キャスト一新! 生命力と若さ迸る、ミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』ゲネプロレポート(岡宮来夢・星風まどか出演回)
ミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』舞台写真
フランス革命の最中に生きる恋人たちの姿を描くミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』が、2025年4月8日(火)に東京・明治座で開幕した。
本作はドーヴ・アチアとアルベール・コーエンのプロデュースによって2012年にフランスで誕生したフレンチ・ロック・ミュージカル。日本では小池修一郎の潤色/演出によって2015年に宝塚歌劇団月組で初演、翌年には東宝版が帝国劇場で上演された。2018年の再演を経て、今回は7年ぶり3度目の東宝版上演となる。
農夫から革命派へ身を投じるロナン役は岡宮来夢と手島章斗、宮廷に仕えるオランプ役は星風まどかと奥田いろはがそれぞれWキャストで担う。また、宝塚歌劇団退団後初のミュージカル出演となる凪七瑠海がマリー・アントワネット役を務める。さらに内海啓貴、伊藤あさひ、伊勢大貴、藤森蓮華、俵和也、高橋健介、小南光司、渡辺大輔らが名を連ね、前回公演から大幅にキャストが一新された。
本記事では、岡宮来夢・星風まどか出演回のゲネプロの模様をレポートする。(シャルロット役:南里侑明、ルイ・ジョセフ役:谷慶人)
民衆は貧困にあえぎ、貴族は贅沢に溺れる18世紀末のフランス-。
農夫ロナンは父を貴族に殺害されたことをきっかけに、パリへ飛び出し、革命派に身を投じる。そこで、デムーラン、ロベスピエール、ダントンら熱き仲間を得て、新しい時代に希望を燃やしていた。
一方、宮廷に仕える心優しき侍女・オランプはマリー・アントワネットとフェルゼン伯の逢瀬を手引きしてパリにやってくる。マリー・アントワネットをつけ狙う一味との騒動に巻き込まれたロナンはオランプと運命の出会いを果たす。
決して出逢う筈のなかった二人は強く惹かれ合うも、対立する身分が壁となる。
そして、愛に悩む彼らの心を揺さぶるかのように革命の足音が近づいてくる……。
1789年7月14日、バスティーユ牢獄襲撃。遂に革命の火蓋が切って落とされる-。
2025年の『1789 -バスティーユの恋人たち-』は、生命力と若さが迸る瑞々しい作品に仕上がっていた。
本作の魅力はなんといってもグルーヴ感溢れる音楽だ。モダンで疾走感溢れるナンバーの数々は、革命へと向かっていく物語の展開と見事に融合している。ここにキャスト陣の熱い歌唱や激しいダンスが加わると、何倍にも厚みを増して胸に迫ってくる。激しいロックナンバーで見せる、シトワイヤン(市民)たちの一糸乱れぬ群舞やアクロバティックなダンスも大きな見どころだ。また、今回の公演では2023年の宝塚版から加わった「愛し合う自由」が新曲として追加されている。
東宝版初演時から生のオーケストラ演奏ではなく、本国フランス版に倣って全編レコーディングサウンドを取り入れているのも本作の特徴だ。打ち込みを多用したり、キャスト自身の声をハモリで録音したりすることで、レコーディングだからこそできる立体感のあるサウンドになっている。
作品全体を貫くのは、貧しい者と富める者の二項対立の構図だ。舞台上には可動式の大きな天井があり、この天井を境に舞台全体が分断されて視覚的にも身分の上下関係が描かれている。衣裳の違いも顕著だ。日々生きるだけで必死な民衆たちの衣裳に対して、貴族・王族たちは細部まで贅沢な装飾が施された絢爛豪華な衣裳を身にまとい、優雅にパーティーに興じている。特にマリー・アントワネットの存在は富める者の象徴となっており、舞台上部から大きなゴンドラで降りてくる登場シーンから強烈な印象を残す。物語が進み、彼女の立場や気持ちと共に変化していく衣装にも注目してほしい。
