生田絵梨花、田村芽実、石田ニコルらが女子同士のバトルをポップでブラックでとびきりキュートに見せる~『MEAN GIRLS』会見&ゲネプロレポート
ブロードウェイミュージカル『MEAN GIRLS』 (左から)石田ニコル、生田絵梨花、田村芽実、小林香
アフリカで生まれ育った少女・ケイディが、16歳で初めて学校に通う中で本当に大切なことを学んでいくハイスクールコメディ『MEAN GIRLS』。2004年にリンジー・ローハン主演で制作された映画はリアルな学校生活の様子がティーンの心を掴み、大ヒットを記録している。2018年にはブロードウェイでミュージカル化され、同年のトニー賞で作品賞、主演女優賞、脚本賞など、最多の12部門でノミネートされるという快挙をなしとげた本作の日本初演に挑むのは生田絵梨花、田村芽実、石田ニコル、内藤大希、松原凜子、松田るか、小野塚勇人、中谷優心、黒須洋嗣、壮一帆といった錚々たるメンバー。演出・上演台本・訳詞は小林香が手掛ける。
初日開幕に向け、生田絵梨花、田村芽実、石田ニコル、小林香による会見とゲネプロが行われた。
ーーまずは初日に向けた意気込みをお願いします。
生田絵梨花:いよいよ開幕ということで緊張しています。でも、ストーリーが始まってしまえば緊張している余裕もないほど濃い登場人物たちとストーリー展開が待ち受けているので、ケイディとして五感をフル稼働させながら奮闘したいと思っています。
田村芽実:キャスト、スタッフの皆さん一丸となって、コロナ対策も含めて頑張ってきました。この状況下で幕を開けられることをとても幸せに思っています。一生懸命頑張ります。
石田ニコル:みんなでたくさん頑張って準備してきたので、皆さんをピンクの世界に引き込み、楽しませて、あっという間に時間がすぎるよう、私たちも楽しみながら演じたいと思います。
小林香:笑いありノリあり、可愛らしさ、下ネタも感動もありと、ミュージカルの楽しさが詰め込まれた作品になっております。ぜひ全身でピンクを浴びに、劇場に遊びに来てください。
ーー稽古の雰囲気はいかがでしたか? また、小林さんの演出で印象的な部分があれば教えてください。
生田:スクールカーストの話なのでストーリー上はバチバチですが、稽古場はすごく和気あいあいとしていました。でもやっぱり、グループごとに自然と集まってしまうことは多かったです。二人(生田演じるケイディと田村演じるジャニス)は親友の役なので、気づくと触っていたりお互いを褒めたりしてましたね。
田村:香さんの演出を受けるのは初めてでしたが、生田絵梨花ちゃんと香さんが稽古中も休憩中もすごくディスカッションしていて驚きました。その光景を見て、私もただ役を演じるのではなく、毎回新しいアイデアや演じ方を作らないといけないなと思っていました。
小林:私は40代なので、16歳の気持ちはより近い方に聞かないと。
生田:香さんがディスカッションをさせてくれるというか、なんでも来いという姿勢で居てくれてやりやすかったです!
小林:本当ですか? よかったです。
石田:プラスティックスのルールに「水曜日はピンクを着る」というのがあって、稽古場でも水曜日はみんな稽古着や小物にピンクを入れていました。それで一体感を感じられて、ルールも悪くないと思いました。
ーー海外のスラングや若者独特の文化が登場します。翻訳する際に特に気をつけたポイントはありますか?
小林:原作の脚本を読んだ時、「これをこのまま日本で上演して大丈夫かしら」という気持ちはありました。しかし、作家のティナ・フェイさんが身を削って一文字ずつ書いた作品ですので、なるべく誠実に演出するのが私の仕事だと思います。ただ、カルチャーや時事問題の認識はだいぶ違いますから、日本のお客様にティナさんの意図が明確に伝わるような日本バージョンの翻訳を心がけました。さらにキャストの皆さんともディスカッションして改良を重ね、ギリギリまで言葉と格闘しました。
ーープラスティックスには「水曜日はピンクの服を着る」などのルールがあります。皆さんには独自のルールはありますか?
