オスカー・ワイルドの耽美的、退廃的な戯曲をR.シュトラウスがオペラ化 スキャンダラスな傑作『サロメ』を上演

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2023.3.22
新国立劇場「サロメ」2016年公演より    撮影:寺司正彦

新国立劇場「サロメ」2016年公演より    撮影:寺司正彦

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2023年5月27日(土)~6月4日(日)新国立劇場 オペラパレスにて、オペラ『サロメ』が上演される。

本作は、新約聖書の挿話をもとに、作家オスカー・ワイルドの代表作にして、耽美的、頽廃的な戯曲を、作曲家リヒャルト・シュトラウスが極彩色の音楽でオペラ化したスキャンダラスな傑作。背徳的な内容と衝撃に、ウィーンでは上演禁止の措置が取られるなどヨーロッパ中のセンセーションにもなった。

新国立劇場「サロメ」2016年公演より     撮影:寺司正彦

新国立劇場「サロメ」2016年公演より     撮影:寺司正彦

新国立劇場「サロメ」2016年公演より     撮影:寺司正彦

新国立劇場「サロメ」2016年公演より    撮影:寺司正彦

新国立劇場「サロメ」2016年公演より    撮影:寺司正彦

新国立劇場「サロメ」2016年公演より    撮影:寺司正彦

全1幕の舞台に豊麗で甘美な旋律と大胆な不協和音が凝縮され、緊張感に満ちた濃密なドラマには息をつく暇もない。クライマックスの「7つのヴェールの踊り」は、サロメが身にまとったヴェールを1枚1枚剝ぎ取りながら妖艶な踊りを披露する、官能美と緊迫感に満ちた見せ場となっている。

新国立劇場の『サロメ』は故アウグスト・エファーディング演出、ミュンヘンのバイエルン州立歌劇場で上演されてきた名舞台で、舞台中央に巨大な古井戸を据えた、迫力と妖しさ漂う秀作。

新国立劇場「サロメ」2016年公演より     撮影:寺司正彦

新国立劇場「サロメ」2016年公演より     撮影:寺司正彦

新国立劇場「サロメ」2016年公演より     撮影:寺司正彦

新国立劇場「サロメ」2016年公演より     撮影:寺司正彦

注目のサロメには、バロックからヴェルディ、ヴェリズモ・オペラで活躍、抜きんでた表現力で世界中の観客を圧倒しているアレックス・ペンダ(アレクサンドリーナ・ペンダチャンスカ)。ヨハナーンはワーグナーやロシア作品をレパートリーに著名劇場で大活躍するトマス・トマソン、サロメの義父ヘロデはヘルデンテノールのベテラン、イアン・ストーレイ。へロディアスは新国立劇場『イェヌーファ』コステルニチカで大評判となったジェニファー・ラーモアと、世界の実力派が揃う、期待の顔ぶれ。

