GWの仙台で『魔神英雄伝ワタル&ワタル2~おもしろカッコいいコンサート〜』が開催! その内容と開催への道のりを“エンターテインメントパートナー”に聞く
仙台フィルハーモニー管弦楽団特別演奏会 エンターテインメント定期 第4回『魔神英雄伝ワタル&ワタル2~おもしろカッコいいコンサート~』がいよいよゴールデンウィーク中の5月3日(土・祝)仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール (宮城県)で開催される。
シリーズ最新作『魔神創造伝ワタル』が、2025年1月から放送されていることでも話題の『ワタル』シリーズ。そんな『ワタル』シリーズから今回は『魔神英雄伝ワタル』『魔神英雄伝ワタル2』の主題歌と劇伴をオーケストラサウンドにて贈る予定だ。
コンサート直前!
今回公演が開催されることになったきっかけや、プログラム内容の選定についての話を、仙台フィルハーモニー管弦楽団(以下、仙台フィル)のエンターテインメント定期(以下、エンタメ定期)に対して“エンターテインメントパートナー”という形で協力されている、株式会社バンダイナムコフィルムワークスの宮村航(わたる)氏と、株式会社バンダイナムコピクチャーズ 兼 株式会社バンダイナムコミュージックライブの生地俊祐氏に伺った。
――2024年の3月に第0回『クラシカロイド』、2024年度から本格的に『コードギアス 反逆のルルーシュ』『機動戦士Zガンダム/機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』『アイカツ!シリーズ』と始まった仙台フィルの“エンタメ定期“も、25年度も継続となり第4回を迎えます!ちなみに、“エンターテインメントパートナー”ってどういう存在なのでしょうか?
生地:学生時代からクラシック&アニメーション音楽のファンなので、アニメーションの音楽の定期的なオーケストラコンサートで開催してみたいという気持ちはあったのですが、ご縁があった仙台フィルの方と喋っているなかで「是非やりましょう!」というお話になり、本当に仙台フィルさんのプロジェクトとして実現してくださるというまさかの展開となりました。私も一緒に発意と言う部分でご一緒にスタートさせていただきましたが、ただしあくまで公演の主催は仙台フィル様です。
ので、プログラミングするアニメ作品および音楽作品における幅広い協力という意味で“エンターテインメントパートナー”としていただいております。
――今回のテーマが“ワタル“になった経緯を簡単にお教えください!まさか好きだからですか??笑
宮村:まず自己紹介からすると、私はバンダイナムコフィルムワークスの中で、サンライズ(現在バンダイナムコフィルムワークスに統合)が作ってきた数多くの作品を管轄する部署に在籍しています。そこである日突然、生地から『ワタル』シリーズの担当である私へ呼び出しが(笑)。
生地:旧知ですから「ちょっと話が、と」(笑)。ご質問の、“ワタル“になった経緯ですが、実は、現在放送中の『魔神創造伝ワタル』が成立の大きな原動力です。私が元々所属するバンダイナムコピクチャーズでアニメーション制作を担当していたこともありまして。また個人的な話で恐縮ですが1980年生まれの私はまさに英雄伝世代で、当時からCDも持っていたので、音楽面の素晴らしさも理解していたつもりです。そんな経緯から、『ワタル』シリーズを仙台フィル様へご提案しました。
宮村:『魔神英雄伝ワタル2』が35周年を迎える年で、英雄伝としても熱い年に素敵なお話だなと思い、是非是非やりましょう!と。そして、仙台フィル様からのオファーもあり、『魔神英雄伝ワタル』の主題歌を歌われていたa・chi-a・chiさんへも早速お電話し、出演をご快諾いただきました!
