私立恵比寿中学、新体制初のツアー&音源リリースへの想いを訊く「がむしゃらに頑張って、みなさんの好きなエビ中を全国に届けたい」
私立恵比寿中学
――さて、新曲「kyo-do?」です。
小林:この曲って、好きな人に向けてなのか、友だちに向けてなのか、大人数に向けてなのか、聴く人によって解釈の違いがあると思うんですけど、最近、「自己肯定感」っていう言葉をよく聞くし、自信が持てなくて自分のことを下げちゃう子も多いと思うので、この曲のサビにある<一緒にいいね!とかも付けあえたら>とか<お互い好きのために戦える感じがする!>とか、自己肯定感爆上げ曲だなって個人的には思ってます。すごく明るいしキャッチーなので、自信が持てない子たちにも届けばいいなって思ってます。
――この曲、めちゃめちゃ難しくないですか。
全員:難しいです!
――音の跳躍もあるし、メロディーもコロコロ変わるし。
中山:最初に楽曲をいただいたときは、今TikTokで流行ってる楽曲をつくってらっしゃるヤマモトショウさんの曲ということで、私はアイドルらしくてかわいい楽曲がすごく好きなので「やったー!」と思って聴いてみたら、「え……この曲をエビ中が……?」って。でも、実際すごく難しかったけど、完成形を聴いたときにちゃんとエビ中になってて、それがすごいなと思いました。私も<お互い好きのために戦える感じがする!>っていうサビの歌詞が好きなんですけど、自己肯定感とか気分を上げてくれる曲だなって思いました。
――今回、どういうことを意識してボーカル録りを行ったんですか。僕の印象としては、それぞれの個性を全開にするというよりも、全員一丸となりつつも、一人ひとりの持ち場をしっかり守る団体戦という印象を受けました。
星名:言葉遊びが多くて、エビ中の昔の楽曲に近しい部分もあると思うのですが、実はとても難しい曲です。サビのユニゾンでファルセットを使う部分や音階などが非常に難しいです。かわいくておもしろい楽曲は過去のエビ中にもあるのですが、そこに技術面の難しさが足されているので、10年以上エビ中で経験させていただいているものをしっかり表現しなければならない曲だと思います。
――これまでの経験をもってしてもハードだった楽曲にいきなり臨んだ桜井さんはどうでしたか?
桜井:仮歌を聴いたときはすごくかわいい曲だなって思ったんですけど、(中山)莉子ちゃんが言ってたようにRECのときはすごく苦戦しました。でも、歌詞には深い意味がたくさん込められてるし、サビのダンスはTikTokで流行りそうというか、みんなが踊りやすい振り付けになってるので、皆さんにも踊ってほしいなって思います。
――小久保さんの<どうする?>はライブでファンが沸くポイントのひとつになるんじゃないかと思ってるんですけど、ここはどういう気持ちで表現したんですか。
小久保:もう、本当に、「どうする?」って。
全員:あはは!
――(笑)イメトレはしたんですか?
小久保:自分がセリフパートをもらうとは思ってなくて……これ、1回しか録ってないんですよ。
――ああ、そうなんだ。
小久保:1回目は上手くできたけど、2回目はタイミングがすごくズレちゃって、「1回録れてるし、いっか」ってなって、最初のが使われてます。
小林:すごい! ファーストテイクだなあ。
小久保:だから、すごくいい「どうする?」だったんだなって。リズムとかを気にしながらいろいろ考えてたので、ちょっと慌てた「どうする?」になりました。
――ああ、だからこそ、「どうする?」感がちゃんと出てたんですね。
小久保:そうですね(笑)。
――偶然なのかはわからないですけど、星名さんは各ブロックの頭を担当していますね。
小林:レコーディングのときに(星名)美怜ちゃんはちょうど喉の調子を悪くしていたので、美怜ちゃんだけパートを指定されて録ったんです。
――ああ、なるほど。
星名:初めて歌うパートが決まってる状態で録りました。
小林:普段、エビ中ってみんな1曲丸々つるっと歌うので、完成するまで自分のパートがどこになるのかわかんないんです。
星名:30分でレコーディングが終わりました。
中山:あ、そうなの!?
