第三エロチカ1988年作品「ボディ・ウォーズ」がBSスカパーで奇跡の放映
番組史上、最も“レジェン度”の高いプログラム
「ダラケ!」をはじめとする地上波では絶対できない(主にエロ)企画を次々に放映しセンセーションを巻き起こしている、話題の衛星放送局BSスカパー!。これは、スカパーに加入しないと視聴できないチャンネルだが、実は演劇ファンにも無視できない存在となっている。
とくに注目に値するのが「STAGE LEGEND~伝説舞台~」だ。かつて上演された現代演劇の演目の中から、記憶に残る「伝説的な名舞台」「懐かしの公演」(LEGEND作品)をピックアップし、当時の映像のままお茶の間へ届けるという主旨の番組。これまで、劇団★新感線、第三舞台、つかこうへい事務所、などの貴重な舞台映像が流され、さらに、その作品に馴染みの深い人物がゲストとして招かれ、当時の状況や心境などが語られてきた。
そしてシリーズ第11回は、なんと劇団第三エロチカが1988年に上演したスペクタクル野外劇「ボディ・ウォーズ」が登場することになった。ある意味、奇跡に近いといおうか、これまでの中で最も“レジェン度”の高いプログラムといえそうだ。
第三エロチカは1980年明治大学在学中に川村毅が旗揚げした劇団。近未来SF、歴史政治劇を、一つの鍋でグツグツと煮えたぎらせたような、猥雑で、乱痴気で、それでいてノワールな作風が当時の若者たちから高い支持を受け、一躍人気劇団へとのしあがっていった。1986年には、歌舞伎町の闇の八犬士たちを描いた「新宿八犬伝第一巻-犬の誕生-」で岸田國士戯曲賞を受賞。90年代には、シェイクスピアの「マクベス」を、ヤクザの抗争劇として描いた「マクベスという名の男」で国際的にも高い評価を得た。その後、劇団は創立30周年の2010年に解散。
今回放映される「ボディ・ウォーズ」は戦争兵器として開発されたアンドロイドと人間が共存する近未来の世界をいち早く描き注目を集めた「ニッポン・ウォーズ」の続編として描かれた作品。横浜の運河の上に設置された舞台で繰り広げられるスペクタクルは刺戟溢れるエンターテインメントでありながら、バブル崩壊前の当時に徐々に忍び寄りつつあった虚無感や近未来への警告に満ちたものでもあった。
今は亡き深浦加奈子や、有薗芳記、宮島健ら名優たちの若き日の姿を見ることができるのも感慨ひとしお。
第三エロチカ「ボディ・ウォーズ」
作・演出:川村毅
上演会場:JR貨物東高島駅構内
出演:深浦加奈子、有薗芳記、郷田和彦、宮島健、海老原洋之、石井浩二郎、黒澤幸代、哀藤誠司 ほか
放映スケジュール:7月19日(日) 22:30 / 8月2日(日) 22:00