本田望結がサンタさんから貰いたいものは? 最高のクリスマスを楽しめる『ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド』を見逃さないで!
本田望結(c)Tomoko Hidaki
2016年の日本初演から “劇場で楽しむクリスマス”として、渋谷の冬の風物詩となった『ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド』。NY屈指の劇場「ラジオシティ・ミュージックホール」で、80年以上にわたり親しまれているNYの冬の定番ショー「ラジオシティー・クリスマス・スペクタキュラ―」に続く、スペシャルなクリスマスショーが今年も開催される。
ただ、2016年の日本初演から続く演出バージョンでの上演は、今年で見納めとなるようだ。今回、SPICE編集部は本公演の応援サポーターに就任した本田望結にインタビュー。これまでの公演を振り返ってもらいつつ、本公演への期待を聞いた。
『ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド 2023』
ーー2016年の日本初演から続く演出バージョンでの上演は、今年で見納め。改めて応援サポーターに就任したお気持ちと、この作品の魅力について教えてください。
私は日本初演のときから参加させていただいているので、この演出が今年で見納めというのは正直、寂しい気持ちです。でも、毎年観に来てくれていた人はもちろんですけど、「あ、終わっちゃうんだ。観に行こう」と思う方もきっといるはず。皆さんにショーを楽しんでほしいですね。
海外だとクリスマスはお家で過ごすのではなく、お出かけをしてショーを楽しむ文化が浸透しているらしいのですが、日本だとあまりイメージがないんですよね。クリスマスショーの文化を広めるための公演でもあると思うし、他にもあまりやっているところはないので、ぜひこのショーを通してクリスマスの新しい過ごし方に出会ってほしいなと思っています。
ーー特に印象深い曲や大好きな場面は?
サンタさんが登場するシーンですね。ポスターにもなっているので「サンタさんに会えるかも!」とワクワクしながら会場にいらっしゃる方がたくさんいると思いますが、想像以上にサンタさんが機敏に踊るんです(笑)。私も初めて観たときに「サンタさんって、こんなに踊るの?!」とびっくりしたことを覚えています。
日本初演のときは私も小学生で幼かったけれど、大人になった今でもやっぱりサンタさんに会えると思うとワクワクする。きっと多くの方が同じ気持ちだと思うので、ぜひサンタさんに会いに来てください! 私の言葉を聞いて「サンタさん踊るんだ〜」と想像していらっしゃるかもしれませんが、その想像をはるかに超えて踊りますから、初めてご覧になる方はぜひ期待していてほしいですね。
ーーそのほか、これまで関わられた公演で印象に残っているエピソードを教えてください。
以前、スケーターとして出演させてもらっていたときに、ダンサーやシンガーの皆さんとたくさん交流したことが印象に残っています。大人しそうに見えていた方が「Hey!」と気さくに話かけてくださったり、舞台上ではパワフルな動きをされていた方にお会いすると意外と小柄だったり……! 海外のキャスト・スタッフに囲まれながら「ここは本当に渋谷?」と思うこともしばしばありましたが(笑)、お客様だけではなく、いち出演者の私をも楽しませようとする皆さんの人柄がこのショーの素晴らしさにつながっているのだなと思いました。近くにいる1人を楽しませられないんだったら、たくさんのお客様を楽しませられないーーそんな感覚でいらっしゃるんだと思います。その考え方や思いは、フィギュアスケーターとしても、お芝居をしている女優さんとしても、すごく素敵だなと思っていました。
ーー毎年テーマやお衣装、振付を考えていらっしゃいましたよね。毎年変化をつけるのは大変だったと思いますが、どんなことを大切にしながら創作にあたっていたのですか?
年によって曲が指定されるときと指定されないときがありましたが、衣装と振付に関しては一貫して自分で考えていました。……大切にしたのは、目立たないようにという意識です。『クリスマスワンダーランド』は一つの物語ですから、演出家の方がオープニングからフィナーレまでをどう盛り上げるか考えていらっしゃいます。その中で振付師さんが特につかない私がパッと現れて踊る……その雰囲気を壊してしまう可能性もあるので、 いかにこのショーに馴染めるか、目立たないようにするか。そこを1番に考えていました。
本田望結(c)Tomoko Hidaki
ーーアイスリンクではない舞台上で滑るのはやはり大変だったのでは?
