日本初!二大巨匠の作品の共演『ゴッホとゴーギャン展』

レポート
アート
2016.6.7
(左)《自画像》フィンセント・ファン・ゴッホ/クレラー=ミュラー美術館 (右)《自画像》ポール・ゴーギャン/キンベル美術館 (左)©Kröller-Müller Museum, Otterlo (右)©Kimbell Art Museum, Fort Worth, Texas

(左)《自画像》フィンセント・ファン・ゴッホ/クレラー=ミュラー美術館 (右)《自画像》ポール・ゴーギャン/キンベル美術館 (左)©Kröller-Müller Museum, Otterlo (右)©Kimbell Art Museum, Fort Worth, Texas

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フィンセント・ファン・ゴッホとポール・ゴーギャン。ポスト印象派の大画家であるこの二人が、一時は共同生活を送ったほど、深い親交があったことはご存知だろうか。性格も作風も全く違う二人が、互いに影響を与えあった興味深い関係性を探る展覧会『ゴッホとゴーギャン展』が、今秋、上野の東京都美術館で開催される。6月1日(水)に行われた記者発表会にて、その注目の展示内容が明かされた。

『ゴッホとゴーギャン展』東京都美術館で行われた記者発表会の様子

『ゴッホとゴーギャン展』東京都美術館で行われた記者発表会の様子

 

ゴッホ、ゴーギャンの傑作を同時に味わう贅沢な機会

本展では二大巨匠の作品を、同時に、そして存分に堪能できるわけだが、その絶大な人気ゆえにヨーロッパ外での開催は難しいとされてきた。しかし、オランダのファン・ゴッホ美術館をはじめとし、スペイン、デンマーク、スコットランド、スイス、アメリカなど、国内外の主要美術館の協力を経て、油彩画約60点に及ぶ豊富な作品群が集結することとなり、日本初となる『ゴッホとゴーギャン展』がこの度実現する。

「現実」と「幻想」真逆の二人の友情

ゴッホとゴーギャンを深く知っていくうえで、本展では「リアリティー(現実)」と「イマジネーション(想像)」という2つのキーワードを手掛かりに、その影響関係を探っていく。ゴッホは身近な農村風景や人物、静物から「現実」を描き続け、一方のゴーギャンは、想像の中から風景や人物を描き出し「幻想」の世界を追い求め、タヒチまで赴いた。

そんな全く作風の異なる二人の芸術家は、パリの喧騒を離れた南仏のアルルで共同生活を送りながら、互いの作風に大きな影響を与え合う。芸術観や性格の違いから激しい議論が続き、その生活は2ヶ月で破綻したが、その後も書簡を交わし合いゴッホが亡くなるまでその交友関係は続いたという。

日本初来日の「最高傑作」も

本展のみどころは、そんな二人の作品を並べることで、与えあった影響がより色濃く浮かび上がってくる面白さにあるだろう。中でもゴッホの《収穫》、ゴーギャンの《ブドウの収穫、人間の悲惨》は、同じ収穫をテーマとした最高傑作。ゴーギャンの本作品は日本初来日となる。

《収穫》フィンセント・ファン・ゴッホ/ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団) ©Van Gogh Museum, Amsterdam  (Vincent van Gogh Foundation)

《収穫》フィンセント・ファン・ゴッホ/ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団) ©Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation)

《ブドウの収穫、人間の悲惨》ポール・ゴーギャン/オードロップゴー美術館 ©Ordrupgaard, Copenhagen Photo: Anders Sune Berg

《ブドウの収穫、人間の悲惨》ポール・ゴーギャン/オードロップゴー美術館 ©Ordrupgaard, Copenhagen Photo: Anders Sune Berg

また、共同生活後に描かれたゴッホの《ゴーギャンの椅子》と、ゴーギャンの《肘掛け椅子のひまわり》も本展の注目作品だ。前者は、ゴッホがゴーギャンの使っていた椅子を描いた象徴的肖像画。後者は、ゴーギャンがゴッホの死後11年経って、ゴッホが好んだひまわりを自ら描いた作品だ。こうした作品からも、お互いの表現を試み合った影響がうかがえる。

《ゴーギャンの椅子》フィンセント・ファン・ゴッホ/ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団) ©Van Gogh Museum, Amsterdam  (Vincent van Gogh Foundation)

《ゴーギャンの椅子》フィンセント・ファン・ゴッホ/ファン・ゴッホ美術館(フィンセント・ファン・ゴッホ財団) ©Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation)

《肘掛け椅子のひまわり》ポール・ゴーギャン/E.G. ビュールレ・コレクション財団 ©Foundation E. G. Bührle Collection, Zurich

《肘掛け椅子のひまわり》ポール・ゴーギャン/E.G. ビュールレ・コレクション財団 ©Foundation E. G. Bührle Collection, Zurich

豪華な音声ガイドナビゲーターにも注目!

本展の音声ガイドナビゲーターには、声優の小野大輔、杉田智和の出演が決定した。ゴッホとゴーギャンが交わした手紙を引用しながら、みどころをより魅力的に伝えてくれる。

時を超えて上野で再会する巨匠二人の共演を、この秋まで楽しみに待とう。

 

イベント情報
ゴッホとゴーギャン展

会期:2016年10月8日(土)~12月18日(日)
会場:東京都美術館 企画棟 企画展示室
休室日:月曜日、10月11日(火) ※ただし、10月10日(月・祝)は開室
開室時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
夜間開室:金曜日、11月2日(水)、3日(木・祝)、5日(土)は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)
観覧料:
前売券 一般 1,300円 / 大学生・専門学校生1,100円 / 高校生 600円 / 65歳以上 800円
当日券  一般 1,600円 / 大学生・専門学校生1,300円 / 高校生 800円 / 65歳以上 1,000円
団体券  一般 1,300円 / 大学生・専門学校生1,100円 / 高校生 600円 / 65歳以上 800円
※団体割引の対象は20名以上 ※中学生以下は無料 ※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方(1名まで)は無料 ※いずれも証明できるものをご持参ください
特設サイト:http://www.g-g2016.com/

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