上川隆也「冒険活劇の中にある人間模様を楽しんでいただければ」~風間俊介、佐藤アツヒロ、宇梶剛士らも出演する『隠し砦の三悪人』が開幕
『隠し砦の三悪人』合同取材会より
2023年7月28日(金)明治座にて、上川隆也主演『隠し砦の三悪人』が開幕した。初日に先立ちプレスコールと合同取材会が行われ、オフィシャルレポートが届いたので紹介する。
合同取材会には上川隆也、風間俊介、六角精児、小林由依(櫻坂46)、佐藤アツヒロ、宇梶剛士が登壇し、公演への思いなどを語った。
ーーまずは挨拶からお願いします。
上川:真壁六郎太(まかべろくろうた)を演じさせていただきます、上川隆也です。本日はお集まりいただきありがとうございます。この物語の舞台化はされたものの、原作同様一大冒険活劇として仕上がりました。お客様と一緒にひと夏の冒険にどっぷり身を置きたいと思っております。よろしくお願いいたします。
風間:本日は猛暑の中、本当にありがとうございます。『隠し砦の三悪人』を舞台でというお話をいただいた時に、あの名作をと思う気持ちと、やはりワクワクする気持ちが一緒に沸き起こりました。やっぱりクラシカルな作品だなという風に思ってしまうんですけれど、名作がゆえに。ですが、これが公開された時、映画館に足を運んだお客さんたちは、きっとワクワクしながら冒険する気満々で映画館に行ったと思います。その時のワクワクがこの明治座さんによって蘇ると思っておりますので、ぜひともこの夏はワクワクした気持ちで劇場に足を運んでいただけたら幸いだなと思います。よろしくお願いします。
六角:どうも今日はありがとうございます。又七(またしち)…あ、違うか太平(たへい)だ。
風間:それ僕です。
六角:又七ってずっと呼んでいるもんですから(笑)。太平という役をやらせていただきます六角精児でございます。ほんとに名作中の名作ということで、それを舞台にっていうふうにすると、本当にどんなになるのかなっていうのは、もう稽古が始まるまで全然見当もつかなかったんですけど、少しずつ脚本をみんなで解釈していき、それでそれぞれの力が本当に連携しあって出来ていくものっていうのは「ああ、こんな風に舞台でやるとなるんだ」っていうような驚きと、あと納得と。いろんな形のものが頭の中に浮かんできて、これは面白い作品になるんじゃないかなっていうのが途中から確信になってきました。そういった意味では舞台ならではの作品になっていると思うので、ぜひ劇場まで足を運んでいただければ幸いかと存じます。よろしくお願いします。
小林:本日はありがとうございます。雪姫役を演じさせていただきます小林由依です。偉大な先輩方とすごく歴史のある名作の舞台版で、自分も参加できることがすごく光栄に思っております。よろしくお願いいたします。
佐藤:本日はありがとうございます。僕の山名竹膳(やまなちくぜん)という役は、映画には役名しか登場してないんです。でもこの舞台版では登場人物として描かれています。みなさんが必死に必死に物語を進めていく上で、僕は悪いことをずっとやり続けたいと。僕の物語は僕の中で正義なので、いかに山名が強いかというか。みんなそれに迫っていくんですけど、そこの一本の大将として演じたいと思います。今日はどうもありがとうございます。
宇梶:暑いですね…ご苦労様です。自分も暑いです。わる~い竹膳の家臣をやります。主人公の秋月と敵対する、そ
この武将の田所兵衛(たどころひょうえ)を演じます宇梶剛士です。敵対してるんですけれども、兵衛はどうも真壁六郎太が大好きなようです。それでも戦わねばならないので思い切って戦います。映画を見てジョージルーカスさんも惚れ込んで『スターウォーズ』という作品を作ったというのを皆さんもご存知でしょうけれども、我々も舞台版を思い切って表現して、いろんな人に惚れ込んでいただきたいと思って最後まで頑張りますんで、皆さんどうぞ宣伝よろしくお願いいたします。
ーー『隠し砦の三悪人』を舞台化したことでどのような魅力を新たに見せることができると思いますか?
