積み重ねた歳月の集大成『UKFC on the Road 2025』、豪華アーティストがイベント15周年を彩る【Day2】
『UKFC on the Road 2025』
『UKFC on the Road 2025』2025.08.10(sun)Zepp Haneda
下北沢の老舗インディーズレーベル・UK.PROJECTとプロダクション『UKPM』が全力でプロデュースする、真夏のライブイベント『UKFC on the Road』、15周年を迎えた本年は2DaysでZepp Hanedaにて開催。15年を支えてきた新旧アーティストが大集結して開催された2Daysを完全レポート。
ライティライト(FUTURE STAGE)
ライティライト
ステージ上で円陣を組んで、気合い入れて。ドガジャーン! と始まった「宇宙人ガール」で、『UKFC on the Road』2日目の幕をにぎやかに開けたライティライト。勢いそのまま、「テトラポット」へとなだれ込んで。やんちゃさの中にセンスと技術がキラリと光るバンド演奏、ピュアさや無邪気さを感じるはう(Vo)の独特な歌声とキャッチーなメロディが絶妙に噛み合い生まれる、独創的な世界観で観る者の心を動かす。
「ライティライトは、去年の12月に新しく仲間に加えてもらったバンドです。UK.PROJECT最年少21歳! やれるところまでやったります!!」と、はうが意気込みを語って。「善悪大戦」、「ばね」とライブが続くと、手拍子の音が次第に大きくなり、ライブが進むごとに大きな盛り上がりを見せるフロア。「ちょちょちょ」では「踊ろうぜ!」の呼びかけにたくさんの拳が上がり、身体を揺らす観客でフロアが波打って。その光景を見たはうが、「最高だ、ありがとう!」と笑顔を見せた。
ライティライト
ライティライト
MCではUK.PROJECTに誘ってもらったこと、こんな楽しい日を作ってくれたことへの感謝を告げ、「これからもUKプロジェクトで高いところを目指していきます!」と力強く宣言。ラストは陽気で牧歌的な曲調に、熱い想いを秘めた決意の歌「バンド」をたっぷり気持ちを込めた歌と演奏で披露。<売れたらきっとあなたの自慢>とこの日、彼らのステージを見届けた全ての人の自慢になることを宣言した。
1.宇宙人ガール
2.テトラポット
3.善悪大戦
4.ばね
5.ちょちょちょ
6.バンド
TOTALFAT(FRONTIER STAGE)
TOTALFAT
TOTALFAT
TOTALFATはかつてUK PROJECTに所属していたが、今はレーベルから離れ、活動している。しかし、こうやって、DAY2のメインステージのトップバッターに抜擢されたということは、今でも両者が良好な関係を保っている上に、UKFCが彼らの突破力を必要としている証にほかならない。
「遊べる感じ? 遊べる感じ?」とShunが観客のテンションを確認してから、いきなり「PARTY PARTY」でフロアに着火。ラウドなモーニングコールで大観衆の目をこじ開けたあとは、「晴天」「夏のトカゲ」と続くのだが、ここではこのあと出番を控えているBIGMAMAから金井政人と東出真緒が飛び入りし、パンクロックショーに彩りを加えた。「夏のトカゲ」の間奏ではBunta (Dr.)が祭り囃子を叩きだしたことで、場内の雰囲気はカリフォルニアのビーチから日本の神社へと一気に変わり、フロアでは一斉にタオルが振り回される。完全にパンクロック夏祭りと化した。さらに、「夏ノ大蜥蜴」ではステージ袖から持ち込まれたウィスキーを飲み干したりするなど、「自分たちが場違いだということはわかってる」と自嘲しながらも、自分たちのやり方で突き進む。しかし、それこそが初見の観客をも巻き込んでいくパワーとなるのだ。
TOTALFAT
TOTALFAT
TOTALFAT
最後は、大名曲「Overdrive」からオープニングから大シンガロングが起こった「Place to Try」へとつないでフィニッシュ。「Place to Try」ではこう歌われる。<Forever 君はひとりじゃない 涙こえて 君と進んでいこう>パンクロックっていいな――改めてそう思わされた30分だった。
01.PARTY PARTY
02.晴天 with 金井政人,東出真緒 (BIGMAMA)
03.夏のトカゲ with 金井政人,東出真緒 (BIGAMAMA)
04.The Silhouette
05.夏ノ大蜥蜴
06.New Shit
07.Fireworks
08.Overdrive
09.Place to Try
Are Square(FUTURE STAGE)
Are Square
