薮宏太「お客様にもこの作品の“沼”にはまってもらえたら」~音楽劇『MONDAYS/このタイムループ、まだまだ終わらない!?』が開幕

レポート
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11:22
音楽劇『MONDAYS/このタイムループ、まだまだ終わらない!?』開幕前会見より

音楽劇『MONDAYS/このタイムループ、まだまだ終わらない!?』開幕前会見より

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2022年に公開され、ロングランヒットを記録した映画『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』。小さな広告代理店のオフィスを舞台に、社員全員が同じ一週間を繰り返していく「オフィス・タイムループ・ムービー」が、上演台本・演出/ウォーリー木下、作詞・作曲・音楽監督/三浦康嗣(クチロロ)のタッグで音楽劇となった。キャストはHey! Say! JUMPの薮 宏太、平間壮一、南沢奈央、森田甘路、岡田義徳、大空ゆうひ、梶原善という実力派に加え、オーディションを経て吉本実憂、松尾敢太郎が参加。

開幕前会見にはメインキャストと上演台本・演出のウォーリー木下、作詞・作曲・音楽監督の三浦康嗣が登壇した。

<開幕前会見>

ーー演じる役と意気込みを教えてください。

:村田は映画の話をし始めると止まらなくなるし、同じ映画を100回見ているくらいの映画オタクです。真面目に見えて、実は社内で起きている話に聞き耳を立てている噂好きなタイプなので、人によっては性格が悪いと受け取られそうな役(笑)。『MONDAYS』が人気作だということは僕も知っているので、この舞台が原作ファンの方にも初めて見る方にも楽しんでいただけたらいいなと思って稽古してきました。

平間:遠藤くんは夢を持って会社に入ったつもりだけど、毎日同じような仕事をしているうちに自由を求め、そこから不思議なタイムループに巻き込まれます。その中で、ちょっとしたことの嬉しさや変化を感じ取っていくような青年なのかなと思っています。映画自体も好きでしたが、舞台になったら今までにあるようでない作品になりました。お客様も一緒に細かいところに気づいていただけたら嬉しいです。

南沢:衣装を見ていただくとわかるように全身赤で、気の強い女性です。吉川は仕事人間で常にキリキリ、ピリピリしている人物。同僚にあまり興味がない仕事一筋の人間ですが、タイムループするなかでちょっとずつ変化していきます。そこをうまく表現できたらいいなと思っています。

森田:森山は普段は冴えないデザイナーの男で、密かにアイドルオタクをしています。ひょんなことから推しのアイドルに出会えるので、そのギャップを楽しんでいただけたら。気持ち悪いところをどんどん見せていきたいと思います(笑)。

岡田:平は職人気質のクリエイティブディレクター。みんなからは話しかけづらいところがあったり、前半はあまり人間性が見えないようになっていたりします。二幕からは平の人間性や仕事に対する情熱もあらわになっていって面白いと思います。タイムループをすごく必死にやってきたので、やっと皆さんに届けられるのが嬉しいです。

大空:神田川さんはこの会社で一番の古株で事務職です。一幕ではどれだけ地味に、存在感を薄くできるかを目標にしています。みんなからも話しかけられないけど、タイムループをきっかけに会社の皆さんと一丸になって行動できる時にすごくイキイキしだすことにやりがいを感じています。今までにやったことのないパフォーマンスですが、チームワークがお客様に伝わって、楽しい作品をお届けできたらと思っています。

梶原:永久部長を演じます。会社でもこの舞台でも一番役に立たない役職で、役に立たないところを利用してなんとか頑張るという役どころです(笑)。乞うご期待!

音楽劇『MONDAYS/このタイムループ、まだまだ終わらない!?』開幕前会見より

音楽劇『MONDAYS/このタイムループ、まだまだ終わらない!?』開幕前会見より

ーーウォーリーさんは、映画の舞台化という依頼を受けた時の気持ち、舞台化において意識したことなどいかがでしょう。

木下:映画の良さは、フィルムの中にある一番いい演技、編集で一番見せたいところが詰まっていることだと思います。『MONDAYS』はとてもいい作品なので、舞台化して映画に迷惑はかけたくない。やるなら、舞台のライブ性を生かして新しいことができないかなと考えました。戯曲を書くときも演出について考えていて、一幕はそれぞれが仕事をしている中でタイムループに気づく人が現れる世界線。何回も同じタイミングで同じ演技をしてもらいますが、生なのでちょっと違ったり、抜け出た人から「やった!」という感じになっていったり。お客様と一緒に体感してもらえるように戯曲を書きました。あとは音楽劇にすることで、辛い設定の中にある楽しみや喜びを三浦さんに増やしていただきました。色々な感想を持っていただけたら嬉しいです。

ーー音楽はどんなイメージで制作されましたか?

