次世代ガールズバンドの注目株TRiDENT、メジャーデビュー発表も飛び出したメモリアルワンマンをレポート

レポート
音楽
2025.9.1
TRiDENT

TRiDENT

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TRiDENT ONEMAN LIVE『Continue.』2025.08.23(sat)代官山UNIT

8月23日、東京・代官山UNITでTRiDENTのワンマンライブ『Continue.』(コンティニューピリオド)を観た。実は長い歴史を持つバンドだが、ここに来て骨太なHR/HMを極めたサウンド、エレクトロやJ-POPのキャッチーな要素、キュートなキャラクターの魅力ががっちりとかみ合ってぐいぐい人気上昇中。フロアはパンパンに埋まった。バンドの運命を変える重大発表も飛び出した、メモリアルなライブの様子をレポートしよう。

「UNIT、ぶち上げていくぞ!」(ASAKA)

TRiDENT

TRiDENT

SEに乗ってメンバーが登場する瞬間から、すでにフロアは狂喜乱舞の大騒ぎ。熱気に応えてやる気満々、1曲目「JUST FIGHT」から「KICKASS」へと猛スピードで轟音を叩きつける3人。メタリックなモノトーン衣装に身を包んだ、黒髪ポニーテールのNAGISA(Dr)、赤毛のSERINA(B&Cho)、ブラチナブロンドをツインお団子にまとめたASAKA(Vo&G)。アイドルです、と名乗っても納得するルックスと猛烈ヘヴィなサウンドの共存、3人揃って高いスキルを見せつけるアンサンブルは、まるで戦隊もののヒロインのロックバンド版。かっこいい。

SERINA

SERINA

SERINAが「もっともっと来いよ!」と煽り、ASAKAが「歌えー!」と叫ぶ。「iCON」から「Bite the bullet」へ、ヘヴィ&ファストな曲を連続投下して波に乗る。3人とも常に笑顔だが演奏はストイック、一切の媚びを見せずに演奏に没頭する姿がすがすがしい。ASAKAが重いレスポールを引っ提げて強烈なソロを弾く。序盤のわずか4曲でフロアを制圧、野郎ども率の高い観客たちの、拳を振り上げての熱狂が止まらない。

「ソールドアウト、ヤバイなー。後ろの人、見えてるんかな」(SERINA)

「私たちはこの日に全てを賭けて、最後の一音まで悔いのないように出し切ろうと思っているので、みんなも最後まで楽しんでいってください!」(ASAKA)

NAGISA

NAGISA

しゃべりだすと急にふわふわになる、MCタイムのゆるさも魅力。しかし演奏が始まると一気に豹変、ASAKAの凶悪ギターリフから始まる「DISTINATION」から「Haha(!)」へ、SERINAが5弦ベースで華麗なスラップを決め、ダンサブルな要素を増しながら全員コーラス&全員ジャンプで盛り上げる。シーケンスを加えた分厚いサウンドの「twinkle」から「Nocturne」へ、ショパンのメロディを使ったASAKAのソロが最高にいかしてる。ハードロックの伝統芸、クラシックとの融合をしっかりと引き継いでいる姿勢が頼もしい。

ASAKA

ASAKA

どんどん行こう。打ち込みダンストラックに乗せた「NEO FUTURE」は、ロックとダンスとポップの融合で、バンドの持つ挑戦的な可能性を象徴する1曲。「ここからどんどん上げていきます。ついてこれますか!」とASAKAが煽り、「CHANGE」から再び猛攻開始。君ならやれるよ!と叫ぶように歌うASAKAの声に、TRiDENTの大きな魅力であるジェンダーを超えて届く生き様のメッセージが詰まってる。「CRY OUT」の歌詞に呼応するファンのコーラスは、もはや歌を超えた怒号の大合唱。一体感が凄い。

「今日は、約5年間の活動を通して付けた力を全部、ここに落として帰ろうと思うので、全力で受け取ってもらえたら嬉しいです」(ASAKA)

TRiDENT

TRiDENT

大切なみんなに向けて歌いますーー。明快ハードな高揚感の中に切なさと共感を潜ませた「be with you」の、目の前のファンに向けた真摯なメッセージがまっすぐ心に届く。ASAKAの声の魅力もまた、万人に向けた明快で伸びやかな響きの中に潜む、パーソナルな哀感にある。そこに時にツインボーカルと言ってもいいSERINAの元気なハーモニーが加わり、深みを増すTRiDENTの歌の世界。ライブでこそ伝わる説得力は抜群だ。ここまで12曲でおよそ55分、猛スピードで駆け抜けてステージを降りた3人の代わりに、スクリーンが下され、暗闇の中でナレーションが聞こえてくる。