アレックス・ペンダ

アレックス・ペンダ

トマス・トマソン

トマス・トマソン

イアン・ストーレイ

イアン・ストーレイ

ジェニファー・ラーモア

ジェニファー・ラーモア

また、サロメに恋するナラボートを演じる鈴木准、ヘロディアスの小姓役の加納悦子ら、国内からもオペラファンを魅了する実力派が勢揃いする。

指揮はリヒャルト・シュトラウスを得意とするコンスタンティン・トリンクスが当たる。

指揮:コンスタンティン・トリンクス

指揮:コンスタンティン・トリンクス

音楽の力をストレートに伝える本舞台は、オペラファンに留まらず、オーケストラファンにも満足できる作品のため、体験してみてはいかがだろうか。

新国立劇場「サロメ」2016年公演より     撮影:寺司正彦

新国立劇場「サロメ」2016年公演より     撮影:寺司正彦

新国立劇場「サロメ」2016年公演より     撮影:寺司正彦

新国立劇場「サロメ」2016年公演より     撮影:寺司正彦

 
【あらすじ】
紀元30年頃。不気味な月が昇る晩に、領主ヘロデの宮殿で宴が催されている。ヘロデの義理の娘サロメは、ヘロデのいやらしい視線と宴の退屈さに嫌気がさし、外に出てくる。サロメに恋焦がれる衛兵隊長ナラボートは、今晩は彼女が一段と輝いて見えると称えるが、小姓は不吉な予感がしてたまらない。すると庭の古井戸から「救世主が現れる日がついに来た」と語る声が。それは預言者ヨハナーンの声だった。彼は、サロメの母ヘロディアスを糾弾したために古井戸に幽閉されているが、ヘロデからも恐れられている。興味を持ったサロメは、ヨハナーンを連れてくるようナラボートに命じる。古井戸から出てきたヨハナーンは、穢れたヘロディアスの罪を激しく非難するが、サロメはすっかり魅せられてしまう。サロメはヨハナーンにキスを求めるが、彼は拒否。その光景に耐えられずナラボートが自殺してしまうほど、サロメは何度もキスを求めるものの、ヨハナーンは「呪われよ」との言葉を吐いて、古井戸に戻る。ヘロデはサロメを宴の席に呼び戻し、酒を一緒に飲もう、横に座れ、と誘うが、サロメは断る。
ヨハナーンは「ついにその日が来た」と不気味に語り、ユダヤ人たちは神や預言者についての論争を繰り広げる。ヘロデはおもむろにサロメに踊りを求める。嫌がるサロメだが「望みのものを何なりと褒美にやる」と言われ、妖艶な踊りを披露する。踊り終えてサロメが要求したものは、ヨハナーンの首であった。恐れおののくヘロデがどんなに諭してもサロメが要求を変えないため、ヘロデはその望みを受け入れる。銀の盆に載って運ばれるヨハナーンの首。受け取ったサロメは、ヨハナーンに口づけして恍惚とする。あまりのおぞましさに、ヘロデは兵士たちにサロメ殺害を命じるのだった。

 

公演情報

新国立劇場 2022/2023 シーズンオペラ
リヒャルト・シュトラウス

『サロメ』
Salome / Richard Strauss
全1幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉
 
日程:2023年5月27日(土)~6月4日(日)
会場:新国立劇場 オペラパレス
予定上演時間:約1時間40分(休憩なし)
 
スタッフ:
【指揮】コンスタンティン・トリンクス
【演出】アウグスト・エファーディング
【美術・衣裳】ヨルク・ツィンマーマン
 
キャスト:
【サロメ】アレックス・ペンダ
【ヘロデ】イアン・ストーレイ
【ヘロディアス】ジェニファー・ラーモア
【ヨハナーン】トマス・トマソン
【ナラボート】鈴木 准
【ヘロディアスの小姓】加納悦子
【5人のユダヤ人1】与儀 巧
【5人のユダヤ人2】青地英幸
【5人のユダヤ人3】加茂下 稔
【5人のユダヤ人4】糸賀修平
【5人のユダヤ人5】畠山 茂
【2人のナザレ人1】北川辰彦
【2人のナザレ人2】秋谷直之
【2人の兵士1】金子慧一
【2人の兵士2】大塚博章
【カッパドキア人】大久保光哉
【奴隷】花房英里子
 
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
【芸術監督】大野和士
 
料金】S:22,000円 ・ A:16,500円 ・ B:11,000円 ・ C:6,600円 ・ D:3,300円・ Z:1,650円
【前売開始】2023年3月12日(日) 
 
公演情報 WEB サイト https://www.nntt.jac.go.jp/opera/Salome/

全国公演:
日程:2023年6月11日(日)14:00・13日(火)19:00
会場:札幌文化芸術劇場 hitaru
札幌公演はヨハナーン役に青山貴、管弦楽には札幌交響楽団が出演します。
https://www.sapporo-community-plaza.jp/event.php?num=2916
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