第67回岸田國士戯曲賞、加藤拓也氏『ドードーが落下する』と金山寿甲氏『パチンコ (上)』の2作に決定
加藤拓也氏(撮影:久田絢子)・金山寿甲氏(撮影:田中大介)
第67回岸田國士戯曲賞(白水社主催)の選考会が、2023年3月17日(金)、東京神田錦町・學士會館で行われ、選考の結果、加藤拓也(カトウ タクヤ)氏の『ドードーが落下する』と、金山寿甲(カナヤマ スガツ)氏の『パチンコ (上)』の2作が受賞作と決定した。正賞は時計、副賞は各30万円で、授賞式は4月25日(火)午後6時より東京神田錦町・學士會館にて行われる。今回の選考委員は、岩松了、岡田利規、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、野田秀樹、本谷有希子、矢内原美邦(五十音順、敬称略)の6名だった。
[選考委員コメント]
■加藤拓也『ドードーが落下する』
落ちてゆく売れない芸人を扱いながら、その明るさが怖い。その不気味な明るさは人の行為の不 気味を生んで秀逸である。(岩松了)
■金山寿甲『パチンコ(上)』
金山氏の「帰化したら在日ネタできなくなるじゃん」と軽々と言ってのける姿勢に、マイノリティを弱者として扱わせない覚悟を垣間見、すべてをエンタメにしてやろうという作家としての欲深さを感じ取った。何より、世界が勝手に「傷ついてるだろう」と思い込んでる側からの、「いえ、別に傷ついてませんけど?」という返し。ハッとさせられた。作品に頻出する「葛飾区」というワードには、自分が生まれ育った場所からカウンターストーリーを生み出してやろうという野心が見て取れる。全候補作のなかで、唯一ストリート感が匂い立ち、私はそういう作品を支持したいと思った。受賞、おめでとうございます。(本谷有希子)
[受賞作、および受賞作家の略歴]
加藤 拓也(カトウ タクヤ)氏
加藤拓也氏(撮影:久田絢子)
■受賞作:『ドードーが落下する』(ドードーガラッカスル) (上演台本)
■初演:2022年9月21日~10月23日(KAAT 神奈川芸術劇場大スタジオ、まつもと市民芸術館小ホール、札幌市民交流プラザ・クリエイティブスタジオ)
■上演形式:劇団公演
公演ちらし
<作者略歴>
■本名:加藤拓也(カトウ タクヤ)
■生年月日:1993年12月26日
■出身地:大阪府
■所属劇団名:劇団た組(主宰、劇作家、演出家)
■岸田國士戯曲賞最終候補回数:1回目
■他の主な作品:「ぽに」「もはやしずか」
金山 寿甲(カナヤマ スガツ)氏
金山寿甲氏(撮影:田中大介)
■受賞作:『パチンコ(上)』(パチンコ ジョウ)(上演台本)
■初演:2022年9月16日~9月20日(シアター1010 稽古場1)
公演ちらし
<作者略歴>
■本名:金山壽甲
■生年月日:1975年2月16日
■出身地:千葉県流山市
■最終学歴:東洋高等学校商業科卒業
■所属劇団名:東葛スポーツ(主宰、劇作家、演出家)
■岸田國士戯曲賞最終候補回数:2回目
■他の主な作品:「A-②活動の継続・再開のための公演」(第65回岸田國士戯曲賞最終候補作品)
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なお今回の最終候補作品は次のとおりだった。(作者五十音順、敬称略)
石原燃『彼女たちの断片』(『夢を見る 性をめぐる三つの物語』所収、アジュマブックス)
上田久美子『バイオーム』(上演台本)
加藤拓也『ドードーが落下する』(上演台本)
金山寿甲『パチンコ(上)』(上演台本)
兼島拓也『ライカムで待っとく』(「悲劇喜劇」2023年1月号掲載)
鎌田順也『かたとき』(上演台本)
中島梓織『薬をもらいにいく薬』(上演台本)
原田ゆう『文、分、異聞』(上演台本)
松村翔子『渇求』(いぬのせなか座叢書)