港町・神戸で音楽、食、カルチャーが揃った『MASHUP FESTIVAL kobe』ーー7つの個性が示すフェスの未来形

レポート
音楽
2025.11.1
『MASHUP FESTIVAL kobe』

『MASHUP FESTIVAL kobe』

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『MASHUP FESTIVAL kobe』2025.10.4(SAT)5(SUN)神戸ベイエリア一帯の複数会場

兵庫県を代表する7つの音楽イベントが融合した、兵庫県最大級の音楽フェス『MASHUP FESTIVAL kobe』(以下、『MASHUP』)が、神戸メリケンパークや波止場町緑地、TOTTEI PARKなど神戸ベイエリア一帯の複数会場で、10月4日(土)、5日(日)の2日間にわたって開催された。

『MASHUP FESTIVAL kobe』

『MASHUP FESTIVAL kobe』

融合した7つの音楽イベントは『ITAMI GREENJAM』、『ONE MUSIC CAMP』、『ARIFUJI WEEKENDERS』、COMING KOBEやライブハウス太陽と虎を運営する『PINEFIELDS』、『爆発メルヘンシティ』、『六感音祭』、『ブジウジ音楽祭』。イベントの開催経緯については、ぜひ過去の記事も併せてチェックしてほしい。

音楽好き、フェス好きなら、一度は足を運んだり、イベント情報を目にしたことがあるだろう。それぞれのイベントの出演者はもちろん、コンセプトや観客の年齢層やスタイル、会場やステージの雰囲気、フェス飯などいずれも個性豊かで異なる魅力を持っている。そんな7つの音楽イベントが一堂に“マッシュアップ”するのは前代未聞!!しかもステージは再開発が進む神戸ベイエリアに点在する神戸メリケンパークをはじめ、波止場緑地、TOTTEI PARK、第一突堤西の4つのエリアに展開。リストバンドを装着していれば、どのエリアでも好きなステージを楽しむことができる。

『MASHUP FESTIVAL kobe』

『MASHUP FESTIVAL kobe』

ライブだけでなく、フードエリアにDJエリア、マーケットエリアにトークイベント、ダンスコンテスト、キッズエリアなども充実。1日を通して音楽も食も神戸の街も満喫できる『MASHUP FESTIVAL kobe』。兵庫県が“フェス”県へと進化した2日間の模様を、“おいしいとこ取り”でお伝えしたい。

4日(土)の出演者はアバンギャルディ、ガガガSP、HUSKING BEE、Puffy、Def Tech、ZAZEN BOYS、浪漫革命、モーモールルギャバン、柴田聡子、neco眠る、どんぐりず、テレビ大陸音頭、imai、徳利、xiangyu、奇妙礼太郎×高井伊吹、高野寛×澤部渡(スカート)など。5日(日)にはHump Back、民謡クルセイダーズ、NEKOSOGI、韻シストBAND、スチャダラパー、石野卓球、サニーデイ・サービス、U-zhaan×環ROY×鎮座DONENESS、真舟とわ、ONI、東郷清丸、向井秀徳アコースティック&エレクトリックなど。ほかにもDJやコラボステージなど、数え切れないほどの出演者が登場し、会場のあちこちで途切れることなく音楽が鳴り響いていた。

アバンギャルディ

アバンギャルディ

イベント初日は時折雨が降る曇天続きとなったが、『ITAMI GREEN JAM』と『PINEFIELDS』が手掛けるメリケンパークのステージに登場した、おかっぱダンス集団・アバンギャルディは「みんなの力を借りて、もっともっと盛り上がっていきたい! 踊って、大声出してライブを作っていこう!」と、アニソンメドレーやオリジナル曲「OKP Cipher」などを披露。キレ味抜群&中毒性たっぷりのパフォーマンスで会場を盛り上げた。

ガガガSP

ガガガSP

PINEFIELDSのステージでは、地元・神戸出身のガガガSPが登場。「今年は阪神淡路大震災から30年。そんな神戸の街で最高のステージができるのはみんなのおかげ。明日の何かに繋がれば!」と、「国道2号線」「満月の夕」など、神戸にまつわる楽曲を中心に、熱いステージで気持ちを高ぶらせた。

