「パトロン」は本来素敵な言葉~主演 岩城直弥&脚本・演出 キムラ真に聞く、『おねがいっパトロンさま!The Stage』第二弾への思いや魅力とは

インタビュー
舞台
アニメ/ゲーム
2023.1.19
岩城直弥

岩城直弥

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2020年にWebアニメからスタートした『おねがいっパトロンさま!』。「才能を持つ者=シュガー」と「才能を繋ぐ者=パトロン」の二人が、人々のココロを震わせるバディヒーロー「パトレイサー」として奮闘する物語だ。舞台化第二弾となる『おねがいっパトロンさま!The Stage ~ココロを詠え~』の開幕が近づく中、第一弾に引き続き脚本・演出を担うキムラ真と、初主演を務める岩城直弥にインタビューを行った。

■第二弾は舞台オリジナルストーリー

ーーキムラさんは第二弾の上演が決まったとき、岩城さんは出演が決まったときの思いを教えてください。

キムラ:前回の公演が終わる頃には、第二弾をやりたいねというお話をいただいていました。原作がYouTubeで展開していて、まだ完結していないのでそのままシリーズを上演するんだろうと思っていたら、舞台版のオリジナルを作ってみませんかというオーダー。飛び跳ねるくらい嬉しかったです。

岩城:初めての主演ということもあり、今までとは違ったプレッシャーを感じました。ただ、前回の主演を務めた山田ジェームス武さんとすごく仲良くさせていただいていて。色々と話を聞き、めちゃくちゃ楽しみになりました。

岩城直弥

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ーーちなみに、どんなことをお話されたんでしょうか。

岩城:色々教えていただいているんですが、この作品について、「俳優のキャリアとしてもすごくいいと思う。色んな意味で糧になる予感がしている」と言ってもらいました。

ーー今回は舞台オリジナルストーリー。キムラさんがこだわったポイントを教えていただけますか。

キムラ:ちょっと語っていいですか(笑)?  この『おねがいっパトロンさま!』を展開しているのはハピネットさんという会社なんですが、ハピネットさんは元々日本有数のおもちゃの卸売企業。日本全国におもちゃを届ける、サンタさんみたいな存在ですよね。これまで他社・誰かのヒーローやキャラクターを扱っていたサンタさんが、自分たち自身で生み育てるコンテンツを作りたいという思いで生み出したのが『おねパト』。パトレイサーという二人のヒーローが、心が停まってしまった人を助け出す話です。

心が停まったというのは、何も感じなくなって心が動かない状態。パトレイサーは二人で変身し、その人たちの心に入ります。人の心の一番深いところには劇場があって、そこでは大事な記憶がずっと上演されているんです。その記憶があるから色んなことを頑張れる。二人のヒーローは停まってしまった心の中にあるたくさんの扉を開けて一番大事な思い出を探して、心の舞台に降りて記憶の再現劇をします。その記憶を見せることで心を動かすというのがとても素敵だなと思いました。コロナ禍で心を動かす立場の僕らも留まりそうになった。そんな時にこのお話をいただいて、僕はこのコンテンツに惚れたんです。

今回のテーマは、第一弾では分からなかった部分もしっかり伝えること。さらに、舞台版を通して作品の可能性を広げたいと思っています。まずは「パトロン」と言う言葉、現代ではあまりいいイメージじゃないと思う。でも元々は美しくて価値がある、心を動かすことが出来る人間とそれを導く人の関係性を指す言葉です。「パトロン」というのが「素敵な言葉だね」となるようにしたいですね。あとは、心の劇場や心が停るってどういうことなのか、どうしたら動くのかを改めて提示して分かっていただきたい。

そして何より、僕は楽しいことが大好きなので、ほぼゼロからキャラクターや物語を作らせていただけてワクワクしています。今って2.5次元舞台が増えていて、イチからキャラクターを作ることが減っている気がします。原作があり、そこに魅力を足していくスタイルですよね。今回は演者さんに「キャラクターを作ってください、お任せします、育ててください」という言葉をかけたいと思っています。とにかく意気込んでいますね。

■アサキというキャラクターの魅力は……

ーー岩城さんは、台本を読んで自分が演じるキャラクターにどんな印象をいだきましたか?

岩城:天才が故に、他のことがちょっとおざなりになっている部分がありつつ、そこが魅力なのかなと思いました。あと、めちゃくちゃ不器用なんだろうなって。僕自身も人から不器用とよく言われるので、役作りに活かせたらいいなと思っています。僕の頭の中では、アサキはすごくかっこいいキャラクター。そのイメージを稽古中にどれだけ磨いて形にできるかですね。

岩城直弥

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ーーキムラさんから岩城さんに期待すること、こんなアサキを見せてほしいという思いはありますか?

