嵐を起こす男たち! 少年社中 25周年記念ファイナル 第42回公演『テンペスト』鈴木拡樹・本田礼生・矢崎広・毛利亘宏にインタビュー

インタビュー
舞台
2023.11.24
(左から)矢崎広、鈴木拡樹、毛利亘宏、本田礼生

(左から)矢崎広、鈴木拡樹、毛利亘宏、本田礼生

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「2023年は少年社中25周年」ということで、記念公演第一弾『三人どころじゃない吉三』、第二弾『光画楼喜譚』に続き、いよいよファイナル公演『テンペスト』が動き出した。劇団員はもちろん、客演及び日替わり出演も多数の社中愛溢れるメンバーで繰り広げられる本作は、舞台への濃密な思いが詰め込められた“演劇への復讐劇”だ。今回、脚色・演出の毛利亘宏&出演の鈴木拡樹・本田礼生・矢崎広が集結。稽古〜本番へ向けてのそれぞれのワクワクを語り合ってくれた。

ーー今回、周年記念シリーズのファイナルに『テンペスト』を選んだのはどういう構想からだったのでしょう?

毛利:第一弾の『三人どころじゃない吉三』は僕らが過去にやった作品で、紀伊國屋ホールでやる一種の最高峰ともいえる作品。あの劇場、あの雰囲気に合った芝居というものをやらせてもらいました。続く第二弾は創設の地である中野、初めてアトリエを飛び出し使った劇場である中野ザ・ポケットで密に演劇をするというコンセプトの『光画楼喜譚』。そして今回はサンシャイン劇場でとにかく一番でかい祭りをドカンとやろう、という企画です。で、『テンペスト』なんですけど、僕もいた早稲田大学演劇研究会、そこの劇団東京オレンジさんがかつて堺雅人さん主演でやった『テンペスト』……彼らがグローブ座で最初にやった公演でもあるんですけど、僕自身、すごく思い入れがある作品なんですよ。その東京オレンジの主宰で演出の横山仁一さんが一昨年逝去されまして。その時、自分自身のルーツである早大劇研というもの……横山さんに教えてもらった演劇というものが自分の中にすごくたくさんあるということを、改めてしみじみと思ったんです。そこから自分もその作品に、『テンペスト』に挑戦してみたいなという思いがものすごく湧き上がり、「じゃあ今、僕の劇団員、頼れる人たち、信頼する役者のみなさんとで、ひとつ自分なりの『テンペスト』を作ってみたいな」となったわけです。

毛利亘宏

毛利亘宏

ーー毛利さんご自身の深い思いの表れなんですね。そしてその思いの大きさと重さを一緒に背負ってくれるメンバーの中に、今日ここにもいらしてくれた3人のお名前が。 

毛利:そうなんですよ! スケジュールとかいろいろ、ホントにこんなにうまくこれだけの方々に出演してもらえるとは思っておらず(笑)。でも、なんか今すごく全力で「これだ」っていうのを作りたいというか、拡樹も広も長い付き合いでずっと少年社中に出てもらっていて、礼生もこの前初めて一緒にやって、今回はぜひホームで一緒にやりたいって思いもすごく強かったので。横山さんの件もだけれど、人間、いつ終わりになるかわからないって考えると、今手の届く範囲で最高のものを作る環境があるならそうしたい。そうやって自分の今一番一緒にやりたい役者……背中を任せられるというか、ね。そういう役者のみなさんに集まってもらって……とにかく「明日から演劇作れなくなってもいい」「次からもう全てなくなっても悔いがない」というような作品にしたいんです!

ーーまさに「共に注ぎ込む一作」に、と。

毛利:これが最後の作品になっても悔いがないってものをひとつ作りたいなと。今までもそういう思いではありましたけど、今回の『テンペスト』に関しては一層そういう思いが強いです。彼らも出会った頃はもっとみんな若かったけど、みんなすごい役者になって……みたいな印象もありますし、時間というものを噛み締めながらのキャスティングですね。

鈴木・本田・矢崎:(頷く)。

ーー今回参加が決まり、いかがですか?

