カッコ良さの新定義、SKRYU初のアリーナ2Days初日公演レポート
SKRYU(2026.8.30) 撮影=JUNYA "Thirdeye" S-STEADY
SKRYU Super Live 2026 「The Light」PINK -Moonlight Paradise- with Secret Guests
2026.8.29 ぴあアリーナMM
SKRYUがキャリア初のぴあアリーナ2days公演『The Light』を開催した。1日目は多彩なゲストを迎えた「PINK -Moonlight Paradise- with Secret Guests」、2日目は彼の身一つで挑む「SEPIA-MIDNIGHT RENDEZVOUS-」とタイトルし、2日間被りなしのセットリストで贈る意欲的な内容で展開。ここでは1日目のレポートを届ける。
2026.8.29 撮影=JUNYA "Thirdeye" S-STEADY
今回のマーチに限らず思い思いのグッズをまとったファンは若い層が主体だが、中には家族連れや上の世代も散見される。開演前の本人によるアナウンスは基本お堅い注意事項だが、「万が一、全裸になっても帰らないでね!」など、らしいコメントを挟み、すでにアリーナに一体感が生まれる。暗転と同時に起きた大歓声が笑いに転化したのは、ピンクのコペンでぴあアリーナに向かうSKRYUが巨大なLEDビジョンに映し出されたからだ。が、途中エンストを起こし立ち往生。果たして辿り着けるのか?と気を揉ませると、なんと男衆がコペンを押してフロアに現れるという、初っ端からスターらしい演出だ。そうなればもちろん1曲目は「ピンクのワゴン-悶絶-」。照明もピンクならSKRYUのジャケットもピンク、“ミラーボールマン”と踊り、セクシーかつユーモラスな幕開けだ。
2026.8.29 撮影=Fumi
「Stardom」のショートバージョンでは早速コール&レスポンスが巻き起こる。イントロに歓声が上がった「TOKYO ZOO」は初期からのファンには特にアツいナンバー。1組目のゲストであるテークエムとIKEはアンダーグラウンドでのスキル合戦を繰り広げた仲間であり、ドープなビートの上で“東京動物園”で上を目指す彼らのリアルが硬い押韻で刻まれた。
2026.8.29 撮影=JUNYA "Thirdeye" S-STEADY
2026.8.29 撮影=Fumi
ゲストが多いだけにステージはスピーディに展開する。トークボックスを操るLIL’ Jの生演奏の迫力が加わることで厚みを増した「VIP」ではSKRYUのボーカリストとしての迫力も増幅する。ストレートな上昇志向だけで終わらないペーソス含みの「Bom Bon」では豪邸から田舎の平屋まで、リリックに沿った映像が絶妙だ。かと思えばビジョンには香港ノワール風の居酒屋の暖簾映像が映し出され、アラビックな旋律が流れると一段と大きな歓声が上がり「居酒屋 (feat. 徳利 & valknee) [Remix]」がスタート。飲みの場あるあるなリリックだが、SKRYUのラップのキレは最高でゲストの徳利、valkneeのクセのある声が加わるとラッパー同士のせめぎ合いが生まれる。
2026.8.29 撮影=Fumi
2026.8.29 撮影=Fumi
1曲1曲テーマが違い、ゲストも迎えるだけに物理的な忙しさも半端ない。「居酒屋」が終わったと思いきや、ハイパーなお囃子に乗ってフロアに櫓状のトロッコが出現している。と、なると曲は当然、般若のオリジナル曲「わっしょい (feat. SKRYU)」なわけだが、般若は眉間に皺を寄せた険しい表情なのが本物の祭りの上下関係のようで見ていて可笑しい。コペン同様、男衆の人力で引かれるトロッコはアリーナを巡り、実際の夏祭りの様相を呈している。般若のセクハラ(?)まがいのギャグに爆笑が起きたが、SKRYUはこのことはSNS投稿禁止!とこの場にいるオーディエンスだけの秘密だと懇願していた。
2026.8.29 撮影=Fumi