重低音響くSEに真っ赤なライトが妖しくステージを照らす中、雰囲気たっぷりでステージに登場した4人。「Junkie」の爆音でライブが始まるや、性急なビートと畳み掛けるラップで観る者を圧倒。間髪入れずに始まった「F.A.F」で重厚なサウンドを響かせて、自身の空気感を作り上げると、Maru(Vo)がクラップを煽り観客を巻き込む。
短い挨拶から、「もっともっと盛り上げて今日一日、最高な日にしたいと思ってるんで、みなさんついてきてくれますか?」と告げたMaru。怒りと衝動を込めた「SMASH」から、グルーヴィーな演奏で踊らせた「BlueJeans & Tight Leather」と続き、バンドの多面的な魅力を見せたライブ中盤。確かな演奏力と新たな発想から生まれる、彼らの提唱する“オルトミクスチャー”の広い解釈や可能性も感じさせた。
Are Square
Are Square
ライブ終盤、「俺たちがライブで音源で伝えたいことはひとつだけ。音楽に対する愛をみなさんに伝えたいんです」と真摯に語ったMaruが、「どんなに苦しくても、心が潤う瞬間が音楽と触れ合ってる時だけはあるんです。みんなもそうでしょ?」と話し、その想いを体現するように「Super Sonic」を披露。
「Super Sonic」の心躍るダンスビートと演奏、そして誰よりも楽しそうに歌い踊るMaru。その姿に観客も拳を上げてジャンプを合わせて、一体感が生まれる会場。彼らの音楽に対する愛もしっかり伝わったところで、ラストは「これが俺たちの音楽だ!」という自信に満ちた「BANG!!!」を投下。『UKFC』における、Are Squareの存在をしっかり知らしめた。
1.Junkie
2.F.A.F
3.SMASH
4.Blue Jeans & Tight Leather
5.Super Sonic
6.BANG!!!
BIGMAMA(FRONTIER STAGE)
BIGMAMA
BIGMAMA
ステージ上がまだ暗い状態から「荒狂曲"シンセカイ"」で感触を確かめる5人。もちろん、観客は大騒ぎ。途中で演奏が止められてからもフロアのざわつきは止まらなかった。
荘厳なSEに乗って改めてステージに登場した5人は「MUTOPIA」で本編をスタートさせると、煌びやかでダンサブルな四つ打ちのビートに煽られ、一斉に歓喜の拳が掲げられた。思わずビールが飲みたくなるような多幸感だ。アンサンブルはタイトだが、アタックは柔らかい。それは「17 (until the day I die)」でも変わらず、金井政人のボーカルや柿沼広也のギターソロには包み込むような優しさがあった。それは心のかさぶたをほろほろと剥がしていくような音色で、ライブが進んでいけばいくほど心が軽くなっていくのを感じる。もちろん、東出真緒のヴァイオリンが寄与しているところもあるが、それだけではない。
BIGMAMA
BIGMAMA
BIGMAMA
ムードが変わったのは、ハードロック/メタル的な色彩が濃い「Mirror World」から。ここから一気にギアを上げ、世界中を探してもここでしか鳴っていない独自の世界観を展開していくのだった。そんな混沌の度合いが増したのは、「美術 ESORA」でさっきのお返しとばかりに、TOTALFATのShunとJoseが登場したとき。自分たちのライブに華を添えてもらった代わりに、ここでは男臭さを注入。
降り注ぐ陽光のような照明に照らされて歌い始めた「物理 Time is like a Jet coaster」から、イントロで歓喜の絶叫が響いた「Look at me」でエンディングを迎えたが、それはまるで、激しくも穏やかな、一編の物語を観たような気分にさせるものだった。
01.MUTOPIA
02.17 (until the day I die)
03.Mirror World
04.化学|Utsu2
05.現文|虎視眈々と
06.旋律迷宮
07.美術|ESORA with Shun,Jose (TOTALFAT)
08.物理|Time is like a Jet coaster
09.Look at me
LAYRUS LOOP(FUTURE STAGE)
LAYRUS LOOP
LAYRUS LOOP
『UKFC』3度目の出演となる、関西を拠点に活動するスリーピースバンド・LAYRUS LOOP。ポップさやフレッシュさに加え、昭和レトロな懐かしさも感じるメロディとサウンドが特徴的な彼女ら。「魔法使いになりたくて」で始まったライブは、オオトシ ユリヤ(Ba/Vo)のするりと心に入り込む心地よい歌声や洗練されたサウンド、バンド全体をまとうキラキラした印象も含め、初めて観る人も惹きつける魅力が満載。