鈴木:まずはこの25周年を、出演する立場として自分も一緒に祝えるっていう特別感に対し、とても嬉しいなと思っています。「明日何があるかわからない。だから悔いのない作品を残す」っていう毛利さんの言葉、そして『テンペスト』を選んだ理由も今こうして直に聞いて……やっぱり舞台として記憶に残るものを作れるのはすごいなと思うので、25周年の祭りではありますけど、この演劇の力を、特別な思いも込めてあらためてお客様に届けなきゃなという気持ちでいっぱいです。僕は少年社中さんに参加するのは4回目になるんですけど、ちょっと久しぶりで、しかも周年公演のタイミングで出れるということも、さらに嬉しいですね。

鈴木拡樹

鈴木拡樹

ーー鈴木さんは「演劇に目覚めたのは少年社中に出会ったことだ」と公言されていますね。

鈴木:はい。舞台を始める原点、きっかけが少年社中だったので。

ーー鈴木さんと矢崎さんは“準劇団員”としても定評があって。

矢崎:そうですね(笑)。ただ僕も少年社中とは『モマの火星探検記』(2020年)でご一緒して以来で久々なんですけど、でもその間もずっと戦い続けている少年社中を見ていましたし、自分がまたご一緒するならそれこそ記憶に残るようなでかいことをやりたいなと思っていたタイミングでこの25周年のファイナルというお話をいただいて。結構早い段階で「ぜひ」と返事をしていました。あと、それこそ毛利さんが『テンペスト』というワードをプライベートの場で言ってる時期があって、それがちょうど2年ぐらい前だったんですよ。で、今お話を聞いて、「ああ、そういうことか」とつながりました。毛利さんがやりたいことに対しての何か演劇的な信頼って僕の中にもものすごくある。だから「“毛利さんがやりたい『テンペスト』”、こちらこそお願いします」という気持ちです。

本田:僕も今、毛利さんのお話が聞けてよかったですっていうのが、まず一番の印象ですよね。本当に今日ここに来てよかったな、と思いました。やっぱりこの25周年というものすごく記念すべきタイミングで初参加にかかわらず出演させていただけることが何よりも光栄なことですし、しかもこの豪華なキャストの中でやらせていただけるというのはもう、楽しみでしかないですよ! 何よりこのラインナップに自分がいられるっていうことが……役者を志した当時、観客としてみなさんの名前を見ていた側の自分に今伝えてあげたいぐらいの感動で、すごく感慨深いです。なのでもう何が来ても楽しくしかならないでしょうね(笑)。例えば僕が稽古中めちゃめちゃ苦戦したとしても、このメンバーの中で苦しめるというのは役者としてはとても貴重な経験になります。そういう全部が楽しいんだよなぁと思うんです。「楽」と「楽しい」は別ですから。

本田礼生

本田礼生

鈴木・矢崎:うんうん。

ーーストーリーは25周年記念にウィリアム・シェイクスピアの『テンペスト』を上演することになった人気劇団「虎煌遊戯」の過去と現在を繋ぐ “復讐”の物語。俳優のみなさんは劇団員と劇中劇の『テンペスト』のキャラクターの2役を演じられます。プロットを拝見し、メタ要素もかなり多い内容だと感じたのですが……。

毛利:歳を取るにつれ自分の知っていることしか書けないなっていうのを、特にここ2年ぐらいすごく思うようになりました。もちろん、知っていることから始めつつ想像を働かせていろんなことを書くんですけども、でもそういう時に嘘をつき過ぎると失敗するっていう経験も多々あって。だからここではシェイクスピアの『テンペスト』という題材も使うんですが、まずは、自分がすごく知っていることをちゃんとエンタメにしたいなぁと。

ーー劇団を続けている、という実体験ですね。

毛利:現実ではそれこそ新型コロナウイルスの影響があって、みんな本当にいろんな苦労をされていたと思うんですけど、そんな中でもやり続けている「演劇」に対しての愛と恨みというか……「憎しみ」も含め、僕が愛し続けている「演劇」を描いてみたいなというか。しかも「憎しみ」っていう感情に自分は今まで作品の中であまり触れたことがなかったので、それはちょっと新しいなと思ったし、25年間劇団として求めてきた「演劇」ってもはや自分にとって半分「呪い」でもあると思うので、そのへんを一度正面から見てみたいんですよ。自分自身で「なんだろう」って考えてみたいというのと、もちろんやはり「演劇」を心から愛したいという思い……それがすごく『テンペスト』とマッチするんです。それ(演劇への愛と憎しみ)をやろうとする面々の物語、というところでね。

