フィリップ・グラス、パティ・スミス、久石譲らが会見
(左から)ジェシー・スミス、テンジン・チョーギャル、レニー・ケイ、パティ・スミス、フィリップ・グラス、久石譲、滑川真希
現代音楽の巨匠であり、ミニマル・ミュージックの旗手として知られるフィリップ・グラス(79)が来日、6月4日(土)5日(日)、2演目に出演する。
6月4日(土)は『THE POET SPEAKS ギンズバーグへのオマージュ』と題し、フィリップ・グラスの代表曲にのせて“ニューヨーク・パンクの女王”パティ・スミスがギンズバーグと自身の詩を朗読したり、パティの弾き語りや、フィリップのピアノ独奏を盛り込んだ豪華プログラムとなる。ギタリストのレニー・ケイも演奏に参加。さらに日本でのスペシャルな趣向として、劇中朗読されるアレン・ギンズバーグとパティ・スミスの詩の完全新訳を村上春樹と柴田元幸が手掛け、舞台上の大スクリーンに在りし日のギンズバーグの写真やイラストともに投影される。また、オープニングアクトに、パティ・スミスの娘ジェシー・スミスと、ローリー・アンダーソンとのプロジェクトでも知られるチベットの音楽家テンジン・チョーギャルが出演。パティ・スミス親子共演は、今回が日本では初となる。
一方、6月5日(日)は『THE COMPLETE ETUDES』と題し、フィリップ・グラスが自身のピアノ楽曲の集大成として90年代より作曲に取り組んだピアノ・エチュード20曲全てを演奏する。毎回開催地のピアニストと共演する形がとられ、2014年発表のフィリップ・グラスのアルバム『The Complete Piano Etudes』で、全曲演奏を担当したオーストリア在住のピアニスト滑川真希、そして、あの久石譲も出演する。
開幕目前となる6月3日(金)にすみだトリフォニーホール・大ホールロビーで来日記念会見が行われた。以下登壇者によるコメントを紹介する。
<テンジン・チョーギャル>
このような場に来ることができ光栄です。今回ジェシーと一緒に演奏させていただきます。いくつかの曲も演奏します。
<ジェシー・スミス>
日本に来ることができ大変光栄です。すでに5月25日から日本で5都市で演奏していますが、今回こうして母と共演できるのが嬉しいです。
<レニー・ケイ>
このように日本に来ることができ大変光栄です。今回は、愛、そして詩と音楽をつなげることを大切にして演奏したいです。パティとフィリップがいることによってそれをきちんと演奏することができると思います。
<パティ・スミス>
政治家でもあり学者でもあったアレン・ギンズバーグからたくさんのことを学びました。彼はエネルギッシュで行動力があり、実際に行動で示し、何よりも彼は「人々と共にいる」ということを教えてくれました。例えば2000人が集まるサイン会があったときは、一人一人に向き合いまるでダライ・ラマのように愛を与えていました。彼は、「アーティストは自分の世界に入ってしまうが、そのエネルギーを人々に渡してこそだ。」とよく言っていました。そして今回、フィリップとともに、素晴らしい詩人家であり活動家である、アレン・ギンズバーグの世界を言葉として作品としてみなさんに紹介できることが嬉しいです。また村上春樹さんをはじめ素晴らしい翻訳家の方に参加いただいたこと大変ありがたく思います。
<フィリップ・グラス>
パティとアレンと私は3人で当時からアレンが詩を読んでパティも詩を読むという活動をしていました。しかし彼が亡くなってからは数年間活動していませんでしたがつい最近活動を再開しました。アレンはわたしたちの兄のような存在です。その友情は今も続いています。一緒にこうして東京で演奏できることが大変光栄です。そして久石さん、滑川さん、みなさんと一緒に愛情を感じながら演奏できることがとても嬉しいです。
<久石譲>
今回グラスさんのコンサートに参加させていただくことになり本当に光栄です。人の曲を練習する際、だらけることもありますが、グラスさんの曲はそのようなことはないんです。シンプルな曲ですが包容力に溢れていて、押し付けることがない。弾く人によって色々なスタイルになりますが誰が引いてもグラスさんのエチュードになる、グラスさんの音楽には感銘を受けました。ただ僕はピアニストではないのでどこまでできるかわかりませんが、グラスさんの緻密な世界を表現できるようがんばります。僕の今の状態は「(映画の)ロッキー」です(笑)。最後にサクセスできるようにがんばります。
<滑川真希>
ずいぶん長い間ヨーロッパでアウェイで活動してきましたが、今回はこの東京で、みなさんとご一緒できることになり本当に幸せです。ヨーロッパの友人に今回久石さんと共演することを伝えたら「すごいねー!!!」と言われました(笑)。日本のみなさんと、素晴らしいコンサートホール、そこで彼の音楽がどのように響いて日本の聴衆の皆さんがどのような反応をされるのか楽しみです。
■会場すみだトリフォニ-ホール(大ホール)
■日時:6月4日(土)14:00開演/19:00開演
■出演:フィリップ・グラス(Piano)、パティ・スミス(Vocal & Guitar)
■翻訳: 村上春樹、柴田元幸(完全新訳)
■日時:6月5日(日)15:00開演
■出演:フィリップ・グラス(Piano)、久石譲(Piano)、滑川真希(Piano)