古き良きロックンロールサウンドも踏襲した「幸せ者なの」と続き、MCでは昨日からずっとフロアでライブを観ていたことを語ったユリヤ。「むちゃくちゃカッケェ先輩たちを目の当たりにして」(ユリヤ)「一緒のステージに立てるのが夢のようです」(ムラカミ マホ(Gt/Cho))と話すと、自身の1stアルバム『HAPPY BIRTHDAY』が金井政人(BIGMAMA)プロデュースであることについても触れて。「変わらずポップなミュージックをみなさんにお届け出来るよう、一生懸命やります!」と意気込みを語り、彼女らの名を国内外に広めた「ダンスフロア」で観る者の心と身体を揺らした。
LAYRUS LOOP
LAYRUS LOOP
LAYRUS LOOP
胸締め付けるセンチなボーカルにグッと心惹かれた「二百円玉」、<あなたはきっとpretty girl>とあなたを全肯定する明るく前向きな「pretty」と続き、バンドの魅力を存分に振りまいた彼女ら。ラスト「心躍る方へ」ではスペシャルゲストに、東出真緒(BIGMAMA)が登場。心躍る楽曲をヴァイオリンの音色が明るく彩ると、観客の手拍子に合わせてメンバー全員が歌声を重ねたりと、賑やかで多幸感あるエンディングを演出。終演後のフロアには、たくさんの笑顔が溢れていた。
1.魔法使いになりたくて
2.幸せ者なの
3.ダンスフロア
4.二百円玉
5.pretty
6.心躍る方へ with 東出真緒(BIGMAMA)
銀杏BOYZ(FRONTIER STAGE)
銀杏BOYZ
銀杏BOYZ
えんじ色のTシャツに黒の短パン姿という出で立ちで峯田和伸がステージに現れると、フロアのあちこちから「峯田ー!」という声が飛ぶ。軽くサウンドチェックを行い、「さっき起きたばっかでさ……俺、寝んのが遅いんだよね。(中略)長いこと音楽活動してるけど、これくらい早い時間もいいね」と、サポートギターの加藤綾太に話しているのか、観客に話しているのか、よくわからない感じでMC……というより、雑談を繰り広げたあと、スルッと「新訳 銀河鉄道の夜」を歌い出した。その声は素っ裸だった。ときに無垢で、ときに年輪を感じさせるしゃがれ声で、その声は常に一定ではなく、心のままに変化していく。そんな峯田の真横で、加藤が優しく爪弾くエレキギターが響く。リズム隊はいないけれど、そこで鳴っていたのはフォークで、ロックで、パンクだった。空気は穏やかだが、すべてが想像どおりに進まなさそうなヒリヒリ感が微かにあった。峯田から「それぞれの楽しみ方で」と促されたが、観客はただ一点、峯田の一挙手一投足をじっと見つめていた。
銀杏BOYZ
銀杏BOYZ
銀杏BOYZ
UKFCへの出演は意外にも今回が2度目。これまでは断っていたが、今年は15周年の記念だからということで出演をOKした、というエピソードをMCで披露。その後は、アコギを置き、加藤のエレキ一本で歌い上げた「夢で逢えたら」、「これからもデコボコの毎日の中で曲をつくっていけたらと思いました」という言葉のあとにプレイした「少年少女」など、どれもアコースティックに近い編成で歌うことでより心に響くものがあった。歌と演奏、どちらもよかったが、何より峯田和伸という人間が抜群に鳴っていた。
01.新訳 銀河鉄道の夜
02.NO FUTURE NO CRY
03.GOD SAVE THE わーるど
04.人間
05.夢で逢えたら
06.少年少女
07.BABY BABY
08.DO YOU LIKE ME
the shes gone(FUTURE STAGE)
the shes gone
the shes gone
兼丸(Vo&Gt)の真っ直ぐな歌声と温かみあるバンドサウンドが、聴く者の胸にダイレクトに飛び込む「まぼろし」でライブが始まった瞬間、会場の空気がピンと張り詰めたthe shes goneのステージ。FUTURE STAGEは彼らにとって、少し手狭かも知れないけれど。一瞬で自分たちの空気感を作り上げ、歌と演奏で一人ひとりの心に寄り添うことにステージの広さは関係ないことを彼らは体現していた。
「きらめくきもち」と続き、演奏の一音一音や歌のワンフレーズに込めた感情、行間までも聴き逃さないように、心地よいビートに身体を揺らしながらステージに見惚れる観客。明るい曲調に手拍子が起きた「シーズンワン」にたくさんの手が上がり、アップテンポな「化物」で会場をしっかり沸かせてMCへ。
the shes gone
the shes gone
「僕らは2019年デビュー、6年くらいになるんですが。僕らが観ていた先輩方と僕らも含めて、これがいまのUKプロジェクト、『UKFC』なんだとひしひしと感じてます。たくさん僕も楽しむので、みなさんも楽しんで下さい」と挨拶すると、デビュー間もない頃、LOST IN TIMEの海北に「結局は歌心だから、それをちゃんとお客さんに伝えればいい」と学んだことを話した兼丸。「僕の中にそういったUKの血が少しでも流れてればいいなと。みなさんに肌で感じていただければ良いなと思います」と語り、歌心溢れる弾き語りで始まった曲は「エイド」。