上川:今登場人物としてわたくしどもの自己紹介をさせていただいたわけですけれども、その中でお気づきのように原作には描かれていない竹膳を今回はキャラクターとして構築して、明確に秋月と山名という二つの国がどのように争っているのかを視覚化しております。そこの今回のひとつの新基軸というか新たな工夫と言っていいかと思うんですが、そこにとどまらず山名という国の中を原作ではやはり描かれていなかったその国に住む人々というところにまでその描く輪を広げてご覧いただくような構成になっております。そこからあぶりだされる戦争というもののあるひとつの姿を、娯楽時代劇とはいいながらも感じていただけるようなそんな物語に仕上がっていると思います。そこはこの舞台版が誇るべき部分ではないかという風にも思っています。また同様にそうして営まれる人々の日々の中で、この物語の中では明確に成長していくのもまた原作にはない要素だと思っております。今まで死生ということを知らなかった雪姫という存在を中心に、彼女が逃亡する中で目の当たりにしていく一つひとつの風景が彼女をどう変えていくのか。そして、その変わっていく彼女を見ていく中で登場人物達が何を感じていくのか、これは実は黒澤さんの物語の中にはあまり描かれていなかった部分だと思います。それを横内さんはもうひとつ掘り下げて物語に刻み込む作業をなさいました。ぜひ冒険活劇の中にある人間模様を楽しんでいただければと思っております。
風間:高校生ぐらいですかね、原作を見させてもらった時にほんとにその人が息をして、その人たちのキャラクター
たちの心臓の鼓動さえも聞こえてきそうな、そんなような映画だなと『隠し砦の三悪人』を見て思っていました。今回そのスクリーンから飛び出してきそうな、人々が生きている時の呼吸だったりとか鼓動の音みたいなものっていうのを、生で見てもらう劇場だからこそ、さらに強く見ていただける、感じていただけると思っております。人が走り汗をかき、そして何かを求めて手を伸ばす姿っていうのを直にお客様たちが目で見て感じて、そして強く心に刻んでいただける、そんなような舞台化なのではないかと思っております。
六角:昨日今日と舞台の稽古をしていて思ったんですけども、『隠し砦の三悪人』っていう名作を通して、舞台というのはすごい面白いんじゃないのかっていことがお客さんに響いてくるような作品になっているんじゃないかなという風に思います。もちろん『隠し砦の三悪人』っていうもののストーリーの色々な骨組みとかですね、あとは先ほども皆さんがおっしゃったようないろんな人の息遣いみたいなものが全て舞台上で盛り込まれて、いろんな照明、そして音楽、そういうものと機構。そういうものがほんとに総合的になってこの映画とはまた違う舞台の素敵さみたいなものをこの作品を通して表現できてるのかなというふうに思いました。
小林:殺陣シーンだったりとか、今回たくさんあるので、この舞台ならではの近い距離で迫力のある殺陣のシーンを
オーケストラの音楽とともに自分の身をもって体感できるのが、今回の舞台化することでまたさらに伝わる部分じゃないのかなと思うので、そういう殺陣のシーンだったりそれをやる時の息遣いだったりっていう部分を感じてほしいなと思います。
佐藤:山名軍と秋月軍、二つの国がぶつかり合うというか。でもそこにはそれぞれに住んでる人がいて、それぞれの
正義があって、本当にそういう意味でのそれぞれの心情が上手く描かれていると思います。なので、この作品を生きるというもっともっと深い部分がすごくたくさん詰まっていて、味方・敵そういうのも含めてずっしり最後皆さんの胸にひとつ大きなものが残ってくれると嬉しいなって思います。
宇梶:最後の方は言うの大変です…。2023年ですけどもね。今、何百年も前の話を僕ら2023年にやるんです。何百
年の時を蘇らせるといいますか。ただその2023年とその何百年も前を生きた人たち、その時間っていうのは遠く離れているようで実は繋がっていると思います。力による現状変更は許さないぞ! というつもりで(笑)、戦い、なんか人間というのは別にロシアとウクライナだけでなく、そういうことを隙あらばやろうとしてること。それは武力でもあるし、それは例えば経済戦争なんてこともありますけれども、そういう一つひとつを挙げるということよりも、人間というものが何百年経ってもやはり同じようなことを抱えていたり、またというようなそういう臨場感みたいなものをお届けするために何百年も前の恰好をして何百年も前の時代を蘇らせようとしているんです。どうやったら蘇らせることができるかいうのは、一人ひとりスタッフさんも含めて活き活きとその時間を生き抜く。そういうことでお客様にその時間を何百年という時を超えた心の旅をして、何かを抱いて帰っていただけるんじゃないかと思って、そのために頑張ります。
ーー稽古期間中に特に印象的なエピソードは? 上川さんいかがでしょうか?
