TiDE自主企画『Blend Your Mode』開催ウォームアップ対談 2回目ゲストは盟友Geloomy。ダンス、ブラックミュージックどう昇華する?

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2026.6.25
TiDE×Geloomy 撮影=大橋祐希

TiDE×Geloomy 撮影=大橋祐希

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ソウル、ファンクをベースにメンバーの幅広いバックボーンを融合させ、ジャンルに縛られない音楽性で『MUSIC AWARD JAPAN2026』の最優秀オルタナアーティスト賞と最優秀オルタナティブ楽曲賞の2部門にエントリーするなど、注目度も上がるTiDE。より踊れる音楽を意識したニューシングル「流行」を5月20日に配信リリースし、この楽曲をきっかけにした自主企画『Blend Your Mode』を東京と大阪で開催する。今回は前回のDURDNに続いて、すでにイベントなどで親交を深めるGeloomyを迎えてお互いのバンドの魅力、メンバーそれぞれが感じる最近のモードについて存分に話してもらった。傍目には意外、でもめちゃくちゃいいバイブスを放つ組み合わせはライブでも間違いなくケミストリーを起こしそうだ。

――GeloomyとTiDEの付き合いはどういうきっかけで始まったんですか?

井上大悟(TiDE/Vo,Gt):去年12月のやさしいみらいのレコ発の『New Action!』で初めて会って、「「祝祭」聴いてます」って言ってくれて、「あ、ほんとですか? ありがとうございます」みたいな話をして。

小腸(Geloomy / Gt,Vo):その1ヶ月後にADRIFTで3マンで一緒になって、それでいろいろと話して。

――最初の印象が良かった?

井上:実際に会って話してみるとみんな気さくで、いい感じのファーストコンタクトになり嬉しかったです。

 

――TiDEの皆さんはGeloomyの音楽性にはどんな印象を?

井上:結構前、普通にリールで「Vagi@」(2024年4月発売)が回ってきて。

小腸:それで言うとこちら側でも肺がTiDEの「Dawn」(2025年3月発売)をGeloomyで流行らせた。

肺(Geloomy / Dr)​:♪愛されたい、愛されたい~(歌う)。

井上:歌詞から?(笑) あとはGeloomyとニシ ナオキさんが所属したsen recordsのリリースパーティに僕がDJと一緒にカラオケするみたいなのに(笑)呼んでいただいたことがあったり。

 

――それぞれ好きな楽曲や音楽性についてはどうですか?

井上:僕は小腸君のリリックが明らかに今までにないというか、日本語をしっかり大事にしてる感じがすごくして。でも響きが面白いという今までにないジャンルの歌詞を書いてると思うし、独自性がすごいし自分には書けないと思って、マジでリスペクトしてます。

 

小島祥平(TiDE/Dr):僕、曲で言うと「vetsuvara(sweet)」(2026年3月発売)がめっちゃ好きで。基本ダンスミュージックを元にしてて、僕らはそんなにダンスミュージックやってなかったんでまず参考になるというか。

井上:「Dawn」でも参考にしてる。

小島:確かに「Saladbowl」(2024年9月発売)を参考にしてる。バンドとして初期の段階から個人的に聴いてたんですけど、独特な曲調だけどノレるのがすごい好きです。

 

しょにー(TiDE/Gt):好きなものは一緒なのかな?というのを感じるバンドで。ディスコとか昔の踊れる曲の感じとコード進行とか、色々似てるところが多いなと思って初期の方から意識してて、「unknown」(2025年9月発売)って曲とかすごい好きですね。「自分が作りたかったわー」みたいな楽曲がいっぱいあってリスペクトしてます。

小宮紹滉(TiDE/Ba):僕は特定の曲というよりも小腸君のミックスがすごいなと思ってて。それこそ「Shock!!中毒」(2024年9月発売)とか空白が多い曲だけど、ボーカルとかコーラスで過剰に埋めててちょっと奇天烈な音像感が聴いてて面白いなと。音像に名前が付くぐらいGeloomyって分かるのがいいなと思って、そういうのを自分もやってみたいなと思ってます。

井上:音源に記名性がある。

 

――バンド像も独特じゃないですか。こんなキャッチーな人、なかなかいなくないですか?

