福井晶一×上川一哉「観に来ていただければ必ず届くものがある」〜ミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター〜北斗の拳〜』対談インタビュー
――公演に向けて体力作りや筋トレなどで意識していることはありますか?
上川:福井さんはいつも筋トレされていますよね。
福井:実は僕ね、この作品の前は『てなもんや三文オペラ』という作品で女性の役を演じていたんですよ。共演していた生田斗真くんに「でかい」と言われたのがすごくショックで(笑)、その間はトレーニングをやめていたんです。でも終わった途端にやっぱり『北斗の拳』の現場はみんな筋トレしているので、今必死になってやっています。
上川:僕も筋トレはしているんですけど、しなやかに動くのがジュウザかなと思うんです。 殺陣のシーンは激しいので怪我のないようにしっかりストレッチをして、ガチガチになり過ぎないように心掛けています。
福井:一哉は飲み込みが早いですし、身のこなしもすごいんですよ。ジュウザってアクロバティックで大変な動きもあるので初演ではみんな苦労していたんです。でもそういう技もすぐに習得していて、やっぱり動きが流石ですね。
――ジュウザというと劇中の「ヴィーナスの森」というショーナンバーが見どころだと思いますが、実際にやってみていかがですか?
上川:いやあ〜難しいですね。ただただ楽しくやっているわけじゃなくて、悲しみの先に今のジュウザの生き方があるので。石丸さんもおっしゃっていたんですけど、“セクシーだだ漏れ”というところを真面目に捉えて過ぎて視野が狭くなってしまう……。でも、Wキャストの伊礼彼方さんというすごくお手本になる方がいらっしゃるので。
福井:彼をお手本にしたらダメだよ(笑)。
――福井さんから見た上川さんの「ヴィーナスの森」はどうですか?
福井:かっこいいですよ! 元々すごくモテる男だからそのままやればいいのに(笑)。 ちょっとした仕草が大事になってくると思うんですけど、一哉はいるだけでかっこいいから。あとは劇団のあれやこれやを思いっきり取っ払って、いかに自分が楽しめるかというところ。そのチャレンジをしている姿を見て、僕はすごく応援したいなと思うんです。
上川:本当にすごく迷っていたんですよね。福井さんにも相談させてもらって「一哉が思うものをやればいいんだよ」という言葉にすごく救われました。 そこを研究しながら掘り下げていこうと、今もがいているところです。
福井:相談しに来てくれるのが嬉しいですね。僕自身も退団後最初の作品が『レ・ミゼラブル』のトリプルキャストで、壁にぶつかりました。複数キャストだとどうしても自分を見失いそうになるんですよね。しかも一哉の場合は相手が個性的過ぎる伊礼彼方っていう(笑)。まあ、そこは考えずに自分のジュウザを作ればいいんだよという話をさせてもらっています。
――福井さんは初演に続いて2度目のラオウ役となりますが、特に思い入れのあるシーンはどこですか?
福井:ラオウ・トキ・ケンシロウの三兄弟のシーンは重要なシーンだと思っています。青年トキと青年ラオウの芝居が大好きなんです。あの2人がものすごい熱量で芝居を渡してくれるので、僕自身もそこに乗っかって行かなきゃいけないなと。台本や曲が変わっていろいろ手直しがある中で、初演以上にキャラクターの関係性が落とし込めているんじゃないかなと思います。あと、最後のラオウとケンシロウの戦いは前よりもっと清々しい気持ちで臨んでいけるんじゃないかなあ。初演とは違う新しい感覚が出てきているんです。三兄弟のシーンとケンシロウとの戦いのシーン、この2つは最後のセリフを言うためにも自分自身を追い込んでやっていかなきゃいけないなと感じています。
――そんな福井さんのラオウを上川さんはどう見ていますか?
上川:シンプルにかっこいいですね。僕、福井さんの声が好きなんですよ。ずっと昔から聞かせていただいていたということもありますけど「ああ、福井さんの声だ〜」って思っちゃいますね(笑)。劇団時代に共演できなかったので、こうして共演させていただくことも嬉しいですし、直に福井さんの声が聞けるということが何よりにすごく嬉しいんです。
>(NEXT)「メッセージを届ける」ということ