのない場所を守り、守り続けるというバンドと観客との強い絆を感じさせたハンブレッダーズのステージとなった。
取材・文=後藤愛 撮影=瀧本JON…行秀
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