Am Amp 「ちょっと先の未来、この場所にいたことを誇れるぐらい頑張っていきます」耽美でヤバい景色を作り上げた再始動ライブをレポート
Am Amp
Here we (Am).
2026.8.3 渋谷Spotify O-WEST
これを観てしまった人は、今後もハートに安全ピンがぶっ刺さったまま、HELPの声を上げ続ける――。
Sugar(Vo)、矢沢もとはる(Ba)、2人体制になった第2期Am Amp(読み:アムアンプ)が8月3日、その再始動とAm Amp結成3周年を記念して東京・渋谷Spotify O-WESTでワンマンライブ『Here we (Am).』を開催した。
元々4人編成だったAm Ampは、第2期でSugarと矢沢の2人がフロントマンとなり、この段階でボーカルは名前を現在のSugarに改名。相当な覚悟を持って自らのバンドにリセットをかけた彼らが、その決意表明として2026年5月に「ハートに安全ピンを刺して」の動画をYouTubeで発表すると、コメント欄はまさかの大バズり。その上昇気流に乗って、EP『Here we (Am).』を配信リリースした直後に迎えた今回のライブ。
タイミングはバッチリだった。当日のは瞬く間にソールドアウト。気品ある女性陣と数人の勇気ある男性で埋め尽くされた場内は、新生Am Ampへの期待感を表わすように、開演前からフロアには隠しきれない興奮がうずまいていた。
開演時間がくると、SEが鳴り響くなか、JOHN(Gt,Mp)、Toshiki(Gt)、ISSEI(Dr/from HIKAGE)、USA(DJ)のサポートメンバーが先に出てきてスタンバイ。そこに、大歓声を浴びながらSugarと矢沢もとはるが登場。上下セットアップのブラックスーツでフォーマルにキメた姿を生で見て、惚れ惚れする観客たち。2人がフロントに並んで立つだけで、大人っぽく、ラグジュアリーで耽美な雰囲気とともに、なんとも言えない妖艶でみだらな空気が立ち上がっていく。それをスパンと断ち切るように「Am Amp、始めます」とSugarが高らかに宣言して、ライブは「bakemono」で口火を切った。
ライブでは毎回盛り上がり必至のこの曲は、ヴィジュアル系やロック、J-POPが入り乱れて現れるミクスチャーナンバー。《私は化け物だから》《普通はもう無い》と殴り捨てるように歌うSugar。お立ち台に足をかけ、マイクのシールドを振り回して歌うパフォーマンスは、熱血ロッカーそのもの。その横で、お立ち台をランウェイのように使いこなし、クールにポージングをとりながらベースを刻むヴィジュアル系からやってきた矢沢。2人が動き出すと、ここが現世でない異世界へと転生していったような不思議な気分になる。手に付けたライトを灯しながら“ウォオオ~”とコーラスを歌い、タオルを回すオーディエンスに向かって、《あなたも化け物だから》と共鳴させていったあとは「トレモロ彼女」へと展開。Sugarが隣にいる矢沢を熱い視線で誘いながら《私が好きな私なら 君を困らせたりはしないでしょう?》と歌うパフォーマンスで、序盤からフロア全域にAm Ampの魔法をかけていく。
Sugarがハンドマイクの代わりに拡声器を持ち出し、JOHNのインパクトの強いリフがフックになる「PZA」へとつないでいくと、リズム隊が颯爽と横ノリのダンサブルなシャッフルビートを響かせ、フロアを揺らす。ここから、ダークでグラマラスなパーティーがスタート。Sugarに乗せられ観客たちは腕を振り上げ、サビで楽しそうにジャンプを繰り返していくと、場内が一気に華やいでいく。「まだまだいけるよな?」とSugarがフロアを煽ると、JOHNの歪んだギターリフが鳴り響く。ステージフロントに構えた矢沢は長い足を左右にパーンと広げ、2つのお立ち台に片足ずつ乗せた状態で仁王立ちになる。足の長さも細さも異次元レベル! それを強調するようなインパクトある立ち姿で、観客の注目を一気に集め、斜め45度のキメ顔でフロアを上から見下ろしながら「HEAT」のイントロを刻むと、フロアからは「カッコいい~」とため息が漏れる。この曲は、サビの掛け合いがとにかく楽しい人気曲。サポートメンバーとファンがノリノリで“Ho Eh O Eh O~”とコーラスパートを一緒になって歌うと、それに対してSugarは《いいでしょういいでしょう まだまだ足りないのよ》ととろけるような甘くフェミニンな歌声を返し、会場はどんどんヒートアップ。2番が始まると、Sugarはさっきとは別人のようなワイルドなアクションで、リズミカルにラップを披露。このように、曲のシーンに合わせて男性的な声と女性的な声の成分を操り、歌やラップを変幻自在に操っていくのがSugarのボーカルスタイルだ。
「こんばんはー、O-WEST! 僕たちAm Amp、ようやく始動できました!」