「調子はどうですか? ほんとに幸せや! 今日が楽しみで眠れませんでした。ではみんなのおぼつかないステップを小洒落たステップに変えてみせます」と、ここまでの男気ムーブからメロウなR&Bセクションへ。ボーカルとラップをスムーズに乗りこなす「Midnight Marauders」、軽快な2ステップナンバー「S+-絶世-」は上品なブルーグリーンのレーザーもマッチしてロマンチック。非常にいい男に見えるのがこの人の型の美学を知る直感力なのだろう。さらに孤独にものづくりをする等身大の彼が透けて見える「Flyday」。その演出が、動く彼の輪郭を星が彩るエフェクトで、芋虫が蝶になる比喩がこんなに似合う男性アーティストがいることにも、その繊細さにもグッときてしまった。自分史とロマンスが酔いと混ざり合うような「Magic Potion」。ショーアップされたステージングが映える中、放たれた最新アルバム『ザ・ライト』収録の「カップリング」に至ってはかなり本格的なソウル/R&Bシンガーの側面も見せた。
「お洒落な歌を歌ってると顔もイケメンになってきたような気がする。昔は3日同じ服着て髪もパサパサで中四国をツアーして。中古のボイスレコーダーで録ってCD-R持って行って」と、駆け出しの頃を思い出しながら、放たれたのはゲストボーカルのSUBとともにエフェクトボイスで歌う「MUNASAWAGI」。このブロックの6曲はメロウかつショーアップされていたが、歌モノメインなだけにSKRYUのパーソナルな部分も堪能できる流れだった。
ショーが後半に続くことを告げて、一旦ステージを後にするが、カメラはSKRYUを追いかける。楽屋での生着替え、さらに男衆が脚立で筋トレ(?)する風景など絶妙にシュールな時間がビジョンに映し出され、シルバーのスパンコールのラガーシャツとピンクのハーフパンツに着替えたSKRYUがステージの上段でまるで自身もミラーボールのように輝く。具体がもう光=The Lightなのだ。白いムービングライトが放たれ「Summer Breeze」の真夏の体感を増幅、掛け値なしのポップソングメーカーぶりを見せてくれたのだが、すかさずお金玉川柳でまあまあ台無しにしてしまうまでがお約束。終わりゆく夏を彩るようなハウスチューン「ウォーター・メロン」ではどデカい合いの手も決まり、聴くモードからアリーナはダンスフロアに変化していった。
今日ここまでで一番ウケたのが先ほどの下ネタ川柳であることを突っ込むSKRYUだが、それも想定内なのだろう。少し長めのMCに入り、今回のアリーナ公演の開催を知った友達がLINEを送ってくれたのだが、その文面の一行目に感動したらしい。いわゆるエモい場面である。「SKRYUこと〇〇へ」……静かに集中するフロアに発表されたその一行は「おはようございあーす」……。ネタか! と突っ込むまもなく「How Many Boogie」へ。盟友Fuma no KTRはこの日のゲストの中で最もリラックスしているように見え、このエレクトロクラッシュ風のヒット曲を軽々乗りこなしていく様は、ファンの中でも自身もラッパーだったり近い活動をしている男子たちには見たかったシーンに違いない。
2026.8.29 撮影=JUNYA "Thirdeye" S-STEADY
じっくり味わう間もなくローボイスのラップをスピーディに走る「ハイブランド(Remix) feat. サーヤ」が始まると、アリーナのそこここで色とりどりのタオルが回る。と、2番のヴァースでサーヤが文字通り颯爽と登場。ラップの小気味良さはオリジナル以上だ。大歓声と拍手に迎えられた彼女をSKRYUも「わたくしのロールモデル。めちゃくちゃ忙しい中ありがとうございます」と感謝すると、サーヤも「ファンがスク君の人格者ぶりを映してる」と絶賛。2人の表現欲とその実現の速度を曲にしたような「ハヤスギテミエナイ (feat. サーヤ)」はリリックにも《SKRYUならアリーナは2Days》など、まさに現在進行形。曲のキャッチーさはもちろん、2人の痛快なハードワーカーっぷりに痺れる場面でもあった。颯爽と去るサーヤに「先輩、追いつきますー」と誓う後輩キャラが憎めない。
2026.8.29 撮影=Fumi
微妙に存在してそうでしなさそうなダンサブルおじいさんの映像を背負っての「スパンコールじいちゃん -絶輝-」からメドレーっぽく「ゼクシィ・ガール」につながる流れはラッパーのライフステージの変化を戯画化した感じだ。アコースティックでチルなグルーヴの「酔っちゃってさーせん」では階段に体を投げ出して、まさに酔い潰れて眠るような演出も。アリーナでこんな孤独感が醸し出されるなんて、彼の素なのか演技力なのかいずれにしてもちょっとしんみりしてしまう。と、そこにアラームが鳴り響き次に何の曲がドロップされるのか察したフロアは大歓声に包まれる。そう、SKRYUのジャンルを超えた音楽のルーツ、MONKEY MAJIKとコラボした「イッツ・ア・ニュー・デイ (feat. MONKEY MAJIK)」だ。サビでなんとメイナードとブレイズの2人が登場し、SKRYUが毎朝聴いていた彼らの「空はまるで」を想起させる伸びやかなメロディを歌唱。キャリアをある程度重ねた今、リリックにもある《弱さを歌える強さを手にした》からこそ、素直に未来に手を伸ばすことができる――2人の参加も曲の良さもあるのだろう、この日初めて目を潤ませながら感謝するSKRYUがいた。