小林:こんな難しい曲を30分で(笑)。
――それもすごいですね。
小林:すごいですよね(笑)。
小久保柚乃
――小久保さんは今のエビ中の楽曲の雰囲気についてどう感じていますか。
小久保:私が初めて参加した曲が「イヤフォン・ライオット」で、そのときも明るくてポップな曲だと思っていたけど、今回も明るくてポップだけどタイプは全く違うし、前回のアルバム『私立恵比寿中学』の頃とも違って、いろんなエビ中が見れてすごく楽しいし、曲の振り幅がさらに広がって、かわいい曲からカッコいい曲まであって、より楽しめるようになったなと思います。
――あの……僕が小久保さんとお話するのは今回が初めてなんですけど、こんなこと言うのも失礼なんですが、小久保さんってもともとこんなにお話ができる方だったんですか。
中山:もともと頭がいい(笑)。
小林:機転の効く子です(笑)。
――ラジオを聴いてるときの印象と違って。
中山:緊張するよね、ラジオはね。
小林:ちょっと危ういところはあるけど(笑)。
小久保:ラジオとかたまに「ははは」しか言ってないときとかあるけど(笑)。
――僕、「エビ中☆なんやねん」をよく聴いてるんですけど。
小久保:「なんやねん」は本当に「ははは」しか言えてなかったんですけど、最近やっとちょっとずつ喋れるようになってきました(笑)。
小林:よかった。
――小久保さんが苦手だというオジサンたち(共演者のなすなかにし)への対応もちゃんとできるようになってきました?
中山:そこはまだちょっとね(笑)。
小久保:ちょっとずつ慣れていきます……(笑)。
――面白いのでそこはずっと慣れないでほしいという気持ちもあります(笑)。話を戻しますが、「kyo-do?」はライブで披露するのがすごく難しそうですね。
小林:リハーサルはこれからなんですけど(※インタビュー時)、育つまでけっこう時間かけないと。
中山:ダンスもけっこう踊るし歌も難しいので、ツアーを通して育てていかないと。
――自分のパートが歌えればいいというわけじゃなくて、ちゃんと次のメンバーに渡していくのも難しそうですね。
小林:この曲に限らず、そこは9人になったときから苦戦しているところですね。悩んだときもあったんですけど、それも込みで育てていくしかないので、練習頑張ります!
小林歌穂
――ツアーはどうなるんですかね。
小林:どうなるんですかね~。
中山:10人になって初めてのツアーで、ライブ自体もまだ数本しかやってないですけど、今はさいたまーパーアリーナでライブをすることを目標に活動しているので、ここでちゃんと掴みたいなって思います。最初が大事!
――歌割りがどうなっていくのかも気になるところです。これまではここぞというパートを柏木さんが担うことが多かったですが。
中山:でも、ここは……(ぼーっとしている桜井に気付いて、手をパチパチ叩きながら)眠たそうにしてる……!(笑)
小林:これまでは莉子ちゃんがよく「眠たい?」って言われてたのに(笑)。
中山:もうちょっとで白目むくところだったよ(笑)。
小林:帰っておいで!
――あはは! いつ話が飛んでくるからわからないので気をつけてくださいね(笑)。
中山:(桜井を見ながら)幕張の初ステージでも堂々と歌い上げてたので楽しみ。どんどん大事なパートを任せることが増えると思うので。
小林:引っ張ってくれるはず。
――個人的に気になっていることなんですけど、「紅の詩」って今後どうなっていくんですか。
小久保:フリーライブで一応、5人では歌いました。
――そうなんですね! どうでした?