生田:私は舞台の本番がある時は毎朝ステーキを食べるのがルールでした。でも、歳をとって胃が弱ってきたので、ここ最近は「毎朝焼き鮭を食べる」にルール変更して続けています。
田村:この作品に限ってですが、私はプラスティックスと仲が悪い役なので、逆に水曜日は絶対にピンクの服を着ていかないルールにしていました。水曜日以外はピンクのコートなどを着ていましたが、水曜日だけは絶対着て行かないように気をつけてました。
生田:なるほど、だから着てなかったんだ。でも冷静に考えたら、ピンクを着てたのはプラスティックスと私の4人だけだったかも。
石田:でもみんなヘアゴム付けてくれてたよ。あれは嬉しかった。
小林:みんなさりげなくピンクを着てましたね。
石田:舞台の初日はスカートを着て、作品に合ったドレスアップして楽屋入りするのが自分の中のルールです。明日もピンクを取り入れたコーディネートで初日に臨みます。
ーー最後に、楽しみにしている皆さんへ一言お願いします。
生田:番宣などで「ポップでキュートなガールズパワーをお届けしたい」と言っていましたが、稽古を重ねていくとそれだけにとどまらないメッセージ性をビシビシ感じました。ドロドロしたものやブラックなこと、尖っていたり歪だったり、枠に嵌らない形を皆さんにお見せして、「いいな」「自分も自分らしくいたいな」と思っていただけるように。そしてキラキラした気持ちを持って帰ってもらえるよう、みんなで一丸となって頑張りたいと思います。ぜひ楽しみにしていてください!
アフリカで育ったケイディ・ヘロン(生田絵梨花)は、16歳で初めてアメリカに引っ越し、高校に通うことになる。
なかなか馴染めず浮いている彼女に話しかけたのは、アートフリークの女子・ジャニス(田村芽実)とゲイボーイ・ダミアン(内藤大希)というはみだしもの二人。ケイディは二人から、学園の女王様的存在であるレジーナ・ジョージ(石田ニコル)、カレン(松田るか)、グレッチェン(松原凛子)というスクールカーストTOPの三人組「プラスティックス」に気をつけるよう忠告される。この三人の傍若無人具合にはデュバル校長(黒須洋嗣)も頭を悩ませている。
そんなある時、ケイディはひょんなことからレジーナに「仲間に入れてあげてもいい」と言われる。それを聞いたジャニスは、ケイディに仲間の振りをして因縁の相手であるレジーナの弱みを握ってほしいと頼む。
一方、ケイディは数学の授業で一緒になったアーロン(小野塚勇人)に一目惚れ。それを知ったレジーナに仲を取り持つといわれ、プラスティックスに入ることを決める。レジーナの家に呼ばれ、ミセス・ジョージ(壮一帆)に気に入られるなど、ケイディは次第にグループに染まっていき……。
生田は、学校に根付いたカーストなど、アフリカで暮らしていた頃はなかったものにカルチャーショックを受けつつパワフルに生きるケイディを好演。良くも悪くも学校生活に染まっていく様子をリアリティを持って演じ、ハラハラドキドキさせてくれる。日本の学校とは文化が少し違うものの、転校してきてすぐの不安な気持ち、友達との関係や学内での派閥、好きな人とのもどかしい距離など、彼女が直面する問題に誰もが共感できるはずだ。
学校のはみ出しもの・ジャニスとダミアンは、ストーリーテラー的な役割も担い、客席と登場人物たちを繋いでくれる。田村と内藤は一見明るく強い人間に見える二人の抱える傷を繊細に表現し、愛すべきキャラクターとしてイキイキと見せている。田村はレジーナとの過去の因縁を引きずりながらも自分らしく戦おうとするジャニスの強さと弱さをしっかり見せ、内藤は面倒見がよく友達想いなダミアンを愛らしく演じる。楽しくポップな曲や迫力あるロックな曲、しっかり聞かせる曲まで、二人の歌唱力を存分に発揮したナンバーも魅力に溢れていた。