井上:いないですね。

小腸:無理して頑張って……。

一同:(爆笑)。

小腸:個人に関しては名前もそうですけど、今もちょっと香ばしい、言いたくないレベルで(笑)。まあノリで始めたバンドだったんでそのテンション感を残しつつ、みたいなのが今年は一番頑張りポイントですね。

井上:映像とかアートワークをチームで全部完結してるのもすごい。

――じゃあGeloomyの皆さんにもTiDEの魅力を。

小腸:じゃわたくし。それこそ“エビバデスクープス(Everybody scoops!)”(「Dawn」の歌詞)って詞から入ったんで(笑)。

一同:(笑)。

小腸:人の歌詞はここ最近めっちゃ気にするようなって、その中でテンション上がった“エビバデスクープス”からの、音像も自分にはできないことをミックス含めて全部やってて。一番思ったのは、僕、結構引き算できないんですけど、TiDEは引き算の塩梅が素晴らしい楽曲がすごい多くて。と、思ってたら「祝祭」(2025年11月発売)が出て。「祝祭」がきた時は上がりましたね(笑)。

TiDE一同:ハハハ!

小腸:で、ライブでまた度肝抜かれて。

:僕はこの中で一番最初に知ってるんですけど(笑)、日本人がやってるんだけど曲の中でめちゃくちゃいい塩梅でブラックミュージックだったりの要素が入ってくる感じが好きで。特にライブを初めて見た時、いっぱいやってくれるじゃないですか? (ベースの)オクターブとか(ドラムの)メトリックモジュレーションとか、「これがライブか!?」って、僕も度肝抜かれて。

小島:嬉しい。

:で、その後話してみたらみんな人間性も好きで。特に小島君とはこないだドラムのイベントをやったんですけど、「この人自分みたい……お前は俺か」みたいな感じで。

小島:似てました?

:そう。だから人間性も曲もライブも全部含めて好きで。

――どういうところが似てたんですか?

小腸:たぶん気を遣うところが似てはんねんなって。常識人のラインが似てましたね。

腎臓(Geloomy/Ba):僕は最初TiDEは「Dawn」のリールが流れてきた時にめっちゃクールなイメージというか、あんまりワチャワチャ弾いてるんじゃなくて。

井上:あのリールは斜に構えてましたね(笑)。

腎臓:対バンするってなった時に、ライブどんな感じなんやろう? で、始まって見てみたらもう(笑)。

小腸:初っ端ぐらいで小宮くん前に出てきて、オクターバーで。オクターバーニキ! っていう(笑)。

腎臓:巧すぎてそのギャップが良かった。ライブでちゃんとバンバンやってくれるんやなって嬉しかったし、喋ってみてもノリすごい良くて、クールな印象やったけど波長合っちゃう感じ。

肝臓(Geloomy/Kye):僕も最初「Dawn」で知ったんですけど、やってる曲が幅広いなって。黒っぽいやつもやるし、でもJ-POPっぽいのもできるし、守備範囲が広くて素敵なバンドやなと思いましたね。

――皆さんの一世代上からブラックミュージックをポップスに取り入れたバンドが増えた感じですよね。

井上:いわゆるなんかブラックミュージックを通ってるポップスみたいな感じに括られるじゃないですか、我々は。実際ブラックミュージックをちゃんと通ってる人ってどれぐらいなんですか? うちはたぶん小宮だけなんですよ。

小腸:俺と肝臓は90'sのヒップホップとかR&Bで、腎臓はハイエイタス(ハイエイタス・カイヨーテ/Hiatus Kaiyote)とか割と最近ので、肺ががっつりアース(アース・ウインド&ファイアー/Earth, Wind & Fire)っていう。

井上:なるほど! 確かにアース好きそう。最初NEO DISCO CREWみたいな感じで、出た時のDISCO要素はほぼ肺の要素?

小腸:そう。最近はビートは跳ねててサビでちゃんと四つ打ちになる、みたいのは手法としてはよくやってて。それにインパラ(テーム・インパラ /Tame Impala)みたいなサイケなギターサウンドと、最近シンセも。

肝臓:最近の曲はほぼシンセで弾いて、気持ち悪い浮遊した感じにしたいっていうのはある。

井上:サイケも通ってる感じがあるね。

小腸:サイケはそれこそヴェルヴェット・アンダーグラウンド(The Velvet Underground)から。親がその感じを好きやったから。

――2010年代以降、ブラックミュージックを昇華してポップスに落とし込んだバンドがポピュラーになりましたけど、そこに続く新しい世代としての目標めいたものはあったりしますか。

小腸:我々4人としてはもううちうちで楽しいことをずっとやり続けるスタンスで組んで始まって、今までやって。別にどこに焦点を当ててとかそういう感じじゃなく、楽しくやってたらバンドをやらせてもらってた、みたいなところがあるんで。一個一個ちゃんとやるというだけで目標は立ててないですね。仲良く楽しく(笑)。

井上:それが一番だよね。チーム感があるっていうか、それこそNEO DISCO CREWじゃないけどクルー感がある。

肝臓:乗ってるだけ(笑)。

井上:乗客なんだ(笑)。でも音楽含め全方位でプロデュースしてる感じはある。

小島:全員のまとまりがあって、バンドって感じじゃない? 