上川:僕からですか? 最後になる宇梶さんがまた大変ですので、もし良ければ宇梶さんからで今度は。
宇梶:(笑)。自信満々にセリフを間違える俳優がいました。…すいません、僕です(笑)。横内さんが演出の、プロ中のプロという方がいろんなシステマティックな中で舞台づくりしていったんですけども、演出の横内さんがだいたいこの辺で終わるかって思う時間を遥かに1時間も2時間も3時間も超えて稽古をしてくれる、そういう稽古場の中で劇団時代を思い出して、すごくよりよくするためには何かそういう、これは時間のことですけど、そこに思
いを込めていくんだ!っていうそういう稽古場が僕は好きでした。
佐藤:僕も稽古場好きでした。横内さんの演出というかムード作りというか稽古場の雰囲気作りというか、すごくみ
んなが一緒でみんなが同じ方向に向かってみんなが一つの作品に向かって進んでいくという空気感というか、そういうのがすごく稽古場にはあって、それを横内さんが作り上げて。皆さんがそれを追っかけてっていう、本当に劇団みたいですごく楽しかったですね。
宇梶:稽古場の端の方でね、主役の上川さんがね素振りしてるしね。こうやって(素振りする真似)。あれもよかったね(笑)。
風間:ストイック。
小林:私は稽古自体ではないんですけど、稽古に毎日行くたびに演出助手の方からお菓子をもらっていたので、そのお菓子が毎日毎日私の机の上に並んでいくのが結構印象的というか(笑)。
風間:その積み重ねがね。一個一個、目に見えてく。
小林:そうですね。ここまでやったんだなっていうのが最後の方には感じられて、20個ぐらいあったんですけど。
風間:アドベントカレンダーみたいになってたね。
小林:なりましたね(笑)。それが印象的でしたし、最後は狙っていたチキンラーメンも六角さんに取られました(笑)。
六角:あれは僕の机の上の前まで領海侵犯してたからね。
風間:(笑)。あれは俺のもんだって?