生地氏と宮村氏
――今回のコンサートプログラム(セットリスト)について教えてください。
生地:今回は私の方でセットリストの方を組ませていただいています。『ワタル』&『ワタル2』の音楽はオーケストラ編成ではないので新編曲が必須になります。しかし、35年以上前の劇伴の譜面が何処まで発見出来るかは企画段階では未知数でしたので、聴音つまり“耳コピ”にかなり頼らなければいけないと想像されました。しかし、少し調べた範囲ではCD音源以外に頼りが無く、そこから多くをセレクトしております。そして各主題歌と、私がどうしても譲れなかった(笑)「See you again」で構成しました。
ただ、私同様に『ワタル』&『ワタル2』ファンの皆様はご同意いただけるのではないかと思うのですが、CDは劇伴を網羅しているとは言い難く、「外してはいけないだろう!」という使用頻度が高い曲8曲をプログラムしました。音が無いと伝わりにくいので恐縮なのですが、ワタルの龍神丸召喚時の短い曲、登龍剣の時の曲、龍王丸変身の時の曲、『ワタル』第1話や44話で龍神が集うシーンなどで使われたトランペットソロから始まる曲、『ワタル』&『ワタル2』それぞれのアバンタイトルの曲、『ワタル2』の星龍剣の時の曲、歌「優しい海」の原曲で海火子のテーマです。
宮村:どの楽曲も作中の場面を思い起こさせますが、個人的にも『魔神英雄伝ワタル 七魂の龍神丸』から『ワタル』の担当をしておりますので、『魔神英雄伝ワタル』と『魔神英雄伝ワタル2』、そこに重なる形で『七魂』も思い起こさせるものばかりで……。『七魂』も5周年なので、本当にアニバーサリーなタイミングでこのプログラムを実施できるのは感動ですね。
――最近はアニメーション作品の劇伴コンサートも増えております。このような70年代80年代90年代の作品のコンサートの企画が実現にたどり着くまで大変かと思いますがそのあたりをお聞かせください。
生地:編曲、演奏出来る状況に大切なものは“譜面”と“音源”だな、と今、痛感しております。かなり散逸していたり、何となく保管されたままになっていますので、最初のミッションは“捜索”です。気持ちは正にトレジャーハンターで、“お宝”を見つけた時の感動は鳥肌ものです。
『ワタル』、『ワタル2』の劇伴は、兼崎順一さん、門倉聡さん、神林早人さんのお三方です。今回、日本テレビ音楽の担当の方が大変にバックアップしてくださっているのですが、お三方をご紹介いただきました。各地へお会いしに行き、保管いただいていた楽譜のご提供をいただきました。お三方とも本当にお優しくて涙が出そうです。しかし、当時、小学生だった生地少年には想像もしていなかった未来だな、と思っています(笑)お三方それぞれに最初にお電話した際、年甲斐もなく本当に緊張しました。。。
音の方は、『ワタル』シリーズにてアニメーション本編で一貫して音響を担当してくださっている音響会社であるクルーズの、音響監督:藤野貞義さんとエンジニア:西澤規夫さんにご相談したところ、アニメ本編の音楽トラック(台詞や効果音が入っていない音楽だけ)をご用意くださいました。まだ譜面が未発見段階で、これで編曲出来る目鼻が立ったのと、演奏段階で変えているなど譜面だけでは分からない面も実際の音にはあるので大大大感謝です。
宮村:しかし、アニメーション制作会社の人とは思えない謎な動きまわり方をしてますよね生地さんは(笑)。a・chi-a・chiさんのところにも直接お伺いしてましたしね。
生地:見かねてか呆れてか知らないけども、4月からバンダイナムコミュージックライブも兼任になったのはこれが原因なんじゃないかと(笑)。
――コンサートに向けての捜索で副産物があったとうかがいました。
生地:そうなんです!編曲作業には間に合わなかったのですが……『魔神英雄伝ワタル』、『ワタル2』共に音楽のマスターテープがかなりの量が見つかりました!
神林早人さんの奥様である神林名里さんは、早人さんの音楽ディレクションをキッカケにしてビクター音楽産業さんに所属され、『ワタル2』の劇伴以外の歌関係から『超魔神英雄伝ワタル』の音楽ディレクターだった方でして、フライングドッグの方へマスター所在を問い合わせしてくださり、さらにビクタースタジオ様が調べてくださいました。また並行してバンダイナムコミュージックライブの倉庫も探索しました。整理や再生チェックなどをこれから始めます。
宮村:無事に再生が確認されたら、バンダイナムコミュージックライブと協力して何かしらの形でファンの皆様に届けられたら素敵だなと考えておりますので、素材が揃うのを私たちと一緒に祈っていていただければ嬉しいです!