柴田聡子

柴田聡子

『ONE MUSIC CAMP』が手掛けるTOTTEI PARKは、2025年4月にオープンしたばかりの270度海に囲まれた公園で、神戸の最先端エンタメエリアとして話題を集めている。開放感たっぷりの神戸港を背景に、柴田聡子や浪漫革命らが奏でる音に、観客は気持ちよさそうに体を揺らす。『ONE MUSIC CAMP』は三田市にあるキャンプ場を会場にしていることもあり、海を前にしたステージは、いつもとは違った雰囲気が楽しめるのも『MASHUP』ならではの景色だ。

『MASHUP FESTIVAL kobe』

『MASHUP FESTIVAL kobe』

同エリアではステージの転換に合わせてDJステージも展開。TOTTEI PARKは芝生エリアが広がり、高さ11mを誇るシンボリックな建物「緑の丘」は観客席としても使えて、神戸の海と山を望みながら音楽を堪能できる、何とも贅沢な時間を過ごすことができた。

テレビ大陸音頭

テレビ大陸音頭

『ブジウジ音楽祭』が手掛ける新港第一突堤エリアでは初日にneco眠るやテレビ大陸音頭、imai、2日目には民謡クルセイダーズや韻シストBANDなど、ジャンル多彩な音楽が鳴り響いていた。このエリアで注目したいのが「踊り食いAREA」なる飲食&DJブースだ。『ブジウジ音楽祭』は音楽のプロと飲食のプロがタッグを組んだイベントということもあり、フード出店には神戸はもちろん、京阪神を代表する名店がずらり! ピザ窯で焼くホールピザや、目の前で焼き上げるカツオのたたきなど、食べて飲んで踊れてと、気づけば同エリアで長居する人が続出。

『MASHUP FESTIVAL kobe』

『MASHUP FESTIVAL kobe』

一方、洋菓子店「TOOTH TOOTH」が手掛ける神戸最大級のフードホール「TOOTH TOOTH MART FOOD HALL」では、兵庫県知事や地元サッカーチームのヴィッセル神戸の選手らをゲストに迎えたトークイベントを実施。神戸の食文化、スポーツ、神戸ウォーターフロントエリアが描くビジョン、そして“フェス県ひょうご”についてなど、熱い思いが語られた。

高野寛×澤部渡(スカート)

高野寛×澤部渡(スカート)

『爆発メルヘンシティ』と『六感音祭』が手掛ける、みなと公園 波止場町緑地エリアでは、DJブースや子どもたちも参加できるマーケットなどが無料エリアとして展開。神戸の街に遊びに来た海外からの観光客も足を止め、イベントの雰囲気を満喫。ライブは“マッシュアップ”しまくりのステージがいくつも展開され、初日には高野寛×澤部渡(スカート)、奇妙礼太郎×高井息吹らが登場。小さな子どもも一緒になって「オー・シャンゼリゼ」を歌ったりと、ピースフルでホリデー感満載の時間が流れていた。

儀間健太×林萌々子

儀間健太×林萌々子

2日目には儀間健太×林萌々子、ONI、向井秀徳アコースティック&エレクトリックといった、イベントにゆかりのある面々が登場。儀間健太×林萌々子は夫婦ならではのほっこりとしたステージを、ONIは祝祭館満載の大賑わいのパフォーマンスを。それぞれのイベントの空気感を満喫しつつ、ここでしか観られないパフォーマンスが次々に展開されていく。

『MASHUP FESTIVAL kobe』

『MASHUP FESTIVAL kobe』

「次のイベント、行ってみたいな」とか「あのイベントって普段はどこでやってんの?」――。『MASHUP』をキッカケに、それぞれのイベントに繋がっていく流れも感じられた。『MASHUP』は複数のエリアにステージが展開されていることもあり、徒歩での移動は最も遠い場所では15分ほどかかることも。イベント開始直後は「どこに何があるの?」「このステージはどこにあるの?」といった、初開催ならではの戸惑いも多々あったが、時間を経つにつれて会場の空気感を掴み、そこからはもう大満喫しまくり! 気づけば誰もがリストバンドを着用して、気になる音楽やフードを見つけては、あっちこっちへ移動しまくっていた。