小腸:それはめっちゃ意識してて。それこそGeloomyはマネージャー含めて5人で、マネージャーが船長で我々全員乗組員。あのボスがいなかったらこんな自由にもやれてない感じはありますね。

小島:うちらもあんまりフロントマンとして立つ人間がいるわけじゃないんで、バンドとしてやろうっていう意識はありますね。4人でTiDEとしてやっていこう、みたいな。そこは共通するのかなと。

TiDE

TiDE

――TiDEは2マンライブを割とやってますが、その良さってなんだと思いますか。

井上:それこそ今回のイベントタイトルも『Blend Your Mode』で、Modeは流行とか様式とかいう意味であって、ニューシングルのタイトルともちょっとかけたんですけど。まさに2マンはそれぞれの歴史が交差するところだと思っていて、エネルギーの交換というか一緒にライブをやることで得られる刺激とか開かれる扉がある気がしていて。コラボできたりとか、楽しい要素としてはあるんですけど、こういう風に密に話す機会ができるから、いろいろ刺激になるし勉強になるというところが良さなのかなと思ってます。

――TiDEの2マンはカバーもやりますもんね。今回もやりますか?

井上:僕ら側はね? なんかやるかもしれない。

――モードっていうところで、それぞれのバンドで最近の音楽的なトピックというと?

肝臓:最近ヒップホップをまた聴くようになって、スミノ(Smino)っていうラッパーの人がいるんですけど。

小腸:それは割と90'sのディラ(J・ディラ/J Dilla)とかいわゆるオシャレって感じ。で、この人、最近もうほぼ聴いてるのは分かりやすいのでいったら、ドクター・ドレー(Dr.Dre)とか。「全然ギャングのヒップホップ聴こえなくなってきた」とか言い出して。

肝臓:全部オシャレに聴こえてきて。

小腸:やから新境地いったなっていうのは思います(笑)。

――オシャレなのはもういい、と。小腸さんは?

小腸:俺はやっぱ90'sですけど、メイン・ソース(Main Source)って人がその中ではワルって感じでもないけど、ブイブイいってる感じ。肝臓はウエッサイじゃないですか?

肝臓:そうです。

小腸:Gファンクも好きですね。この前のEP(「macaroni and cheese」)はモロGファンク。

――小腸さんのボーカルのトーンが独特なんでモロにはなってない気がします。

小腸:モロに元気はっちゃけてやったら危ないことになるので(笑)。

――絶妙な混ざり具合ですね。TiDEの皆さんは何かありますか?

小島:最近個人的には日本の著名な方の曲を聴きますね、ユーミン(松任谷由実)とか。「なんでこの曲ってこんなに愛されてるんだろう?」みたいな視点で聴くと、得られるものがあるなと思って。

井上:なぜ名曲が名曲足りうるのか。

小島:名曲を作りたいという気持ちはあるので。まあどのバンドも思うと思うけど(笑)。往年の名曲って今の流行りとちょっと違うと思うじゃないですか。ユーミンもそうだしサザンとかも。何がどう愛されるかわからないから昭和から平成など幅広い曲も聴いてみようと、バンドでもそういう話はしますね。

井上:最近バンドのコンセプトを言語化したいねという話をしてた時に、「懐かしく新しい」みたいなのが一つキーワードかなと。そこでその懐かしさっていうのが僕で言ったら70年代のソウル、ポップスが好きなんですけど、そこがなんで名曲足りえてるのかは考える機会がある。

小島:そういう意味だとGeloomyが音楽的に確立されてるのがすごい。さっき結構幅広いって言ってくれたけど、僕らも影響を受けた音楽が幅広いので悩むこともある。

――小腸さんは古い音楽も抵抗なさそうですね。

小腸:マジでないです。それこそ70年代の日本の音楽、はっぴいえんどは母親がめっちゃ好きで、細野さん周りのやつは義務教育レベル(笑)。だからこそ、ディエゴさん(井上)の声も聴いた時に「今いないなこの雰囲気」って思ったのもそうだし。僕は割と文字で落とし込んでるけど、声質で日本っていうのを体現してる人はあんまりいないから。

――アウトプットの仕方が違いますが、問題提起めいたものは両バンドにある気がして。Geloomyの場合はポップに出してるけど存在に違和感があるというか(笑)、それ自体が問題提起というか。

井上:確かに。

――TiDEの場合は井上さんの書く歌詞は洗練されてるけど、いい意味で問題提起が含まれてるっていう。

井上:ありがとうございます。

――いい違和感ありますよね、両バンドとも。

井上:違和感が新しさにつながるとこなのかなっていうのは思いますね。

――しょにーさん、小宮さんは、こういうことをTiDEに落とし込みたい、とかありますか?

