angelaインタビュー「自慢できるライヴにしたい」河口湖ステラシアターワンマンに向けて語る
angela atsuko、KATSU
アニソンアーティストとして数々のヒット曲を持つangelaが、デビュー記念日である5月21日に『拡大版 全部が主題歌ライヴ』を開催する。その会場は山梨県・河口湖ステラシアター。なぜ、都内ではなく河口湖を選んだのか?atsuko、KATSUの二人に訊いた。
――さて、今回のライヴの会場が河口湖ステラシアターになりましたが、実際会場に行かれていかがでした?
atsuko:凄い気持ちよかったです!
KATSU:周りのスタッフさんにすごい評判の良い会場で、一度使えばやみつきになるよと言われまして、今回のライヴでやりたい演出がここなら出来ると思って。
atsuko:あとやっぱり屋外って気持ちいいじゃないですか、5月21日が13年目のデビュ―記念日でどうしてもこの日が良かったんですけど、ちょうどそこが空いてて!これはもう運命だな、と。
――もうデビューから13年なんですね。
atsuko:そうなんですよ、そして結成して23年なんです。
KATSU:グレてた奴も更生する位の期間ですよね。
atsuko:それどこじゃないよ!オギャーが社会人だよ!
――そんなに長いとは思いませんでした。
atsuko:もう親より長く一緒に居ますからね。気持ち悪いですね(笑)。
――お互いはどういう存在なのでしょうか?
atsuko:どうなんですかね、友達ではないですよね。
KATSU:恋人とかでもなく、妹ではなく、実際はお母さんみたいな。
atsuko:お母さんって!おばさんみたいだからやめて!
KATSU:じゃあ、お母様?(笑)
atsuko:家族に近いですかね。遠慮も無く、仕事として割り切ってるところもあり、でもそれだけだったらやってこれないですからね。ズケズケ言う所は言うってのはやっぱり家族かな。
atsuko
――そんなangelaの記念日のライヴですが、やっぱり東京から山梨というのは距離があるのが皆さん気にされてるところだと思うんですが。
KATSU:それがあるから実際行ってみたんですけど、電車でいくのが感覚的に一番早かったですね。途中富士急行に乗り換えるんですけど、あれ観光列車なんですよ。富士山の観光スポットをアナウンスしてくれたりして、都内では絶対見られない景色が1時間くらいで感じられるのは旅行感があって楽しいですね。
――ライヴ自体もお祭り的な感じですしね、1日かけて旅行気分で行くのがいいんでしょうか。
KATSU:そう思いますね。angelaのアルバム2枚くらい聞いてればすぐついちゃいますね。
―― ああ、予習しながら行けるのは楽しいですね。
atsuko:やっぱりお客さんも私達と一緒に成長して年齢を重ねているので(笑)。 友達と一緒に車をチャーターして観光しつつ、ライヴ終わったらゆっくり一泊します!なんてコメントを貰ったりもしてて。もうレジャーだと思って楽しんでもらえたらいいですね。
――今回のライヴは『拡大版 全部が主題歌ライヴ』という事ですが、もう主題歌しか歌わないんですね。
atsuko:はい!デビュー9周年の時も渋谷で同じことをやったんですけど、その時はなんと無料ライヴだったんです。でも今回はよりしっかりと主題歌たっぷりやろうと思って、頭に「拡大版」をつけたんですよ。9周年では13~14曲だったんですけど、今回はもっと沢山やります!私達活動期間長いんで主題歌多いんですよ。
――確かに多いですよね。
atsuko:しかもありがたいのはオープニングもエンディングも挿入歌も全部angelaっていうお話が多くて。そのぶん曲数も増えるので、アンケートでも「あの作品のあれをなぜ歌ってくれない!」って言われたりして(笑)。
――そんな中で印象に残っている主題歌ってありますか?