六角:そうそう。あれは私のもんだと思いました。
小林:印象的でした。
六角:いやもう皆さんが劇団という言葉を口になさってたんですけど、僕は作・演出の横内がやってる劇団の劇団員なんですよ。扉座という。そこで最近そんなに頻繁には出てないんですけど、ほんとにもう40年前から一緒にやってるんですけど。だいたい稽古時間より早めに終わるんですよね。で、「もう帰ろう」って言うんですけれども、今回は稽古時間よりも長くやってるのは本当に事実でして。それだけ一生懸命やってるんだなんだなっていうか、まあ作・演出家を一生懸命やってるって言い方もちょっとあれなんですけど、命を懸けてこの作品を作ってるんだなっていうのが僕の身にも伝わってきましたし、一人ひとりにしっかりと「こうしてほしい」「僕はこう思うんだよ」なんてことを言ってる姿を見て、あ~40年経って、もう高校時代から一緒なんですけど、こうやって明治座に出るのはすごく不思議なことだよね、光栄なことだよなというふうに思いました。
風間:その素敵だった稽古場ではみんなジャージだったりとか稽古着を着て一丸となってやってたんですけれども、劇場に来た時に衣装に身を包んでメイクをして、宇梶さんが僕と六角さんを見た瞬間にすごく褒めてくれて、第一声が「おめえらきたねえな!」ってすごい汚い汚いってたくさん褒めてくれたんですよ(笑)。ここの劇場に来てからやっぱり身分だったりとかいろんなものっていうのが見えるようになって、同じ舞台としては役者としては同じ目標に向かっているけれども、キャラクター達はそれぞれ自分たちの道を歩んでいるっていうことがすごく強く見えるようになって、それもまた僕としてはワクワクしました。この忠義に生きる人たちだったりとか、自分の力を誇示しようとする人だったり、義に生きる人達、そして自分が生きるためにただただ必死な人達。いろんな人が集まって時代ができて社会ができてるんだなっていうことを色濃く感じられる作品だと思って、その宇梶さんの「きたねえな」の一言でワクワクしました。
上川:ここに並ぶ男衆はだいたい経験がそこそこある連中で、稽古場に入った時からそれぞれのキャラクターをやっぱり漠然と何か掴んでその人物像を明確に造形していく姿は本当に頼もしいものでしたが、その一方で小林さん今回は舞台は?
小林:二度目です。
上川:二度目?
小林:はい。
上川:ここに大きなギャップがあったんですが、でも今回の物語は成長があるという風にお話をさせていただきましたが、稽古場での小林さんの成長ぶりが本当に目覚ましくて。昨日のお芝居を今日明確に上回ってくる、その連続で現時点でも驚きしかないです。初日を迎え、この物語の中で彼女がどこまで雪姫として息づいていくのかが僕はひとつの楽しみでもあります。お客様にもぜひそれを目の当たりにしていただきたいと思います。
小林:ありがとうございます。本当に皆さんに支えていただいて、この役があるなと思うので感謝しかないです。
ありがとうございます。
ーー上川さん、締めの挨拶をお願いします。
上川:今回の『隠し砦の三悪人』舞台版と言ってもいいこの明治座公演、原作に恥じることのないの物語が出来上がっ
たと思います。この夏ぜひ我々とともに冒険してください。お待ち申し上げております。
本公演は、8月13日(日)まで明治座、その後、8月24日(木)~27日(日)に大阪・新歌舞伎座で上演される。
公演情報
原作:黒澤明 橋本忍 小國英雄 菊島隆三 『隠し砦の三悪人』
上演台本・演出:横内謙介
上川隆也 風間俊介 六角精児 小林由依(櫻坂46) 佐藤アツヒロ 宇梶剛士
犬飼淳治 両國宏 渡辺翔 増田雄二 柳沢卓 磯村将也 町田尚規 田中亮 田中慶
篠原雅史 翔大 小川蓮 彌永拓志 鳥居ちゃちゃ 塚越志保 鈴木彩海 大川亜耶
<東京公演>
日程:2023年7月28日(金)〜8月13日(日)(全22公演)
会場:明治座
S席 [1階席・2 階席正面]¥11,000、
A席 [2階席左右]¥8,800、B席 [3階席正面]¥6,500、
C席 [3階席左右]¥5,000(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
公式 Twitter: @meijiza_theater
公演に関するお問い合わせ:明治座センター 03-3666-6666(平日 10:00〜17:00)
日程:2023年8月24日(木)〜8月27日(日)(全5公演)
会場:新歌舞伎座
一般販売:7月9日(日)10:00
公演に関するお問合せ:
新歌舞伎座テレホン予約センター 06-7730-2222(10:00~16:00)
新歌舞伎座売場(不定休・営業日時は新歌舞伎座ホームページに掲載)
公演公式 Twitter kakushi3_stage