あふれんばかりの笑顔で、観客にそう挨拶を告げたSugarは「楽しみに待っててくれた人、最近僕らを知って来てくれた人、勇気を振り絞って初めてライブに来てくれた人。全員、幸せな気持ちで帰れるように全身全霊を込めてやっていきます」と観客に向かって宣言。そのあとは、オーディエンスをAm Ampのディープな偏愛ワールドへと没入させ、ハートをときめかせていく。矢沢がタバコをくわえると、それを合図に「貴方の屍になりたい」から演奏を再開。この曲は、観客たちが《貴方の屍になりたい》とAm Amp愛を合唱するところが肝になっている。この日、ステージで歌声を受け止めていたSugarは、曲中「全然こっちまで聞こえない」、「これじゃ再始動できないよ」、「もっと歌って!」とオーディエンスに激しくリクエスト。それに応えて、オーディエンスが一丸となって全力で大合唱をステージに届けると、曲の最後にはSugarから「よくできました!」という言葉がこぼれ、オーディエンスは拍手をしながら大喜び。
そんなハートウォーミングな空気に包まれたところで「新曲やります」とSugarが宣言して最新EP盤から「HELP」を初披露! イントロから矢沢のベースがナイフのような狂気となって地響きを上げると、フロアから盛大なクラップが巻き起こる。サビでこの曲のフックとなる《Give me give me time. Give me time. Give me give me time》、《oh oh oh oh oh oh oh oh》をサポートメンバーが男くさいコーラスで叫び散らかすと、フロアは大盛り上がり。2番の冒頭で曲が3拍子に変わるところでは、Sugarが超甘々ボイスで観客を一気にとろけさせていき、そのSugarが最後はぶちキレ気味にシャウトして《ワタシ今日Dangerous》と歌い捨ててみせる。最新型Am Ampにして切れ味抜群のサウンド、歌、歌詞をビシバシ浴びた観客たちは、そのカッコよさに打ちのめされてしばし呆然となる。その間、DJがショートSEでつないで、次にせつない歌モノ「慕情」が始まると、フロアから小さな悲鳴が上がる。静謐な歌いだしからシンフォニックなロックバラードへと展開していくこの曲では、Sugarの歌はセンチメンタルな気持ちを抱えたままどんどん激情していく。観客たちを歌の世界の深いところまで浸らせていった。
そして、このあと2人がステージから姿を消し、サポートメンバーによるBAND SESSIONがスタート。「ハートに安全ピンを刺して」のフレーズをフィーチャーしながらメンバーそれぞれがプレイを披露していったあとは、ジャケットの下に着ていたシャツと、矢沢のグローブを黒から白に替えて2人が再登場。女性の声で物語のようなセリフが聞こえてきたあと、お立ち台でSugarと矢沢が背中をくっつけて始まったのは「ハートに安全ピンを刺して」だった。“ハーピン”初アクトにフロアのテンションは「待ってました」と言わんばかりに急上昇。ここでは、Sugarと矢沢の距離が急接近。曲中、足にしがみついたかと思ったら、額をつけて激しく目線を交わしたり、肩をわしづかみしたと思ったら背中に手を回したり。そうして、《殺してよ 殺してよ》と連呼するところではSugarが矢沢の喉元に噛みつくような姿勢で懇願しながら歌唱していく。ミュージックビデオ以上に超濃厚な2人のパフォーマンスを目の前で観て、骨抜き状態になってしまったオーディエンスは、曲が終わっても棒立ち状態のまま。この曲は、ライブでもものスゴい殺傷能力をもったナンバーであることを証明したあとは、棒立ち状態のオーディエンスをライブに引き戻すように、デジタルロックな「SUGAR SPOT」をプレイ。クラップでライブ感を取り戻していったあとはEPのラストを飾った新曲「向日葵」へ。Am AmpのなかでもUKロック色の強いこの曲は、どこまでも続いていくようなギターリフが曲をリード。歌詞の《向日葵》に合わせて、その瞬間だけ場内が照明でイエローに染まって、どこか寂しげなせつない夏の記憶を呼び起こしていった。
「向日葵」を歌い終わったSugarは「夏にAm Amp再始動! 再始動したことに地球も照れちゃって、火照っちゃってこんなにアツい夏になってるんですかね。もとはるさん」と矢沢に話しかけると、即座に「それは関係ないと思います」とクールな切り返しを浴び、フロアにはファンの笑い声が広がった。そのあと、いきなりSugarは熱血ロッカーモードに、自らスイッチオン。「ここからアナタの、貴方の、貴男の扉を開いていきます」と観客一人ひとりに視線を送りながら叫んだあと、そのままライブは夏つながりで「Knock Knock」へと展開。オーディエンスが勢いよく拳を突き上げながら“オイ! オイ!”と叫び声を上げるなか、Sugarが渾身のラップを叩きつける。そこから和風ヴィジュアル系とラップとお経が鳴り響く「NU TOKYO」で、オーディエンスは大暴れ。場内に熱狂が広がったあと、その熱を受けてSugarが熱く語り始める。