KATSU:うーん、ありすぎてもう(笑)。
――最初に担当された「宇宙のステルヴィア」もオープニング、エンディング、挿入歌全部でしたもんね。
atsuko:そうですね、私たちって今のアーティストさんと違って「アニメ大好き!アニソンを歌うんだ!」って所からのスタートではなかったんですよね、路上でライヴしてたらキングレコードさんに声をかけてもらって、「アニメの主題歌を歌いませんか?」って言われたんですよ。「音楽できるなら!CD出せるなら何でもやります!」って気持ちだったので。
KATSU:当時はCDデビューが目的だったしね。
atsuko:だから大きなプロジェクトに関わらせてもらうのも初めてだったんですけど、皆さん温かくてありがたい環境でやらせてもらって。いいスタートだったと思いますね。
――そういうプロジェクトに入るのも初めてだったんですよね。
KATSU:どうやったらCDデビューできるのかもわからなくて、とにかく当時流行っていた音楽のジャンルを、angelaなりに解釈して曲を作るって時代があったんです。小室サウンドが流行っていればそういうものを作る。渋谷系が流行っていればICEさんとか、カヒミ・カリィさんとかを研究したり、デビュー前だとEGO-WRAPPIN'さんとか椎名林檎さんとか。どこが自分たちらしさなのかわからなくなって解散の危機もあったんですよ。そのタイミングで貰ったのがステルヴィアのお話で、精一杯作ったのが「明日へのbrilliant road」で、完成した時に「ああ、ここだ」って思ったんですよね。
atsuko:うん、アニメって曲調が沢山あるじゃないですか。
KATSU:そう、ロックもあればダンスビートもあればなんでもある、ここまで培ってきた自分たちの引き出しがたくさん使えたんです。元々アニメをやりたかったわけでは無いんですけど、僕らはアニソンに命を救われたんですよね。一度死にかけたangelaの命を救ってもらったんだから、僕たちはアニメに全て捧げようと思ってるんです。だから胸はって「僕たちはアニソン歌手です」って言ってますね。
――今はアニソンシンガーを目指しているという若い人も増えてますし、angelaさんがそう言ってくれるのは嬉しいですね。
atsuko:水木一郎さんとか影山ヒロノブさんとお仕事ご一緒すると、「昔は凄い不遇だったんだよ!マンガの歌かよ!って言われたり」って先輩の話を聞くことがあるんですけど、私たちにそういう葛藤はなかったんですよね。わかりやすくするためにジャンル分けしたがる業界ですけど、音楽は音楽じゃん!って思っちゃうし。
――angelaはいい意味でこだわりがないイメージがありますね。
atsuko:ジャンルにこだわりはないですね、アニメに合うか合わないか、ってところだけですね、こだわりは。
KATSU:極論を言えば僕らの名前が出なくても、アニメに合っていればいいと思うんですよ。アニメは様々なクリエイターが心血を注いでいる総合芸術だと思うんで、その一部になりたいですね。
KATSU
――僕の中でangelaさんの音楽は「蒼穹のファフナー」が印象深いですが。
atsuko:ファフナーは正直こんなに長く続くと皆思ってなかったんじゃないですかね。10年ぶりの続編がそのまま綺麗に続編なんだ!って驚きましたからね。
KATSU:主人公は2歳しか年取ってないのに僕ら10歳年をとりましたからね(笑)。
――10年空いたことに関しては違和感なかったですか?
KATSU:『蒼穹のファフナー RIGHT OF LEFT』も、映画『蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH』もあって、パチンコにもなりましたし、なんだかんだでちょいちょいファフナーは動いていたんですよね、『蒼穹のファフナー EXODUS』やるよって言われた時も「えっ?いつやるの?」とかドキドキもしましたね(笑)。
――『蒼穹のファフナー EXODUS』のオープニングを聞いた時に「ああ、ファフナーだ!」って一発で思えました、やっぱり曲の印象って凄いな、と。
atsuko:嬉しいですね、でも印象つきすぎて悩むのは、「前に出した曲のほうがいい!」って言われることですね。「前の主題歌でよかったじゃん!」って言われる事も正直あったので、そう思われないようにするにはどうすればいいのかって悩みますし、プレッシャーもありますね。
KATSU:ファフナーで言えばパチンコが出た時にテレビのCMで「Shangri-La」が結構流れたんですけど、作ってから5年位たってから「あのファフナーの曲」って凄い言われることが多くて(笑)。「違う路線で考えないと……!」 ってかなり大変でした。
atsuko:過去のファフナーの曲のフレーズを引用したり、好きな人は「あの曲のあの部分だ!」とか分かるように作りましたね。
――最近では『シドニアの騎士』が印象的でした。
KATSU:はっちゃけましたね(笑)。一番インディーズの時のangelaに近いというか、色んな要素が混ざった感じが当時を思い出しますね。
atsuko:正直デビューするまでに色んな物を取り入れてきた部分を活かせてるのはありがたいですね。
――そんなangelaさんの音楽のルーツってどんなものなのでしょうか?