しょにー:ジャンルだと自分はUKガレージ。

小腸:我々も新しいアルバムに入れようと作ってる段階。

しょにー:昔のUKで流行ってたダンスミュージックもだんだん今波が来てる感じがしてて。それこそTiDEもダンス寄りな曲をもっと増やしたいなと思って、そういうリファレンスとか結構聴いてます。

小宮:僕はあんまり曲を作るっていうのはしないんで、みんながポンポンって出したのを評論家として意見するという。その中でもメロディに対して僕が意見することが多い(笑)。やっぱりみんな感性というか、メロディって自然に出てきたものじゃないですか。それをさっき小島が言ってたように、普遍的に愛される曲のメロディには共通点があると思ってて。そういうのを言葉にしてTiDEに還元して行きたいなというのは、ずっと思ってることですかね。

井上:縁の下ですね。

――小宮さんは最後に磨きをかけるみたいな?

井上:そうですね。ほんとにそう。

小島:一番音楽に詳しいから。

――理論的にってことですか?

小島:理論もそうだし、プレイヤーとしていろんなジャンルを通ってるのもあるので、そこには一番信頼感がある。

井上:今大体、海外のアーティストが挙がったけど、気になる日本のアーティストだとどう?

小腸:めっちゃいるっすよ。それこそ俺ははっぴいえんどから始まり、藤井風、星野源まで。

小島:みんな日本のアーティスト聴きます? 俺ドラムクリニックの時もみんな海外のアーティストをBGM出してきて「これどうしよう?」って。

井上:小島はやっぱ邦楽だもんね。

小島:歌詞が英語だと分かんないから聴けない(笑)。洋楽も音像とか好きなんだけど、でも日本のものよりは聴かないかもしれない。

小腸:あんしんパパの「はじめてのチュウ」は結構ルーツかもしれん。

――日本のアーティストの中でも正しく革命的な人が好きなんですね。

小腸:そうですね。結局好きな人はそういう人の方が多いですね。ちゃんと音楽を人に向けるっていう人が好き。自分の内というよりは。

 

――TiDEの「流行」について訊いていきたいんですが、Geloomyの皆さんは聴いてないですか?(取材はリリース2日前)

井上:そうですよね。流した方が分かりやすい。

(音源を流す)

小腸:いいっすね! 声がいいんですよね~。

――ファーストインプレッションは?

小腸:いや踊れる。「祝祭」に続く踊れる曲。しかもサビくるまででほぼワンコード。

:いい意味で今までとちょっと違う一面が見える。

小腸:「祝祭」は“大地感じる系”、これはこれで逆に“シティ感じる系”。

井上:嬉しい。よかった~。

――この曲でまたライブに場面が増えそうですね。

井上:ライブシーンで戦っていける、みたいなのも一個テーマではあるので。

――では最後に『Blend Your Mode』をどんな2マンにしたいか? 抱負をお願いします。

井上:今回Geloomyを呼んだ理由でもあるんですけど、「流行」がちょっとファンキーなダンスミュージックってことで、ダンス要素のあるバンドっていうところで声かけさせていただいたんですけど。そういう風に会場を踊らせられるような日になったらいいなと思っております。

小腸:我々も東京編に負けじと茨木ルーツの僕らなりの“ライブの態度”を見ていただければと(笑)。

――初の大阪編、面白くなりそうです。ありがとうございました。


取材・文=石角友香 撮影=大橋祐希

 

TiDE情報

<リリース情報>
Digital Single「流行」
2026年5月20日配信
配信リンク https://lnk.to/RyukoNE

<ライブ情報>
TiDE presents『Blend Your Mode』

■東京公演
日時:6月27日(土)
Open 17:15 / Start 18:00
会場:東京・下北沢ADRIFT
出演アーティスト:TiDE / DURDN

■大阪公演
日時:7月3日(金)
Open 18:30 / Start 19:00
会場:大阪・Yogibo HOLY MOUNTAIN
出演アーティスト:TiDE / Geloomy

 

Geloomy情報

<ライブ情報>
Geloomy 1st one-man tour『FULL-COURSE』
2026/10/2(金) 梅田Shangri-LA(OSAKA)
2026/10/18(日) Pipe Live House(TAIPEI)
2026/10/25(日) UPSET(NAGOYA)
2026/10/28(水) Shibuya WWW X(TOKYO)
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