多くのミュージシャンに影響を与え続けるSkoop On Somebody、デビュー25周年そして12年ぶりのオリジナルメンバーでの新譜を語る

インタビュー
音楽
2022.12.1
Skoop On Somebody

Skoop On Somebody

――いくつかピンポイントで聞きたいんですが、たとえば「ORGEL」で聴ける豪華なストリングスも、全部生なわけですよね。現代のレコーディング環境を考えると、相当ぜいたくなことだと思ったりします。

TAKE:ディレクターは泣いてました。経費のことを考えて。

――そっちですか(笑)。感動して泣いたわけじゃなく。

TAKE:いや、感動してたのかな?(笑) 「ORGEL」は久しぶりにFace 2 fAKEと一緒にやった曲で、KO-HEYも帰って来たことだし、僕らが最初に3人以外の人の曲を歌ったのがFace 2 fAKEの曲だったんで、お願いしようということになったんですけど、「sha la la」(2001年)をリバイバルすることはできないし、あれを超える曲はできないよってFace 2 fAKEからも言われてたんで、じゃあどうしようとなった時に、KO-ICHIROが「今のFace 2 fAKEといえば映画音楽だろう」と。今のFace 2 fAKEとSkoop On Somebodyのコラボで、スタンダードっぽい曲はどうですか?というのは、KO-ICHIROのアイディアですね。

KO-ICHIRO:現代のフランク・シナトラをやってみようと。僕らにとってもいい経験でした。演奏も「せーの」で録りましたし。

KO-HEY:Face 2 fAKEの二人も「今はそういうことをやったほうがいい」と。大人の音楽としての目線でアレンジしてくださって、ドラムはそんなに存在感を出さずに、ブラシでこすってる感じだけどいいですか?」と言われて、「もちろんいいですよ」と。ドラムがいるから叩かなきゃいけないとかじゃなくて、全体像で見てくださってるのがすごくうれしかったです。

KO-ICHIRO:ストリングスは6422で14人いるんですけど、アキレス(・ダミゴス)さんが作って来たデモの段階で、ほぼサウンドは出来上がってたんです。それでも十分なぐらいだけど、せっかくだから全部生で演奏しようということで、お互いにとってWIN-WINな、いい経験が出来ました。

TAKE:人の力ってすごいですよね。今は機械の力も相当すごいんですけど、でもやっぱりきれいすぎるというか、聴き比べると、それぞれのプレイヤーさんの思いが一緒になって音楽になるというか、人間味ということになると思うんですけど、それを再確認できたのかなと思いますね。

――タイトル曲の「1997」も、大事な曲ですよね。Skoopのこれまでとこれからを歌いこんで、「僕らの旅にゴールは無い」と力強く歌い上げる曲。

TAKE:これはKO-ICHIROが作った曲で、タイトルから先に決まったんです。次のアルバムは『1997』というタイトルにしようと思って、その曲名でインタールードを作ろうか、とか言ってたんですけど、やっぱり曲で歌えたらかっこいいよねということで、この難しいパズルを解けるのは松尾潔さんしかいないということで、作詞をお願いしました。63本のツアーの中で、松尾さんが見に来てくれて、書いた詞を見せてくれるはずだったんですけど、ライブを見て「ごめん、一回持ち帰る」って、全部書き直してくれて、出来上がったのが「1997」です。僕ら3人の今のパフォーマンスを見て書いてくれたものなので、それも一つの象徴的な出来事でしたね。

――歌う時に、相当思い入れが強かったんじゃないかと思います。

TAKE:とにかく松尾さんが紡いでくれた言葉、KO-ICHIROが作ってくれたメロディを大事に、歌ってやろうとかそういう気持ちをなるだけそぎ落として、「ORGEL」もそうなんですけど、メロディと歌詞に正直に歌えたらいいなと思いました。若い頃のアルバムを聴き返してみると、フレージングとか、フェイクとか、「ここでこう歌ってやろう」というところに意識が行ってるんですけど、年齢のせいもあるし、3人に戻れた感謝と意味ということでも、曲の良さを聴く人に伝えることが僕の一番の使命だなということを今回すごく思いました。ツアーもそうですし、レコーディングもそうでしたね。今は「伝える」ということ、人に感動してもらう難しさのほうにすごく興味があって、そうするとだんだんシンプルな歌い方になってきちゃうんですね。

KO-HEY

KO-HEY

――それは全曲にそう思います。KO-HEYさんは、個人的なお気に入り曲はありますか。

KO-HEY:やっぱりシングルの1曲目として出させていただいた「Hooray Hooray」という曲が大きくて、僕が書いた時に思っていたよりは、結果的にストロングになったんですけど、それは思いが乗ってしまってるからだと思うんですね。「Hooray Hooray」は、頑張ってない人はいないという前提の応援歌なんですけど、結局自分への応援歌だなって最近思うんです。僕自身が応援される曲ならば、みなさんも応援できると思うし、ここからスタートしているので、思い入れの大きい曲ではありますね。

――はい。なるほど。

KO-HEY:今回はメッセージとして、「Hooray Hooray」もそうだし、ほかの曲もそうなんですが、TAKEの歌でみんなに大きな愛を届けてほしいと思って作った曲が多いので、今までとは少し違うかもしれないです。それも今の僕の気分というか、世につれてることだと思うんですけど、混沌としてる時代に何を歌えるか?ということだと思います。聴いてくださる方が、自分に当てはまって何かを感じていただけたら、僕個人としては御の字というか、一つの言葉に勇気づけられたとか、そういうふうに可愛がってもらえたらいいなと思ってます。

