世界的チェリスト マリオ・ブルネロと気鋭のフォルテピアノ奏者 川口成彦がデュオ・リサイタルを開催
『マリオ・ブルネロ&川口成彦 デュオ・リサイタル』
2025年6月25日(水)日本製鉄紀尾井ホールにて、『マリオ・ブルネロ&川口成彦 デュオ・リサイタル』が開催されることが決定した。
2024年10月、紀尾井ホールでの初共演で圧倒的な音楽体験を提供し、聴衆を魅了した世界的チェリスト、マリオ・ブルネロと気鋭のフォルテピアノ奏者、川口成彦。観客からの熱烈な要望に応え、この度、再共演が実現する。
マリオ・ブルネロ (C)Gianni Rizzotti
マリオ・ブルネロは、1986年にチャイコフスキー国際コンクールでイタリア人として初めて優勝を飾って以来、ムーティ、小澤征爾、ゲルギエフらの偉大な指揮者と共演し、ロンドン響、フィラデルフィア管など世界屈指のオーケストラと数多くの舞台を踏んできた。室内楽でも、クレーメル、バシュメット、アルゲリッチ、ポリーニなど錚々たる音楽家たちとの共演を重ねてきた。使用楽器は1600年代初頭に製作された「マッジーニ」。また、近年は「ヴィオロンチェロ・ピッコロ」の再発見を推進するなど、独自の音楽的アプローチと自由な表現力で聴衆を魅了し続けている。
川口成彦 (C)Fumitaka Saito
一方、川口成彦はフォルテピアノの名手であり、第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクール第2位、ブルージュ国際古楽コンクール最高位という輝かしい成績を収めている。フィレンツェ五月音楽祭やモンテヴェルディ音楽祭をはじめとする国際的な音楽祭にも出演し、協奏曲では、18 世紀オーケストラや{oh!} オルキェストラ・ヒストリチナといった世界有数の古楽器オーケストラと共演するなど、歴史的楽器による独自の表現で国際的に高い評価を得ている。
昨秋の初共演では、個性や気風の違いを超え、それぞれの卓越したアンサンブル能力と適応力の高さが発揮された二人。弱音での精妙な表現が光り、繊細で簡明な表現を巧みに引き出すブルネロの大胆で即興的な演奏に、川口が機敏かつ明朗に応える姿が聴衆を魅了。
今回の公演では、古典派からロマン派まで多彩な魅力が詰まったプログラムをおくる。
まずは、ベートーヴェンの『ヘンデルの「ユダ・マカベア」の「見よ勇者は帰る」の主題による12の変奏曲』で幕が開く。表彰式のBGMとしてもなじみ深い、ヘンデルのオラトリオ『マカベウスのユダ』に登場する有名な合唱曲を題材に、古典派特有の明晰な変奏技法と輝かしい響きが展開される。この作品では、チェロとフォルテピアノの絶妙な掛け合いが魅力的で、歴史的楽器の響きによって、ベートーヴェン初期の明晰な構成と変奏技法が鮮やかに蘇る。
続くシューベルトの『アルペジョーネ・ソナタ』は、すでに姿を消した楽器「アルペジョーネ」のために書かれた珠玉の名曲。現在はチェロやヴィオラで演奏されることが多く、特に第2楽章の叙情的な旋律は広く愛されている。哀愁を帯びた旋律の美しさと情感豊かな表現が、チェロとフォルテピアノの独特の音色により、新たな魅力を放つ。
次に、ベートーヴェンの弟子として知られるリースの才気溢れる作品、『3つのロシアの歌による変奏曲』を演奏。ロシア民謡の素朴な旋律を題材に、古典派の伝統を継承しながらも、初期ロマン派の情感も感じられる作品で、当時流行したロシア音楽への関心を反映した珍しいレパートリーとして注目されている。
最後を飾るメンデルスゾーンの『チェロ・ソナタ第2番』は、ロマン派音楽の神髄を体現する作品。チェロとピアノが対等に主題を歌い交わす構成で、メンデルスゾーン特有の明快な形式感と深い感情表現が融合した名曲として高く評価されている。昨秋の初共演で演奏された第 1番に続き、今回は第2番に挑む。
初共演で生まれた音楽的対話が、時代を超えた銘器とともにより熟成された形で披露される本リサイタル。この稀有な音楽体験を見逃さないでおこう。
公演情報
会場:日本製鉄紀尾井ホール
マリオ・ブルネロ(チェロ)、川口成彦(フォルテピアノ)
ベートーヴェン:ヘンデルの「ユダ・マカベア」の「見よ勇者は帰る」の主題による 12 の変奏曲
ト長調 WoO 45
シューベルト:アルペジョーネ・ソナタ イ短調 D.821
リース:3つのロシアの歌による変奏曲 Op.72
メンデルスゾーン:チェロ・ソナタ 第2番 ニ長調 Op.58
S席 9,000円 A席 6,000円(全席指定・税込)
企画協力:紀尾井ホール