なかでも縦横無尽にイベントを楽しみ尽くしていたのが子どもたちだ。フリーエリアの「メリケンパークジャム」では体をめいっぱい動かして遊べるキッズエリアやライブペイント、ダンスショーにDJエリアなどが展開され、音楽が鳴り響くなかで大はしゃぎ。

ワタナベフラワー

ワタナベフラワー

さらに無料エリアはライブが楽しめるエリアも。メリケンパークにある「メリケン ミュージックナイツ ライブハウスステージ 太陽と虎×VARIT.×PADOMA」では、野外でライブハウスの雰囲気を楽しんでもらおうと、忘れてモーテルズやワタナベフラワー、the howling’ dogsといったライブハウスの猛者たちが出演。忘れてモーテルズのステージでは、お散歩途中の犬がやってきたり、KOBEの街を堪能中の海外の観光客も音に惹かれて続々フロアに集まるなど、“神戸=音楽の街”をイメージさせる空間が広がっていた。

Def Tech

Def Tech

初日のメリケンパークのトリを務めたのは、今年で結成20周年を迎えるDef Tech。サウンドチェックからがっつりテンションを上げると、「まだまだ疲れてるなんて言わせない!」と、「High on Life」から、夏を巻き戻したようなハイなナンバーを連投。新曲「Child in me」など、新旧組み合わせたナンバーで老若男女問わずご機嫌にさせた。

スチャダラパー

スチャダラパー

2日目のメリケンパークでは、デビューから35年を迎えたスチャダラパーが「CHECK THE WORD」、新曲「ビート道」など新旧の楽曲で盛り上げる。「心のベスト10、第一位やっていい?」とくれば、もちろん「今夜はブギー・バック」。この日のステージは『ブジウギ音楽祭』のステージに出演していたLUVRAWやロボ宙とのコラボライブで、港町にぴったりな大人なミックスを届けてくれた。

Hump Back

Hump Back

同会場のトリを務めたHump Backは「大事なもの持ち寄ってできたフェス! 一番大事なもん持ってきました。思いっきり歌わせてもらいます!」と「拝啓、少年よ」から美しい夕景が広がる会場に、渾身のロックサウンドを響かせる。メンバー3人そろって、同時期に母となった彼女たち。『MASHUP』の会場のあちこちで遊んでいた子どもたちを前に、「未来ある子どもたちにしけた顔見せたらあかん! 大人ってサイコー!って、ライブハウスにいた大人たちに思わせてもらった!」と、音楽の、ライブハウスの楽しさを繋いでいこうと語り、『MASHUP』が続いていくことを強く願った。

神戸の港町は夜になるとぐっと雰囲気が変わる。TOTTEI PARK初日のトリは、MATSURI STUDIOから神戸へやってきたZAZEN BOYS。「Honnoji」「ポテトサラダ」など、抜群のグルーヴで観客を酩酊させていく。「神戸シティに来るたび、良い街だな~って思うんですよね」、向井が繰り返す言葉が、いつも以上に癖になる。

石野卓球

石野卓球

同会場の2日目のトリには石野卓球が登場。ステージは山側に向かってスピーカーが設置されていて、会場に向かう道中から届く音が最高に気持ちいい! 野外の解放感+海風の心地よさも相まって、音も空間も快感の極み! お酒片手に踊り明かす観客たちの表情がとにかく素敵だった。

『MASHUP FESTIVAL kobe』に出演していたアーティスト、DJ、パフォーマーたちの数は数え切れないほど。もっと観たいステージはたくさんあったし、食べたいグルメもまだまだあって、ライブレポートをするには、からだ一つでは足りないのが正直なところ。それでも『MASHUP』のイベントの楽しさ、“マッシュアップ”された音楽やグルメの楽しさは存分に味わうことができたし、7つのイベントそれぞれにもさらに興味が沸いた2日間だった。

『MASHUP FESTIVAL kobe』

『MASHUP FESTIVAL kobe』

『MASHUP FESTIVAL kobe』

『MASHUP FESTIVAL kobe』

すべてのライブが終わり、『MASHUP FESTIVAL kobe』の2日間が終了したかと思いきや、まだまだこれから! なんとイベント来場者にもっと神戸の街を満喫してもらいたいと、神戸・三ノ宮の対象の飲食店へ行くと、リストバンド提示でドリンクが最大1日2杯無料という太っ腹企画も実施。しかも対象の店舗は名店揃い! 音楽にグルメにカルチャーに、“マッシュアップ”しまくりの『MASHUP FESTIVAL kobe』。次回、さらに進化したイベントの開催を楽しみにしたい。

