Co.山田うん、文化庁芸術祭賞 舞踊関東の部 優秀賞を受賞した『In C』を国内4都市で上演

2023年9月、京都・新潟・沖縄・岩手の4都市にて、Co.山田うん『In C』（インシー）が上演されることがわかった。

Co.山田うんは、山田うん率いるダンスカンパニー、今回、コンテンポラリーダンスとミニマル・ミュージックが出会う舞台をおくる。

「In C.」とは、世界中のアーティスト、セレブリティたちに影響を与え、現在日本を拠点に活動するテリー・ライリー（Terry Riley, 1935-）が1964年に発表した歴史的楽曲。主だったメロディーやリズムが牽引する音楽ではなく、53種のシンプルなCコード（ハ長調）を複数の演奏者が自由に奏でることで積み上がるユニークな音楽。即興的な自由度と、計算された作曲の美しさが相互に響き合い、シームレスに移りゆく音の景色が立ち上がる。この楽曲は、スティーブ・ライヒ、坂本龍一など世界中の作曲家に多大な影響を与えた。

このオリジナルスコアをもとに2022年作曲家・ヲノサトルがCo.山田うんのために製作した『In C』は、スコアに完全に忠実でありながら、世界一周の旅に出たような、鮮やかで豊かな音色がふんだんに使われており、これまでにないダイナミックでユーモラスな「In C.」を聴くことができる。また、音楽は複数のスパイスを使ったカレーのようでもあり、煮込み料理（おでん）に見立てた飯嶋久美子の衣装は音楽「In C.」を視覚化するためのユーモアに拍車をかけている。

舞台は12人のダンサーと12個の瓦礫、冒頭から最後まで人間社会の崩壊と再生、絶望と歓喜をシームレスに表現している。テリー・ライリー本人にも称賛された本作は令和4年（第77回）文化庁芸術祭賞舞踊関東の部優秀賞を受賞している。

山田うん （振付・演出・美術）再演ツアーに寄せて

「In C.」は本来、大勢のミュージシャンで演奏するため音楽ですが、楽譜を見ると、「大勢でどうやって平和な社会を作っていくか」ということに似ています。互いに耳を傾けて、でも干渉しすぎず、無視せず、共働で個々の自由を貫いていく、という仕掛けが施されています。ミニマル・ミュージックの原点、それは、まるで海流や大気から台風が生まれてくるような、はたまた小さな人間の日々の営みのような、自ずと派生する自然現象のような楽曲とも言え、いいことも悪いこともシームレスに移りゆく世界の景色だと感じることができます。この楽曲から生み出されたダンスは、この作品を観る方々にも、無意識にシンパシーを感じてもらえるではないか、と思います。
手を繋ぎにくくとも離さず、崩壊したら再生しよう、自由を支えに生き延びていこう、とする世界共通の私たち人間の風景を、12人のダンサー達との動きで創作しました。『In C』を通して私たちはどこかで同じ景色を見ることができるかもしれない、と思っています。あらゆる世代の方に、舞台を通じて、何かを感じてもらえたら。