ーー鈴木さん演じるランは、突如現れて劇団全体をかき回していく存在。

鈴木:そうなんです。演劇の才能で場を乱していくランとしての重責を背負わせてもらえる幸福を感じながら作っていきたいなとは思いますし、ラン自身、ものすごく人間的な変化も生まれる役ではあるので、精神的にも肉体的にも結構きつくなってくるとは思っていて……。でもだからといって、たぶんセーブするのは魅力的じゃないと思う。僕はもう1公演1公演、リアルファイトぐらいにぶつかっていくっていうのは決めています。「心地よく疲れてやるぞ」っていうのを(笑)、自身のテーマに臨もうかと。

ーー天才役者、「演劇の力」を体現していくようなキャラクターですよね。

鈴木:思想がすごく近いものを書いてくださってるな、と感じました。「観てくれる人に幸せな時間を」というランの夢は最高のコンセプトだと思います。でもそう思っていても実現するためにはなかなか難しいこともたくさんあるので、それを「目指す」という作品のあり方がいいなと思いますし、自分が体当たりするにも一番いいと思った。僕が体当たりしたその結果、劇場にもそういう幸せな空間が生まれたら、最高のステージになるでしょうね。

ーー『テンペスト』では精霊のエアリアルを演じるというところはもう、普段の鈴木拡樹のイメージそのままで。

矢崎:ホントですよ! そこはもう右に出るものはいないというぐらいの。

矢崎広

矢崎広

鈴木:ああ、謎の生物説?

本田:(笑)。

毛利:ハハハッ(笑)。でしょ? いやもう書きながらみんなの担ういろんなピースが自分の中でバチバチってはまってったのが気持ちよかったですよ〜。

ーー矢崎さん演じるカグラは、劇団の危機を救うべく新人の頃から努力を重ねてきた劇団の中心人物で、先輩に可愛がられ後輩に好かれる責任感の人。

矢崎:初めてこのプロットを読んだときに「25周年のファイナルに少年社中は崩壊と仲違いを描くのか!?」という衝撃があり(笑)。どっちかというとそういうイメージが少年社中になかったものですから、劇団としてもまた新しい挑戦なるんだろうなって感じました。プラス、毛利さんから劇研の話がありましたけど、僕、今年はその劇研イズムを感じる作品や世代の方々とご一緒することがすごく多くて、その出会いから自分の中の演劇がすごく整理されたり、また、新しい経験をさせていただいたりという時間を体験していました。そうして得た今の僕の演劇に対しての思いだったり、ルールだったり、許せることだったり、許せないことだったりが、「いろんな世代があって、受け継ぐものがいて、受け継がないものがいて……」というこの物語の構図の中でそのままカグラとして表現できるんじゃないかなって思うんです。まあ役者ってどこか思想と思想のぶつかり合いだったりもするし、そういうこともそのまま素直に板に乗せられるような気もしていますし。ランに対して投げかける思いなんかも自分に重なる部分が多かった。どうして演劇を続けてるんだろうとか、演劇をなんでここまでやってるんだろうみたいな……僕だけじゃなく、そういう自分の琴線と繋がるシーンがもしかしたらここにはたくさんあるかもしれないな、と予感してます。

ーー『テンペスト』ではプロスペローを演じます。

矢崎:劇団の中で劇団員を演じるというのはちょっと不安はありますけど、でも周りはみなさん本物の劇団員なので(笑)、取材対象が目の前にいるっていうのはすごくありがたいことだし、そこはしっかりリサーチしながら自信を持ってやりたいなと。

(左から)本田礼生、矢崎広、鈴木拡樹、毛利亘宏

(左から)本田礼生、矢崎広、鈴木拡樹、毛利亘宏

(左から)矢崎広、鈴木拡樹、毛利亘宏、本田礼生

(左から)矢崎広、鈴木拡樹、毛利亘宏、本田礼生

ーー本田さん演じるヒナタは新進気鋭の途中入団組。『テンペスト』ではファーディナンドを担当と、フレッシュな存在を担っています。

本田:プロットを読んだ感じでは昔から知ってる先輩方の中に突っ込んでいってなんとか互いを取り持とうとする、という立場だと思っているんですけど、まさに今の自分の境遇に近い立ち位置ですよね。実際にはこの年でフレッシュと言って良いのか微妙ですが(笑)、今回は思いっきり飛び込んでいける先輩方がほとんどなので、あらためてそういう役どころができるというのは嬉しいです。20代とは違う、今のこの年齢だから表現できるフレッシュさ、飾らないフレッシュさが出せればいいな、とはなんとなくイメージしています。