ここからは、激動の時代を生き抜いた登場人物たちと、彼らを瑞々しく演じきったキャスト陣を紹介したい。
農夫から革命派へ身を投じたロナンを演じたのは、岡宮来夢だ。血気盛んで粗野な振る舞いを見せることもあるが、誰よりも純粋でまっすぐに生きるロナンを活き活きと演じていた。パリで仲間を得て革命に燃える熱い眼差しと、恋をしてからオランプに向ける優しい眼差し、どちらからもロナンの真剣な想いが手に取るように伝わってくる。ふとした瞬間に見せる笑顔も愛らしく魅力的だ。
フランス王太子の養育係を務め、マリー・アントワネットからの信頼も厚いオランプを演じたのは星風まどか。ロナンとの身分違いの恋に戸惑い揺れる心を、切ない歌声に乗せて表現。会話の端々から知性も感じられ、優しさの中に芯の強さも合わせ持つオランプを実に丁寧に演じていた。
ロナンがパリで出会ったのは、自由と平等を求めて立ち上がろうと奮起する若者たちだ。
革命家でジャーナリストのデムーラン役の内海啓貴は、持ち前の伸びやかな歌声で高らかに市民たちに革命を呼びかける。平民出身の若い議員ロベスピエール役の伊藤あさひは、スマートな立ち居振る舞いで魅せ、青い炎を内に秘める男を演じた。
革命の先頭に立つ弁護士ダントン役の伊勢大貴は、猛々しい歌声を響かせながら、人情味がある憎めないキャラクターを好演。ロナンの妹でダントンの恋人でもあるソレーヌ役で存在感を示していたのは、藤森蓮華。パリの街でしたたかに生きる女性を、圧巻のダンスと力強い歌声で体現していた。
革命派の前に立ちはだかったのは、王党派・王族の面々だ。フランス王妃マリー・アントワネット役の凪七瑠海は、眩いほど豪華なドレスを華麗に着こなし、作品に華を添える。マリーの愛人であるフェルゼンを演じた小南光司は、感情を抑えた芝居の中にマリーへの確かな愛と誠実さが感じられた。
国王ルイ16世の弟アルトワ役の高橋健介は、終始冷ややかな視線で策略をめぐらせながら、ヒール役として気品と色気を放つ。アルトワの手先として暗躍する秘密警察たちは、俵和也演じるラマールが中心となってコミカルな空気を生み出し、客席を時折和ませた。
血も涙もない冷徹な貴族将校ペイロール役は、過去に同作品でデムーランを演じていた渡辺大輔。舞台上に姿を見せるだけで一瞬にして空気を変えてしまう程の威圧感を放ち、重厚な芝居で作品全体を引き締めていた。
上演時間は1幕1時間25分、休憩30分、2幕1時間10分の計3時間5分。東京公演は4月29日(火)まで、その後は大阪・新歌舞伎座にて5月8日(木)〜16日(金)まで上演予定だ。自由と平等を求めて立ち上がる若者たちの熱い鼓動と息遣いを、劇場で体感してほしい。
キャストコメント
■岡宮来夢(ロナン役/Wキャスト)
ミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』いよいよ初日の幕が上がります!
「歴史の波間に浮かんで消えてゆく
一つ一つの命の叫ぶ声が
響き合い重なって明日の歴史作る
歌い続けよう 永遠に」
僕はこの歌詞が大好きです。
フランス革命という今の僕たちにも大きな影響を及ぼした出来事と、その中で巻き起こる恋の物語を、演劇として皆様に届ける上でどんなメッセージが届くのか、楽しみでなりません。
先輩方から受け継いだこの作品を、後世にも絶対に繋いでいきたいです。
責任と覚悟を持って本日より板の上に立たせていただきます。
劇場でお待ちしております!