『MASHUP FESTIVAL kobe』

『MASHUP FESTIVAL kobe』

取材・文=黒田奈保子 撮影=オフィシャル写真提供

<撮影スチール>ITAMI GREENJAM・PINEFIELDS:Photo by Kei Sakita / Sho Harada

爆発メルヘンCity/六感音祭:Photo by masaya yoneda

ONE MUSIC CAMP:Photo by Itsumi Okayasu/ Misaki Uchida /小林まり

イベント情報

MASHUP FESTIVAL kobe
【日時】2025年10月4日(土)5日(日)10:00-19:00
【会場】 神戸ウオーターフロントエリア一帯
(メリケンパーク・TOTTEI PARK・第一突堤西側イベントスペース・波止場町緑地・みなと公園)
【出演アーティスト】
10/4(土)
PUFFY・Def Tech・ガガガ SP・アバンギャルディ・SARUKANI・G-Devith(from カンボジア)・HUSKING BEE・w.o.d.・neco 眠る・テレビ大陸音頭・どんぐりず・imai・NAGAN SERVER・ナツ・サマー with Bagus!・ZAZEN BOYS・モーモールルギャバン・柴田聡子・xiangyu・徳利・川辺素・奇妙礼太郎・天々高々・高井息吹・高野寛・PARKGOLF・浪漫革命・おばけ座・メリケンダンスコンテスト ・DIGITAL NINJA ・AMI ENTERTAINMENT ・JA RHYTHM ・酒と九と+プラス?スイヨウビ ・NIRO ・VERO ・BONSOO ・ロブさん(ROB the Hunchback.)のアートに触れるワークショップ ・KID'sJAM ・NOBY the toy store ・TOMMY(BOY)・Zunggu Zunggu・YOKOYAMA 宇宙・YOSHI a.k.a Vinyl Cat・IKEDA IKERU・安田謙一・キングジョー グルーヴあんちゃん・todo8o・ひろしげ・rundes・増京・・KIX SOUND SYSTEM
10/5(日)
Hump Back・髭・RowHoo・Wadfah(from タイ)・民謡クルセイダーズ・NEKOSOGI・韻シストBAND・SATTU CREW・スチャダラパー・Neibiss・石野卓球・DSPS(from 台湾)・サニーデイ・サービス・イルカポリス(from 台湾)・SABOTEN・FIVE NEW OLD・U-zhaan×環 ROY×鎮座 DOPENESS・真舟とわ・ONI・東郷清丸・池間由布子×テニスコーツ・儀間建太×林萌々子・向井秀徳アコースティック&エレクトリック・K-ing- ASKA IMPERSONATOR -・宮本雅夫・水銀(電池グルーヴ)・カミノ•ザ•ファンク(DJ)・ TORU a.k.a.mr.mellow・HAMA・桂九ノ一・ロビンカワムラ・鶴岡龍(LUVRAW)・よだもち・HOUSE RAWMAN Dance Studio・KING3LDK (脱線3)・ratiff (Neibiss)・crazysalt・DIGITAL NINJA ・AMI ENTERTAINMENT ・JA RHYTHM ・酒と九と+プラス?スイヨウビ ・NIRO ・VERO ・BONSOO ・ロブさん(ROB theHunchback.)のアートに触れるワークショップ ・KID'sJAM ・NOBY the toy store ・ユニークゾーン ・SUNDAY IN THE PARK・Sweet Coast BreakBoys Club・KIX SOUND SYSTEM
【参加フェスティバル】
ARIFUJI WEEKENDERS、ONE MUSIC CAMP、PINEFIELDS、ITAMI GREENJAM、ブジウギ音楽祭、六感音祭、爆発メルヘンシティ
【主催/企画制作】株式会社 DONUTS ENTERTAINMENT/一般社団法人 GREENJAM /
MASHUP FESTIVAL kobe 実行委員会
【公式ホームページ】https://mashup-fes.com
【公式 SNS】
X @Mashupfes_Kobe
Instagram @mashupfeskobe
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