ーー脱サラして劇団員になるという背景も、絶妙にリアルな劇団あるあるっぽくて。

毛利:礼生のヒナタ、いかにも脱サラとかしてどんどん上がってきそうな気がするんだよ(笑)。でもそもそも礼生ってこう……第一印象が「すごい苦労してそうだな」だったから。

本田:ああ〜、苦労、してそうですかぁ(笑)。確かにそんなポン、ポン、と来れたタイプではないです。

毛利:うん。すごく地道にコツコツやってきてるんだなぁって、ちょっと話をした時にもそんな印象を受けたのでね。そういう役どころを渡してみたいなって思ってのヒナタです。

ーーこの3人が一緒に舞台に立つのは初ですが、今までもそれぞれに交流はあって。

矢崎:拡樹くんとは少し前に拡樹くんMCのバラエティ番組でご一緒して……。

鈴木:あの時でだいぶ久しぶり〜っていう感じでしたよね。

鈴木拡樹

鈴木拡樹

矢崎:そう。でもそこでめちゃめちゃ深い話ができてありがたかった。そこから拡樹くんと舞台やりたいなっていう気持ちがすごく高まってるタイミングでのこの『テンペスト』だったんで、すごい楽しみ!

鈴木:僕は常に新しい武器を身につけ続けている矢崎くんを見ていて、お芝居の中でこちらに鋭い刃を突きつけてくる、その姿勢というのはずっと変わらないし、こちらもヒリッとする刺激をもらえるんで、それがいつも嬉しいんですよね。今回はたぶん過去一番に絡むことができる役柄だと思うので、そういう部分でもしっかりと向き合いながら作り上げていけるのが僕も楽しみです。

本田:僕は拡樹さんとは舞台でご一緒するのは初めてで……まだセリフをちゃんと交わしたことがないんですよ。

鈴木:そうだよね。これが初になります。

本田:広さんとは一度舞台をご一緒させていただいたことがあります。あるシーンでの圧倒的な存在感に打ちのめされたんですよね。でもそのシーンに僕は出てなくて。一緒のシーンはありましたが、お互いちょっと離れて立ってる、みたいな感じだったので、やっぱり舞台上でセリフを交わしたことはまだないんです。

本田礼生

本田礼生

矢崎:うん、柱的なね、横並び的なね(笑)。

本田:はい(笑)。なのでお二人ともずっとがっつりご一緒したくて、それが一度に叶って僕はもうすっごく楽しみです。

矢崎:今日も取材でずっと一緒だったけど、礼生くんはほんと器用だし何でもそつなくこなすように見えて、毛利さんもおっしゃっているようにすごくたくさんの……いわゆる泥水を啜っていっぱい悔しいも経験をして、「チクショー」と思いながら役者をやってきたような思いや熱量を感じる瞬間があって。それがしっかりと本人の土台になっているんだろうなって思うんですよね。で、演劇の現場ではそれって信頼に繋がるんですよ。「この人は信用できる人だ」って。実際、現場の居方も本当に上手で、そこにもちゃんと苦労してきたんだなという積み重ねを感じるから……僕はもう彼には期待しかないです。

鈴木:うん。僕も今回礼生くんがいたことがすごく嬉しかったんですよ。というのも、一番最初に会ったとき……舞台『刀剣乱舞』シリーズにお互い前後で出ていた時に、僕、本番を観に行ってたまたま裏で礼生くんと会って自己紹介し合うことができて。そこで「今回は絡めなかったけど、いずれ一緒にやりたいね」って話していたから、それが案外早めに実現して。そういうのって結構一回タイミングを逃し始めるとすれ違い続けてなかなか共演できない、というケースを多々経験しているので(笑)。

本田・矢崎:(頷く)。

ーー日替わり出演者でもいろんな方がどんどんと。

毛利:ね。ちょっとやばいくらいのメンバーが集まってくれて、もうほんとにありがたくて。でも、それこそ日替わりのみなさんからも力をもらって、毎回ちょっとずつみんなの芝居が変わっていくと面白いですよね。「え、こんなに出番あるの?」っていうところのギリギリまで攻めさせてもらおうと思っていますから。