今日ここに集ってくれた観客に感謝の気持ちを伝えたあと「俺たちはこれからもすごい音楽を作り続けていく。みんなと一緒に作りたい景色があるから。これからも俺たちと一緒に歩いていってくれますか? 一緒に作ってくれますか?」とフロアに呼びかけ「みんなで素敵な波を作りましょう」と言って、新作EPから「wAve」へ。Am Ampのファンネーム“キャビネッツ”を歌い込んだこの曲では、曲の中盤でバンドサウンドが止まると、Sugarが「聞かせてくれ!」と叫び、観客の熱い叫び声を引きだす。その興奮がクライマックスに高まったところで「( i )」を続けて投下。後半に向かって、曲が倍のテンポになり、Sugarが熱いセリフをたたみかけて、最後は《それでも生きていく》と絶唱し、ライブは熱狂のなかフィニッシュ。サポートメンバーがはけたあと、2人は真ん中に並んで立ち、上手、下手、センターの観客に向かってエレガントな挨拶を丁寧に届けて、ステージを去っていった。
いきなり現実世界に引き戻された観客たちは、すぐさまアンコールを叫ぶ。その声に応えて、サポートメンバーに続いて、矢沢はジャケットプレイを華麗にきめながら、Sugarはハーフパンツ、ノースリーブにスニーカーというラフな姿で登場。そのSugarから、10月23日にEP『Here we (Am).』に新曲3曲をプラスしたミニアルバム『A/A』と、8cm CDシングル「ハートに安全ピンを刺して」を同時リリースすること、このリリースを受けて10月から全国ワンマンツアーを開催し、そのファイナル公演を12月8日(火)東京・渋谷CLUB QUATTROで開催することが告げられると、場内はファンの笑顔と歓喜に包まれた。ファンに向かってSugarが「新しい形になりましたが、これからもずっとずっとそばにいて下さい。ちょっと先の未来、この場所にいたことを誇れるぐらい、僕たちこれから頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いします」と言って話を締め括ったあとは、最後に再び「ハートに安全ピンを刺して」を演奏。すると、ここでは《殺してよ 殺してよ》をSugarと一緒になって観客が大声で熱唱! エレガントに、耽美に狂ったとんでもなくヤバい景色をO-WESTに作り上げたところで、Am Amp再始動一発目のライブは終わりを告げた。
ライブが終わり、現実世界に戻ったあとも、あのステージが頭から離れない。そんな中毒性の高いステージングとサウンドで、来場者全員のハートを見事に撃ち抜いていったライブだった。
Am Ampはこのあと、8月28日から東京・新宿LOFTで『Here we (Am). VS. SERIES @新宿LOFT』と題したマンスリーイベントを開催する。ゲストを交えた彼らが、どんなライブを見せてくれるのか。ワンマンライブでは観られないAm Ampの戦いぶりにも注目したい。
取材・文=東條祥恵 撮影=Riku Kurosaki
セットリスト
2026.8.3 渋谷Spotify O-WEST
02. トレモノ彼女(Category収録)
03. PZA(Category収録)
04. HEAT (Category収録)
05. 貴方の 屍になりたい(Catch me if u can収録)
06. HELP(Here we(Am).収録)
07. 慕情(Catch me if u can収録)
BAND SESSION
08. ハートに安全ピンを刺して(Here we(Am).収録)
09. SUGAR SPOT(A Hard Day’s Nite 収録)
10. 向⽇葵(Here we(Am).収録)
11. Knock Knock(digital single)
12. NU TOKYO(digital single)
13. wAve(Here we(Am).収録)
14. ( i ) (Here we(Am).収録)
<ENCORE>
15. ハートに安全ピンを刺して
ライブ情報
8月28日(金) w/ ASH DA HERO
9月24日(木) w/ '97,Kids / Earthists.
10月15日(木) w/ Embers / MAQIA
▶:イープラス https://eplus.jp/amamp/
Mini album『A/A』& 8cm single『ハートに安全ピンを刺して』 リリース&ツアー
10月23日(金)高田馬場CLUB PHASE
11月6日(金)仙台MACANA
11月13日(金)今池CLUB 3STAR(名古屋)
11月14日(土)ROCKTOWN(大阪)
12月8日(火)渋谷 CLUB QUATTRO
リリース情報
2026年10月23日発売
【初回限定盤】CD+DVD ¥5,000(税込)
【通常盤】CD(紙ジャケット仕様) ¥2,500(税込)
8cm single「ハートに安全ピンを刺して」
2026年10月23日発売
【Type A】¥1,250(税込)
【Type B】¥1,250(税込)
【Type C】¥1,250(税込)