「いつも応援してくれているみんなへーー」

波乱万丈のバンドヒストリーを淡々と、3人が読むお手紙風ナレーションがまるで別れの言葉のように聞こえる。しかし次の瞬間、スクリーンに映し出されたのは「キングレコードよりメジャーデビュー決定!」の巨大な文字。「メジャーファーストEP『BLUE DAWN』11月5日リリース」「TVアニメ『ポーション、わが身を助ける』OP&EDタイアップ決定」「11月から11か所の全国ツアー開催」と、嬉しいニュースの連発に沸き立つフロア。そうか、物語の続きとピリオドを同時に示す『Continue.』(コンティニューピリオド)とはそういう意味だったのか。鮮やかなブルー&ホワイトの衣装に着替えて戻ってきた3人を、「おめでとう!」の大歓声が包み込む。

NAGISA

NAGISA

「みんながいなかったらとっくに辞めてたと思います。いてくれてありがとう。これは始まりなので、全員ついてきてください」(NAGISA)

SERINA

SERINA

「しんどい時間もめっちゃあって、悩んだ時期もありましたが、全てはこの日のためにとってあったんだな思います」(SERINA)

「ここにいる誰が欠けても、今も自分はなかったと思います。もっと大きな場所に進んでいきたいので、みなさんついてきてください!」(ASAKA)

ASAKA

ASAKA

泣き笑いのNAGISAとASAKA、終始ニコニコのSERINA。三者三様の素直な感情があふれ出すMCタイムは、この日命名されたTRiDENTファンの総称「トライバー」との固い絆を再確認する大事な時間。続いて初披露されたメジャーファーストEPのリード曲、MY FIRST STORYのNobが参加した「黎明ノ詩」は、「あきらめなければきっと誰かが見てくれる。世の中に無理なことなんてない」(ASAKA)というメッセージを込めたエールソング。打ち込み+生バンドのダイナミズム、ASAKAの振り絞るハイトーンを生かしたエモーショナル・ハードロック。未来への扉が今開いた。

ラスト2曲は「START」「Continue」と、バンドの歴史の中で大切な2曲を並べて新たな旅立ちを強烈にアピール。三本指のトライデントポーズで記念写真に収まる3人の表情はさわやかな笑顔。新たなファンクラブ「TRiBE」設立、オフィシャルHPリニューアル、そして9月20日には恒例「おじ祭り2025」開催と、嬉しいお知らせはまだまだある。メジャーデビューは通過点、高い音楽性と魅力的なキャラクターで、あまたのガールズバンドの中でもひときわ強い個性を放つ3人。どこまで行くのか見届けよう。


取材・文=宮本英夫

TRiDENT

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セットリスト

TRiDENT ONEMAN LIVE『Continue.』
2025.08.23(sat)代官山UNIT
1.JUST FIGHT
2.KICKASS
3.iCON
4.Bite the bullet
5.DISTINATION
6.Haha!
7.twinkle
8.Nocturne
9.NEO FUTURE
10.CHANGE
11.CRY OUT
12.be with you
13.黎明ノ詩 ※新曲
14.START
15.Continue

ツアー情報

『おじ祭り2025』〉
2025年9月20日(土)代官山UNIT
開場 16:30/ 開演 17:30

『BLUE DAWN TOUR 25-26』
2025年11月8日(土) 福岡県・福岡 CB
2025年11月9日(日) 岡山県・CRAZYMAMA 2nd Room
2025年11月13日(木) 香川県・TOONICE
2025年11月14日(金) 大阪府・阿倍野ROCKTOWN
2025年11月23日(日) 新潟県・CLUB RIVERST
2025年11月30日(日) 神奈川県・BUZZ FRONT
2025年12月5日(金) 兵庫県・神戶太陽と⻁
2025年12月13日(土) 北海道・KLUB COUNTER ACTION
2025年12月14日(日) 宮城県・ROCKATERIA
2025年12月28日(日) 愛知県・名古屋SPADE BOX
2026年1月23日(金) 東京都・WWWX

リリース情報

TRiDENT 1st EP『BLUE DAWN』
【初回限定盤】
2025年11月5日(水)発売
CD+DVD
価格:¥4,500
▼収録内容
CD
「黎明ノ詩」 作詞:ASAKA/作・編曲:Nob(MY FIRST STORY)
「タイトル未定」 作詞・作曲:ASAKA/編曲:堀江晶太(PENGUIN RESEARCH)
「MIRACRAID」 作詞:ASAKA/作曲:NAGISA/編曲:Koji Hirachi
「恋のマジックポーション」 作詞・作曲:ローリー寺西
「タイトル未定」 未定
新録5曲収録予定
DVD
Music Video、メイキング映像収録予定

【通常盤】
価格:¥2,500
▼収録内容
CD
初回限定盤と同内容
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