2日間10万歩。北海道『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2026 in EZO』実録ルポ――10年ぶりの朝陽と「あけましておめでとうございます!」
『RISING SUN ROCK FESTIVAL 2026 in EZO』2026.8.15(SAT)北海道・石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ
撮影=SPICE編集部(大西健斗)
Doona ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:大谷康介
2日目。def garage、12時一発目は、一般公募枠の「RISING★STAR」であるDoona。一方、PROVOの同じ時刻は元シャムキャッツの夏目知幸ことSummer Eyeが登場。リハーサルの段階から観客エリアを練り歩きながら楽しそうに歌う。改めて解放感が似合うエリア。本番が始まってからも、楽しい解放感は変わらず、というか、より倍々になって爆発していた。
東京スカパラダイスオーケストラ ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:大峡典人
SUN STAGEは、12時30分に東京スカパラダイスオーケストラでスタート。本番前に前日同様、WESSスタッフが挨拶。「音楽の聖地にしたい」という言葉があったが、前日は「音楽の大地」という言葉もあり、音楽の大地・音楽の聖地に毎年参加できる喜びを新たに噛みしめる。スカパラは21回目の出場であり、お揃いのピンクのジャケットが大きなステージに映える、映える。
ハンブレッダーズ ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:堤 瑛史
同じ時刻、RED STAR FIELDではハンブレッダーズが登場。途中、ギタートラブルで中断されるが、ムツムロアキラの判断で急遽、堂島孝平の名曲「葛飾ラプソディー」をベースでらしと共に歌う。観客にとっても思わぬサプライズであるし、トラブルが起きようとショーマストゴーオンの精神で場を穏やかに和ませてくれることが頼もしかった。続いて、同じ場所では今年30周年のPUFFY。最初から往年のヒット曲連発で観客大満足状態。それから、この大地にかつて立っていたチバユウスケ・志村正彦に、PUFYYの歌を通して想いを馳せた人も多かったであろう。
PUFFY ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影: 堤 瑛史
怒髪天 ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:後藤壮太郎
そこから今年還暦を迎える怒髪天も登場。増子直純が高校1年生の姪からお願いされて喜んで『RSR』に呼んだら、どうやら若手バンドを観に行っているらしいという自虐話に笑ってしまう。しかし、何歳になっても地元祭を率先して盛り上げようという気概には胸を打たれる。お祝いごとでいうとお次に登場のレミオロメンもそうである。今年から活動再開の全国ツアーを開催しているが、『RSR』は何と18年ぶり。1曲目から惜しみなく「粉雪」が歌われて、歓喜した人は多かったに違いない。
plenty ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:山下聡一朗
場所を変えて、def garage。こちらもお祝いごとが続く。今年、9年ぶりに再始動のplenty。リハーサルから、ずっと活動を続けていたような歌と演奏に圧倒される。9年前から、また更新されていることが何よりも嬉しい。江沼郁弥自身も久しぶりに『RSR』へと帰って来たことを「エモいですよね。エモいよ」と言っていたが、今こそ間違いなく使われるべき言葉である、エモとは。今に更新された以前の曲を聴けるだけでも幸せだが、新曲「ってかさあ」が抜群に良いのも喜びに代えがたい。
リーガルリリー ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:山下聡一朗
続く、リーガルリリーは初出場というのがおめでたい。若くして、毎年出場している様な貫禄すらある。たかはしほのか・海がサポートドラマーと横一列に並ぶ。たかはしと海のふたりがドラムと対峙するように音を鳴らしていく姿は、とんでもなく硬派である。ラストナンバー「蛍狩り」は、緩やかなナンバーではあるが、脳も心も全て持ってかれるような静かなる力があった。plenty、リーガルリリーという音で真っ直ぐ向き合うストロングスタイルのバンドが、場内を観客で溢れ返させていたのは素敵である。考えてみれば、共にスリーピース編成。良い時間でした。
小山田壮平BAND ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影: 山下恭子
BOHEMIAN GARDEN。2日目も自然に囲まれたステージでは、自由に音が飛び交う。昼は小山田壮平BAND。andymori時代の「Sunrise&Sunset」からや、「光をつれていく」と歌われるソロになってからの「時をかけるメロディー」など、このステージだからこその自然の大きさを感じられるナンバーが続く。夜は、長岡亮介から青葉市子という心地良いまどろみを感じられる至福の時間帯へ。長岡は、ステージで見かけたバッタをメンバーとして紹介したり、観客から自由に質問を募ったりしている。青葉は、観客みんなが座って聴いている。