――ここでご紹介した3名の作曲家さんから、コンサートに向けてメッセージをいただいています。(お三方コメント)
兼崎順一さん
兼崎順一さん
スペクトラム解散後、初のアニメ音楽制作でした。当時の音楽シーンはどんなものだったか?
記憶の彼方に消えつつある今日この頃ですが、あのバンドで培ったサウンドが至る所に有るのには今聞いても斬新に感じます。
手前味噌ですが、、、(笑)。
そのサウンドをどうオーケストレーションされているのか?
以前はオケにも時々参加していたので興味津々です。
是非是非、生音で聴いてみてください!
門倉聡さん
門倉聡さん
『魔神英雄伝ワタル』から数えて、37年ぶりの仙台フィルハーモニー管弦楽団によるコンサートでの復活、本当におめでとうございます。実は全く当時レコーディングした事を思い出せないのです。
ちょうどこの頃は仕事が立て込んでいて、一年360日スタジオに籠っており記憶も混濁しています。
ですが今回の事で自分の楽曲を聞くにつれ「意外に良い曲だなぁ」と感動した次第。
きっと最高のコンサートになると今から楽しみです。
神林早人さん
神林早人さん
いやもう昨年末から驚きの連続!!
エッ!?仙台フィルでコンサート?
エッ!?a·chi-a·chiが出演?
遠方の我が家まで来てくださったスタッフの熱いワタル愛に感激している内に、気付けば妻と二人で裏方として現地で手伝うことになっていました(笑)。
当日はファンの皆さんと一緒に会場で生演奏を楽しめると思うと今からワクワクします。
長年愛され続ける作品と出合えたコトは作曲家として本当に幸せです。
長い間の応援ありがとう!!
これからもワタルをヨロシク!!
――最後になりますが、仙台で開催されるこのコンサート、宮村さんと生地さんからもメッセージをお願いいたします。
生地:メイン編曲の佐野秀典さんがオーケストラ編成では無い原曲の意を組みながら、そして時には大胆に、そして鈴木雄大さん、山本純さん、穴沢弘慶さんもそれぞれに工夫を凝らして取り組んでアレンジしてくださっています。それをこれまでエンタメ定期4回分を積み重ねた仙台フィルの奏者の皆様が、持ち前の“楽しもう精神”をフルに発揮した正に“おもしろカッコいい”コンサートを実現してくださると確信しています。是非“生”でワタルの世界を体感しに来てくださいませ!
宮村:『ワタル』シリーズとしても、ここまで規模の大きなコンサートは初めて。ワタル&ワタル2の楽曲がオーケストラサウンドで体感できるのは、私自身、当日を非常に楽しみにしています。昨年の感謝祭に引き続いてのa・chi-a・chiさんの歌唱コーナーも大注目です!ぜひぜひお楽しみに。
また、コンサート以降も35周年の『ワタル2』をはじめ、さまざまな展開を準備しています。仙台フィルエンタメ定期とともに、『ワタル』シリーズの応援をこれからもよろしくお願いいたします!
――本日は誠にありがとうございました。
公演情報
『魔神英雄伝ワタル&ワタル2~おもしろカッコいいコンサート~』
会場 仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール(宮城県)
指揮:神成大輝
ゲスト:a・chi-a・chi
『魔神英雄伝ワタル』より
「STEP」オーケストラVer. & ボーカルVer.(※)
『魔神英雄伝ワタル』劇伴メドレー(仮称)
「a・chi-a・chiアドベンチャー」ボーカルVer.(※)
「See you again」ボーカルVer.(※)
『魔神英雄伝ワタル2』より
「Step by Step」ボーカルVer. (※)
『魔神英雄伝ワタル2』劇伴メドレー(仮称)
「君に止まらないMY GIRL, MY LOVE」オーケストラVer.
「虹の彼方に」オーケストラVer.
『魔神創造伝ワタル』より
「POP UP!」TVサイズオーケストラVer.
ほか
(※)歌唱:a・chi-a・chi