2026.8.29 撮影=Fumi
2人を見送った後はステージを縦横無尽に移動しながら「Screw Driver」を歌い、サビのシンガロングやスマホのバックライトが自然に点る中で全力で歌い、アリーナに広がるライトを見て「ありがとーーーー!」と絶叫した。
ラストスパートを前にSKRYUは正直にこの日のアリーナが完売に至らなかったことを自分の悔しさより「パンパンのぴあアリーナを見せてあげられないと思うと眠れない夜もあった」と告白。だが「今日みんな一人ひとりの瞳が光に見えた。みんな見つけてくれてありがとう。今日は光になってくれてありがとう」と言葉を振り絞ると「泣くなー!」とアリーナから声が上がる。そして「5万、10万人のステージを見たい、見せる。今、決めた」と前を向いた。
2026.8.30 撮影=JUNYA "Thirdeye" S-STEADY
光を目の当たりにした彼がアリーナ初日のラストナンバーに選んだのは、正真正銘SKRYUのスタンスを表明する煌めきと彼なりのスーパースター像を描いた「超Super Star」だ。富も栄誉も手にして、多分そんなことに飽きても彼のスーパースター像は色褪せないんだろう。欲望と情けなさと純粋さを、エロと笑いに包んでJ-POPを底上げするラップスター。ド直球のエモさじゃないからこそ届くリアリティ。スパンコールのシャツを脱ぎ捨てた彼はアリーナを何かに追いかけられるように走り、タンクトップも靴下も脱いでファンに差し出す。「脱げー!」「結婚してー!」と叫ぶのが全て男性ファンなのもらしいといえばらしい。そのまま後方の扉から去るエンディングは、コペンを押されて登場したオープニングとは対照的。物質に満たされるより全てを差し出すスーパースター。どんなやり方でも心が揺さぶられればいいんだというSKRYUの矜持が残った。
なお、2日目の公演ですでに発表されている通り、2027年2月からは初のホールツアー『アホール・ニューワールド』で全国10都市を巡ることが決定している。
2026.8.30 撮影=JUNYA "Thirdeye" S-STEADY
取材・文=石角友香
撮影=Fumi、JUNYA "Thirdeye" S-STEADY
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セットリスト
「The Light」PINK -Moonlight Paradise- with Secret Guests
2026.8.29 ぴあアリーナMM
M1.ピンクのワゴン -悶絶-
M2. Stardom (Short ver)
M3. TOKYO ZOO※テークエム/IKE
M4. VIP LIL J
M5. Bom Bon
M6. 居酒屋 Remix ※徳利 / valknee
M7. わっしょい ※般若
M8. Midnight Marauders
M9. S+ -絶世-(Short ver)
M10. Flyday
M11. Magic Potion
M12. カップリング
M13. MUNASAWAGI
M14. Summer Breaze
M15. ウォーター・メロン
M16. How Many Boogie ※Fuma no KTR
M17. ハイブランド ※サーヤ
M18. ハヤスギテミエナイ ※サーヤ
M19. スパンコールじいちゃん -輝絶- (Short ver)
M20. ゼクシィ・ガール
M21. 酔っちゃってさーせん
M22. イッツ・ア・ニューデイ ※MONKEY MAJIK
M23. Screw Driver
M24 Mountain View
M25超 Super Star
ライブ情報
リリース情報
■SKRYU オフィシャルサイト:https://skryu.bitfan.id/