日付が変わって24時40分。SPECIAL OTHERSにもなると、寝転がって星を観ながら聴いている人も多い。よく最近のライブで、演者が観客に聴き方は自由と伝えているが、その極みみたいな光景が広がっていたステージ。
SPECIAL OTHERS ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:佐藤健太郎
自由に音楽を聴くという意味では、RED STAR CAFEとPROVOの2日目も目が離せない。15時のRED STAR CAFEは、立錐の余地もないほど人々が集まったのは、Reiのステージを観るため。ステージへ向かう途中から、あの格好良いギターのカッティングが聴こえてくる。
Rei ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:千葉薫
また、夜に再度PROVOのステージへと上がり、元BLANKEY JET CITYの中村達也・元NUMBERGIRL中尾憲太郎と共演することを「攻撃的前衛的」という言葉を用いて告げる。とんでもないドラマー、とんでもないベーシストとの競演だが、ブランキー、NUMBERGIRL共に初年度出場組でもあるので、とんでもない夜になることを良い意味で覚悟して向かうことに。
TOUCH-HIM ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:原田直樹
PROVO19時30分。中村と山本久土によるTOUCH-HIM。ドラムとギターによる凶暴な音が襲い掛かってくる。その凄みを満喫する中、20時からは間髪入れずに中村と中尾の勃殺戒洞。こちらも爆裂としか言いようがないし、観客の三三七拍子も合わさっていき、周りにある飲食ブースなどの白テントにはVJ的に映像も映し出される。
勃殺戒洞 ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:原田直樹
20時30分、このふたりにReiが加わる。すでに3人は前日、札幌でサプライズライブも敢行しているという。ちなみに中村は、「毎年、ステージを用意していただいてありがとうございます!」と言っていたが、『RSR』皆勤賞。28年間ずっと最前線の現役で還暦を超えた今も年々馬力を増す素晴らしき恐ろしさ。そんな中村に対して、Reiが「歴史を紐解く曲を!」と声掛けると、すかさず中村は「忘れたいことだらけ!」と大絶叫! すぐさま鳴らされたのが、なんとBLANKEY JET CITY「SWEET DAYS」。中村がドラムを叩き、中尾がベースを鳴らして、Reiがギターを弾きながら歌う。『RSR』の歴史を、日本のロックンロールの歴史を、リアルに体感できた熱狂のひととき……。このタイミングでステージ後方で花火が打ち上がる。その後も『RSR』のために作られたという「RISING RISING」へ。Reiの予告通り攻撃的・前衛的なライブであった。時刻は21時を過ぎるが、まだまだ『RSR』の佳境は突入したまま。
Rei+中村達也+中尾憲太郎 ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:原田直樹
撮影=SPICE編集部(大西健斗)
『Improvise Session in EZO “episode 0”』 ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL
RED STAR FIELD、22時。『Improvise Session in EZO “episode 0”』。角野隼斗(Pf)・石若駿(Dr)・Marty Holoubek(Ba)が中心となるスペシャルセッション企画。のっけから超絶セッションで大盛り上がり! 当の本人たちも「我々も何やるかわかっていない! Improviseで盛り上がっていこうかなと!」と大興奮の模様。ちなみに「Improvise」とは、即興で演奏すること。確かに何が起こるかわからない。続いては、しっとりとショパンの楽曲を聴かせてくれる。そして、角野の盟友であるPenthouseの浪岡と大島も合流。息の合ったセッションを魅せてくれる。石若は、地元北海道出身ということもあり、手稲・前田森林公園といった地元民からしたらお馴染みの地名や場所名が話される。
『Improvise Session in EZO “episode 0”』 ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL
『Improvise Session in EZO “episode 0”』 ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL
『Improvise Session in EZO “episode 0”』 ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL
『Improvise Session in EZO “episode 0”』 ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL
“episode 0”というタイトルも意味深であり、これから何かが始まる予感しかない。くるりで石若がドラムを叩いていることから、縁があったという山内総一郎が呼び込まれる。山内は、このセッションを「音楽で旅をするような感覚」と称して、小沢健二「ぼくらが旅に出る理由」へ。セッションゲストは続く。石若が昨年の『RSR』での椎名林檎のステージで共演して、その後はレコーディングでも一緒にプレイしているという宮本浩次が大登場。ひとりずつと握手していき、「風に吹かれて」を歌っていくが、3人の演奏者の方をそれぞれ向きながら丁寧に歌っていき、でも動きは両手を回したりと縦横無尽に暴れる。即興で演奏するとは、まさにこのことであり、どこに転がっていくかわからないスリルがあるセッション。最後は、3人の名前を呼んでいき、「かっこいいー!」と絶叫して〆る宮本。お見事でした…。
『Improvise Session in EZO “episode 0”』 ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL
『Improvise Session in EZO “episode 0”』 ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL
『Improvise Session in EZO “episode 0”』 ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL
ラストセッション。石若が急遽、昨日電話して決まったというReiが山内と共に現れる。先程までPROVOで凄腕セッションを繰り広げていたReiが、ここでも凄腕セッションを繰り広げる。10分近くに及ぶ5人がっぷりよつセッション。もう魅入るのみ……。“episode 0”で、この破壊力となると、次のepisodeは、どうなっていくのだろうと期待は来年以降募るばかりのImproviseタイム。
『Improvise Session in EZO “episode 0”』 ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL
『Improvise Session in EZO “episode 0”』 ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL
『Improvise Session in EZO “episode 0”』 ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL
ついに各ステージ最後の演者たちとなっていく時間。26時。EARTH TENTは、とてつもない地獄の諸行無常セッションを浴びせてくれた、向井秀徳率いるZAZEN BOYSがMATSURI STUDIOからやって来た。日付変わって26時のド深夜真夜中でありながら、多くの観客が一心不乱に体を揺らしている。
ZAZEN BOYS ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:かわどう
圧倒を通り越して卒倒するしかないタイトでシャープでキレッキレの研ぎ澄まされた鉄壁サウンド。自分の語彙の貧しさに呆れるが、変に着飾った言葉では表せない程の凄み。向井はシンセサイザーも操り、チャルメラのテーマも鳴らされていく。初日に続き、或る意味元祖版「ポテトサラダ」も鳴り響くが、また味わいの違うダンスナンバーへと変化している。2日連続で極上のポテトサラダを、それも違う味わいで頂けるという大後馳走……。本当に美味しゅう御座いました。
おとぼけビ~バ~ ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:山下聡一朗
def garage、26時50分。こちらも、このステージ最後のライブ。京都のおとぼけビ~バ~が『RSR』初参上。海外の超大御所バンドとの共演など、いくらでも枕詞は付けられるが、そんなことはどうでもよくて、この日のおとぼけは極限まで削ぎ落とされた剥き出しのロックンロール。ボーカルあっこりんりんの「おとぼけビ~バ~、やらせて下さい」と誠実真摯な言葉から始まったライブだが、今この北の大地で自分たちのロックンロールを鳴らしたいという強い気持ちが、こちらの胸を打つほどに届きまくった。あっこの深夜2時50分出番と聞いた時に江頭2:50を想起させて覚えやすかったというチャーミングなユーモアも良かった。26時50分という時間にも関わらず場内は大勢の人で埋め尽くされ、ラストナンバー終わりからアンコールへとロックンロールタイムは続く。全18曲、それも新曲まで披露されるという豪華セット。個人的には、その新曲が新境地を感じさせる出来だったので誠に嬉しかった。
サンボマスター ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:かわどう