サポートで活動していた松田ナオト(Ba)が今年3月に加入し、同月に現体制で初の音源となるミニアルバム『AGAIN』をリリースしたばかりの彼ら。そんな最新作に収録された「エイド」に見える強靭で研ぎ澄まされたthe shes goneサウンドは、現在のバンドの充実っぷりをしっかり物語っていた。
1.まぼろし
2.きらめくきもち
3.シーズンワン
4.化物
5.エイド
The Novembers(FRONTIER STAGE)
The Novembers
The Novembers
轟音と耽美の糸で編まれたオルタナティブなビロードをまとったThe Novembersによるライブは、SEの「Singin' in the Rain」から色気たっぷり。ブレイクビーツの同期から始まった「BOY」では、今日初めて耳が痛いという感覚を得た。当然、不快ではない。むしろ、鼓膜の揺れが快感ですらある。美しい轟音は最高のご馳走。「Rainbow」で、水色と赤の照明が激しく明滅する中で響いた小林祐介(Vo./Gt.)のハイトーンな絶叫もたまらない。この時間が一生続けばいいのに、と思うくらい至福の時間だった。こんなにも自分の鼓膜を破ってほしいと破壊衝動に駆られることはなかなかない。強烈な明るさで輝く照明によって浮かび上がる4人のすらりとした体躯が美しい。
The Novembers
The Novembers
The Novembers
インダストリアルかつ、トライバルな「楽園 - KANEDA」は特にヤバかった。気持ちいいというか、あれはある意味、合法のドラッグだ。深夜かと一瞬錯覚するが、しっかりまだ夕方。黙々と弦をはじく高松浩史(Ba.)の佇まいもたまらなかった。“ラッセーラ”の掛け声で完全に暗黒夏祭りへと突入し、「Morning Sun」でようやく正気に戻ってきたときにはもうライブは終了。ああ、これはもっと浴びたい。11月20日にLINE CUBE SHIBUYAにて「結成20周年記念公演 "Your November"」が開催されるようなので、これは行くしかない。
01.BOY
02.Seaside
03.Rainbow
04.楽園 - KANEDA
05.New York
06.Morning Sun
the telephones(FUTURE STAGE)
the telephones
the telephones
リハの音出しから会場中を踊らせて、本番さながらの盛り上がり! 観客のヤジ、おっと声援に気さくに答えて笑いが起きたりと、結成20周年のベテランバンドながら、なんの奢りのない姿勢と人気者っぷりを見せていたthe telephones。
ミラーボールの光が眩く光る中、右脚すね骨折中の松本誠治(Dr)の両脇を支えて登場した3人だったが。「Monkey Discooooooo」で始まったライブはど頭からフルテンションで、そこに不安など一切ナシ! 大げさでなくそこにいる全ての人を踊らせて、ワンマンさながらの盛り上がりを見せる。
「Urban Disco」では石毛 輝(VOX/GUITAR/SYNTHESIZER)の「歌え!」の煽りに会場中から♪I am DISCO!の強烈なかけ声が上がり、「Baby Baby Baby」では岡本伸明(SYNTHESIZER/ COWBELL/ SHRIEK)がフロアに飛び込み、曲中ほとんどステージにいないというはちゃめちゃぶり。
the telephones
the telephones
怒涛の前半戦を駆け抜け、「素晴らしい盛り上がりですね、『UKFC』!」とごきげんな笑顔を見せた石毛。今日のライブから松本が復帰したことを告げて拍手を受けると、ライブ初披露となる新曲「SUPER DISCO!!!」へ。20年やってたどり着いたという新曲からは、「俺たちは一生ディスコをやっていく!」という覚悟と誇りをひしと感じた。
後半戦もディスコ波状攻撃の手を緩めず、フロアをブチアゲ続けた「Keep on Dancing!!!」でゆっさゆっさとフロアを揺らすと、ラスト「LOVE&DISCO」ではTOTAL FATのShunが飛び入り。演奏中のメンバーに酒を飲ませ続けるという、これもまた『UKFC』といった展開もありつつ、最後の最後まで観客を踊り狂わせてフィニッシュ。そのあまりに愛に溢れた美しすぎる光景に、ミラーボールの光が神々しくさえ見えた。
1.Monkey Discooooooo (2024)
2.Urban Disco (2024)
3.Baby Baby Baby (2025)
4.SUPER DISCO!!!
