黒木渚、全国ツアー『神様イン・ザ・トートバック』が閉幕 ファイナル公演のオフィシャルレポートが到着

レポート
音楽
2026.10.30
黒木渚

黒木渚

画像を全て表示(8件)


黒木渚が、全国ツアー『神様 インザ トートバッグ』のファイナル公演を10月25日に東京・恵比寿ザ・ガーデンホールにて開催した。本記事では、同公演のオフィシャルレポートをお届けする。


10月25日、東京・恵比寿ザ・ガーデンホールで、シンガーソングライター・黒木渚の全国ツアー『神様 インザ トートバッグ』がファイナルを迎えた。近年の黒木渚の活動は実にドラマチックで、咽頭ジストニアとの長い戦いを経て、2022年に独立、小説家&音楽家として活発に活動しながら、結婚&出産を経験、ジャズ・ピアニストの森田真奈美と共にフェスに出演するなど、無尽蔵のバイタリティで熱烈な支持を集めてきた。インディペンデント・アーティストとして屈指の、カリスマ的行動力を持つアーティストだ。

黒木渚

黒木渚

独立後初となるホール・ワンマン公演を埋めたファンを前に、『神様 インザ トートバッグ』のテーマを語る“神様の声”のナレーションからライブは始まる。1曲目「大予言」から「解放区への旅」へ、明るいアップテンポを連ねて波に乗る。「今日は最後の一滴まで私のエネルギーをお渡ししますので、みんなも楽しんでね」――ファンだけでなくメンバーにも「楽しんでね」と声をかけて「予測不能の1秒先も濁流みたいに愛してる」へ、青い傘をくるくる回しながら「モンロー」へ、歌いながらも自然に笑みがこぼれる。間違いない、彼女が一番楽しんでいる。

黒木渚

黒木渚

ライブで聴くのは珍しい「うすはりの少女」から「エジソン」、リリカルなピアノバラードを2曲届けたあと、妖しく不穏な空気漂う「懺悔録」を経て、“本物の神様に憧れたニセモノの神様”の独白へ。セットリストの合間にはさまれるナレーションが、様々な年代の楽曲を一つの物語に繋げてゆく。2013年まで続いた“バンド・黒木渚”時代の代表曲、イントロの“スプーン曲げ”パフォーマンスが印象的な「エスパー」から「器器回回」へ、10年以上のリリースの時を隔てても、知性と狂気、哲学と直感、音楽と文学が交錯する、黒木渚のロックの美学は一貫している。

黒木渚

黒木渚

「この歌を書いた時、私の強さは全くの贋作でした。私はペテンの天才です。だけど歌い続けるうちに本当の強さを手に入れました。私を偽物のジャンヌダルクにしてくれてありがとう」

イントロに乗せた見事なセリフが印象的な、これもライブで久々に聴いた「虎視眈々と淡々と」から、「ロックミュージシャンのためのエチュード第0楽章」へ。前半はハンドマイクに専念していたが、ここからお馴染みの赤いギターを肩に掛けると、それはライブ後半の始まりの合図。すらりとした長身を黒と銀のゴシック風ファッションで包み、「Gatsby」を歌う姿が本当にかっこいい。改めて、実にステージ映えするパフォーマーだ。

黒木渚

黒木渚

「私はデビューしてからずっと、みんなに“黒木渚という嘘”をつき続けていると思ってきました。活動の前半は、たいして強くもないのに、偽物のジャンルダルクの虚像を再現することにこだわりすぎていたんですが、虚像が崩壊して以降は、贋作づくりをみんなと一緒にやっているんじゃないか?という気がします」

ファンとの繋がりを“共犯関係”と呼び、「来年はデビュー15周年。ペテンの天才として頑張っていこうという所存です」という言葉を、会場いっぱいの拍手と歓声が包み込む。ここから怒涛のラストスパート、「象に踏まれても」「神様 インザ トートバッグ」、そして最後を飾るのは“偽物のジャンヌダルク”の覚悟を高々と歌い上げる「革命」だ。「偽物か本物かは、貴方の審美眼の中にある」と彼女は言った。答えは貴方にゆだねられた。黒木渚の曲を聴き、ライブを体験すればきっとわかる。

黒木渚

黒木渚

そしてアンコールは、黒木渚の遊び心と茶目っ気を思いきり表現してやりたい放題。フリフリのアイドル衣装に身を包んだ、彼女の別キャラクター“素粒子アイドル・銀河ワプミ”に扮し、特別ゲストの森田真奈美扮する“素粒子ライバル・アンドロメダ美”と爆笑ミニコントを繰り広げ、森田のピアノで「ダニー・ボーイ」のカバーを歌い、森田作曲の『報道ステーション』オープニングテーマも特別サービス、さらにバンドを呼び込んで「V.I.P」を歌い踊る。ドラム・工藤明、ベース・宮川トモユキ、ギター・及川晃治、キーボード・多畠幸良。最強のメンバーをバックに、お別れの1曲は「骨」だった。「美しい骨になるまで楽しく生きていきましょう」――あまりにドラマチックな音楽人生だからこそ、その言葉とその歌声が深く胸に沁みる。

黒木渚

黒木渚

これまでの全キャリアの答え合わせを見ているような、集大成にして新たな出発点となるライブツアー『神様 インザ トートバッグ』。黒木渚はここからが面白いと確信する。“共犯者”は絶賛募集中だ。

黒木渚

黒木渚


文=宮本英夫
撮影=織田曜一郎

書籍情報

黒木渚 初の絵本『神様 インザ トートバッグ』直筆原画の特別販売
■オークション販売申し込み期間:2026年10月25日(日)16:00 ~ 11月8日(日)23:59
■先着販売 販売開始日時:2026年11月1日(日)12:00~
シェア / 保存先を選択