キムラ:僕はキャストさんのことを色々調べるんですが、(岩城は)いい意味で本当にいい子だなあと。人の様子を見て自分がどう出るか考えるし、何気ない言葉も刺さってしまって気にするタイプなのかな。アサキは頭が良すぎて周りが見えなくなるタイプ。真逆だからこそ分かるところもあるだろうし、役者としては自分と逆のタイプを演じるのも醍醐味かなと思います。アサキは「RALLUS」という4人のバンドグループの軸でもある。4人が集まって生まれる力もあるでしょうから、楽しみでならないですよね。周りのスタッフさんや衣装さん、メイクさんの熱量と意気込みもすごいんです。自分たちで作っていいのもあって、「初主演舞台、絶対カッコよくしてあげたいね」って。あと、岩城くんがジェー(山田ジェームス武)と仲良しというのは前から知っていました。ジェーにも観てほしいよね。

岩城:来てくれると思いますよ。ただ、いつ来るか……。多分気を遣ってくれているんですが、「行かないよ」って言いながら会場にいることがあって(笑)。

キムラ:(笑)。ちなみにシュガーとパトロンに当てはめると、どっちがどっちだと思う?

岩城:今は僕がシュガーですかね。芸能の仕事について色々教えてくれますし、お洋服とかも。僕は結構ダサいと言われがちだったんですが、最近言われなくなりました!

キムラ:導いてくれてるんだ。舞台第一弾はジェー主演でアニメのストーリーをやって、今回はオリジナル。この先シリーズが進んで、それぞれのストーリーが交差したらいいなと思ってて。色々な可能性があるコンテンツだよね。

岩城:確かに。今回も(山田に)映像とかで出てほしかったですね。

岩城直弥

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■「心が動く」という言葉が身近になってほしい

ーー最近心が動いたことを教えてください。

岩城:とりとめもないことでもいいですか? 僕、いちごが好きなんです。先日、10年ぶりくらいにいちご狩りに行って心が動きました。

キムラ:どれくらい食べたの?

岩城:次の仕事も控えていたので20粒くらい。しっかり自宅で食べる用も買って帰りました!

キムラ:僕は「あけましておめでとう」と連絡をもらうだけで心が動きましたね。業務的なことでも、ずっと返さずにいると途絶えるじゃないですか。今の時代にまだ年賀状をくださる方もいて、ほっこりしました。

ーー本来「パトロン」は素敵な言葉ということです。お二人はこれまで「この人を手助けしたい、パトロンになりたい」と思ったことはありますか?

キムラ:僕は目の前の人に喜んでもらえることが大好き。誰かに料理を作るのとか。あと、例えばコンビニで店員さんに「ありがとうございます」って言った時、「いらねえ」って顔をする人もいるし、「どうも」って喜んでくれる人もいる。ちょっとしたことで、人の心を動かせると思うんです。ただ、一直線になりすぎると、それこそお金や客入りしか見えなくなってしまう。だから視野を広く持って、小さなお節介みたいなことをたくさんしていこうと思っています。稽古とかでも、目の前の人に何か伝えたいしサポートしたいですね。

岩城:お世話になっているジェーくんには恩返ししたいですね。あと、自分の心が動いたということでいくと、やっぱり先日のワールドカップ! 僕はサッカーが大好きで、15年ほどやっていたんです。選手たちから感動をもらえましたし、直接じゃなくても応援し、頑張ってほしいと心から思えるのはすごいことだと思いました。スポーツっていいなと改めて感じました。

キムラ:すごいよね。サッカーを知らない人もみんな見てた。

岩城:スポーツバーとかで知らない人とも盛り上がったりしますもんね。

岩城直弥

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キムラ:稽古が終わったらすぐ帰ってたからね。試合が深夜とか早朝にあると、みんなちゃんと眠そうだった(笑)。でも試合を見てテンションが高いから、いい稽古ができたりする。心を動かすってすごいなと思った。物語の設定にあるから言葉にするとわざとらしい感じが出るけど、感動ってそういうことだよね。「心が動く」っていう言葉をたくさん使える世の中になってほしいし、この舞台を見たお客さんが「心が動いた」「心が震えた」って使ってくれると嬉しいです。「パトロン」もそうで、ちょっとしか使わないからイメージがよくないんだと思う。昔は「オタク」だってネガティブな言葉だったけど、今では好きなものに夢中な人を指すポジティブな言葉になっていたり、「推し活」って言葉もできていたりする。言葉はみんなが使えば定着していきますから。

ーー作中でパトレイサーが探す「心のキー」。いい思い出の場合も悪い思い出の場合もあるということなので、話せる範囲でお二人の「心のキー」を教えてください。

キムラ:僕にとっては悪いことですね。具体的には言えませんが、忘れられない子供の頃の記憶。すごく腹が立つことやトラウマ。見返してやろうとか、これがトラウマになっている自分の小ささをなんとかしようと頑張っているのかもしれません。