KO-ICHIRO:僕が印象深いのは、やはり「Save Our Smiles」ですね。このアルバムのために最後に書いた曲で、アッパーなゴスペル調のみんなで歌える曲を作りましょうということで、そういうものも久しぶりだったんですけど、みんなで歌うということには難しさが一つあって、何を歌うか?ということなんですね。一人だと何とでもなるんですけど、みんなで歌う時にそこがぼやけると嫌やなと思いながら、曲の骨格とメロディを作って、TAKEのほうから「こういうコンセプトはどうだろう」という歌詞の提案があったので、そこからまたメロディが変わったり、久しぶりの共同作業が出来たのが楽しかったのと、バンドもコーラスもみんな一緒に「せーの」で録ったのが楽しかったという、思い出深い曲です。ミュージックビデオにもみんな出てくれますので、見てほしいです。

――これは素敵な歌詞です。生きていく中での笑顔の尊さを、とことん明るくハッピーに伝える曲。

TAKE:僕ら3人と、ベースの小松秀行、ギターの知念輝行、キーボードのGakushi、コーラスの田中雪子と、仲間と共にやれる喜びがふんだんに盛り込まれていると思います。歌詞には、僕らが撮影の時に「口角上げて」と言われたことだったり、YouTubeでやってる「Take a Break」という企画のタイトルを入れてみたり、僕らの総まとめの曲なので、アルバムの最後に持ってきたんですね。ミュージカルで言うと、最後に全員がステージに上がって肩を組んでるみたいなイメージです。

KO-HEY:最後はどうなってお客さんに帰ってほしいか?ということですね。悲しい思いをするのか、笑顔なのか。

TAKE:幸い僕は、KO-HEYがいない間にブロードウェイのミュージカルなどをやらせてもらって、身に余るようなことではあったのですが、ミュージカルの凄さを肌で感じていたので、書けたのかもしれないです。昔は恥ずかしくてこの言葉選びはできなかったと思うんですけど、すごくわかりやすい言葉で書いてるなって客観的に思います。

KO-ICHIRO:頑張ってもらってよかったです(笑)。

TAKE:みんなが主役なんですね。(岸谷)五朗さん(*地球ゴージャスの主催)の演出もそうで、ステージではみんなが主役だという考え方なので、それを教えとしてこの曲に反映させてみました。

――すごく腑に落ちました。これはライブで素晴らしい大団円になると思います。

KO-HEY:笑い泣きするような。そうなればいいなと思います。

――楽しみです。そして12月には恒例の、全7公演のクリスマスライブツアーをやります。どんなツアーにしたいですか。

TAKE:クリスマスライブにKO-HEYが参加するのも十何年ぶりだし、お客さんが相当待っててくれてる気がするんですよ。クリスマスと年末をSkoop On Somebodyの音で締めくくりたい、しかも3人の音でという、その期待に添えるかどうかですよね。まだリハーサルが始まってないので、不安もありますが、その期待に負けない、サプライズも含めてみんなに届けたいと思います。アルバムの曲も何曲かやりつつ、25年やってると曲数が多いので、どうなるかわからないですけど、3人ならなんとかなると思うし、仲間もいてくれるし、初めて見る人にも楽しんでもらえることには気を付けているので、ぜひ遊びにいらしてください。
 

取材・文=宮本英夫 撮影=大塚秀美

Skoop On Somebody

Skoop On Somebody

リリース情報

 「1997」
2022年11月30日(水)リリース
■完全生産限定盤(CD+2BD)SECL2810~2813 13,200円(税込)
CD
「Hooray Hooray」「GOOD TIME」「SUMMER ESCAPE~夏の思い出~」含む全12曲収録。
BD-1
Skoop On Somebody「25th anniversary LIVE Vol.1〜REJOIN〜」ライブ映像(+副音声あり)
Skoop On Somebody「25th anniversary LIVE Vol.1〜REJOIN〜」Backstageドキュメント
BD-2
Skoop On Somebody「Special Live Session 2022」 ライブ映像
Skoop On Somebody「25th anniversary LIVE Vol.2~club SOS~」Tourドキュメント 
※全映像パッケージ初収録
封入特典
・Photobook ・「魔法のじゅうたん柄」バンダナ封入。
・BOX仕様
■通常盤(CDのみ)SECL2814 3,300円(税込)
「Hooray Hooray」「GOOD TIME」「SUMMER ESCAPE~夏の思い出~」含む全12曲収録。
 
Skoop On Somebody「SKOOP」
アナログ盤 SEJL-60 4,400円(税込)
1997年9月1日にリリースしたSkoop On Somebodyの前身、SKOOPのデビューアルバム「SKOOP」を再現したアナログ盤をアルバムリリース日と同日に完全生産限定盤としてリリース。デビュー25周年を記念し、当時のCDを収録曲順からジャケットに至るまでを忠実に再現。

ツアー情報

Skoop On Somebody 『25th anniversary LIVE Vol.3〜Christmas Live Tour 2022〜
12月4日(日)名古屋・今池ガスホール
12月10日(土)札幌教育文化会館小ホール
12月18日(日)Zepp Namba
12月22日(木)大手町三井ホール
12月23日(金)大手町三井ホール
12月25日(日)福岡みらいホール
 
【Support Member】
富永寛之(Guitar)
小松秀行(Bass)
田中雪子(Chorus)
 
全公演8,800円(税込)
4歳以上必要・3歳以下入場不可
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