スクールカーストトップのプラスティックスを演じる三人のバランスも絶妙。
学園の女王的存在・レジーナを演じる石田は、堂々とした立ち居振る舞いとコケティッシュな表情が印象的だ。周囲が彼女に魅了され、振り回されるのも納得の強いオーラをまとい、登場するたびに空気をピリッと引き締める。カレン役の松田は、ちょっとおバカでとびきりキュートな女の子をチャーミングに演じ、あっけらかんとしたキャラクターで和ませてくれる。グレッチェンを演じる松原は、TOPに君臨するレジーナへの憧れと嫉妬に揺れる心境を見事に表現。思春期らしい不安定な友情と自意識により、女子グループの関係性の複雑さ、スクールカーストの残酷さを印象深く見せてくれた。
壮一帆は変わり者の数学教師・ノーバリー先生とレジーナの母、ミセス・ジョージという真逆の二役をそれぞれ魅力的に演じる。黒須演じるデュバル校長とノーバリー先生は、個性的な生徒たちに引けを取らない存在感を放ち、物語のアクセントとなっている。学校にひとりはいる「変わっているけどいい先生」として生徒を見守り、導く姿が心強い。
数学オタクのケヴィン役・中谷は、ケイディとアーロンが出会う数学のクラスや数学クラブのシーンでユーモラスな個性を発揮。安定感のある歌唱も心地よい。
そしてケイディの恋の相手・アーロンを演じる小野塚は、気さくながら落ち着いた雰囲気が目を引いた。数学クラスで二人が距離を縮めていく様子が微笑ましく、可愛らしい恋を応援したくなる。また、彼への恋心をきっかけに周囲に染まっていくケイディと、スクールカーストやマウントの取り合いといったものから一歩引いたところにいる彼の対照的な姿に切なくなる。
ケイディと周囲の変化を通して思春期の女子によるバトルやスクールカーストの残酷さを赤裸々に描き、彼女たちの成長と彼女たちを取り巻く大人の温かい目からたくさんのメッセージを伝えてくれる本作。ポップでキュート、ブラックでパワフルでハッピーなカーストバトルの行く末を、ぜひ劇場で見届けてほしい。
取材・文・撮影=吉田沙奈
公演情報
<東京公演>2023年1月30日(月)~2月12日(日)東京建物Brillia HALL
<福岡公演>2023年2月17日(金)~2月19日(日)キャナルシティ劇場
<大阪公演>2023年2月23日(木祝)~2月27日(月)森ノ宮ピロティホール
PINK DAY:水曜日はピンクの日 ピンクのファッションを身につけて来場の方にスペシャル特典をプレゼント
脚本:ティナ・フェイ
音楽:ジェフ・リッチモンド
作詞:ネル・ベンジャミン
演出・上演台本・訳詞:小林香
小野塚勇人(劇団EXILE) 中谷優心 / 黒須洋嗣 / 壮一帆
鈴木満梨奈 鈴木里菜 中嶋紗希 増山航平 松村桜李 村上貴亮 山﨑感音
S席:13,500円 A席:9,500円 B席:5,000円(全席指定・税込)
※未就学のお子様はご入場いただけません。ご了承ください。
※車イスでご来場予定のお客様は、予めご購入席番をスペース(03-3234-9999)にご連絡ください。
【独自席種・独自価格】
日程:2023年2月10日(金)
会場:東京建物ブリリアホール
開演:18:00~ (開場 17:15~)
【手数料0円・座席選択】一般発売
受付期間:2022/11/26(土)10:00~2023/2/10(金)18:00
は【こちら】から
東京公演主催:アミューズ/フジテレビジョン
東京公演に関するお問い合わせ:スペース 03-3234-9999
(平日10:00-12:00/13:00-15:00)※電話対応時間は変更になることがございます。
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