■手島章斗(ロナン役/Wキャスト)
ロナン役を務めさせて頂きます、手島章斗です。
初めての主演、グランドミュージカル、そしてWキャストと初挑戦の連続でしたが、本当に素敵なカンパニーの皆さんのおかげで、ここまで来ることができました。
今の自分にできることを、不器用なりに全力で向き合い、ロナンとして革命に身を捧げたいと思います!
「自由・平等・博愛」というテーマは、僕自身もとても大切にしていることです。
ご来場下さる皆様にとって、今という時代がより特別なものになり、そばにいる大切な方の存在を、より一層愛おしく感じていただけるよう、毎公演、命を燃やして舞台に立ちます。
■星風まどか(オランプ役/Wキャスト)
『1789 -バスティーユの恋人たち-』開幕致します!!
壮大な歴史の中で生きた彼女の情熱を音楽に乗せ、観客の皆様に強い感動とエネルギーをお届けできるよう、一生懸命務めます!
どうぞご期待ください。
■奥田いろは(オランプ役/Wキャスト)
まずは、みんなで無事に初日を迎えられたこと、とても嬉しく思っています。
一人ひとりの力が集まって、大きな塊となり、ものすごいパワーを感じられる作品になりました。
キャッチ―な音楽、華やかな衣裳やセットなど、目でも耳でも楽しめる作品なので、ぜひ全身でこの1789の世界を感じていただけたら嬉しいです!
劇場でお待ちしております。
■凪七瑠海(マリー・アントワネット役)
素晴らしい、数々の楽曲に胸が熱くなり、素敵なキャストの皆様から、沢山の刺激、パワーを頂き、毎日心震わせながら、お稽古してまいりました。
再び、この壮大な作品に携わらせて頂ける事、心から光栄に思います。
宝塚在籍当時の、色々な思い出が蘇ってきますが、役の立場も変わり、環境も、周りの方々も変わり、また新たな作品として、新鮮に取り組んでおります。
マリーアントワネットに寄り添い、全身全霊、魂を込めてフランスの王妃としての人生を全うしたいと思います。
取材・文・撮影 = 松村 蘭(らんねえ)
公演情報
日程:2025年4月20日(日)
会場:明治座
開演:13:00~
<追加販売>【手数料0円】先着販売
受付期間:2025/3/28(金)12:00~2025/4/20(日)13:00
出演
岡宮来夢
星風まどか
凪七瑠海
内海啓貴、伊藤あさひ
伊勢大貴、藤森蓮華
俵 和也、高橋健介
小南光司、渡辺大輔
アフタートーク
登壇者:岡宮来夢、星風まどか、司会 俵 和也
日程:2025年4月21日(月)
会場:明治座
開演:17:45~
優待価格&特典引換券付き
受付期間:2025/4/4(金)12:00~2025/4/20(日)18:00
出演
岡宮来夢
奥田いろは
凪七瑠海
内海啓貴、伊藤あさひ
伊勢大貴、藤森蓮華
俵 和也、高橋健介
小南光司、渡辺大輔
【e+会員特別企画】
席数限定:S席または注釈付S席が6,000円OFFの優待価格10,000円
※公演当日にS席または注釈付S席の座席指定券をお渡しします
※注釈付S席は場面により見づらい可能性のあるお席です
さらに…特典として
香港点心専門店『ティム・ホー・ワン(添好運)』ベイクド チャーシューバオ3個引換券付き(1,000円相当)
利用可能期間:6/30(月)まで
利用可能店舗:ティム・ホー・ワン
日比谷店(千代田区有楽町1-2-2 日比谷シャンテ別館1F)
新宿サザンテラス店(渋谷区代々木2丁目2-2)
東京ドームシティ ラクーア店(文京区春日1丁目1番1号 ラクーア2F)
梅田茶屋町店(大阪市北区芝田1丁目15番21号
Le Spectacle Musical 《1789~Les Amants de la Bastille》