日本酒を呑み慣れていない人こそ行くべき! 3年ぶりに京都・酒蔵のまちで開催された日本酒のまつり『伏見の清酒まつり』で飲み比べてみた
『伏見の清酒まつり in 大手筋商店街 2022』 撮影=福家信哉
伏見の清酒まつり in 大手筋商店街 2022 2022.11.20(SUN) 伏見大手筋商店街
11月20日(日)、京都・伏見の魅力を再発見できる日本酒のまつり『伏見の清酒まつり in 大手筋商店街 2022』がひらかれた。
各部で約1,000人が商店街に押し寄せた
古くから酒蔵のまちとして知られ、酒造りが盛んな伏見。「飲んで」「食べて」「味わう」を一体で楽しめる『伏見の清酒まつり』はそんな町の名物だったが、新型コロナの影響で2020年、2021年は中止に。今回、3年ぶりに開催され、全国の日本酒好きでにぎわった。
3箇所に設置されている受付で、お酒券とオリジナルおちょこを引き換えてスタート
追加のお酒券と、立ち飲みに便利なトレーも3箇所で販売
SPICEではイベント当日、記念すべき「まつり再開」の瞬間を『伏見の清酒まつりin大手筋商店街2022 オンライン酒めぐりツアー』として、Zoomで無料生配信。各ブースをまわる際に必要な100円券×10枚のお酒券とオリジナルおちょこを手に、出展されている15の酒蔵のブースのうち、5つのブースでインタビューや試飲をおこなった。
月桂冠「あらゆる嗜好を持つお客様に向けて豊富な種類の酒を出したい」
右下のGekkeikan Studio no.3をゴクリ(チケット4枚)
1637年に創業された月桂冠では「1杯目に飲んでほしい酒」として、Gekkeikan Studio no.3をゴクリ。
種類豊富な月桂冠
月桂冠担当者は、「パイナップルのようにトロピカルな味わいと、フルーティで華やかな香りを研究して出来上がった酒。甘みがあるので、日本酒を飲み慣れていない人にもぴったりです」とオススメしてくれた。また「伝統に甘んじることなく、これまで日本初の防腐剤が入っていない瓶詰めの酒を販売したり、常温で流通が可能な生酒を商品化したりしてきました。私どもの強みは研究所があること。あらゆる嗜好を持つお客様に向けて豊富な種類の酒を出していきたい」と意欲を語ってくれた。
黄桜「この業界ではまだまだ若い、既成概念にとらわれない商品開発を」
白ワインのような日本酒、ペルル(チケット2枚)
黄桜のブースでは、10月に発売されたばかりのペルルについて話を訊いた。黄桜担当者は「ワイン酵母を使用して製造しています。白ワインのような味わいなので、和食、洋食、スイーツ、どんなお料理にも合うと思います」と食事との組み合わせについて説明。
京都府立大学と協同開発、オール京都府産のお米を使った なからぎ(チケット2枚)
また「黄桜はもうすぐ創業から100年。この業界ではまだまだ若いので、既成概念にとらわれない商品開発をしています。今まで積み重ねてきた発酵技術を、日本酒だけではなく、ビール、ウイスキーなどいろんなお酒に応用していきたいです」とさまざまな酒をこれからも造っっていきたいと話してくれた。
増田德兵衞商店「延長線上ばかり造らない、エッジの効いたものを輩出」
増田德兵衞商店
増田德兵衞商店では、担当者が開口一番「3年ぶりに『清酒まつり』開催。きっとみなさん、心待ちにしていらっしゃったはず。まだまだコロナをにらみあっている状況ですが、お酒は人と人をつなぐ潤滑油なので、世界中の人に酒を飲んでもらえるように頑張りたい」と満面の笑みで商店街を見渡した。
増田德兵衞商店が日本で初めて造ったにごり酒(チケット4枚)
増田德兵衞商店は57年前、にごり酒というスパークリングの日本酒を日本で初製造。「地元京都伏見の農家と一緒に醸育した、酒造好適米の祝を使用したオリジナルの酒もあり、そうやって常にアイデアを生かしながら、エッジの効いたものを輩出しています。延長線上ばかり造るのではなく、いろんなイメージを膨らませて商品開発しています」と力強いコメントを届けてくれた。
北川本家「原料であるお米のこともちゃんと知っていないといけない」
富翁 大吟醸 金賞受賞酒(チケット5枚)
伏見で2番目に長い歴史を持つ北川本家では、『全国新酒鑑評会』で2年連続、通算20回目の金賞を受賞した富翁 大吟醸 金賞受賞酒を振舞ってもらった。口にいれた瞬間に味わいが広がる同酒は、香りも上品で特徴があり、京都の料理にいかにも合いそう。
数量限定のお酒、ささにごりも試飲できる(チケット2枚)
北川本家が造りでもっとも大事にしていることを尋ねると、「酒造りは人の和が大切。チームワークがあってこそ良いお酒が造れます。あと、メインの原料であるお米のこともちゃんと知っていないといけない。京都・綾部でお米作りからおこなっています」とこだわりを明かしてくれた。
山本本家「脂がのったお肉にも合うように酒造りを」
神聖 山田錦純米大吟醸原酒 ゴールド(イベント最高額の8枚)
最後に訪れた山本本家のブースでは、最高級の旨味と甘味が堪能できる神聖 山田錦純米大吟醸原酒 ゴールドがおちょこに注がれた。何層もの味わいが感じられ、フルーティーで軽やかさがあると思いきや、後々にじんわりと深みが体全体をつつむ感覚に。担当者は「すごく濃厚な味わいなんです。使っているお水が良いのでとてもまろやかで、でもその手前にお米の旨味が広がります」と味の秘訣を話してくれた。
料理に合うお酒を研究する山本本家
1677年創業の山本本家は、「食中のお酒をコンセプトにし、焼き鳥屋の鳥せいも共同経営しています。いかにお料理を引き立てられるかを意識し、脂がのったお肉にも合うように酒造りをすすめています」と、酒の楽しみ方を教えてくれた。
茶寮油長・油長茶舗では珍味3種を販売
特別出店していた京料理・寿司 松廣のお寿司も
また『伏見の清酒まつり』では、商店街のなかにあるいろんな店舗で食事も満喫できた。
砂肝、ごぼう、甘えびのおつまみ
特においしかったのが、茶寮油長・油長茶舗で販売されていた、カップ入りのおつまみの珍味3種。購入したのは、砂肝、ごぼう、甘えびの3種。いずれもしっかりとした歯ごたえがあり、クセになるような塩っ気は日本酒とベストマッチだった。
キンシ正宗のさらりとした特別純米(チケット1枚)
今回のレポートでは3種類の酒を試飲。すべて味わいがまったく違い、仕事そっちのけで全ブースをまわりたくなった。なにより商店街中に日本酒の良い香りがただよっており、その気持ち良さにうっとりできる。「日本酒をあまり飲んだことがない」という人は、このイベントで日本酒への印象がクルッとひっくり返るはず。至福の『伏見の清酒まつり in 大手筋商店街』だった。
取材・文=田辺ユウキ 撮影=福家信哉
イベント情報
※参加費に伏見の清酒が味わえる100円券×10枚のお酒券/蔵元おすすめの1杯引換券/オリジナルお猪口つき