矢崎:ほんと、日替わり陣は結構キーパーソン! あれだけの出番があれば、その人によっても相当作品の質感変わるんじゃない? って思います。

矢崎広

矢崎広

毛利:そうそう。

ーー場合によってはぶっつけに近い稽古量にもなるでしょうし……。

毛利:そうそう。人によってはね。

鈴木:確かに。でもそれはそれでまた本番が生きるかもしれないですよね。

矢崎:ああ! それも面白そうだなぁ。

ーー少し前にお話をうかがった際、毛利さん自身が演劇と自分の距離感というか、自分はこの先も作っていけるのか、作っていくのだろうか……と、自身にその根本からを問いかけ直していた、とおっしゃっていました。そこがあって、今、ご自身の劇団で、劇団モノの根本に斬り込むような作品を生み出そうとしている。それはやはりひとつの大きな覚悟ですよね。

毛利:そうですね。そこに関しては今ものすごくまっさらな気持ちでいます。もちろん今までの少年社中っていうのがあっての、そしてこうして役者が集まってくれたからこそというのもあるんですけども、僕はこれをスタート地点だと思って、ここからどうしていこうかな、どう演劇と楽しんでいこうかな、少年社中をどうしていこうかなというのを、今回終わって考えたいかなっていう心境なんです。いろんな未来を夢見ながらの今作、改めての旗揚げ公演みたいな気持ちですね。この先何が起こるかわからないところにもう一回船出していくというか。きっと嵐しかないんでしょうけど。

ーーまさに「テンペスト」。

毛利:まさに。ここまで嵐の中ずっと航海してきたけど、今回が本当にひとつの区切り。コロナも落ち着いてきてのリスタート、とはまだいかないかもしれませんが、もう一回「自分にとって演劇とは何か」、もう一回少年社中を始めるためにこの舞台を楽しみたいなと思います。

毛利亘宏

毛利亘宏

ーー少年社中のリスタート。どんな船出になるのか、楽しみです!

本田:毛利さんのホームでやらせていただくという部分で、僕としては観客のみなさんにあらためての自己紹介になるのかも。役者としてはちょっとしたプライド……本当にほんの一握りのプライドを持って立ち、そして25周年という記念すべき公演へのお祝いの気持ちと、劇団のみなさんの胸を借りる気持ちでやりたいと思っています。光栄ですし、感謝の気持ちでいっぱいです。今情報が出ているこのラインナップを見ればすでに「これはもう間違いない!」というところですし、先日プロットをいただき、そして今日毛利さんのお話も聞けて、今は「明日からでも稽古したい!」という気持ちが溢れています。とりあえずそのパワーをしっかり貯めて、稽古に挑み、そして自分の全力を全公演にぶつけたいと思っております。どうぞ楽しみにしていてください。

矢崎:僕は『贋作・好色一代男』で少年社中に初参加して、『モマの火星探検記』の時は自分が本当に好きで憧れて観ていた作品をある種自分で焼き直し、再演ではさらにブラッシュアップするということをやってきました。けど、さっき毛利さんが「改めての旗揚げ」とおっしゃっていて、実は自分も今回それに似たような思い……もう一度少年社中に初参加するような気持ちがすごくあるんです。だから昔からのファンの方にはぜひこの作品での少年社中を観ていただきたいですし、ずっと気になっていたけどまだ観たことがないという方は、この記念公演ファイナルが最初の機会になるのはとてもいいタイミングなんじゃないでしょうか…と思ったりもしています。本当にたくさんの方に観ていただきたいな。観客の方々はもちろん、劇団員、そしてこんなにたくさんの日替わり出演者と僕らが集まって、みんながそれぞれに少年社中愛を持って参加してくれると思うので、本当にとんでもない渦が出来上がるはずです。

鈴木:少年社中25周年。今回出ているキャストの何倍、何十倍もの人数、劇団のことを愛している人たちがきっといてくれて、でもまずはこれだけの方々が出演するお祭りになっているのは、僕もとても嬉しさを感じています。僕らのこの少年社中愛をお客様に思い切り受け取ってほしいし、また、客席のほうからも舞台上に向けてすごいラブコールもありそうで。公演中はおそらく日本で一番幸せな空間になるんじゃないかな。僕らもそれを目指して頑張ります。少年社中さんの演劇はセリフの交わし合いとかを超えた魂のぶつけ合いみたいなものが、とても魅力だと僕は思っています。そして、日常のほんとに些細なことでもいろんな幸せがあるんだなという価値観に気付けるようなパワーが舞台にはあると思いますので、それを劇場で肌で感じて、お客様も僕たちと一緒に魂震わせてほしいなと思います。劇場でお待ちしてます。