小久保:ファンの方々はすごく喜んでて、「また聴けると思ってなかった」って。5人でやっていく覚悟みたいな気持ちで「紅の詩」を選んだのでよかったですね。
――よくやりましたね。
小久保:自分たちでも「一番最初の公演でやるんだ」って思ってました。
小林:攻めたね。
――それだけ強い気持ちがあった。
小久保:5人のことをもっとファミリーのみんなに知ってもらうために、認めてもらうために選びました。
――カッコいい! ちょっと話は変わりますが、以前、別のアイドルグループのインタビューをしたとき、ちょうどエースと言われるメンバーが卒業するタイミングで、今後エースを担うのは誰かという話になったときに、「元々いるメンバーではなくて入ったばかりの新メンバーになるんじゃないか」という話をしていて。元々いるメンバーは自分たちのキャラがすでに確立されてるから、若いメンバーのほうが合ってるのかもしれない、みたいなことを言っていて、そういう考え方もあるんだと思ったんです。今の話を聞いてどう感じますか。
小林:エビ中はいいとこ取りをできる体制になってるんですよね。もちろん、えまとかに任せる場面もあれば、お姉さんメンバーで固めていく場面もあったり、どっちも見せられるんです。
中山:キャラがちゃんとあるというか、「ここは私!」っていうのがそれぞれあるから、一人ひとりがエースだと思って活動していきたいです。
小林:みんなで背負っていきたいよね。
星名:場面によって中心が変わっていくのがエビ中だよね。
――確かにそうですね。ずっとそれでやってきてますもんね。
小林:そうですね。リーダーもいないし、みんなで協力し合ってっていうのがエビ中の味なんじゃないかなと。
――これができる人がエース、じゃなくて、一人ひとり飛び抜けた個性があるからみんなエース、みたいな。
小林:そうやって聞くとカッコいいね。
中山:カッコいいね。
星名:そういう個性を発揮できる場所が与えられているから長く続けられるんだと思います。
小林:たしかにー。
――なるほど。だから、メンバーに対して変なライバル心がないっていう。
中山:そういうことか。
星名:尊重してるよね。
小林:それぞれで成立しているから戦う人もいない。いいグループですわぁ! あはは!
――これからさいたまスーパーアリーナを目指していくにあたって、今度の春ツアーもすごく大事なものになると思うんですけど、そのほかに何が必要になってくると思いますか? やっぱり、そう簡単に立てるステージではないと思うんですよ。
小林:そうですね。エビ中は人間味がとてもあるアイドルで、そこをすごく大事にしてるので、とにかくがむしゃらにやるのは大事だとは思っていて。私たちの泥臭さが響いて「エビ中っていいよね」と言ってくださる方も多いので……泥まみれになりましょう!(笑)
――あはは!
小林:もう一回気を引き締めて、と言いますか。年齢や歴の差はあるけど、「みんなでスクラム組んでいこうぜ」みたいな。
中山:スクラブ?
小林:肌ツルツルになるヤツじゃなくて。
中山:そっちではなくて!(笑)
小林:肌もツルツルにしてほしいんだけど、肩組んで、もう一回改めてエビ中というものをより良いものにしていくために、みんなでがむしゃらに頑張りたいなって思います。
星名:エビ中らしさというものが今は変わったので、それを受け入れてもらえるようにすることがまずは大事なのかなと思います。私たちに相当なパワーがないとファンの方も変化を受け入れようという気持ちにはならないと思うので、私たちは変わったけど、みなさんの好きなエビ中を全国に届けたいと思います。
――小久保さんはどうですか。
小久保:ツアーを通してもだし、5人でやったフリーライブもそうだし、そういうことを通じてどんどんどんどん新しいファミリーを増やしていかなきゃなと思います。エビ中はメンバーの年齢が幅広いからこそかわいいアイドルとかカッコいいアイドルとかいろんな見せ方ができるし、アイドルが好きな方なら誰にでも好きになってもらえるグループだと思うので、もっとみんなに知ってもらえるように頑張らなくちゃなと思います。
――桜井さんは今後、どんな存在になっていきたいですか。
桜井:美怜ちゃんが言ってたように、私はまだ入ったばかりなのでエビ中のメンバーとしてファミリーの方々から認めてもらえるように頑張っていきたいし、歌穂ちゃんが言ってくれたようにひなちゃんが歌ってたところを引き継いでいけるように頑張っていきたいです!
取材・文=阿刀"DA"大志 撮影=大塚秀美