『シカゴ』シネマオーケストラが4月に開催 指揮者の栗田博文にインタビュー&コンサートマスター石田泰尚よりメッセージが到着
映画公開20周年記念 『シカゴ』シネマオーケストラ
2023年4月8日(土)東京国際フォーラム・ホールAで開催される、『シカゴ』シネマオーケストラ。この度、本公演について指揮者の栗田博文にインタビュー&コンサートマスター石田泰尚よりメッセージが届いたので紹介する。
映画『シカゴ』より
『シカゴ』はブロードウェイでの大ヒットミュージカルが元になった映画で、音楽的にもミュージカル映画ならでの魅力が満載な作品だ。
映画『シカゴ』より
本公演はこれまでに数多くのシネマオーケストラ公演を経験されている栗田博文が指揮を、演奏はドラマ『リバーサルオーケストラ』の演奏で話題になった神奈川フィルハーモニー管弦楽団が務める。
今回、栗田博文には20年間愛され続ける名作『シカゴ』の見どころ、聞きどころをうかがった。また神奈川フィルハーモニー管弦楽団のコンサートマスターであり、自身の弦楽合奏団「石田組」としても活躍する石田泰尚からもメッセージが到着した。
映画『シカゴ』より
映画『シカゴ』より
栗田博文 インタビュー
栗田博文
ーー指揮者からみた、映画『シカゴ』の音楽的な特徴を教えてください。
1920年代のシカゴを舞台にした作品。映画の開始直後にヴェルマが歌い、踊る有名なナンバー「All That Jazz」から分かるように全編、クールでジャジーな多くの楽曲を楽しめます。
ーー指揮者からみた、映画『シカゴ』ならではの聴きどころはありますか?
ロキシー(レネー・ゼルウィガー)/ヴェルマ(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)/ビリー(リチャード・ギア)3人のメインキャストの素晴らしい歌唱力は聴きどころのひとつですし、ダンス、タップは見どころ。また同様に、個性的な脇役達のキャラクターを活かした楽曲も聴きどころです。
映画『シカゴ』より
映画『シカゴ』より
映画『シカゴ』より
ーー好きなシーンを教えて下さい。
自分の欲望を満たすため、生きるため、手段を選ばない人々をコメディタッチで描くミュージカル。有名なヴェルマの「All That Jazz」、ロキシー「Roxie」も素敵ですが、ママ・モートン(クイーン・ラティファ)の「When You’re Good to Mama」、ビリーの皮肉が見事な「We Both Reached for the Gun」、同じくビリーの175小節の長いドラムソロだけで繰り広げる「Tap Dance」、ロキシーの哀れな亭主エイモス(ジョン・C・ライリー)による「Mr.Cellophane」などが好きです。
ーー指揮者からみた、映画『シカゴ』をシネオケで観ることの魅力は何ですか?
何と言ってもリアルなライブ感です。編集済みの完成されたオリジナルサウンドトラックとは一味違う、今、目の前で生み出されるサウンド。さらに、演奏者のアクション、息遣い、様々な要素が複合的に楽しめます。贅沢な時間になること請け合いです。
ーーミュージカル映画では歌唱部分の演奏が多いですが、普通の映画(ミュージカル映画ではない映画)のシネオケと比べて難しさなどの違いはありますか?
ミュージカル映画のシネマオーケストラは、歌唱部分はオリジナル部分を残し、バックのオーケストラを完全に生演奏する訳ですが、普通の映画音楽より過酷な集中力と絶妙なタイミングでの演奏が求められます。
通常の映画では大まかなスタート地点から通過点、終着点を守る中でも多少の自然な音楽の揺らぎが許されますが、オリジナルの歌唱やダンスに合わせるのは経験も必要ですし、演奏中の緊張感は極限に近いです。逆の見方をすると、演奏側も「極限の緊張感」を楽しめる! というのが、ミュージカル映画の醍醐味です。
映画『シカゴ』より
映画『シカゴ』より
石田泰尚 メッセージ
石田泰尚
神奈川フィルとしては、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『E.T.』『ジュラシック・ワールド』inコンサートなど、映画全編に生演奏を合わせるシネマオーケストラコンサート(シネオケ)を何度か演奏させていただいていますが、私は2018年の『ホーム・アローン』がシネオケ初体験で、今回で2回目になります。この形態のコンサートは、何よりも指揮者が大変です。
今回の『シカゴ』はミュージカル映画なので、映画の中で歌って踊るキャストに合わせるだなんて、想像を絶します。
我々奏者は、指揮者の栗田さんについていくだけです! 楽しみにしています!
公演情報
『シカゴ』シネマオーケストラ
会場:東京国際フォーラム・ホールA(有楽町)
指揮:栗田博文
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団
プロフィール
1988年、第23回東京国際音楽コンクール指揮部門において第1位優勝を果たし、翌年、国内主要オーケストラを指揮しデビュー。1989年に渡欧。同年、第1回アントニオ・ペドロッティ国際指揮者コンクール(イタリア)に入賞し国際的な評価を確立。1995年、第1回シベリウス国際指揮者コンクール(フィンランド)の最高位に輝く。同年、フィンランド放送交響楽団より招かれ、ヨーロッパデビューを果たし大好評を博す。国内外の活発な指揮活動とともに、国立音楽大学客員教授を務め、後進の指導にも力を注いでいる。クラシック音楽の古典から現代作品まで、幅広いレパートリーを持つほか、様々なジャンルとのコラボレーションも積極的に行っている。
<石田泰尚>
神奈川フィルハーモニー管弦楽団 - 1stヴァイオリン / 首席ソロ・コンサートマスター
国立音楽大学を首席で卒業、同時に矢田部賞受賞。新星日本交響楽団コンサートマスターを経て、2001年より神奈川フィルハーモニー管弦楽団ソロ・コンサートマスターに就任。以来、“神奈川フィルの顔”となり現在は首席ソロ・コンサートマスターとしてその重責を担っている。これまでに神奈川文化賞未来賞、横浜文化賞文化・芸術奨励賞を受賞。幅広いレパートリーを誇り神奈川フィル他各地のオーケストラと協奏曲の演奏やリサイタルを行いソリストとしての顔も持つ。2018年「音楽の友」4月号「クラシック音楽ベストテン」においてソリスト・室内楽など4部門にランクインするなど各方面から高く評価されている。