吹奏楽の常識が吹っ飛ぶ?! 山田和樹×ぱんだウインドの強力タッグ、キーワードは「破壊」 ~上野耕平・ 佐藤采香・山本楓が語る『スタクラフェス2023 ONLINE』

インタビュー
クラシック
2023.8.23
左から 上野耕平、山本楓、佐藤采香

左から 上野耕平、山本楓、佐藤采香

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2023年8月26日(土)・27日(日)『SAISON CARD presents STAND UP! CLASSIC FESTIVAL’23 ONLINE』(通称:スタクラフェス)が開催される。当初は4年ぶりに横浜赤レンガ倉庫特設会場にて実施される予定が、配信ライブへと開催形態を変更。1日目は漫画『のだめカンタービレ』をテーマとした “のだめカンタービレCLASSIC” DAY、2日目は新進気鋭の若手アーティストを一同に集めた “For the future” DAYとして、 角野隼斗、亀井聖矢、石井琢磨らが参加する。

2日目、新進気鋭の若手アーティストを一同に集めた “For the future” DAYの幕開けを飾るのが、世界的マエストロ・山田和樹と、サックス・上野耕平がコンサートマスターを務める「ぱんだウインドオーケストラ」の強力タッグでおくる吹奏楽のステージだ。公演のたびに「神回」と絶賛の声を集め「一度は生で聴くべき」と言われる彼らの共演。ステージへの期待を、上野耕平(サックス)、佐藤 采香(ユーフォニアム)、山本 楓(オーボエ)の三人に語ってもらった。

※一部記事内容/コメントは配信決定前の情報が含まれます。

――ぱんだウインドオーケストラのスタクラへの登場は2度目となります。今回、やはり屋外フェスならではの曲が選ばれているのでしょうか?

上野:そうですね。吹奏楽を聴いたことがない方でも、キャッチーで惹きつけられるだけでなく、その先のおもしろさ……“吹奏楽沼”の深みにはまる入口になりそうな音楽を用意しました。芸大の同級生である前久保諒の「Welcome to PANDA!」のファンファーレで幕を開け、だんだん楽器が増えていく展開です。スパーク「祝典のための音楽」も、輝かしい音楽が魅力の作品です。

上野耕平

上野耕平

――今回はぱんだの“黒幕指揮者”こと山田和樹さんとの共演です。ヤマカズさんは吹奏楽部ご出身なので、ぱんだとの活動に思い入れがあるようですね。

佐藤:そうなんです。私たちの楽団をすごく大事にしてくださっていて。今回、ヤマカズさんとやってみたい作品として選んだもののひとつが、「セント・アンソニー・ヴァリエーションズ」です。

山本:テーマは「セント・アンソニーのコラール」からとられたもの。ハイドンやブラームスも使っている有名な主題が展開していきます。私も中学生の時にコンクールで演奏したことがありますが、吹奏楽をやっていた方なら一度は聴いたことがあると思うので、楽しんでいただけるのではないでしょうか。

佐藤:そんな、ザ・吹奏楽というレパートリーを、ヤマカズさんが一体どんな風に演奏するのか見てみたいというのがあるんです。

上野:吹奏楽はこういうもの、という先入観がある方はびっくりすると思いますし、逆に普段オーケストラしか聴かない方は、吹奏楽ってこんなに多彩な表現ができるんだ!と気づいて、絶対好きになると思います。和樹さんと僕たちが演奏すると、必ずそういうことが起きます(笑)。

――ヤマカズさんは、他の方とどんなところが違うのですか?

山本:なんていうか……壊しにきますよね(笑)。

上野:まさにそう! 吹奏楽ってこういうものだよねっていうのを、真正面からぶち壊してくる。

山本 楓

山本 楓

――確かに、ヤマカズさんが音楽活動における破壊の大切さを語っているところ、よく見かける気がします。ではいつも通りの演奏をしようとしても、全くそうはいかないという感じですか。

上野:そもそもぱんだが普通の吹奏楽とは別の価値観で活動しているので、そんな僕らが“破壊”をテーマに生きていらっしゃるヤマカズさんとタッグを組むと、先入観が吹きとぶ音楽が生まれるんです。

佐藤:リハーサルと本番も全然違うもんね。

山本:予定調和は絶対にないよね。というより、山田さんだけじゃなくて上野くんも演奏中に全然違う提案をしてくるから、それにみんなで反応していくという感じ。ぱんだは芸大の同級生で結成したグループなので、いくらでも音楽で言いあえて、それを実感できることがすごく楽しいなといつも思います。

佐藤:2011年に芸大に入学して、みんなの演奏を聴きながら音楽を学んだようなところがあります。先入観に縛られないとか、本番でその時だけの音楽を作るという概念を共有しながら、一緒にやってきたよね。

――それだけ本番の演奏が変わると、ステージではいっときも気を緩められないのでは?

上野:反射神経は問われますよね(笑)。

山本:スポーツみたいな(笑)。

―ーそれを山田さんが煽ってくるという。

上野:そうですね。現地で聴いていたら、その感じが本当によく伝わってくると思います。あの緊迫感は、後方まで届くんじゃないでしょうか(笑)。

佐藤:ヤマカズさんって、オーケストラをコントロールしようというところが全くないんですよね。みんなに脳みそと能力をフルに駆使させて、音楽家同士のやりとりをさせて、さらに言いたいことを全部言わせてくれます。
吹奏楽のあり方として、指揮者に従うだけじゃないこういうアプローチもあるんだということを、みなさんに知ってほしいですね。去年、吹奏楽コンクールの課題曲の演奏をリハーサルも含めてYouTubeで公開する「非クリニック」動画企画があったのですが、そこでヤマカズさんがおっしゃっていて印象的だったのが、「隣の人と合わせるな」っていう言葉。

上野:そう。隣の人と絶対違う吹き方をしなさいと。そうすると、音量をこえた音の幅が出るんだよね。
僕と和樹さんが吹奏楽について思うことには一致する部分が多くて、それで一緒にやるようになったところがあります。吹奏楽は、とにかく揃えて乱れないようすることを目指しがちですが、そればかり意識しているとつまらないし、なにより音楽的になりません。まずは一人一人がわがままをできること。それこそがアンサンブルの本質だと僕は思います。個性や自分の声を殺してまで合わせるのが本当の音楽なのかというと、そうではないはずです。
そのおもしろさを、今吹奏楽をやっている若い子たちにも味わってほしいんですよね。見える景色が全く変わると思います。

>(NEXT)山田和樹の奔放っぷりに驚き? スタクラ翌日にも共演予定

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