とうとう28時。明け方4時のSUN STAGE。『RSR』2026年度における最後の演者の時間。スクリーンにはドローン撮影による空中からの会場映像が映し出されて、ゴダイゴ「THE BIRTH OF THE ODYSSEY」から「MONKEY MAGIC」が流れてくる。この音楽が流れてくるということは、サンボマスターの大登場。山口隆、近藤洋一、木内泰史の3人が現れる。<始めるよ 準備はいいかい? やらかすぜそいつが可能性 悲しむより踊りまくって 奇跡の日々を始めようぜ>と歌われる1曲目「ミラクルをキミとおこしたいんです」。この曲にサンボマスターが観客全員に伝えたいことが全て詰まっている。観客への盛り上がりを確認する中で、「bloodthirsty butchersがやったあの『ライジング』か!?」という山口の煽りにはグッとくるしかなかった。初年度の朝方にライブをぶちかました北海道を代表するバンド。普段こういう表現はあまりしないのだが、でも、この日は吉村秀樹にも届いていた気がする。
全員優勝の奇跡を起こすためのライブは、朝といえばということで「ヒューマニティ!」へ。「青春狂騒曲」と立て続けにぶちかましていき、「この朝陽を眺めながら、君とズットモになりたいわけですよ!」と訴えかける山口。「やってる途中なのに、また君と会いたくなった!」と今年リリースの「またあえるかな」。全国各地隈なくライブで周るサンボだからこそ歌える温かみあるナンバー。これぞ大トリというライブを魅せるサンボだが、『RSR』初出場は2004年。「この22年でいなくなっちまった魂の前で歌いたい」と「ラブソング」へ。今は亡くした大切な人たちの魂へと歌いかける珠玉のスローバラッド。木内がドラムからライトを振ると、約3万5000人の観客もスマートフォンなどで光を照らす。
撮影=SPICE編集部(大西健斗)
28時30分。空が明るくなってくる。雲は赤く染まっている。<君はいた方がいいよ>と一生懸命生きる者全てを肯定してくれる「Future is Yours」。「俺たちは魔法のようなロックをやりに来ました!」と山口は叫んだが、サンボのロックを聴いていると、本当は見えないはずの魔法だって信じることが出来る強さを与えてくれる。ステージ後方には「全員優勝」と書かれたフラッグも掲げられる。そして、「戦争を止めるくらいに踊れまくる人!」と観客を鼓舞して、「愛と平和」を感じざるを得ない「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」。熊本へのエールも忘れることなく、「できっこないをやらなくちゃ」へ。そして、最後は「花束」。サンボの花束グッズを持つ観客も見受けられるし、ステージ袖ではスタッフも花束グッズを振っている。
撮影=SPICE編集部(大西健斗)
「次ライブで俺に会うまで勝手に死ぬんじゃないぞ!」
29時。明け方5時、朝を迎えるころ、綺麗な青空に朝陽が姿を現す……。『RSR』何と10年ぶりとなるライジングサン。遂に私も初めて観ることが出来た。アンコールで再登場した山口は、サンボが『RSR』主催イベンターWESS所属ではないことも明かして、「垣根じゃなくて、今観たいバンドを呼ぶ凄い大地」と言葉にした。北海道に有り難うという感謝の言葉も述べる。
「俺たちの合言葉はロックンロールイズノットデッド!」
「ロックンロールはお前に会いに来る音楽なんだ!」と言って、そう叫ぶ。朝陽を浴びながら聴く「ロックンロールイズノットデッド」は、最高なんていう言葉だけではおさまるものじゃなかった。山口は何度も何度も「愛してる!」と叫び、「朝陽を浴びてる君を愛してる!」と〆た。全てを祝福するかのように、カーティス・メイフィールド「Move On Up」が流れてくる。
サンボマスター ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:かわどう
最後の最後にWESS若林氏が現れて挨拶を。「久々にライジングサン!」という言葉が力強い。「いつも言うことを山口君が全部言っちゃったので、何も言うことはありません。歳重ね、また元気に会いましょう!」という言葉も若林さんらしくて潔くて素敵だった。そう、もう何も言葉などいらない。素晴らしい音楽を浴びて、素晴らしいRISING SUNを浴びるだけ。来年2027年8月13日(金)・14日(土)開催もスクリーンで発表されて、奥田民生が2019年に『RSR』開催中の現場で制作した「ライジングサン」が流れる。
2019年に初めて『RSR』にライブレポートで訪れて、いつか言ってみたい、いつか書いてみたいと思っていた憧れの言葉で最後は〆させて頂きます。
「あけましておめでとうございます!」
サンボマスター ©️RISING SUN ROCK FESTIVAL 撮影:かわどう
取材・文=鈴木淳史 写真提供=(C)RISING SUN ROCK FESTIVAL、一部写真 SPICE編集部(撮影:大西健斗)
【RISING SUN ROCK FESTIVAL 2026 in EZO】AFTER MOVIE #RSR26 アフタームービー
イベント情報
2027年8月13日(金)・14日(土)
@北海道・石狩湾新港樽川ふ頭横野外特設ステージ
放送情報
2日間の熱狂を、今年はなんと2週にわたり合計480分/8時間の超大ボリュームで余すところなく独占放送!
現地の空気感まで伝わる映像と音をたっぷりお届けします。
SPACE SHOWER TV
【独占放送】RISING SUN ROCK FESTIVAL 2026 in EZO
DAY1:2026年9月27日(日)19:00~22:00
DAY2:2026年10月4日(日)19:00~24:00
詳細はこちら:https://tv.spaceshower.jp/p/rsr2026ezo/