カポソカ音楽学院オーケストラ〜アンゴラと日本の子供たちの音楽を通じた文化交流〜
カポソカ音楽学院オーケストラ
日本・アンゴラ外交関係樹立40周年記念事業として、カポソカ音楽学院オーケストラが5月に来日する。アフリカ南東部に位置するアンゴラは、ほかのアフリカの国々に比べて植民地支配が長く続き、独立後も内戦が続いた。そうした中で、2008年に貧困家庭の子供たちを対象に青少年支援プロジェクトとしてカポソカ音楽学院が誕生した。日々の努力を要する楽器習得と規則を持った団体音楽活動を行うことで青少年の指導・育成をするという一面もある。近年ではベネズエラでエル・システマとの交流を行ったほか、2012年にアルゼンチン、2014年にスペイン、2015年にはイタリアで演奏するなど国際的な活動を行っている。
今回初めての来日となるカポソカ音楽学院オーケストラは、ロンドンを拠点に活動し、21歳でブラームス国際コンクール優勝を果たすなど、注目の若手チェリスト伊藤悠貴と共に全国5ヵ所で演奏をする。伊藤の父は現在、駐アンゴラ日本大使を務めており、カポソカ音楽学院を訪問したことがきっかけで昨年9月に伊藤が初めてアンゴラを訪れ、彼らを指導した。その後も交流を続け、今回の共演が決まったという。近年は指揮の活動も行う伊藤はモーツァルトのディヴェルティメント ニ長調 K.136やハイドンのチェロ協奏曲第1番(第3楽章)で指揮とソロを披露する予定。集中力の高い演奏で聴衆を惹きつける伊藤がどのようにオーケストラを引っ張っていくのか注目だ。
伊藤悠貴
クラシック音楽以外にアンゴラの民族音楽や、世界初演となるハーツェルの「アンゴラ組曲(バルカローレ)」をとりあげる(東京公演のみ)ほか、松本市ではスズキ・メソードの生徒たちと、相馬市では相馬子どもオーケストラ&コーラスと共演するなど子どもたちにとっては音楽を通じての国際交流を果たす機会となる。また、アンゴラ発のダンスがヨーロッパで流行するなど注目の集まるアンゴラの芸術を体感する貴重な機会ともなるだろう。
文:西岡雄太
カポソカ音楽学院オーケストラ・日本ツアー
〜アンゴラと日本の子供たちの音楽を通じた文化交流〜
5月12日(木)〜21日(土)
第一生命ホールほか
http://www.sonare-art-office.co.jp/