atsuko:私は子供の頃はアイドルですね、中学くらいの時に洋楽に目覚めたんですけど、マイケル・ジャクソンとかマドンナとかね。高校に入ってバンドをやりだしたのでX JAPANさんとかBOOWYさんとかですね。メジャーな音楽を通ってきた気がしますね。
KATSU:僕は実は家でロックとか聴かないんですよね……。70年代のソウルとかカントリーとかそういうのが好きなんです。学生の時はヘヴィメタルとかハードロックは大好きで、そういう所から音楽には入ったんですけど、今聴くのは昔のソウルとかですね。はやりのヒットソングとかはもちろん聴いていますけど。
atsuko:そういうソウルフルな曲はangelaではないもんね。
KATSU:そうだね、angelaでは今そういう曲調ないんで、例えば別ユニットだとしてもいつかそういうものをやってみたいという野望はありますね。
――atsukoさんは野望ありますか?
atsuko:野望!そうですね、和を取り入れたモノをやってみたい気はしますね。それは楽器なのかメロディラインなのかわからないですけど、日本らしさを出せる楽曲をやってみたいなとは思います。タイアップでは難しい気もしますけど。
KATSU:歴史モノの作品とかならいけるんじゃない?
atsuko:「本能寺の~変~!」みたいな感じ?(笑)
angela
――さて、そんな多様性のあるangelaさんのライヴですが、ここは絶対見て欲しい!って所ありますか?
atsuko:うちのライヴだとバラードを歌えるのが多くて3曲くらいかな?って感じなんですけど、私たち実はバラード凄い多いんですよ。今回は椅子もあるのでちょっとしっかりバラードを歌える場所を作りたいとは思っていますね。
――KATSUさんは?
KATSU:これはですね、まあちょっと音楽とは関係ないんですけど、河口湖ステラシアターを案内してくれた職員さんがいましてですね。
atsuko:ノザワさんの事?(笑)
KATSU:うん、このノザワさんがここでやろう!って決めた理由の50%以上なんですけど(笑)。大体会場さんってこれやりたい!っていうと「制限があります」とか、「それは出来ないですね」って言われるんですよ。でもノザワさん何を言っても全て「出来ます」って言うんですよ(一同爆笑)。
atsuko:そうそうそう!
KATSU:しかもノザワさん「あのアーティストはこんなことやりましたよ」って教えてくれるアイディアが、僕らの想像越えてるですよ!そういう意味でこのノザワさんに「前にここでやったangelaって奴らはこんな凄いことをした」って誰かに自慢したくなるようなものをやってやりたいと!(爆笑)
――なんでしょう、今俄然会場に行きたくなってます、僕(笑)。
KATSU:全部がOKなんですよね、「出来ます」、「こうしたらやれます」しか言わないですからね、本当なんだろうかと思っちゃいますけど(笑)。
atsuko:過去最大級のライヴなんですけどね、それが山梨っていうのもまたangelaらしいというか(笑)。
KATSU:あとは当日晴れてくれればね。
atsuko:富士山、見たいもんね。太陽引っ張りだす勢いで頑張りますので、是非レジャーとして遊びに来て下さい!いっぱい歌いますから!(笑)
angela
撮影=原地達浩 インタビュー・文=加東岳史