岩城:思い返すと、僕はずっとサッカーが中心の毎日でした。辛い練習もありましたが、大会で強いチームに勝ったり、逆転ゴールを決めたりした時にそういうのが全部吹っ飛んでしまうくらい楽しかったし興奮しました。仲間や親が喜んでくれるし自分も嬉しい。周りに人がいるから喜びが倍増するし、苦しみもいい思い出になる。誰かと一緒に何かする過程や達成した喜びが僕の心のキーですね。

■心のままに楽しめる空間を作りたい

ーーライブパートで、「ここを意識するとより楽しい・さらにノれる」というポイントがあったら教えてください。

キムラ:ミュージカルではなく本当にライブパートです。「心が動く」をテーマに、演劇で歌うような曲というより本当に好きな曲を作り、みんなに歌ってもらいます。まだコロナ禍ですからマスクはつけなきゃいけないし歓声は難しいかもしれない。けど、劇場に入ったらそういうことも忘れてほしいなって。すごいペンライトを作ってもらいましたし、スタンディングはできる。勝手に体が動いちゃうようにしたいなと思っています。あとは演者のみんなが思いを込めて歌ってくれたら。歌は上手くても下手でもいいんです。踊れなくてもいいし。ただ盛り上げたい、楽しんでほしいという気持ちで歌える曲を作ったので、お客さんもライブやフェスに来たつもりで参加してくれたら嬉しいですね。楽しまなきゃしょうがないという気持ちで来てほしいです。

ーー最後に、皆さんへのメッセージをお願いします。

キムラ:何も考えずにただ楽しんでほしいです。劇場に全部込めてあります。

岩城:当たり前のことですが、一生懸命やることって大事というか、全力の人って見ちゃうと思います。さっきキムラさんが「下手でもいい」とおっしゃってましたよね。僕らが開き直るのは良くないけど、上手さを凌駕する熱量ってあると思うんです。そういうものを出せるようにしたいです。新年一発目にいいスタートが切れるような作品になると思うので、ぜひ来てください!

岩城直弥

岩城直弥

取材・文=吉田沙奈    撮影=池上夢貢

公演情報

『おねがいっパトロンさま!The Stage ~ココロを詠え~』
 (C) Happinet/Happinet Media Marketing

(C) Happinet/Happinet Media Marketing

■日程:2023年1月26日(木)~2月5日(日)
※初日の1月26日(木)14:00、19:00公演、および千秋楽の2月5日(日)14:00公演についてライブ配信実施予定

■会場:新宿FACE
 
■原案:『おねがいっパトロンさま!』(株式会社ハピネットファントム・スタジオ)
■脚本・演出:キムラ真(ナイスコンプレックス)

 
■キャスト
アサキ:岩城直弥/さくたろー:TAKA(CUBERS)
ねむる:白石康介/標:結城伽寿也
呼鳥:松村泰一郎/葦切:小林涼/清次郎:早乙女じょうじ
猫屋敷能勢:笠原紳司

 
<アンサンブル> 広瀬蓮 次原恭兵 橋本勇大 高橋晴輝

■スタッフ
脚本アシスタント:大久保悠依(ナイスコンプレックス)
音楽:YOSHIZUMI
振付:はこログ(PLAN CHIME)
ペンライト演出協力:ハピネットSSS開発プロジェクト(株式会社ハピネット)

 
詳細:
前方席(グッズ付)13,000円(税込)
前方席(グッズ無し)12,000円(税込)
一般席 10,000円(税込)
バルコニー席 8,800円(税込)
※別途、会場(新宿FACE)より、ドリンク代500円を頂戴いたします。
 
■イベント割適用お客様実質負担金額:
前方席(グッズ付)11,000円(税込)※2,000円引き
前方席(グッズ無し)10,000円(税込)※2,000円引き
一般席 8,000円(税込)※2,000円引き
バルコニー席 7,040円(税込)※1,760円引き
※イベント割適用は1月公演のみとなります。
※イベント割の適用について、本キャンペーンの要綱(https://wakuwari.go.jp/)に従って、開催当日に会場受付にて「ワクチン接種履歴」または「陰性の検査結果」を確認します。確認ができない場合、割引でのご入場をお断りする場合があります。あらかじめご了承ください。
 
■配信詳細後日解禁
 
■『おねがいっパトロンさま!The Stage ~ココロを詠え~』公式サイト:https://www.onepato.com/stage2023
■『おねがいっパトロンさま!The Stage』公式Twitter: (@onepato_stage
■『おねがいっパトロンさま!』公式サイト:https://www.onepato.com/
■『おねがいっパトロンさま!』公式ツイッター:(@onepato_PR

 
■主催:株式会社ハピネット・メディアマーケティング
■共催:株式会社サンライズプロモーション東京
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