そうですね。樹脂のリンクは、オイルが塗ってある板の上を滑るだけなので、新しいスポーツをやっているような感覚でした。フィギュアスケートというより、バレエをしているような感覚。でも、フィギュアスケートに見えなくてはいけないので、それはすごく苦戦しました。
少し滑るだけでスケート靴の刃も傷つくので、毎回研磨の作業をしなければなりません。自分が試合で使っている靴は絶対に使えないので、姉が昔履いていた靴を借りて、樹脂用の靴として履いていました。氷上で滑っているときは転倒の心配はありませんでしたが、樹脂のリンクは気を抜いていると本当にころんでしまう。自分の振付なので振付を忘れたり、間違えたりしてもお客様は気づかないと思うんですけど、やはりころんでしまうとショー全体に影響が及ぶので、絶対に転んではいけないとたくさん練習をしました。
ーー出演者として特に印象に残っている公演は?
2019年の公演では、シンガーさんの生歌に合わせて滑らせてもらったんです。それまでは音源に合わせて滑るだけだったのですが、生歌に合わせて滑れるなんて! フィギュアスケーターとしての夢が叶った公演でした。
ーー今回は出演されませんが、逆にいうと一歩引いて、落ち着いて公演を観られるのでは?
どうでしょうね。でも確かに、出演させてもらっていたときは、客席で観るという経験が一度もなかったので……今年もしかしたらそのチャンスがあるかもしれません。
ーー改めて本田さんにとってこの『クリスマスワンダーランド』という作品はどんな作品ですか?
私自身もクリスマスといえば『クリスマスワンダーランド』と思えるぐらいにこの作品に携ってきました。去年、コロナ禍が明けて再び開催されると聞いたときも嬉しかったですし、今年は、再び自分が携わることができて、もっと嬉しかったです。
この演出は見納めになるので、私も気合を入れて応援サポーターとして役割を果たしたいなと思っています。出演していた過去があるからこそ「この公演が好き」という気持ちや作品の魅力、舞台の裏側をたくさん伝えていきたいです。
ーーところで今年はサンタさんからどんなプレゼントをもらいたいですか?
高校卒業しちゃったけど、来てくれるかな〜(笑)。もしもらえるなら……食器が欲しいです。この春から1人暮らしを始めて、食器を集めるのがすごく好きになりました! あんまり食器の系統を揃えず、いろいろな種類を楽しんでいます。和風のものもあれば、洋風のものもあって……私が持っていなさそうな食器をお願いします!
本田望結(c)Tomoko Hidaki
ーーすっかり冬の風物詩となった『クリスマスワンダーランド』。このショーで観劇納めという方も多いと思います。本田さんとしてはこの一年はどんな一年でしたか?また、来年はどんな一年にしたいですか?
今年の大きな変化は1人暮らしを始めたことなのですが、実はあんまり楽しめていなくて。家事全般も食器選びも大好きなんですけど、1人であることが少しさみしい。というのも、もともと7人家族で7匹の犬がいる環境で育ったので、自分が音を出さない限り部屋に音がない状況がなかなか辛いです。でも1人の時間があるからこそ、家族のありがたみを感じる一年でした。家族のことが大好きだなと改めて感じました。
コロナ禍が少しずつ明けてきて、新しいことにチャレンジしたいという気持ちが復活してきていているので、来年はいろいろなことに挑戦して、どんどん失敗して、その失敗を次に生かしていくような年にしたいです!
ーー最後に本公演をお客様にはどんな風に楽しんでもらいたいですか?
もうなんでもありだと思います! サンタさんの格好をしてきてくれる小さなお子様や大人がいてもいいし、 拍手などで一緒に盛り上がっても、おとなしく見ていても……自分なりの楽しみ方ができるんです。席も真ん中の席だと「お、やった!」と思いがちですが、サイドの通路をサンタさんが歩いてきてくれたりもするので、どこにいても楽しめる。それから、予習があってもなくても楽しめますので、何の不安もなく来てほしいですね。劇場でお待ちしています!
取材・文=五月女菜穂