5.Mirror Ball Disco!!!!!!!
6.Go Bananas!!!
7.Keep on Dancing!!!
8.Love & DISCO (2024)
WurtS(FRONTIER STAGE)
WurtS
WurtS
すすっとステージに登場したWurtSは、何ひとつ気負いを感じさせず、自然体で「ソウルズ」を歌いはじめる。「こんばんは、WurtSです! 最後まで楽しんでいきましょう!」と軽く挨拶をかましたあとも、ダンサブルでカラッとしたオルタナティブ・ロックを次々と繰り出していった。
サウンド的には懐かしさを感じるところもあるのだが、中盤の「タイムラグ!」「NERVEs」「SWAM」とシームレスにテンポよくつなげていく展開は新鮮で、90年代と20年代の絶妙なハイブリッド感を堪能した。
WurtS
WurtS
WurtS
個人的には、ラストの「どうかしてる」を観ることができたのが何よりもうれしかった。これは、TVアニメ「ダンダダン」第2期のエンディング主題歌で、当然ながらライブではさらに魅力が増している。シンプルな構成で、突飛なアプローチをしているわけではないのだけど、だからこそ曲のキャッチーさが際立つ。ライブでは観客がぶん回すタオルの勢いもあって、より興奮度の高いパフォーマンスとなった。
昨今は、ロックスター的な佇まいのアーティストが多いが、彼のように、ミステリアスな存在ではあるが、ストリート感のあるソロアーティストが人気を博していることは大歓迎したい。そんなことを感じるパフォーマンスだった。
01.ソウルズ
02.Talking Box (Dirty Pop Remix)
03.僕の個人主義
04.タイムラグ!
05.NERVEs
06.SWAM
07.NOISE
08.分かってないよ
09.どうかしてる
POLYSICS(FUTURE STAGE)
POLYSICS
POLYSICS
『UKFC on the Road 2025』2日目、FUTURE STAGEのトリを飾るのはPOLYSICS。第1回から出演してきた唯一の皆勤賞バンドであり、『UKFC』最大の貢献者である彼ら。歓声に迎えられていつもと変わらぬ黄色いつなぎ姿で飄々と登場し、SEからの流れで1曲目「シーラカンスアンドロイド」が始まると、貫禄さえ感じるどっしりと堂々とした演奏に、嬉しさや喜びと安心感がこみ上げる。
大御所やベテランといった称号が似合わないバンドだし、若手を牽引していくタイプのバンドでもないが。『UKFC』出演バンドの長男と言える存在で、『UKFC」には並々ならぬ想い入れがあるであろう彼ら。「Funny Attitude」、「I My Me Mine」といつもと変わらぬ様子にも見えるステージから、内に秘めた気合いとテンションの高さを感じたのは気のせいじゃないはず。
POLYSICS
POLYSICS
POLYSICS
MCでは、「『UKFC』楽しんでる? 俺も楽しんでるよ、ライティライトから見てるから」と話したハヤシヒロユキ(Guiter, Voice, Synthesizer, Programming) だったが、朝イチから関係者席でずっとライブ観てたからこれは本当。「いいバンドばっかでしょ? 俺もめちゃくちゃ楽しい」と感想を語り、「POLYSICSは第1回から皆勤賞で出演してますけど。今回、第1回のバンドが集まって15周年がやれて本当に嬉しいです。『UKFC』15周年、おめでトイス!」と改めて開催を祝うと、「昔話は尽きないんで、新曲をやりましょう」と新曲「Tao」へ。
♪Tao!Tao!Tao!とリフレインするフミ(Base, Synthesizer, Voice)のコーラスや、独特なグルーヴに中毒性がある「Tao」で最新型のPOLYSICSを見せると、「Pretty Good」、「Electric Surfin' Go Go」と盛り上がり必至のライブチューンを叩きつけ、「Speed Up」でさらに加速。イントロに歓声と拳が上がった「SUN ELECTRIC」でクライマックスを生み、ここからの未来を担うバンドたちがバトンを繋いできた、FUTURE STAGEを堂々と締めくくった。POLYSICSには今後とも長男として、『UKFC』の歴史と伝統を末永く守り続けて欲しい。
