平間壮一×大東立樹『無伴奏ソナタ-The Musical-』インタビュー~演劇集団キャラメルボックスの名作を初ミュージカル化
「ギレルモのクリスチャンに対する気持ちの強さが鍵(大東)」
ーー今回ご自身が演じる役柄についてはそれぞれどう感じていますか?
大東:僕が演じるギレルモは、とにかく明るい象徴でありたいと思っています。根本的にはダークな面がある作品だとは思いますが、その中でギレルモというすごく明るい性格の人物が舞台上で話している感じが好きなんです。キャラメルボックスさんの『無伴奏ソナタ』の映像も拝見しましたが、キャラクターを作り上げていらっしゃって素敵だなと思いました。もちろんそれを追っていくのではなく、演出家さんと話し合って僕なりのキャラクターを作れたらいいなと思います。
ーーギレルモはギター弾きの作業員ということで、劇中でギター演奏もされるんですよね。
大東:はい、ギター演奏は初めてなので、早く「ギタリストの手」を手に入れたくて絶賛練習中です。結構順調なペースだとは思いますが、このままだと出演できません(笑)。自分を叩き上げて頑張りたいと思います!
ーー平間さんが演じるクリスチャンはどうでしょう?
平間:キャラメルボックスの公演で多田直人さんが演じていた役なので、ご本人に役作りのヒントにしているものを伺ったんです。30歳にしてはすごく純粋で、大人なのに子ども過ぎるようなキャラクターに思えたので「そういう風に作っていたんですか?」と聞くと「そうだね」と。台本を読んで自分なりに役を捉えたときに、クリスチャンは適性検査でメイカーという職業が向いているだけで、本人がやりたいと思っているのかまではわからなかったんです。ロボットのように無心で音楽を作っている部分もありながら30歳まで生きてきた彼が、他の音楽を初めて聴いて心を知ったときが本当の0歳なのかもしれない。それから周りの人たちと交流して心を学んでいければいいのかなって。これはあくまで今の時点の想像なので、うまくいくかはわからないですけどね。
ーー以前クリスチャンを演じていた多田さんが、本公演ではウォッチャー役で出演されます。多田さんが近くにいるというのはいかがですか?
平間:いや〜、僕はすごく気にしちゃうだろうなあ(笑)。でも多田さんはすごく気を遣って「全然見ないし、全然好きにやっていいよ」とおっしゃってくださったので、楽しんで作っていきたいですね。むしろ「多田さんにはこれ思いつかなかっただろう」みたいな気持ちで臨もうと思います!
ーークリスチャンとギレルモの出会いは大きなポイントになってくると思いますが、お互いにとって相手はどういう存在ですか?
平間:クリスチャンにとってのギレルモは、背中を押してくれる存在。気持ち面で一歩乗らせてくれる人という感じですね。それはなんでだろうと思いますが、不思議と突き動かされちゃうんでしょうね。
大東:そこに僕がどう持っていけるかは、ギレルモのクリスチャンに対する気持ちの強さが鍵になると思っています。どうでもいいやつをなんとなく音楽に誘い込んだわけではないと思うんですよね。だから、ギレルモはクリスチャンのことを最初から意識しちゃっているというのが自分的には理想です。クリスチャンに対しての思いが強いんですよ。
ーーそれだけクリスチャンのことが気になるのは、音楽を通して何かしら感じるものがあったからでしょうか?
大東:おそらくそれがきっかけです。運命的なものも感じていて、それは恋愛ではなく人と人との繋がりとしての運命。そういうものを直感的に感じていてもおかしくないんじゃないかなと考えています。でも全然的外れかもしれないので、稽古場で演出家さんに聞いてみます(笑)。
ーー今回、成井豊さんの演出を受けるにあたってどんなことを楽しみにしていますか?
大東:お会いしたことはないのですが、キャラメルボックスさんの公演映像を拝見してお話ししたいことがいっぱいできたので、稽古場では誰よりも話しかけに行きたいと思っています。まずはお芝居で絶対にやっちゃいけないことから入っていって、一旦役作りを挟んで、ゆくゆくはプライベートまで……。
平間:プライベートまで!?(笑)
大東:僕、演出家という職業に対して憧れがあるんです。俯瞰して物事を見ないといけないし、自己満足で終わらせられない職業なので、僕自身そういう視点を持てる人間になりたくて。だから休みの日に何をしているのかとか、どういう女性がタイプなのかとか知りたいんです。そこまで聞くには好印象じゃないといけないので、まずは信頼関係を!
平間:リッキーって面白いね(笑)。成井さんには僕もまだお会いしたことがないんですが、原作のことを誰よりも愛して大事にする方だと聞いています。自分、「僕はこうやりたいんです」とか「こういうのどうですか?」とかオリジナリティを持っていっちゃうタイプの役者なので、大丈夫かなとちょっと心配しています(笑)。キャラメルボックスの『無伴奏ソナタ』を拝見したときに、劇団として演じ方の統一感みたいなものがあるからこそ、多少無理な設定があったとしても物語世界に生きている人たちがスッと入ってくるのが強みだなと感じました。今回、作品がミュージカルというさらに受け止めにくいものになったときに、僕たちがいかに説得力を持たせられるかが課題だなと。成井さんも初のミュージカル演出なので、その辺りいろいろ考えていらっしゃるんでしょうね。
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