渋谷で触れる江戸のポップカルチャー「くにくに展」がアツい!
「ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞」展段会場入り口
渋谷駅から程近いBunkamura ザ・ミュージアムでは、浮世絵界の2大スターが江戸のポップカルチャーを花開かせている。3月19日(土)~6月5日(日)開催「ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞」展、通称「くにくに展」のみどころをご紹介しよう。
幕末の2大絵師、初の大規模共演
浮世絵といえば昨年も春画展をはじめ、多くの展覧会が開催されている今再注目のアート。
本展では浮世絵がもっとも華やかだった幕末の2大人気絵師である、歌川国芳と歌川国貞にスポットを当て、ボストン美術館が誇る珠玉のラインナップ170件(約350枚)を堪能できる初の大規模展となる。
歌川国芳/初雪の戯遊 弘化4-嘉永5(1847-52)年 William Sturgis Bigelow Collection, 11.16077-9 ボストン美術館蔵
江戸カルチャーをイキイキと感じるための仕掛けがもりだくさん!
本展の監修を務めた東京国立博物館 研究員・松嶋雅人氏は「今まで浮世絵やアートに触れたことのない人にこそ来てほしい」という思いを、会場作りに込めたと語る。
本展監修 東京国立博物館 研究員・松嶋雅人氏
まずおもしろいのは、よくある作者別、年代別ではなく、テーマ性で分けたという展示構成。各章は「髑髏彫物伊達男(スカル&タトゥー・クールガイ)」「今様江戸女子姿(エドガールズ・コレクション)」といったように名付けられ、アニメのタイトルさながらに現代の私たちも感覚的に内容が理解できる。
また、音声ガイドは本展のオフィシャルサポーターでもある歌舞伎役者の中村七之助が務め、江戸っ子語りで気さくにみどころを案内。さらに、音声ガイド内にB’zの松本孝弘さん書き下ろしのテーマ曲も収録され、ギターのハードな音色と粋な浮世絵とのコラボレーションを体感できる。
そのほか、会場内には映像を投影した楽しいオブジェや、一部撮影可能なフォトスポットがあり、展覧会のポップな雰囲気を盛り上げている。
国芳の作品に登場する髑髏が映し出されたオブジェ
撮影可能なエリアも!
国芳、国貞それぞれ異なる魅力とは
同じ時代、同じ門下でしのぎを削った兄弟弟子同士の国芳と国貞だが、その持ち味は大きく異なる。
「俺たちの」国芳は、粋でかっこいい武者絵や、物語の一場面を3枚続きの大画面に大胆な構図でに描き、男性から根強い人気があった。そのクリエイティビティ溢れる自由な発想には驚かされるばかり。
歌川国芳/国芳もやう正札附現金男野晒悟助 弘化2(1845)年頃 William Sturgis Bigelow Collection, 11.28900 ボストン美術館蔵
歌川国芳/讃岐院眷属をして為朝をすくふ図 嘉永4,5(1851,52)年頃 William Sturgis Bigelow Collection, 11.26999-7001 ボストン美術館蔵
一方「わたしの」国貞は、トレンドをふんだんに盛り込んだ繊細な筆致の美人画や、まるでアイドルのブロマイドのように華やかな役者絵で女性たちを魅了した。
歌川国貞/「大当狂言ノ内 八百屋お七」五代目岩井半四郎 文化11, 12(1814, 15)年 William Sturgis Bigelow Collection, 11.15096 ボストン美術館蔵
歌川国貞/「御誂三段ぼかし 浮世伊之助」三代目岩井粂三郎ほか 安政6(1859)年 William Sturgis Bigelow Collection, 11.42194-9 ボストン美術館蔵
こうして見ると、漫画やファッション誌を見るように、江戸庶民と同じ目線で浮世絵を楽しんでいる自分に気づく。
思わず手が伸びるオリジナルグッズたちも必見!
本展と人気ブランドとのコラボグッズも見逃せない。フィギュアからファッションアイテムまで幅広いラインナップが揃う。現代と江戸のポップカルチャーは、実に渋谷という地にふさわしい共演。ぜひ、若い人にこそ気軽に足を運んでもらいたい展覧会だ。
【会期】2016年3月19日(土)~6月5日(日)※会期中無休
【開館時間】10:00~19:00(入館は18:30まで) 毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
【会場】Bunkamura ザ・ミュージアム
【主催】Bunkamura / ボストン美術館 / 日本テレビ放送網 / 読売新聞社 / BS日テレ
公式HP:http://www.ntv.co.jp/kunikuni