1.シーラカンスイズアンドロイド
2.Funny Attitude
3.I My Me Mine
4.Tao
5.Pretty Good
6.Electric Surfin' Go Go
7.Speed Up
8.SUN ELECTRIC
[Alexandros](FRONTIER STAGE)
[Alexandros]
[Alexandros]
[Alexandros]
やはり、この日一番の大歓声を浴びたのは彼らだった。拳が突き上がり、タオルが掲げられ、ハンドクラップが起こる。一瞬、アリーナかスタジアムかと錯覚した。フロアから放射される凄まじい熱量に、川上洋平(Vo./Gt.)は「お前らの声が最高だから、イヤモニ外しましたー!」と本当にイヤモニを外し、ギターを握る手に力を入れた。
演奏は貫禄しかない。「For Freedom」から始まり、「Waitress, Waitress!」「Starrrrrrr」と畳み掛ける。アンサンブルは豊かで、ボトムもハイも最高に気持ちがいい。「Waitress, Waitress!」で川上がかき鳴らしたラテンテイストのアコギはキレキレ。サポートのキーボードも加わり、音像はさらに芳醇に。この時点ですでに自分の体がクライマックスを感じていた。なんなんだこれは。ていうか、これ、ライブハウスで観てもいいヤツですか? と思わず恐縮してしまうぐらいスケールのデカいステージを展開していく。
[Alexandros]
[Alexandros]
[Alexandros]
「音が鳴ってないときでも騒ごうぜ」「[Alexandros]が一番嫌いなのは静かな時間です」といった独特の煽りでフロアを焚きつけ、「Kick&Spin」では観客の大合唱がZeppを揺らした。川上は「先輩にもファックだけど、後輩もファックだから。ステージ上では中指立てさせてください」と尖りまくり。だからこそ生み出されるこの異様なテンションのパフォーマンスなのかと納得がいった。ステージの上だけではカッコ悪い姿は見せられないというバンドのプライド。ステージはバンドマンが一番輝くべき場所なのだ。所属レーベルの主催イベントだが、仲良しこよしではない。とは言いつつ、アンコールでは後輩のWurtSを迎えて「VANILLA SKY2」をプレイし、「とはいってもかわいいでしょう? 散々ディスったけど、愛してるぜー!」と豪華なコラボで楽しませた。多くのバンドマンが目撃すべき、圧倒的な時間はこの日一日を巻き戻し、すべて自分たちの色に染め上げるくらいのパワーで一日を締めくくった。
01.For Freedom
02.Waitress, Waitress!
03.Starrrrrrr
04.WITH ALL DUE RESPECT
05.Kick&Spin
06.クソッタレな貴様らへ
07.超える
08.閃光
EN1.VANILLA SKY 2 (feat. WurtS)
EN2.ワタリドリ
EN3.city
取材・文=FRONTIER STAGE:阿刀"DA"大志 FUTURE STAGE:フジジュン
イベント情報
会場:Zepp Haneda (TOKYO) ※2ステージ制
出演:Age Factory / ART-SCHOOL / the dadadadys / Helsinki Lambda Club / syrup16g / the myeahns / からあげ弁当 / 椿屋四重奏2025 / ペルシカリア
2025年8月10日(日)
出演:[Alexandros] / Are Square / BIGMAMA / LAYRUS LOOP / The Novembers / POLYSICS / the telephones / TOTALFAT / the shes gone / WurtS / 銀杏BOYZ(弾き語り) / ライティライト