ニュウニュウに聞く、音楽のこと、ショパンのこと~イープラス presents『ピアノの森』ピアノコンサートに初登場! その構想とは?
ニュウニュウ
2024年3月17日(日)東京・浜離宮朝日ホールを皮切りに全国7会場にて開催される「イープラス presents『ピアノの森』ピアノコンサート2024 SPRING」。一色まこと作の漫画『ピアノの森』の世界をトークとピアノ演奏で楽しむ本コンサートは、今年で4度目の開催。ピアニストには、TVアニメ『ピアノの森』(NHK総合/2018~2019放送)にてパン・ウェイの演奏を担当したニュウニュウが初登場する。
現在独学で日本語を勉強中で、本ツアーでも日本語でのトークを予定しているというニュウニュウに、公演に向けての意気込みを聞いた。
――アニメ「ピアノの森」で、パン・ウェイの吹き替えピアノを担当されました。
私はパン・ウェイのキャラクターがすごく好きです。彼は厳しい幼少期を過ごしましたが、ピアノと音楽が彼を励まし、心を慰め、助けてくれました。ベートーヴェンの人生からもわかるように、厳しい経験が音楽を深めてくれることもあります。
私はいつも、音楽の本当の意味とは何かを考えています。音楽は、自分を誇示するための道具であってはならず、人に希望や愛をもたらすものであるべきです。私も音楽に救われたことがたくさんありますから、パン・ウェイには共感します。
――今回は「ピアノの森」コンサートに初めてご出演されます。プログラムの中でとくに思い入れのある作品はありますか?
どの曲もお気に入りで選ぶのは難しいですが、しいて言うなら、私が約15年前の日本ツアーでも演奏した、ショパンの革命のエチュードでしょうか。この曲を弾くたび、私をずっと支えてくれる日本のみなさんのあたたかい応援が頭にうかびます。それにこの曲は、パン・ウェイがショパンコンクールで最初に演奏して注目を集める曲でもあるので、必ずプログラムに入れたいと思いました。
また、ファーストシーズンの子供時代に登場する「茶色の小瓶」も演奏します。おもしろい曲ですよね。今回は、私がアレンジを加えて演奏しようと思っているので、楽しみにしていてください。
――「ピアノの森」セカンドシーズンはショパンコンクールが舞台ということもあり、今回の演目にもショパンが多く含まれています。ショパンを演奏するうえで大切にしていること、音色としてこだわっていることはありますか?
いつも考えているのは、ショパンの叙情性、祖国への熱く深い感情を引き出すことです。ショパンの時代のピアノでは、現代のピアノより歌う表現ができました。現代のピアノで演奏するときも、当時のピアノの音色を思い浮かべながら、指で歌うことを心がけています。
――ピリオド楽器にもご興味があるのですか?
はい。当時のプレイエルを弾いたことがありますが、音色がとてもやわらかいですね。現代のピアノはパーカッシヴなところがあるので、真のカンタービレを目指すことは簡単ではありませんが、いつもがんばっています。
――リストの「ラ・カンパネラ」も演奏されます。リストはショパンと同時代を生きた作曲家ですが、キャラクターやアプローチがだいぶ違いそうです。
そうですね、作品の輝かしさは共通していますが、性格は大きく異なります。ショパンはより内向的なので、自分の心を映し出すような感覚で弾く必要があります。一方、リストは外向きで、彼は今でいうロックスターのような存在でしたから、「ラ・カンパネラ」でも自分を示すような表現が必要です。
――ご自身にはどちらのキャラクターが近いですか?
これは難しい質問ですね。私自身は内向的なので、性格はショパンに近い。でも、リストのようなイメージがほしいとずっと思っています。リストは当時のアイドルのような存在でした。私は、クラシックの演奏家が現代でもそういう存在になれたらと思っているので、この20年、オープンな性格になれるよう少しずつ頑張ってきました!
――今日のインタビューも全部日本語で答えてくれていますが、日本語を勉強しようと思ったきっかけは? 音楽家として便利な言語は他にもありそうに思いますが。
その答えは簡単で、日本のみなさんは私が大好きな方達だからです。15年前の初来日ツアー以来、毎年のように訪れ、その中でみなさんと直接話したい気持ちが募ったので、この1年半ほど一生懸命勉強しました。去年はステージから皆さんに日本語で語りかけたことで、すごく距離が近くなったと感じました。
今回も、このインタビューのためにたくさん言葉を覚えたのですが、いざとなると忘れてしまいますね。でも、言葉を学ぶうえでそれはよくあること。暗記することと本当に使えることは違います。日本語で話す機会を持つことで、少しずつ上手になれたらと思います。
――言語を勉強することは、刺激になりますか。
すごく刺激になります! 文化を理解することにも役立ちますよね。今私が話せるのは、中国語、英語、日本語。フランス語とドイツ語も少しだけ。日本語が上手くなったら、新しい言語を学ぶつもりです。
――言語や音楽以外でインスピレーションの源になっているものは?
運動が好きで、ランニングだけでなく、ヒップホップやK-POPなどのダンスも習ったことがあります。あとはケーキなどスイーツを作ることが好きですね。自分では甘いものをあまり食べないのですが、誰かに作るとその人を幸せにできるので。
――ダンスや料理という趣味が演奏活動に生かされる部分もありますか?
そうですね、ダンスをする理由の一つは、体型を維持するためです。私はクラシックの演奏家ですが、アイドルのようなスタイルを保てるよう、食事もコントロールしています。若い世代のピアニストには、そういう意識のある人が増えていますよね。
――最後に、「ピアノの森」ファン、ニュウニュウさんファンにメッセージをお願いします。
今回は、本編はパン・ウェイとして演奏して、アンコールはニュウニュウとして演奏しようというアイデアも出ています。どんな違いが出るのか自分でもおもしろそうだと思うので、ぜひ会場に聴きに来ていただきたいです。髪型やスタイルもパン・ウェイのイメージに近づける予定ですので、どうぞお楽しみに!
イープラス presents『ピアノの森』ピアノコンサート 2024 SPRING ニュウニュウよりメッセージ動画到着!
取材・文=高坂はる香 撮影=山口真由子
公演情報
日程:2024年3月17日(日)~4月14日(日)合計:7会場
2024年
3月17日(日)浜離宮朝日ホール【SOLD OUT】
3月20日(水・祝)住友生命いずみホール
3月29日(金)東大和市民会館ハミングホール 大ホール
3月30日(土)神戸朝日ホール
4月6日(土)高崎芸術劇場 音楽ホール
4月7日(日)栃木県総合文化センター(サブホール)
4月14日(日)下関市生涯学習プラザ海のホール(大ホール)
ショパン/ノクターン 第13番 ハ短調 作品48₋1
ショパン/12の練習曲 第1番 ハ長調 作品10
ショパン/12の練習曲 第12番 ハ短調 作品10 ≪革命≫
ショパン/バラード 第1番 ト短調 作品23
ショパン/ワルツ 第1番 変ホ長調 作品18 ≪華麗なる大円舞曲≫
ショパン/ポロネーズ 第6番 変イ長調 作品53 ≪英雄ポロネーズ≫
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茶色の小瓶
ショパン/スケルツォ 第2番 変ロ短調 作品31
ショパン/24の前奏曲 第15番 変ニ長調 作品28 ≪雨だれ≫
リスト/パガニーニによる大練習曲 第3番 嬰ト短調 S.141 ≪ラ・カンパネラ≫
※本公演は映像等の演出はございません。予めご了承ください。
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公演お問い合わせ:050-3185-6449(10:00-18:00/土日祝を含む)
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