毛利:今回の作品は「劇中の劇団がお芝居をする」という体になるので、お客さんもその場にいるはずの参加者、出演者だと思って作りたいなと。コロナ禍中、つくづく思ったのは、「やっぱりお客様のエネルギーで舞台は全然変わっていく」ということ。劇場で、できれば満員のお客様に僕らの芝居をちゃんと観てもらうことで、作品って完成するんですよね。だからお客様も参加して我々と一緒に演劇を作ってもらいたい。この作品は特にそれが大きな意味になると思っています。近年は「旗揚げから観てます」と高校生の娘さんを連れて観に来てくださる方がいらっしゃったりもします。少年社中の客層もかなり幅広くなっていて、25周年とはそういうことなんだよなぁ……やってきた甲斐があったよなぁって、なりますね。『テンペスト』はそうやってこれまで自分たちが経てきた時間も含めて全部をお芝居に乗っけられる作品。そこはまさに25年続けてやっている強みですね。そして僕らは25年だけど、みなさんにとっては同じく25周年とか、または10周年とか、5周年とか、あなたが少年社中と一緒にいていただいた年月のそれぞれの周年を分かち合いたいんです。ぜひこのファイナル公演でそれぞれにとっての“少年社中との時間”をお祝いしましょうね。

(後ろ左から)矢崎広、鈴木拡樹、本田礼生(前)毛利亘宏

(後ろ左から)矢崎広、鈴木拡樹、本田礼生(前)毛利亘宏


 

ヘアメイク:AKI(鈴木拡樹) 城本麻紀
スタイリスト:小田優士

衣装協力:
【鈴木拡樹】ジャケット・パンツ(共にAM3/LANCE PR tel.080-3705-4272)
【毛利亘宏】シャツ(Connecter Tokyo/connecter.tokyo.infor@gmail.com)

 

取材・文=横澤由香    撮影=武田敏将

公演情報

少年社中 25周年記念ファイナル
第42回公演『テンペスト』
 
日程・会場:
<東京公演>2024年1月6日(土)~21日(日) サンシャイン劇場
<大阪公演>2024年1月25日(木)~28日(日)梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
 
原作:ウィリアム・シェイクスピア
脚色・演出:毛利亘宏
出演:井俣太良 大竹えり 田辺幸太郎 長谷川太郎 杉山未央 山川ありそ 内山智絵 川本裕之
鈴木拡樹 本田礼生 萩谷慧悟(7ORDER) なだぎ武 山﨑雅志(劇団ホチキス) 鈴木勝吾 矢崎広
 
 
【日替わり出演者】
東京会場
1月6日(土) 17:30 松本寛也
1月7日(日) 13:00/17:30 多和田任益
1月8日(月祝) 13:00 森大
1月9日(火) 14:00 椎名鯛造
1月10日(水) 14:00 中村龍介
1月12日(金) 19:00 伊藤昌弘
1月13日(土) 13:00/17:30 橋本祥平
1月14日(日) 13:00 唐橋充
1月15日(月) 19:00 松田岳
1月16日(火) 14:00/19:00 松田凌
1月17日(水) 14:00 輝馬
1月19日(金) 19:00 橋本真一
1月20日(土) 13:00/17:30 小野健斗
1月21日(日) 12:00/16:30 高崎翔太
 
大阪会場
1月25日(木) 19:00 谷口賢志
1月26日(金) 19:00 納谷健
1月27日(土) 13:00/17:30 安西慎太郎
1月28日(日) 12:00/16:30 宮崎秋人

 
:<全席指定> ※未就学児入場不可
一般:9,500円(税込)
U-19:2,000円(税込 19歳以下枚数限定)
社中ありがと割:8,500円(税込)
 
 
企画・製作:シャチュウワークス
 
■公演特設HP  http://www.shachu.com/tempest/
■少年社中公式HP http://www.shachu.com/
■少年社中公式X(旧Twitter) @shonen_shachu
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