三浦:ウォーリーさんがおっしゃったように、「辛い」担当みたいな。今回は、「Zコミュニケーション」の社員たちが繰り出す色々な物音、例えば平がコーヒーメーカーのスイッチを入れる、神田川さんが電気のスイッチを押す音などが組み上がっていって、そこから音楽ができていく感じです。何を言っているかわからないと思いますが、見ていただいて(笑)。シーンごとに曲を書くんじゃなく、本読みの音源をもらって、ト書きに書いてある音を作っていきました。

ーーお稽古で特に印象に残ったことはあるでしょうか。

:セリフや動きが全部カウントで決まっているので、稽古自体がタイムループしているような感覚に陥りました(笑)。僕自身、何週目かわからなくなることがあり、「あれ? 今5周目なのに7周目のセリフ喋ってるな」となって中断してもらったり。たくさん稽古をしていてもそうなるので、見ているお客さんは不思議な感覚になると思います。見ているお客様はタイムループしていることを知っているけど僕らは気づいていないていで演じるので、そのギャップも面白いと思います。

岡田:カウントに襲われている夢を見ました(笑)。みんな一回は見ていると思います。

森田:稽古場で音が間違って流れた瞬間、勝手に体が動いたり。パブロフの犬みたいになりました。

大空:街の信号の音とかにも反応してしまいます(笑)。

音楽劇『MONDAYS/このタイムループ、まだまだ終わらない!?』開幕前会見より

音楽劇『MONDAYS/このタイムループ、まだまだ終わらない!?』開幕前会見より

ーー大ヒットした映画の舞台化ですが、舞台版ならではの魅力を改めて教えてください。

木下:このお話の肝の一つが、「タイムループしているかしていないかよくわからない日々を過ごしている現代人」というテーマと、それが僕らにとっては苦しみだけど喜びでもあるというところだと思っています。役者の皆さんが生で何度も同じことを繰り返すのを、見ている人が辛いことだと思わず、「自分と同じ」とか「ちょっと発想を変えたら面白いことが見つかるかもしれない」とか思ってもらえたら。生だからこそ、見ているお客さん一人ひとりが抱えている背景をもとに答えを出してくれそうな気がします。

:映画はカット割りが決まっているので、ストーリーの中で一番見せたいものが編集で使われると思います。舞台はどこを見てもいいし、一人だけにフォーカスしてもいいのが魅力。自分で目線を選べるのが舞台の素晴らしさだと思うので、セリフを話している人だけではなくそれぞれのタイムループに気づいてもらえたら。もちろん一回でも楽しめると思いますが、皆さんもタイムループして繰り返し見ていただけると、どんどん「沼」にはまる作品だと思います。

ーー最後に、楽しみにしている皆さんへのメッセージをお願いします。

薮:映画版とはちょっと違う結末が待っています。オフィスの中という狭い空間のお話だけど、話自体はすごく広がりがある。毎週月曜日が憂鬱だという人が、この作品を見て少しでも次の月曜日を楽しみになったり、些細な変化を楽しめるようになったりする作品になるよう、精一杯演じていきたいと思います。ぜひ足を運んでいただき、『MONDAYS』ワールドにどっぷり染まっていただけると嬉しいです。

<ゲネプロレポート>

『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』は、小さな広告代理店の社員全員が同じ1週間を繰り返す姿とそこから抜け出す道のりを描いた映画だ。仕事に追われる日々の中、繰り返しやってくる月曜日に一人、また一人と気づき、ループを終わらせるために奮闘する様子をコミカルかつ爽快に描いている。

音楽劇『MONDAYS/このタイムループ、まだまだ終わらない!?』ゲネプロより

音楽劇『MONDAYS/このタイムループ、まだまだ終わらない!?』ゲネプロより




舞台においても、同じ1週間の繰り返しを舞台ならではの表現で楽しく見せている。社員たちの言葉やオフィスで聞こえる様々な音が音楽になっていく様子、全員の動きを見られるからこその発見、繰り返している1週間の見せ方など、映画とはまた違う味わいがあった。




また、映画では仕事人間なプランナー・吉川が主人公だったが、今回はプランナー兼営業の村田が主人公という、一種のパラレルワールドとなっており、理由も物語が進むにつれて判明していく。薮が演じる村田は、仕事中のテキパキとしているがけだるい雰囲気と映画についてキラキラした表情で語るギャップが魅力的だ。その後輩・遠藤(平間壮一)は、思い切りの良さと人懐っこさが可愛らしいキャラクター。舞台オリジナルの展開や登場人物も良いアクセントとなっている。映画の魅力はそのままに、舞台だからできる見せ方・生ならではの面白さに繋げているほか、映画では描かれなかった人となりや仕事への思い、背景なども描かれ、本作に初めて触れる方はもちろん、映画を見た方も新鮮に楽しめる作品に仕上がっていると感じた。

本作は10月5日(日)~27日(月)まで東京・PARCO劇場、11月1日(土)~3日(月・祝)まで大阪・森ノ宮ピロティホール、11月8日(土)~9日(日)まで長野・サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター))大ホールで上演される。

公演情報

PARCO PRODUCE 2025
音楽劇『MONDAYS/このタイムループ、まだまだ終わらない!?』
 
原作 映画「MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない」(監督:竹林 亮)
 
上演台本・演出 ウォーリー木下
作詞・作曲・音楽監督 三浦康嗣(□□□(クチロロ))
 
出演 薮 宏太 平間壮一 南沢奈央 森田甘路 吉本実憂 松尾敢太郎 岡田義徳 大空ゆうひ 梶原 善
スウィング 花戸祐介 涼花美雨
 
東京公演
日程 2025年10月5日(日)~27日(月)
会場 PARCO劇場 (渋谷PARCO 8F)
 
大阪公演
日程 2025年11月1日(土)~11月3日(月祝)
会場 森ノ宮ピロティホール
 
長野公演
日程 2025年11月8日(土)~9日(日)
会場 サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター) 大ホール
 
企画・製作 株式会社パルコ
 
公式サイト https://stage.parco.jp/program/mondays/
ハッシュタグ #音楽劇MONDAYS
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